「電子戦隊デンジマン」第45話「二人いたデンジ姫」感想

2024年11月11日月曜日

電子戦隊デンジマン 東映特撮YoutubeOfficial

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あらすじ

赤城が街で偶然見かけた女性・有明夕子は、デンジ姫そっくりだった。
しかし、彼女は地球人で幼稚園の保母さんであった。
そして、彼女をデンジ姫と間違えたベーダーは、幼稚園の園児を誘拐し…。

もう一人のデンジ姫が受け継いだのは、他者を守る高貴なる心

今回のベーダー怪物・オニラーは、デンジ姫に瓜二つの女性・有明夕子の正体を確かめ、もし本当にデンジ星人ならば抹殺することを任務しているベーダー怪物。
巨大な出刃包丁からの火炎放射や、短刀から光線を放つ鬼爆弾を武器とする。
もし夕子が本当にデンジ姫の力を受け継いでいれば、電子戦隊と力を合わせることでベーダー一族は絶対的な脅威に晒されることになり、それを防ぐことがオニラーに課せられた任務だ。

有明夕子は、赤城が街を歩いていて偶然目撃した、デンジ姫と瓜二つの容姿をした女性である。
赤城は、夕子がデンジ姫であると疑われベーダー一族に狙われていることを知り、夕子をデンジランドに招いてデンジ星人の物語を聞かせ、デンジ星人として覚醒させようとする。
だが、幼稚園で保育士として働いている夕子は子供たちのところから離れられなかった。
しかし、赤城たちが夕子を護衛したことから、ベーダー一族は逆にデンジマンが護衛しているということは、夕子は本当にデンジ姫であると確信してしまう。
そして、デンジ姫とデンジマンが力を合わせることを防ぐために、デンジ姫抹殺のため、夕子が働く幼稚園の子供達を拉致し、人質にしてしまうのだった。

夕子を守ろうとするデンジマンだが、夕子は自分がデンジ姫の子孫だと信じはしないものの、本当にデンジ姫ならば他者を見捨てたりしないと、まるで本当にデンジ姫であるような、他者を見捨てずに守り抜こうとする高貴な心を見せる。
それを見ていたアイシーは、一計を案じて夕子にそれを伝えるのだった。
果たしてデンジマンは、夕子と子供たちをベーダーの魔手から救うことが出来るのか。

赤城が街を歩き、季節の移り変わりを感じていると、喫茶店で一人の女声を目撃する。
それは、あのデンジ姫に瓜二つの女性だった。
赤城が自分を見つめていることに気づいた女性は、慌てて何処かに逃亡してしまう。
赤城はその後を追うが、見失ってしまうのだった。
アスレチッククラブに戻った赤城は、仲間に懸命にデンジ姫を見たことを訴える。
しかし、3000年前の人間であるデンジ姫が生きているはずがない。
まして、本当にデンジ姫が現れたならば、アイシーが何も感じないはずもなかった。
赤城はデンジ姫の実在を証明するため、女性を捜索し始めたが、行方は杳として知れなかった。

女性を発見できずにいた赤城が自分の目を疑いだしていると、偶然、あの女性が走ってきた。
だが、赤城を見つけた女性は、またしても慌てて逃亡してしまう。
その後を追った赤城は、女性に木の棒で殴られ、何故自分を付け回すのか訪ねられる。
だが、赤城にとっても、女性と会うのは二度目だった。
いつもいつも監視されていたという女性の話を聞いた赤城は、周囲の様子を窺い、隠れていたベーダー怪物・オニラーを発見。女性を監視していたのは、ベーダー一族だった。

女性をデンジ姫として守るべく、赤城はデンジレッドにデンジスパーク。
しかし、女性はデンジ姫という言葉に聞き覚えがない様子だった。
デンジマンは5人合流し、オニラーを撤退させる。
そして、青梅たち4人もまた、女性の顔を見て彼女がデンジ姫であると確信する。
女性の名は有明夕子といい、幼稚園の保育士だった。

ベーダー魔城では、撤退したオニラーがヘドリアン女王に報告を上げていた。
デンジ姫と瓜二つの女性がいると察知したヘドラー将軍がオニラーに命じて、夕子を監視させていたのである。そして、その夕子をデンジマンが助けに現れた。
ベーダー一族にとって、それこそが夕子こそデンジ姫であるという確証に足るものだったのだ。
バンリキ魔王は、証拠固めなどせずに、怪しいと思えば殺せばよかったのだと悪態をつく。
デンジ姫とデンジマンが組めば強力な力となってしまい、ヘドリアン女王すら対抗できるかわからない。ヘドリアン女王は、デンジ姫と思われる夕子の抹殺を命ずるのだった。

赤城とあきらは夕子の家を訪ねていた。
しかし、夕子にとっても、デンジ姫と言う言葉の意味はわからない。
だが、このままでは、夕子はベーダー一族に狙われ続けるだろう。
赤城は夕子のデンジ姫としての記憶を取り戻させるため、夕子をデンジランドに招こうとする。
だが、夕子も、幼稚園の仕事を擲ってデンジランドに行くことなど出来ない。
家まで夕子を訪ねてきた園児たちとともに、幼稚園に向かおうとする夕子。
だがそこに、ベーダー一族が襲撃してきた。

デンジブルー・イエロー・グリーンがオニラーを足止めする中、レッドは夕子を、ピンクは子供たちを連れて逃亡した。しかし、夕子と引き離された子供たちは、ピンクに先生を返せと詰め寄る。
夕子はデンジ姫なんかではないと泣き叫ぶ子供たちに困ってしまったピンクは、その声を聞きつけて飛んできた近所のおばさんに子供たちを任せ、デンジランドに戻るのだった。

赤城たちはデンジランドに夕子を案内し、デンジ星人の悲劇を語り始める。
そして、3000年前にデンジ姫が地球を訪ね、デンジ姫は再び宇宙に去って行ったことも。
理解の範疇を超えた壮大なスケールの話に、夕子は卒倒してしまうのだった。
デンジ姫は地球から去っていったはずだと当然の疑問をぶつける夕子に、黄山はその後戦いに敗れて再び地球を訪れたのでないかと推測し、あきらも夕子こそデンジ姫の子孫だと訴える。
だが、夕子はデンジ姫と瓜二つであることは認めるが、普通の人間だと話す。
赤城は確証を得るために、両親から言い伝えのようなものを聞かされていないか尋ねるものの、夕子は幼い時に両親と死別しており、幼稚園の先生に引き取られて育っていた。
だからこそ、将来は幼稚園の先生になろうと決意し、その夢を叶えていたのである。

青梅はそれでも、デンジ姫の子孫ならばベーダーの暴虐に対抗して欲しいとこれまでのベーダーの暴虐の映像を見せ、デンジ星人の血が騒がないのかと訴える。
デンジマンとデンジ姫が力を合わせれば、必ず新しい力を生み出すことが出来る。
だが、夕子には本当に、ベーダーと立ち向かう力などなかった。

だがそこに、ベーダー一族からの通信が入る。
幼稚園の子供たちがヘドラー将軍に捕まってしまったのだ。
ヘドラー将軍は、子供たちを助けたければデンジ姫ひとりで来るように宣告する。
一人で向かおうとする夕子を電子戦隊は止めるが、このままでは子供たちの命はない。
その様子を見ていたアイシーは、夕子と自分を二人きりにするように伝えるのだった。
アイシーの目が、かつて赤城たちの宿命を覚醒させた時のように光る。

夕子の瞳には、決意の炎が浮かんでいた。
子供たちを助けるために一人で向かおうとする夕子は、自分がデンジ姫ならばこういう時こそ我が身を擲って行くはずだと告げ、子供たちの元へと向かう。
その姿に、真のデンジ姫の姿を見た電子戦隊は、夕子を助ける決意を固めるのだった。

取引現場に駆けつけたデンジマン。
そこでは、ミラーとケラーが子供たちを十字架にかけ、処刑準備を整えていた。
そこに、デンジ姫の姿となった夕子が現れる。
夕子は、デンジ姫は、自分が手にした石こそが虹の石・デンジストーンであり、祖先から代々受け継いだ自分の命であると告げる。そして、自分の命が尽き、自分の手からデンジストーンが離れた時デンジストーンは炸裂し、デンジエネルギーでベーダー細胞を一瞬にして溶かし去るという。

脅しに過ぎないと考えるミラーとケラーだが、デンジ姫は自分の命と引き換えに試してみるかと堂々とした態度を崩さない。ブルーはその堂々たる姿に、夕子が本当にデンジ姫だと確信する。
そこに現れたアイシーは、この隙に子供たちを助けるように促す。

だが、ベーダー一族に近づく途中、デンジ姫は石に躓き転倒してしまう。
デンジストーンだという石が手から離れ、それがただの地球の石だと察知したベーダー。
一転して窮地に追い込まれた夕子だが、そこにデンジレッドが救出に入った。
さらに、ベーダーの注意が夕子やレッドに引き付けられている間に、子供たちもブルーたち4人によって救出された。夕子と子供たちを助けたデンジマンは高らかに名乗りを上げる。
「見よ!電子戦隊!デンジマン!!」

オニラーは巨大な出刃包丁でデンジマンを蹴散らし、鬼爆弾でデンジマンを攻撃。
デンジマンはドラゴンフライで連続キックを炸裂させ、デンジブーメランを決める。
大ダメージを負ったオニラーは巨大化し、デンジマンもデンジタイガーを呼んだ。
ダイデンジンに乗り込んだデンジマンと、巨大オニラーの最終決戦。
オニラーは手榴弾を投げつけ、出刃包丁から火炎放射を放つ。
だが、ダイデンジンはデンジ火炎返しで火炎放射を跳ね返し、電子満月斬りで勝利した。

夕子と子供たちは無事に再会した。アイシーは電子戦隊に真実を告げる。
夕子はアイシーの放つ光に反応しておらず、デンジ姫としての力はなかった。
確かにデンジ星人の子孫ではあるのだが、デンジ星人としての能力はなかったのだ。
デンジ姫の姿をして現れたのは、アイシーが一計を案じ、夕子が子供たちを助けるべく、決然とした態度で見せた一世一代の大芝居だったのである。

赤城は、夕子が本当に子供たちのことを思って行動できるいい先生であると感心した。
そして、例えデンジ星人としての特別な力はなくても、他人のために自分の命を擲ってでも行動できるその気高い姿は、デンジ姫そのものであった。
その後、赤城は夕子と子供たちが街を歩いているのを見たが、もう声をかけなかった。
デンジ姫の子孫の、平凡で小さな幸せを、そっと祈るのであった。

シリーズ中盤より大きな存在感を見せているデンジ姫。
今回のエピソードでは、そのデンジ姫が現代にもう1人いたという激動の展開を見せ、デンジ姫がデンジマンと力を合わせることを阻止せんとするベーダーと、デンジ姫を守ろうとするデンジマンの攻防戦を描きながら、もう1人のデンジ姫たる夕子は既にデンジ星人としての特別な力はないというどんでん返しがオチとなっている、劇的な展開のエピソードになっている。

しかし、もう1人のデンジ姫たる夕子は、確かに超能力という意味でのデンジ星人の力はないが、他人のために自らの身を擲つ事が出来る気高い心を持っており、それこそ「デンジ姫」であるという解釈がされていたのがこのエピソードの見事な点だろう。
夕子は途中まで、デンジ姫と目されながら普通の人間でしかない自分に戦うことは無理だと怯え続けていた。もちろん、それが当然のことだ。
しかし、守るべき子供たちのためならば、そんな普通の人間でも、自らの身を擲って戦うことが出来る。そしてそれこそが、単なる超能力を持っているなんてこと以上に、気高い心を持って自らの身を擲ち宇宙全体を守ろうとした、デンジ姫の志を受け継いだ証なのだ。

デンジブルーが自らの身を擲ってベーダーのもとへ向かう夕子の姿に、本当のデンジ姫であると感じ入る描写こそが、このことを雄弁に語っている見事な演出だ。
超能力なんてなくても、守るべき誰かを守るために自らの身を擲っても構わないと行動できる気高い心こそ、デンジ姫の、デンジ星人の血を引くこれ以上ない証明である。
デンジ星人としての特別な力以上に、人間誰しもが持つことが出来るはずの優しさという気高い心の価値を謳ったこの回は、間違いなく名作エピソードであると言えるだろう。

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