「電子戦隊デンジマン」第50話「将軍は二度死す」感想

2024年11月25日月曜日

電子戦隊デンジマン 東映特撮YoutubeOfficial

t f B! P L

あらすじ

今やベーダー城はバンリキ魔王とバンリキモンスに支配されていた。
特攻も空しくあえなく撃墜されるヘドラーに業を煮やした魔王は、モンスと共に自ら出陣する。
モンスの能力にデンジマンは苦戦し…。

暴虐のバンリキ魔王 ヘドラー将軍壮烈に死す!

前回誕生したバンリキモンスの力で、ついにバンリキ魔王がベーダー魔城を征服した。
ミラーやケラー、ヘドリアン女王すらもバンリキ魔王に逆らえぬ中、もとよりバンリキ魔王を敵視していたヘドラー将軍は敗残の将として冷遇され、特攻隊として犬死にするように命じられる。
しかし、その特攻すらも失敗したことで、ヘドラー将軍はバンリキ魔王に罵倒される。

この屈辱を晴らし、バンリキ魔王の手下ではなく、ベーダー一族の、ヘドリアン女王の配下として散るために、ヘドラー将軍はヘドリアン女王に「ベーダーの剣」を自らに授けるように懇願する。
ベーダーの剣とは、使用したものを怪物へと変える呪いの宝剣。
怪物と変わってもなお、ベーダー一族の将軍としての誇りを守るために、ヘドラー将軍はついに自ら巨大化し、デンジマンとの最後の戦いに挑むのだった。

アスレチッククラブの子供たちが、将来になって車の免許が欲しいなどと話をしていた。
彼らは道に停めてあった車を見て、こんなカッコ悪いのは嫌だと言い放ったばかりか、ドアを蹴りつける蛮行を働く。すると、無人の車が突然動き始めた。
そして子供たちは無人の車に追いかけ回される。言っちゃ悪いが因果応報だ。

そのころ、アスレチッククラブで寛いでいた電子戦隊。
アイシーは子供たちが危険な目に遭っていることを感知し、電子戦隊に出動を命じる。
赤城はデンジレッドにデンジスパークし、車を正拳突きで止めて破壊。
果たして、それは車をリモコンで操るベーダー一族の仕業だった。
デンジマンはダストラーたちを蹴散らしていく。だがそこに、ベーダー怪物の姿はない。
ダストラーたちはさらに、子供を連れた母親を人質にしてきた。
デンジマンは素早くそれを救出し、なんとかベーダーを撤退させる。

その夜。デンジランドに戻った電子戦隊は、このところ発生している事件に、ベーダー怪物の姿が見られないことを不審に思っていた。これまで、怪物抜きの襲撃はない。
さらに、やり口も周囲の被害を顧みない乱暴なものになっていることから、電子戦隊はベーダーに何かが起こっていると察知する。果たして、その予感は当たっていた。

ベーダー魔城を征服したバンリキ魔王は、ヘドリアン女王やヘドラー将軍を牢に入れることもなく、自由に振る舞わせていた。ミラーとケラーを召使として扱き使うバンリキ魔王。
ヘドラー将軍はバンリキ魔王の罵倒に怒りを見せるが、バンリキモンスの尻尾から放たれる念力によって動きを封じられてしまい、バンリキ魔王に嘲笑われる結果に終わってしまう。
ミラーは酒に毒を混ぜ、バンリキ魔王の毒殺を狙うが、バンリキモンスは鋭い嗅覚で毒が混ざっていることを察知し、尻尾で盃や酒瓶を破壊してしまう。

バンリキ魔王は、ヘドラー将軍に特攻隊を指揮するように命じてきた。
爆弾を積んでデンジマンに突撃しろというのだ。
ヘドラー将軍が戦闘機の格納庫に行くと、そこにあったのはたった一機の戦闘機だった。
なんでも、他の戦闘機は皆破損してしまっているのだという。
ヘドラー将軍は、バンリキモンスが他の戦闘機を全て破壊し、自分1人を特攻に向かわせて犬死にさせようとしていることを悟る。だが、もはやヘドラー将軍に拒否権はなかった。
ヘドリアン女王は、犬死には許さないと特攻を思いとどまらせようとする。
だが、ヘドラー将軍はヘドリアン女王たちを守り、武人としての誇りを守るために、デンジマンと刺し違えて散る道を選ぶと、戦闘機に乗って出撃するのだった…。
バンリキ魔王は、そんなヘドラー将軍を嘲笑うのだった。

一方、デンジマンたちはベーダーの異変を掴むため、パトロールを強化していた。
手分けしてパトロールすることになり、デンジレッドは1人デンジマシーンを走らせる。
そこに、ヘドラー将軍の乗る戦闘機が飛来した。
ヘドラー将軍の銃撃を躱したデンジレッドは、ヘドラー将軍の出撃に驚いていた。
将軍が自ら、単身で戦闘機を出撃させているなど、ベーダーに異変が起こっているに違いない。
デンジレッドはデンジミサイルを発射し、戦闘機を撃ち落とした。

デンジレッドは、爆発する戦闘機からヘドラー将軍を救出した。
「何故助ける…殺せ!」
「傷を負った者は、殺せない!」
ヘドラー将軍を捕虜にしようとするデンジレッドだが、そこにダストラーたちが現れる。
ダストラーたちの銃撃に紛れ、ヘドラー将軍は撤退した。
だが、ベーダー魔城に戻ったヘドラー将軍を待っていたのは、バンリキ魔王の罵倒だった。
頭を下げ、もう一度チャンスを与えるように懇願するヘドラー将軍だが、バンリキ魔王はそんなヘドラー将軍を殴打し、特攻を果たせなかったヘドラー将軍を腰抜けと罵倒。
そこにヘドリアン女王が助けに入るが、バンリキ魔王はヘドラー将軍を罵倒し続ける。
「ケッ…乳離れしねえ坊やが…ええ?ヘドラー?」
バンリキ魔王はついに、バンリキモンスと共に自ら出撃した。

デンジランドの計器が、原因不明の異常を示し始めた。
それは、地上に現れたバンリキモンスの念力によるものだった。
デンジマンはバンリキ魔王とバンリキモンスのもとへ急行した。
「ようこそ…デンジマン!お忘れかな?宇宙の用心棒、バンリキ魔王!こいつは、ワシの子分で、バンリキモンス!まあ、よろしく」
「貴様!ベーダーを支配したな!」
「そういうことだ!ところで、お前さん方も名乗っちゃくれないか?」
既に、スーパー戦隊シリーズ伝統の「名乗り」をネタにした台詞があるのが面白い。

「見よ!電子戦隊!デンジマン!!」
名乗りを上げたデンジマンは、バンリキモンスにショットガンで突撃していく。
だが、バンリキモンスは念力コマ回しでデンジマンたちの体を寄せ付けない。
そして、バンリキ魔王の怪力がデンジマンに襲いかかった。
バンリキモンスの念力は圧倒的で、デンジマンは何の抵抗もできないまま弄ばれる。
デンジマンはデンジブーメランで決着を狙うが、なんとデンジブーメランも跳ね返された。
「お前ら、何をやっとるんじゃ!もっとしっかりせい!」
バンリキ魔王の嘲りが戦場に響く。

デンジマンはデンジタイガーをオートコントロールで呼び出した。
デンジタイガーにミサイル攻撃を命じたデンジマンだが、バンリキモンスの念力はデンジタイガーの動きすら封じており、逆にデンジタイガーを地上に強行着陸させられてしまう。
バンリキモンスがいる限り、ダイデンジンの発進すら出来ないのだ。
ヘドリアン女王は、デンジマンですらバンリキ魔王を倒せないことに絶望する。

ヘドラー将軍は、ヘドリアン女王に「ベーダーの剣」を授けるように懇願した。
ベーダーの剣は、手にしたものを怪物へと変える呪いの宝剣だった。
ヘドラー将軍は、自分の身を怪物に変えてでも、電子戦隊を自らの手で倒したかった。
電子戦隊を倒すのはベーダーでなくてはならない。バンリキ魔王などに好きにされたくない。
ヘドラー将軍の覚悟を悟ったヘドリアン女王は、涙ながらにベーダーの剣を呼び出す。
敵対者への徹底的な憎悪と、身内への深い愛情を秘めたヘドリアン女王の2面性は曽我町子氏の卓越した演技力でこれまでも描かれてきたが、このシーンはその頂点というべきものだろう。
ヘドラー将軍の覚悟を悟り、最愛の部下の選択を尊重してベーダーの剣を呼び出す深い悲しみと情愛を演じきった曽我町子氏の確かな演技力が、ヘドリアン女王に人間味を与えている。

バンリキ魔王は、バンリキモンスに命じて念力でデンジマンの体を引きちぎろうとした。
だがそこに、ヘドラー将軍が割って入る。
「その勝負、ワシが預かった!」
ヘドラー将軍はベーダーの剣を抜き、巨大化する。憎悪と執念に満ちた、憤怒の形相とともに。
「デンジレッド…さあ、ワシと勝負しろ!バンリキ魔王…邪魔をするな!」
バンリキ魔王はバンリキモンスに念力を解かせ、ベーダー魔城へ撤退する。
デンジマンはデンジファイターを出撃させ、ダイデンジンに変形させた。

ダイデンジンの目が輝き、ヘドラー将軍との最終決戦が始まった。
ベーダーの剣から走る稲光が、ダイデンジンの体を締め上げる。
ダイデンジンのデンジボールもヘドラー将軍には通じなかった。
だが、ダイデンジンは反撃の鉄拳を叩き込み、電子満月斬りを炸裂させる。
ヘドラー将軍の体は、ベーダーの剣ごと真っ二つに両断されるのだった。
軍人としての誇りとともに散ったヘドラー将軍に、電子戦隊は敬礼するのだった。

夕陽を見ていた赤城は、ベーダーを支配したバンリキ魔王の恐ろしさに戦慄していた。
そして、仲間たちも、夕陽にそれぞれの思いを託し、来たるべき決戦へ考えを巡らせる。
デンジマンたちは、各々の、胸の内でバンリキ魔王との決戦の刻が迫っていると予感していた。
それこそ、命を懸けた決戦となることを…。

デンジマンと戦ってきた誇りを胸に、バンリキ魔王の手下ではなくベーダー一族の将軍として、ヘドリアン女王の配下としてデンジマンに挑むヘドラー将軍の執念が熱いドラマを生んだ回。
そんなヘドラー将軍の覚悟を察し、自らも最愛の部下を死地へと送り込む覚悟を決めるヘドリアン女王の部下への情愛も描かれ、悪でありながら団結していたベーダー一族にシンパシーを感じずにはいられないエピソードであったと言えよう。
だが、バンリキ魔王にとっては、そんなベーダー一族も嘲笑う対象でしかないのだが…。

これまで、ダイデンジンが出撃すれば、あらゆる攻撃を「デンジ剣〇〇返し」で跳ね返していたということがベーダー怪物の敗因ではあった。バンリキモンスはそれを踏まえ、そもそも念力でデンジタイガーを完全に無力化し、ダイデンジンを発進させない究極の対策を行っている。
これも、バンリキ魔王がベーダー魔城に来てからただ食っちゃ寝していただけでなく、毎回のベーダーの敗北をしっかりと学習し、デンジマン対策をシミュレートしていた結果なのだろう。
この抜け目のなさこそ、バンリキ魔王最大の恐ろしさである。

バンリキ魔王という乱入者の登場で、ベーダー一族は混乱し、ついにヘドラー将軍も倒れた。
ベーダーを完全に支配したバンリキ魔王を倒さなければ、地球に明日はない。
デンジマンの面々は、ついに最後の戦いに挑もうとしている。
命を懸けた最終決戦に勝利するのは、デンジマンか、それともバンリキ魔王か…。

QooQ