あらすじ
ネオショッカーの怪人・カニンガージンは、関東地区の石油コンビナートを火の海にする計画を立てていた。登校中にこれを目撃した少年・たくみは命を狙われる。
仮面ライダーによって救われたたくみだが、周囲は彼を信じようとしないのだった。
ネオショッカーを見てしまった少年 失われた信頼を取り戻せ
今回のネオショッカーの怪人は蟹の改造人間であるカニンガージン。
左腕にはカニのハサミを模した武器を備えており、右手で敵を動きを封じ、左手のハサミで両断する「必殺二段バサミ」という必殺技を持っている。また、口からは溶解液を噴射する。
そんなカニンガージンの目的は、関東地区・京浜工業地帯の石油コンビナートを爆破し、火の海に変えてしまうこと。そのための破壊工作の準備を整えていた。
だが、そんなカニンガージンの暗躍は、偶然にもたくみという少年に目撃されていた。
たくみは駆けつけた仮面ライダーに助けられるが、周囲は彼が怪人に襲われたという話を信じず、いつも遅刻ばかりだった彼がまたしても遅刻したことを執拗にからかい続ける。
先生すらもたくみを信じようとせず、孤立していくたくみ。
だが、カニンガージンは目撃者を消すべく、たくみの抹殺を狙っていたのだった。
仮面ライダーはカニンガージンを倒し、石油コンビナートを守れるのか。
そして、周囲に信じてもらえないたくみの心を、立ち直らせることが出来るのか。
アリコマンド部隊が、京浜工業地帯の石油コンビナートに潜入した。
不審な泡を発見した警備員は、その泡によって肉体を溶解されてしまう。
さらに、作業員たちもその泡の犠牲になった。
その泡を出しているのは、ネオショッカーの怪人・カニンガージンだ。
カニンガージンはアリコマンドに、石油コンビナート爆破のための作業を急がせた。
大量の爆薬が、石油コンビナート地下に通るパイプ内に設置される。
カニンガージンの目的は、石油コンビナートを爆破して関東を火の海にすることなのだ。
翌朝、普段朝寝坊ばかりの少年・たくみが珍しく早起きをして家を飛び出した。
たくみは工作の宿題を見事に仕上げ、皆を見返すために早起きをしたのである。
どうでもいいが、工作で作ったカイトの柄がスーパーマンなのが面白い。
そこは東映作品でなくても大丈夫なんだ…。
たくみは更に早く学校につくために、近道をしようと廃墟を通っていく。
だが、そこはネオショッカーが爆薬を運び込んでいる場所だった。
アリコマンドに見つかり捕まったたくみは、カニンガージンに工作を破壊され、さらに殺されそうになる。だがそこに間一髪、仮面ライダーが駆けつけた。
カニンガージンは泡を噴射し仮面ライダーを攻撃する。
仮面ライダーはたくみを安全な場所に隠し、次々にアリコマンドを撃退。
カニンガージンに対しても優勢に戦いを進めていく。
不利を悟ったカニンガージンは撤退していった。
安全を確保した仮面ライダーはたくみを学校に送り出そうとする。
だが、頑張って作った工作を破壊され、遅刻しまいと早起きまでしたのに、ネオショッカーを目撃してしまったせいで宿題は提出できず遅刻も確定したたくみのモチベーションはどん底だった。
仮面ライダーは正直に話せばみんなわかってくれるとたくみを励まし、学校へ行くように促す。
結局、たくみは宿題も持たずに学校へ遅刻してしまうのだった。
既に出席を取る時間になっており、たくみは先生に遅刻を叱責される。
周囲の生徒も、たくみは「朝寝坊将軍」だとからかい続ける。普通に嫌なクラスだ…。
先生も、たくみに言い訳すら許さないどころか、なんと遅刻の回数を記録する表まで作っていた。仮面ライダーも、まさか先生もこんな吊し上げをしているとは夢にも思わなかっただろう。
廊下に立たされたたくみは、内心で工作の宿題もやって、30分も早く家を出たのにこんなことになり、周囲からバカにされていることが悔しくてたまらなかった。
たくみのことが気になっていた洋は校門の外から廊下に立たされているたくみを目撃する。
アジトに戻ったカニンガージンは、京浜工業地帯は間もなく火の海になるとゼネラルモンスターに報告されていた。さらに、目撃者のたくみや仮面ライダーすらも血祭りに上げると意気込む。
放課後、たくみは廊下に立たされただけでなく、遅刻の罰登板として掃除までやらされていた。
周囲の生徒もひたすらにたくみを馬鹿にし続け、怪人の存在を話したことで、たくみは嘘つきとまで言われる。たくみが耐えかねて雑巾を投げつけると、それを大げさに騒いだ生徒の声を聞きつけた先生が駆けつけ、たくみを叱った。あまりにも理不尽な仕打ちに、たくみは涙する。
その頃、洋は石油コンビナート地帯の調査を行っていた。
だが、地下に潜んでいたネオショッカーの気配を、洋は発見することが出来なかった。
掃除を終えたたくみが下校しようとすると、先ほど馬鹿にしていた生徒たちがまたしてもたくみに絡んできた。なんでも、怪人に会いに行ってたくみの名誉を回復させてやるのだという。
其の実、怪人なんていなかったと言ってたくみをさらに馬鹿にすることが目的だったのだろうが、たくみは汚名をすすぐために、怪人を目撃した京浜工業地帯に向かった。
工業地帯の廃墟の雰囲気に飲まれ、怯える生徒たち。たくみはマンホールの中で怪人を目撃したことを思い出し、連れたって地下へと向かっていく。
どんどん進んでいくたくみに、周囲の生徒も圧倒され引き返すことを提案する。
すると、その声を聞きつけ、カニンガージンが現れた。
カニンガージンは子供たちを捕らえるが、たくみは工作を弁償しろと強気な発言をする。
カニンガージンは目撃者であるたくみたちを、石油コンビナートごと爆破しようとしていた。
仮面ライダーを呼ぼうにも、どこにいるのかわからず途方に暮れるたくみたち。
たくみを信じなかったばっかりにこんな目にあった生徒たちはたくみに謝罪する。
いけしゃあしゃあと何言ってやがるという感じもあるが、たくみもようやく自分の言う事を信じてもらえたことに感激し、クラスメイトを許すのだった。本人が良いならまあ良いか…。
翌朝、たくみたちの両親が学校を訪ね、たくみたちの行方を知っている生徒がいないか調べていた。だが、当然クラスメイトたちもたくみの行方を知る由もない。
学校からの通報を聞いた志度博士から、たくみたちが行方不明であることを知った洋。
洋はたくみが友達に信じてもらいたかったのだと直感し、石油コンビナートへ向かう。
その頃、石油コンビナート地帯では、ついにカニンガージンが石油コンビナートを爆破するメインスイッチを入れようとしていた。爆破までのカウントダウンが迫る。
必死に仮面ライダーに助けを求めるたくみたち。
ひろしの接近を知ったカニンガージンは、ネオショッカーオートバイ部隊に洋の陽動を命じ、石油コンビナート地帯から退避する。洋は仮面ライダーに変身した。
カニンガージンの乗った車にたくみたちがいないことを目撃した仮面ライダーは、たくみの行方を掴むため、ネオショッカーオートバイ部隊を蹴散らしていく。
それを飛田今太が撮影していたが、オートバイ部隊に突っ込まれて悲鳴を上げるのだった。
カニンガージンは車のスピードを上げ、仮面ライダーを誘き出す。
石油コンビナート地帯爆破まで、後5分。
仮面ライダーはディメンション・アイの能力で物陰に隠れたカニンガージンを発見すると、ライダーブレイクで壁を突き破り、カニンガージンのもとに辿り着いた。
カニンガージンの口から、子供たちが石油コンビナート地帯と共に爆破されることを知った仮面ライダー。カニンガージンたちは姿を素早く消すが、マルチイヤーで地下に響くたくみたちの悲鳴を聞き取った仮面ライダーは、たくみたちの居場所を掴む。
カニンガージンは石油コンビナート地帯爆破まで時間を稼ぐべく、仮面ライダーの前に立ちふさがった。仮面ライダーはカニンガージンの溶解泡を、アリコマンドを盾にして防ぐ。
カニンガージンは鋭いハサミで襲いかかるものの、仮面ライダーも素早い動きでそれを躱した。
しかし、カニンガージンは仮面ライダーに組み付き、「必殺二段バサミ」を食らわせる。
目まぐるしく攻守が入れ替わる、息詰まる熾烈な格闘戦の果て、カニンガージンのハサミを破壊した仮面ライダーは、トドメのスカイキックを炸裂させてカニンガージンを葬った。
仮面ライダーは、セイリングジャンプで空を飛び、石油コンビナート地帯へ急いだ。
そして、地下へと急行し、縛られているたくみたちを発見。
爆薬へ繋がるメインスイッチを破壊し、石油コンビナート地帯の爆破を防ぐのだった。
命を救われたたくみたちは、仮面ライダーに感謝を伝える。
数日後、たくみはまたしても遅刻寸前だった。
だが、その手には頑張って作った工作が握られている。
クラスメイトももう、たくみを馬鹿にすることはなく、その到着を待っていた。
予鈴が鳴る中、教室に駆け込んだたくみ。滑り込みセーフだ。
先生は、スーパーマンが描かれたたくみのカイトの出来栄えを褒めるのだった。
ネオショッカーのコンビナート爆破計画は、仮面ライダーによって粉砕された。
たくみ少年のことを、朝寝坊将軍と悪口を言う生徒は、もう誰もいない!
今回も、仮面ライダーと少年の交流が描かれた、「仮面ライダー (新) (スカイライダー)」らしい作風のエピソード。いくら遅刻ばかりとは言え、クラスメイトにやたら解像度の高い嫌がらせを受け、先生にも信じてもらえないたくみ少年の描写は見ていて痛々しいが、とはいえ、たくみ少年が自分の言う事を信じてもらえただけでそれを水に流す清々しい性格なので救われている。
カニンガージンと仮面ライダーの目まぐるしい殺陣も見どころのエピソードだった。
ハサミというわかりやすい武器を供えた怪人だけあって、周囲のオブジェクトを破壊しそのハサミの威力を見せつけるカニンガージンは、魅力あるアクションを見せた怪人と言えるだろう。