あらすじ
ついにバンリキ魔王はベーダー城を動かした全面攻撃作戦を展開する。
巨大化したバンリキモンス対ダイデンジンの戦い。
だが、圧倒的なモンスのパワーにダイデンジンは再起不能の状態まで追い詰められてしまう。
最終決戦!アイシーとデンジ星人の想いを乗せ、バンリキ魔王を討て!
ついに、電子戦隊とベーダー一族の戦いは最終決戦の時を迎えた。
バンリキ魔王は電子戦隊の抹殺のため、ついにベーダー魔城を動かすと、バンリキモンスを出撃させて電子戦隊との決戦に挑む。そして、バンリキモンスの力は圧倒的だった。
無敵を誇ったダイデンジンもその力の前に内部回路を損傷し、再起不能になってしまう。
ダイデンジンを失い、街がバンリキモンスの念力で大混乱に陥る中、アイシーは電子戦隊に勝算なき出動を禁じ、ただ1つの勝算を手にするのを待ち続ける決断をした。
だが、その間にもバンリキモンスの猛威が街に犠牲を出し続ける。
電子戦隊はこの猛威を食い止めることが出来るのか。そして、アイシーが待っていた勝算とは…。
一方、ヘドラー将軍を失ったヘドリアン女王たちも、バンリキ魔王の猛威に対抗する術を探っていた。だが、ケラーがバンリキ魔王の凶刃に倒れ、ミラーもヘドリアン女王を裏切る素振りを見せ、ヘドリアン女王は1人ベーダー魔城の地下牢に幽閉されてしまう。
ついに、バンリキ魔王が全てを支配する暗黒の世が訪れてしまうのか?
電子戦隊は、ヘドリアン女王は、バンリキ魔王を討つ事が出来るのか…。
ベーダー魔城では、完全に支配権を手にしたバンリキ魔王が、ミラーとケラーを傅かせていた。
ヘドラー将軍を失った今、ヘドリアン女王もバンリキ魔王に手出しができない。
バンリキ魔王はヘドリアン女王を「おばさん」と呼び、踊るように言いつける。
その無礼に怒ったケラーはナイフを投げつけるが、バンリキモンスによって阻まれた。
だが、ヘドリアン女王は、帝王として君臨したければ電子戦隊を倒すようにバンリキ魔王を挑発。
それを最もだと納得したバンリキ魔王は、電子戦隊を抹殺すべく、ついにベーダー魔城を動かして攻撃に出る。デンジマンもそれを察知し、デンジタイガーを発進させるのだった。
デンジタイガーはミサイルを発射しベーダー魔城を攻撃する。
ヘドリアン女王はデンジタイガーの攻撃に動揺するが、バンリキ魔王は動じない。
そして、バンリキモンスと共に地上に姿を現すのだった。
バンリキモンスはバンリキ魔王の命で巨大化した。
先の戦いのように、念力で動きを封じられてしまえば、デンジマンに勝ち目はない。
デンジマンは念力を使われる前に、デンジファイターを発進させ、ダイデンジンに変形させた。
ダイデンジンはデンジボールを繰り出すが、バンリキモンスの念力で跳ね返される。
さらに、デンジ剣を取り出したものの、バンリキモンスの金縛りによって動きを封じられてしまい、その念力はこれまでのようにデンジ剣で跳ね返すことも出来なかった。
バンリキモンスの念力コマ回しで、ダイデンジンは成すすべなく弄ばれる。
ベーダー魔城から戦いを見守るヘドリアン女王は、バンリキ魔王への憎しみのあまり、これまで仇敵として忌み嫌ってきたダイデンジンの応援を始める。
「頑張れ!それ!頑張れダイデンジン!バンリキ魔王が憎い!ヘドラー将軍を死に追いやったのは魔王じゃ!魔王とモンスじゃ!!」
だが、バンリキモンスの念力はついに、ダイデンジンの武器回路を焼き切ってしまった。
このままでは、ダイデンジンはバラバラにされてしまう。
デンジマンは撤退し、力の程を見せつけたバンリキ魔王は第二次作戦に移る。
内部メカをメタメタにされたダイデンジンはしばらく出撃することが出来ない。
バンリキ魔王は余裕を見せつけ、デンジマンにバンリキ魔王を始末させる目論見が外れたヘドリアン女王はますます追い込まれていくのだった。
デンジランドに戻った電子戦隊はアイシーにダイデンジンの状態をチェックさせたが、ダイデンジンの回路は全て破壊されており、回路の仕様は全く出来なかった。
ダイデンジンの指令回路のスペア部品はなく、もはや、アイシーにも修理は出来ない。
その頃、街でパトロールをしていたチーコは、車が暴走しているのを発見する。
だが、チーコたちが乗るパトカーもハンドルが利かなくなり、やがて事故を起こしてしまった。
チーコに呼ばれた緑川は、街の上空にバンリキモンスが現れたことを目撃する。
街で多発する自動車事故は、バンリキモンスの念力によるものだった。
このままでは、バンリキモンスの念力で多大な犠牲が出てしまう。
電子戦隊は、今度こそバンリキモンスを倒すべく出動しようとするが、それをアイシーが制止した。アイシーは、待つことも戦略であると電子戦隊を説得する。
それでも出動しようとする電子戦隊に、アイシーはデンジランドの扉をロックしてしまった。
必死にチャンスを待つように促すアイシー。だがその間にも、バンリキモンスの念力が各地に被害を出し、社会に混乱を巻き起こしていた。そうして、電子戦隊を誘き出そうとしているのだ。
デンジランドに戻ってきた緑川も、アイシーの考えを知る。
出動出来ず、被害が出るのをおめおめと見ていることしか出来ない電子戦隊の我慢は限界だった。
一方、バンリキ魔王も、デンジマンを誘き出すためにバンリキモンスを暴れさせ続ける。
ヘドリアン女王はミラーに指示を出し、ミラーがバンリキ魔王に酒を飲ませている隙に、剣を持って背後から襲いかかった。だが、ヘドリアン女王によるバンリキ魔王の暗殺は失敗する。
怒りのバンリキ魔王は、ヘドリアン女王にナイフを投げつけた。
そこに割って入ったケラーは、巨大な盾になってヘドリアン女王を守る。
しかし、ナイフはその楯を貫き、ケラーは息絶えてしまった。
ヘドリアン女王はミラーにも戦うように促すが、ミラーは「私は強いお方が好き」と言い放ち、バンリキ魔王につくことを宣言。裏切られたヘドリアン女王は、落とし穴に落とされる。
こうして、ベーダー魔城は完全にバンリキ魔王の手に落ちてしまうのだった。
デンジランドに、バンリキ魔王からの通信が入ってきた。
バンリキ魔王からの挑発に憤った赤城は、アイシーに出動を懇願するものの、アイシーは頑として聞き入れない。青梅はアイシーの態度に怒りを見せるが、デンジランドの扉は開かなかった。
その間にも、バンリキモンスの念力による被害はエスカレートしていく。
赤城はデンジスパークし、ドアを破壊してでも出動することを宣言。
さらに、青梅たちもデンジスパークし、電子戦隊はアイシーの静止を振り切って出動した。
その頃、バンリキ魔王がバンリキモンスに指示を出す様子を陰から見ていたミラーは、バンリキモンスの尻尾に念力の発信機があることを突き止める。
そして、ついに電子戦隊がバンリキモンスのもとに辿り着いた。
「見よ!電子戦隊!デンジマン!!」
デンジマンは高らかに名乗りを上げ、バンリキモンスとの最終決戦に挑んだ。
だが、バンリキモンスの念力はあまりにも強大だった。
またしても体の自由を奪われ、念力で弄ばれるデンジマン。
地下牢に囚われていたヘドリアン女王に、ミラーが声をかけてきた。
ミラーはヘドリアン女王を裏切ったふりをして、バンリキモンスの弱点を探り出そうとしていたのだ。バンリキモンスの弱点が尻尾であることをヘドリアン女王に伝えたミラーは、水晶玉に変化。ヘドリアン女王は水晶玉を通し、アイシーにバンリキモンスの弱点を伝える。
アイシーが待っていたチャンスとは、バンリキ魔王がベーダー一族にとって忌むべき存在であることを利用し、ベーダー一族からバンリキモンスの弱点が伝わることだったのだ。
バンリキモンスの弱点を知ったアイシーは、デンジタイガーを発進させる。
その目の輝きに、悲壮な決意を秘めながら。
バンリキモンスへ向け、デンジタイガーが飛来。デンジブルーたち4人がバンリキモンスを足止めしている間に、デンジレッドがデンジファイターを発進させ、ダイデンジンへと変形させた。
デンジマン5人がダイデンジンに乗り込むと、回路はすべて正常だった。デンジマンたちは、アイシーが自分たちのためにダイデンジンの修復を終えていてくれたと感謝する。
巨大化したバンリキモンスは再び念力でダイデンジンの動きを封じた。
再び操縦不能に陥るダイデンジン。だがその時、コクピットにバンリキモンスの弱点を告げるアイシーの声が響いた。尻尾が弱点であることを知ったデンジマンは、デンジ剣を地面に突き刺し、火柱を走らせてバンリキモンスの尻尾を攻撃、念力発信機を破壊する。
念力を失い、無力化したバンリキモンスに、ダイデンジンの電子満月斬りが炸裂した。
バンリキモンスを失ったバンリキ魔王は、ヘドリアン女王たちがバンリキモンスの弱点を電子戦隊に伝えたと直感し、ヘドリアン女王抹殺のため地下牢に乗り込む。
「お前だな!モンスの弱点を教えたのは!」
「思い知ったか、バンリキ魔王!」
ヘドリアン女王を抹殺せんと襲いかかるバンリキ魔王を阻むべく、水晶玉になっていたミラーが稲光を走らせる。それをまともに浴びたバンリキ魔王は失明した。
だが、視力を失ったままめちゃくちゃに暴れるバンリキ魔王によって、ミラーもその命を奪われてしまう。こうして、ヘドリアン女王は全ての配下を失ってしまった。
視力を失ったまま地上に出てきたバンリキ魔王に、デンジマンはデンジブーメランをぶつける。
それをまともに食らったバンリキ魔王は、ついに倒されるのだった。
残るはヘドリアン女王ただ1人。電子戦隊は、ベーダー魔城へと突入した。
ベーダー魔城内部の玉座には、ヘドリアン女王の幻影が座っていた。バンリキ魔王の暴虐によって全ての配下を失ったヘドリアン女王には、もはや電子戦隊と戦う気力は残されていなかったのだ。
「ヘドラー将軍も死に…ミラー、ケラーも死んだ…私は一人ぼっち…。だが、勝ったと思うなよ、デンジマン。私にはしばらくの休息が必要なだけじゃ。また会おう。さらばじゃ…」
ヘドリアン女王の幻影が消えると同時に、ベーダー魔城が爆発した。
こうして、ベーダー一族は滅び、街に平和が戻ったのだ。
勝利を収めたデンジマンは、アイシーに勝利を報告すべくデンジランドに戻った。
だがそこに、アイシーの姿はない。アイシーは、破壊されたダイデンジンの電子頭脳の代わりに、自らを犠牲にして、メカの一部に代えたのだった。
デンジ星人と同じく、電子戦隊にベーダー一族打倒の使命を託し、散ったのである…。
ベーダー一族との長い戦いの日々が終わり、デンジマンたちに安息の日が訪れた。
デンジマンたちは、平和のために自らを犠牲にしたアイシーの名を長く称えるために、サッカー大会「アイシー賞記念サッカー大会」を開いていた。
そのトロフィーには、アイシーの顔が彫刻されていた。デンジ星人から受け継いだ、ベーダー一族から宇宙の平和を守るという使命のために戦った、英雄の顔が。
赤城一平。青梅大五郎。黄山純。緑川達也。桃井あきら。
この5人の若者の胸の中に、今、希望の鐘が高らかに鳴り響く。
さようなら、デンジマン。さようなら、ダイデンジン。さようなら、デンジ犬アイシー。
彼らの後を継いで、美しい地球を守るのは、そう、君たちだ!
電子戦隊とベーダー一族の死闘に割って入り、暴虐で勢力図を塗り替えたバンリキ魔王。
電子戦隊の司令官であるアイシーと、ベーダー一族の頂点に立つヘドリアン女王が結果的に力を合わせることになり、ようやく打倒することが出来たその猛威は、まさに脅威だった。
ミラーの決死の行動でバンリキモンスの弱点が突き止められていなければ、電子戦隊が出動したところで念力によって成すすべなく蹂躙されて全てが終わっていたことは間違いなく、ベーダー一族内部よりバンリキモンスの弱点の情報がもたらされるという勝機に全てを賭けたアイシーの苦渋の決断無くしては、電子戦隊の勝利はあり得なかった。
一方で、アイシーが電子戦隊の出動を禁じている間に、バンリキモンスの暴虐で多くの犠牲が出てしまった。アイシーが自己犠牲によってダイデンジンの修復を完了したのも、そうでなければダイデンジンの修復をなし得なかったという以上に、勝利のためとは言え自分の決断で出た多くの犠牲に報いるための行動でもあったのだろう。そこに、自分を犠牲にしたアイシーの悲哀がある。
デンジ星人から託された使命のために電子戦隊を集め、最後には自らを犠牲にして電子戦隊の勝利に貢献したアイシーの英雄的行動は、デンジマンたちによって長く語り継がれていくに違いない。
そして、バンリキ魔王によって配下の全てを失い、戦う気力さえ無くしてしまったヘドリアン女王もまた、地球を狙う邪悪でありながら、滅びゆく者としての哀愁を感じずにいられない。
強い結束のもと、エネルギッシュにデンジマン抹殺を狙い続けてきたヘドリアン女王が、ヘドラー将軍を死に追いやったバンリキ魔王憎しのあまりにダイデンジンを応援し、ミラーとケラーという側近までも失ったことで疲れ果て、休息を必要と姿を消す悲哀は、曽我町子氏の確かな演技力で表現されており、滅びゆくベーダー一族の哀愁が見事に演出されていた。
こうして、デンジ星人から受け継いだ使命を胸に、ベーダー一族と戦い抜いた電子戦隊の戦いは終わり、疲れ果てたヘドリアン女王は何処ともなく姿を消した。
地球に平和が戻ったのである。電子戦隊は、夕陽と共に日常へと帰っていった。
そして、新たなる悪が地球に迫る時、新たな朝日もまた昇る。
ここに、「スーパー戦隊シリーズ」が一大シリーズとして定着していくのだった。