「仮面ライダー (新) (スカイライダー)」第4話「2つの改造人間 怒りのライダーブレイク」感想

2024年11月4日月曜日

仮面ライダー (新) (スカイライダー) 東映特撮YoutubeOfficial

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あらすじ

ネオショッカーの大幹部・ゼネラルモンスターが作り出した怪人・サソランジン。
それはかつて山で遭難した女性・美也の改造された姿であった。
そして、サソランジンはゼネラルモンスターによって遠隔操作され自我を奪われていた。

人間の自由を奪う非道 筑波洋の怒りがゼネラルモンスターを砕く!

今回のネオショッカーの改造人間は、蠍の改造人間であるサソランジン。
他の改造人間と異なり、自我を持たされておらず、ネオショッカーの大幹部・ゼネラルモンスターの遠隔操作によって操られている新型の改造人間である。
その正体は、北海道の台場山で妹を遺し行方不明になった上村美也。
サソランジンとなっているときには美也の意識はなく、声も男のものに変化。彼女はゼネラルモンスターに操られるまま、ネオショッカーに従わない者を殺戮する凶行を重ねさせられていた。
そして、遠隔操作に必要なペンダント型の装置を破壊され美也の姿に戻ってなお、数時間経てば自動的にサソランジンの姿に戻ってしまうという「保険」までかけられていたのである。

人間を勝手に改造するだけでなく、その自我までも奪ってしまう「人間の自由」を踏み躙るネオショッカーの、ゼネラルモンスターの非道に、筑波洋の怒りは爆発する。
そして、ペンダント型の装置を破壊してサソランジンを美也の姿に戻し、自我と記憶を取り戻させることには成功したものの、美也が数時間後にサソランジンに戻ることは防げなかった。
だが、サソランジンの姿に戻った美也は、最期に残された、筑波洋が取り戻してくれた自我で、自分のような改造人間を二度と作らせないために、ゼネラルモンスターに挑むことを決意する。
だが、その悲壮な決意すらも、ネオショッカーは踏み躙るのだった。

ネオショッカーのアジトで、大幹部ゼネラルモンスターはサソランジンに指示を出す。
ロボット工学の権威である本田博士を、ネオショッカーに協力させるために拉致させようというのだ。だが、サソランジンはゼネラルモンスターの言葉に答えることはない。
サソランジンはゼネラルモンスターがつけた、改造人間を自由に操ることが出来るというインカム型のリモートコントロール装置で遠隔操作されているのだった。

本田博士の邸宅に、ゼネラルモンスターからの脅迫電話がかかってきていた。
その電話を切った本田博士は、自室に見知らぬ女性がいることに気づく。
そこに、ゼネラルモンスターの声が響く。本田博士の死は決定したのだと。
女性はみるみるうちにサソランジンに姿を変え、命乞いをする本田博士を抹殺する。
そこに偶然通りかかった筑波洋は悲鳴を聞きつけるが、既に本田博士は始末されていた。
窓から逃亡するサソランジンを目撃した洋は、その後を追う。
しかし、洋はその途中、物言わぬ女性と遭遇した。
その女性こそサソランジンであると、今の洋は知る由もない。
サソランジンは本田博士の持っていた書類を入手し、アジトへ帰還した。

ネオショッカー大首領は、ゼネラルモンスターの作戦の成功を称えていた。
ゼネラルモンスターによれば、サソランジンは全く新しい改造人間。ゼネラルモンスターの意思によって自在に操られ、本人の意志が介在する予知がまったくない、誘導改造人間なのだという。
自意識がないために、怪しい言動で怪しまれることもない殺しのプロ。大首領は、このサソランジンを用いてネオショッカーの邪魔者をどしどし消すように命ずるのだった。
人間から肉体を奪い改造人間に変えるだけでなく、自我を完全に奪い殺しの道具にしてしまう恐怖の誘導改造人間計画。それはまさに、「人間の自由」を完全に踏み躙るものだった。

大学に顔を出した洋は、級友から石渡教授が何者かに脅されているという話を聞きつける。
そこに、サソランジンである女性が姿を見せた。
洋は、博士が襲われた現場にその女性がいたことから、ネオショッカーと女性に何らかの関係があると疑っていた。そこに、女性を姉と呼ぶ少女が現れる。
だが、ゼネラルモンスターに操られる女性は、少女を顧みることもない。
泣き叫ぶ少女に人だかりが出来、人目の多さを嫌ったゼネラルモンスターは計画を中止した。

洋は少女から、女性が北海道の台場山で行方不明になった上村美也であることを聞かされた。
姉の生存を素直に喜ぶ少女に、洋は北海道で遭難した美也が何故東京に姿を現したのかを訝しんでいた。そして、写真に映っている美也は、今の美也が首から下げているペンダントをつけていない。洋は、少女から、ペンダントに見覚えがないことを聞かされる。

洋の大学の石渡教授は、人類生存学を研究していた。つまり、石渡教授を脅す何者かとは、人類削減を大目標に掲げるネオショッカーである可能性がある。洋は急ぎ大学に戻った。
しばらくして、石渡教授の研究室にサソランジンが現れた。
だが、そこにいた石渡教授は、志度博士の下手くそな変装。仮面ライダーが物陰に隠れて様子を窺い、サソランジンを誘き出すための罠を張ったのである。
志度博士はなんだか妙にご陽気な御老体になっていらっしゃる。

サソランジンと格闘する仮面ライダーは、サソランジンの首に、美也が下げていたペンダントがあることを発見。窓から逃げるサソランジンを、仮面ライダーは追跡する。
出現したアリコマンドの群れを蹴散らす仮面ライダーに、サソランジンが襲いかかった。
ゼネラルモンスターはその様子をモニターしながら、仮面ライダーを攻撃する箇所を指示していく。遠隔操作で命令を出すだけならともかく、格闘戦で遠隔操作は大変そうだ。

サソランジンは左腕から毒針を撃ち出し仮面ライダーを襲うが、仮面ライダーは壁に刺さった毒針を引き抜き、サソランジンに投げ返してペンダントを撃ち落とした。
すると、遠隔操作が途切れ、サソランジンは苦しみ始める。
美也が、サソランジンが首から下げていたペンダントこと、ゼネラルモンスターのインカム型のリモートコントロール装置からの指示の受信機だったのだ。
そこに飛田今太が現れるが、走ってきたサソランジンを目の当たりにして変顔で気絶。
今回もそれだけの役回り。

やがて、サソランジンが力を失って倒れ伏した。
志度博士は、ペンダントがリモートコントロール装置であることと、サソランジンが何者かにこの装置で操られていたことを見抜く。仮面ライダーは、美也の首にもこのペンダントがあったことから、美也こそがサソランジンであることを知るのだった。
仮面ライダーは、美也を改造しただけにとどまらず、その自我すらも奪い、遠隔操作していたという事実に怒りを爆発させ、ペンダントを地面に叩きつけて破壊する。
すると、サソランジンは美也の姿に戻った。
だがそこに、ゼネラルモンスターの声が響く。次は仮面ライダーをコントロールしてやると嘯くゼネラルモンスターに、仮面ライダーの怒りは頂点に達した。
「よくもぬけぬけと…!人間を改造することさえ許せないのに、それを操るとは…許せん!」
人間から身体だけでなく、精神の自由すらも奪う非道に、仮面ライダーの怒りが爆発した。

ネオショッカー大首領は、ゼネラルモンスターに作戦の失敗を告げていた。
だが、ゼネラルモンスターはまだ失敗ではないという。
ゼネラルモンスターは誘導改造人間のサソランジンに「保険」をかけていた。例え、リモートコントロール装置を破壊されても、数時間経てば美也は自動的にサソランジンの姿に戻り、脳もネオショッカーに従う改造人間のそれへと変貌する仕掛けが施されていたのだ。
人間をあくまで道具扱いする非道を顔色1つ変えずに行う、ゼネラルモンスターの恐怖。

洋は美也を送っていくことになったが、その道中、美也は失っていた記憶を取り戻していった。
妹のこと、北海道でネオショッカーに拉致された後、ゼネラルモンスターによって改造されてしまい、改造手術台で恐怖の改造手術を受け、人ならぬ身にされてしまったことを…。
ゼネラルモンスターに操られる改造人間にされた今、もはや妹のもとに帰れない。
哀しむ美也に、洋は改めてゼネラルモンスターへの怒りを燃やす。
そして、美也に生きる希望を示すべく、自らも改造人間であることを明かすのだった。

「美也さん。実は、僕も貴女と同じように、改造人間なんです…」
「貴方が?」
「そうです。僕の姿を見てください。変…身!」
ベルトの風車が回り、洋は仮面ライダーに変身した。
「これが改造された姿です。私は、仮面ライダーです」
美也の哀しみを止め、改造人間となってもなお、人間の心を失わずに生きていけるという希望を見せるため、洋は仮面ライダーへ変身した。第1話で志度博士の哀しみを止めるために仮面ライダーとなったように、彼は誰かの哀しみを止めるために、仮面ライダーと変わるのだ。

それでもなお、改造された今、妹のもとへ帰れないと告げる美也。
「私は、一度死んだんです。そして私が改造人間だってこと…妹には…言えません!」
「美也さん。例え身体は改造されても、心はネオショッカーに売り渡したわけではない。私は、この命が続く限り、ネオショッカーの悪事を叩き潰すまで、戦い続けます!妹さんだって、きっとわかってくれます。私は、そう信じます!」
仮面ライダーの説得を受け、美也は妹の元へ帰る決意をした。
だが、美也の身体がサソランジンへ変わるタイムリミットは、刻一刻と迫っていた…。

志度ハングライダークラブで、妹と再会した美也。
だが、美也の心には、既に自分が人間ではない哀しみが渦巻いていた。
そして、美也は突然身体に違和感を感じる。
ゼネラルモンスターは、仮面ライダーに改造人間の末路を見せると囁くのだった。
その声を追い、セイリング・ジャンプでゼネラルモンスターを探す仮面ライダー。
だが、ゼネラルモンスターは発見できない。

苦しみ始めた美也は、自分の手がサソランジンのものに変わっているのを目の当たりにする。
そして、別室へ逃げ込んだ美也は、鏡に映る自分の姿がサソランジンに完全に変わり果てている様を目撃し、窓から逃亡した。志度博士の連絡を受けた仮面ライダーは、ゼネラルモンスターの言葉の意味を理解し、セイリング・ジャンプでサソランジンを探す。

「私はもう二度と可也には会えない…私は二度と改造人間を作らせないよう…ゼネラルモンスターを倒す…!」
もはや、声も美也のものではなくなってしまったサソランジンは、改造人間としての意識を脳にセットされながら、ゼネラルモンスターへの怒りで自我を保っていた。
最後に残された美也の自我は、もう二度と自分のように「人間の自由」を奪われた被害者を作らせないために、ゼネラルモンスターを倒す決意と執念で保たれていたのである。
ボロボロになりながら、ネオショッカーのアジトに辿り着いたサソランジンは、ゼネラルモンスターに毒針を飛ばすが、それは身を挺して盾となったアリコマンドによって阻まれる。
そして、アリコマンド部隊のクロスボウから放たれた矢が、サソランジンの身体を射抜いた。
だが、サソランジンはゼネラルモンスターの名を呼びながら、ゼネラルモンスターに迫る。

そこに、仮面ライダーが現れた。だが、サソランジンの体はもう限界だった。
「ゼネラルモンスターを倒したかった…」
力尽きたサソランジンの体は、美也に戻る。
「妹を…妹を頼みます…」
最後に、美也は美也としての身体と声を取り戻し、散るのだった。
怒りが爆発した仮面ライダーは、ゼネラルモンスターに挑戦する。
「貴様がネオショッカーの首領か!」
「正確に呼んで頂こう。ゼネラルモンスターとな!」
「よくも貴様…罪のない人たちを改造し、自由に操るとは!」
「大層な口を利くな仮面ライダー…さあ、ぼつぼつ死んでもらおうか!」

ゼネラルモンスターの指示で、アリコマンドの群れが仮面ライダーに襲いかかる。
怒りの仮面ライダーはアリコマンドを一層し、ゼネラルモンスターにスカイキックを決めようとする。だが、戦場に現れていたゼネラルモンスターは立体映像だった。
ゼネラルモンスターはアジトの奥まではたどり着けまいと仮面ライダーを嘲笑う。

アリコマンドの群れを蹴散らし続ける仮面ライダーは、スカイターボを呼んだ。
そして、怒りのライダーブレイクをアジトの壁に炸裂させ、壁を突き破る。
窮地に陥り逃亡しようとしたゼネラルモンスターは、スカイターボと鉢合わせ。
仮面ライダーの怒りのパンチが炸裂し、追い込まれたゼネラルモンスターは、爆発するネオショッカーのアジトの奥底に消えていくのだった。こうして、2つの改造人間の戦いは終わった。

仮面ライダーに追い詰められた、ネオショッカーの大幹部・ゼネラルモンスターは、基地爆発とともに散った。しかし、ネオショッカーは次なる作戦を計画しているのである。

だが、本当にゼネラルモンスターは死んだのか?
怪しげな瞳が、仮面ライダーの姿を見つめている…。

人間を改造人間に変え、自我すらも奪う「人間の自由」を蹂躙するネオショッカーの非道と、そんな非道によって身体も精神の自由すらも奪われた改造人間の悲劇を描いた名作エピソード。
人間の自由を奪う悪への怒りと、自分のような犠牲者をこれ以上産まないために自我を保ったサソランジンの姿は、「仮面ライダー」というキャラクターの精神性を怪人を通して描ききっている。
4話目にして怪人がスカイライダーと決戦を行わないパターン破りを行い、残された自我でゼネラルモンスターを倒そうと足掻くが叶わずに散っていく悲劇を描いているのが凄く、リバイバルブームを受け、年長のファンも納得できる話を描こうという心意気すらも感じる。

改造された美也が、サソランジンになってしまえば容姿だけではなく自分の声すらも失ってしまうことで、変身前の面影を完全に奪って完全に自我を喪失させようとするネオショッカーの非道が強調されているし、それゆえに自分のような存在を生み出さないために最後に残された自我でゼネラルモンスターに抗うが倒されてしまう悲劇もまた、強く印象に残るものになっていると言えよう。

こうして、人間の自由を奪う非道に怒る仮面ライダーはついにゼネラルモンスターを倒した。
だが、大幹部であるゼネラルモンスターが、本当に倒されたのだろうか?
仮面ライダーとネオショッカーの戦いは、未だ始まったばかりなのである…。

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