あらすじ
成田空港に到着する予定だったジャンボ旅客機が連絡を絶った。
その旅客機には人間改造学の権威・田代博士が乗っており、彼を狙ったネオショッカーの仕業であった。さらに怪人・ドクバチジンが博士の娘を狙い…。
父を想う少女の願いを乗せ、スカイライダー大空へ翔ぶ
今回のネオショッカーの怪人は蜂の改造人間であるドクバチジン。
口から放つ、目眩を引き起こす毒や爆発を引き起こす多種多様な針を武器とする改造人間だ。
ドクバチジンの目的は、人間改造学の権威である田代博士を拉致すること。
そのために、海外から帰国する田代博士が乗っていたジャンボ旅客機を襲い、ネオショッカーの要塞島へと移送。他の乗客を「選別」し、適合者は改造人間候補のスペア人間として確保、不適合者は抹殺する恐怖によって田代博士を脅し、ネオショッカーへの協力を強制した。
しかし、田代博士はそれを決然と拒否し続け、業を煮やしたドクバチジンは、日本で田代博士の帰りを待っていた田代博士の娘・絵美にその標的を定めるのだった。
一方、帰らぬ父を心配していた絵美は、父がとある島に囚われている夢を見る。
ネオショッカーに狙われている絵美を助けた洋は、絵美の父を想う心を信じ、仮面ライダーの姿で絵美を尋ねると、その背に絵美を乗せてセイリング・ジャンプ。
空中からネオショッカーの要塞島を捜索し、ついに要塞島を発見することに成功する。
だが、そこで仮面ライダーを待っていたのは、死んだはずのあの男だった。
果たして、仮面ライダーはドクバチジンを倒して田代博士と絵美を救えるのか。
海外から日本へ帰国するジャンボ旅客機。
そして、その旅客機を迎える空港へ向かう電車の中には、筑波洋がいた。
洋はある夜、頭部に怪我を負った男と遭遇し、その男が最期に「成田OAL404号便がネオショッカーに襲われる」という旨のことを言い残し、ネオショッカーの刺客に消されたことを思い出し、成田OAL404号便をネオショッカーから守るべく空港に向かっていたのである。
そんな洋に、後ろの座席に座っていた少女・絵美が声をかけてきた。
絵美は海外から帰国する父親を出迎えるべく、母親と空港に向かっていたのである。
そして、その父親が乗っている飛行機とは、ネオショッカーが狙う成田OAL404号便だった。
久しぶりに父親と会えることを喜ぶ絵美の姿を見た洋は、OAL404号便を守る決意を新たにする。
今回も父親との再会を楽しみにする少女との交流が演出され、筑波洋の子供たちにとっての良き兄貴分という側面が強調される作劇が行われている。
成田OAL404号便の機上では、絵美の父、田代博士が娘の写真を見て再会を期していた。
だが、何の変哲もないような無人島の上を通り過ぎようとしたその時、事件が起きる。
その島の地下は、ネオショッカーの要塞島だった。
アリコマンド部隊が出撃し、OAL404号便の捕獲作戦が開始される。
要塞島からトラクタービームが放射され、OAL404号便はコントロールを奪われ墜落した。
新東京国際空港では、OAL404号便が着陸直前に消息を絶ったアナウンスが流れ、出迎えに訪れていた人々が大混乱に陥っていた。絵美の母も、その知らせに泣き崩れてしまう。
絵美は母親に、父親が何者かによって島に連れ去られていく夢を見たと話す。
絵美は夢で何度も見たその島を知っており、父親はまだ生きていると確信していた。
そこに、空港の警備員が声をかけてくる。
絵美と母親を医務室に連れていくという名目で連れ去り、車に乗せた警備員たち。
彼らはアリコマンドの変装で、人間改造学の権威である田代博士を脅迫する人質として、絵美を狙っていたのである。だが、車が突然停車した。
なんと、その車の運転手は、絵美たちの後をつけていた洋の変装だったのだ。
洋は絵美たちを逃がし、アリコマンドたちの足止めをする。
そこに、自転車で飛田今太が通りかかり、アリコマンドを目撃して気絶した。
今回もそれだけの役回りだ。
洋は絵美たちをアリコマンドから守り、次々にアリコマンドを蹴散らしていく。
倒したアリコマンドにネオショッカーの目的を詰問した洋だが、アリコマンドは機密保持のために光とともに消えてしまった。するとそこに、ネオショッカーの改造人間が現れる。
それは、蜂の改造人間であるドクバチジンだ。
洋は絵美たちを逃がし、ドクバチジンに立ち向かうが、ドクバチジンの針を受けてしまう。
針に仕込まれた目眩毒によって前後不覚になった洋は、落とし穴に落ちる。
だが、洋はすかさず仮面ライダーに変身し、縦穴を脱出した。
仮面ライダーは行方不明の旅客機の行方を聞き出すため、ドクバチジンと戦う。
ドクバチジンは、今度は爆発する針を何度も吐き出し、その爆発に紛れ撤退した。
洋は絵美に、父親を探し出すことを約束して絵美を安全な家に帰らせた。
その頃、ネオショッカーの要塞島では、旅客機の乗客たちが「選別」されていた。
機械にセットされた人間は資質をテストされ、合格なら改造手術用のスペア人間としてストックされ、失格ならその場で抹殺されてしまう。人間を「選別」する傲慢を見せつけるネオショッカー。
ドクバチジンは人間を選別する様子を見せ、その恐怖で田代博士を脅迫していたのだ。
だが、田代博士は自分の研究は人間のためにあると協力を拒むのだった。
当局の捜索にも関わらず、OAL404号便の行方は杳として知れないままだった。
筑波洋も懸命に捜索するが、手がかりは一向に掴めない。
志度ハングライダークラブでも、みどりたちが警視庁の通信などを聞いて捜索していた。
通信機を耳に当てているあたり、警察無線を盗聴しているのだろうか…。
洋が捜索を再開しようとすると、そこに絵美と母親が現れた。
絵美はヘリコプターを借りて、夢で見た父親が連れ去られた島を探すのだという。
絵美の母はその直感を信じることにしたが、夢で見たなど誰も信じるはずもない。
だが、洋は、少女の父親を思う心が見せた夢を信じることにした。
「絵美はパパを助けに行く。お兄ちゃん、一緒に行ってくれるわね?」
「よし、一緒に行くとも。お兄ちゃんは絵美ちゃんの夢を信じる!」
「さあ、行きましょう!」
「無理を言ってはダメよ」
「迎えに行くよ。それまで家で、大人しく待っているんだよ!」
子どもの純粋な思いを信じ、その心に報いようとする洋。
子供に優しい、良き兄貴分としての姿が強調された見事な演出だ。
仮面ライダーとなった洋は、絵美との約束を守るため、セイリング・ジャンプで絵美の家に向かった。絵美の澄んだ心にもまた、仮面ライダーの姿が優しい洋と重なって見えており、絵美は恐れずに仮面ライダーの背に乗って大空へと翔んだのだ。
バンクフィルムに頼らない、少女を背に乗せたセイリング・ジャンプの描写が見どころのシーン。
父親の無事を願う絵美の澄んだ心を信じ、その心に報いようとする洋の心が、仮面ライダーの姿になっても伝わった、人の心の暖かさを描いた名シーンでもある。
仮面ライダーの背に乗った絵美はついに、夢で見た島を発見した。
それは本当にネオショッカーの要塞島そのものであり、仮面ライダーは島へと着陸する。
仮面ライダーと絵美は、行方不明になった田代博士を探し始めた。
しかしその様子は、監視カメラを通しドクバチジンの知るところになっていた。
ゼネラルモンスターが前回倒されたため、今回の作戦はドクバチジンが指揮を取っている。
ドクバチジンの指示で、アリコマンドが出撃し仮面ライダーを取り囲む。
仮面ライダーは絵美を守りながらアリコマンドの攻撃を躱すが、そこにドクバチジンが現れた。
さらに、戦場に絵美を呼ぶ田代博士が現れ、絵美は田代博士の元へと向かってしまう。
絵美を追おうとする仮面ライダーだが、ドクバチジンは爆発する針を飛ばして足止めをし、その隙にネオショッカーも、絵美も姿を消してしまうのだった。
そして、戦場に現れた田代博士はアリコマンドの変装だった。
アジトの奥へ絵美を運んだドクバチジンは、地下牢に囚われた本物の田代博士を脅迫する。
その卑怯さに怒る田代博士。
ドクバチジンはダメ押しとばかりに、アジトの奥で養育していた巨大アシナガバチの巣を見せつけると、絵美を巨大アシナガバチの針で刺し殺すと脅すのだった。
要塞島を探す仮面ライダーは、助けを求める絵美の声を聞きつけた。
Oシグナルが光り、絵美のいるアジトの方角を発見した仮面ライダー。
その行く手に、アリコマンド部隊が出現し、仮面ライダーを取り囲む。
だが、仮面ライダーはスカイターボを呼び、その声に答えてスカイターボが海岸に出現。
スカイターボが仮面ライダーの声に応えて海底を移動し、要塞島へと上陸した描写となっており、スカイターボのスーパーマシンぶりを強調した名演出となっている。
スカイターボに飛び乗った仮面ライダーは、ライダーブレイクでアジトの壁に突撃。
見事に壁を突き破り、アジトの中へと突入した。
間一髪、絵美を救出した仮面ライダーは、さらに田代博士を救出する。
だがそこに、不気味な笑い声が響き、死んだはずのゼネラルモンスターが現れた。
自らの不死身を誇るゼネラルモンスターは、アジトの奥へと消えていく。
底知れぬゼネラルモンスターの脅威を強調した演出となっているシーンだ。
死亡退場したかに思われた前回からほぼ間髪入れずに再登場しているため、あまり一度死亡退場した演出に意味がない気もするが、サソランジン回での所業があまりに非道過ぎたこともあり、一度倒したことにしないと視聴者の溜飲が下がらないという判断だったのかもしれない。
仮面ライダーはドクバチジンから絵美と田代博士を逃がし、さらにスペア人間として囚われた人々をも救出。次々に襲いかかるアリコマンドを倒していく。
そして、ついにドクバチジンとの決戦の時。
ドクバチジンはジャンプからの強烈なパンチで仮面ライダーを苦しめるが、仮面ライダーはそのジャンプの勢いを逆用し、受け流すことでドクバチジンの身体を地面に叩きつける。
そして、グロッキーになったドクバチジンに、ドロップキックタイプのスカイキックを決めた。
ドクバチジンは倒れ、絵美と田代博士も無事に再会した。
そして、救出のためにやってきた船も島に近づいてきた。
仮面ライダーと一人の少女の働きで、ネオショッカーの悪巧みは粉砕された。
しかし、ゼネラルモンスターは生きていた。果たして、どんな陰謀を考えているのだろうか?
父親の無事を願う純粋な少女と筑波洋の心温まる交流が見どころだったエピソード。
夢の知らせという、科学的には何の裏付けもない少女の言葉を、父親の無事を願う心からだと信じ、その夢を叶えるために力を尽くす洋の思いが胸を打つ。
そして、その洋の思いは仮面ライダーに姿を変えても、絵美に伝わっているのが感動的な描写だ。
人ならぬ姿に変えられた仮面ライダーだが、その心は人間の温かい心を残したままであり、人の心を持っているからこそ、仮面ライダーは他の改造人間と違う正義の戦士足り得るのである。
仮面ライダーとなってなお、洋の優しさが絵美に伝わっているのは、その現れなのだろう。
こうしてネオショッカーの要塞島を粉砕した仮面ライダー。
だが、倒したはずの大幹部・ゼネラルモンスターは生きていた。
そしてまた、更に恐ろしい企てを目論んでいるのである。
仮面ライダーとネオショッカーの、人間の自由を守る戦いはまだ始まったばかりなのだ。