あらすじ
クリスマスで街が浮かれているなか、ネオショッカーの怪人・ナメクジンによる誘拐事件が相次いで発生していた。これを知った洋は、アリコマンドに変装してアジトへの潜入を試みる。
封じられた変身ベルト!スカイライダー変身不可能の危機!
今回のネオショッカーの怪人は、ナメクジの特徴を持つナメクジン。
ネオショッカーの労働力となる人間の確保を任務とし、体を液状化することであらゆる場所へ侵入し、右腕から放つ溶解細胞で人間を容易に溶解せしめる恐ろしい戦力を持った改造人間である。
さらに、仮面ライダー対策として「NO液」という特殊な液体を噴射する能力を持っており、このNO液を筑波洋の変身ベルト・トルネードの風車部分に浴びせると、NO液はみるみるうちに硬化。
硬化したNO液によってトルネードの風車の回転は封じられ、洋は仮面ライダーへの変身を行うことが出来なくなってしまうという、過去最大級の危機に陥ってしまうのだった。
そんなナメクジンは、クリスマスに浮かれる街で次々に労働力となる人間を拉致する。
ネオショッカーがついに市街地にまでその魔手を伸ばしたことに戦慄した洋は、自らアリコマンドに変装し、ネオショッカー基地へと潜入。囚えられた人々の救出に全力を尽くす。
だが、ナメクジンによって仮面ライダーへの変身を封じられたことで、洋は絶体絶命の危機に。
果たして洋はこの危機を脱し、仮面ライダーに変身してナメクジンを倒せるのか。
クリスマスに浮かれる夜の街。
多くの人々がクリスマスの夜を楽しむ中、ネオショッカーはそんな人たちを次から次に襲った。
帰宅の途についていた清水浩夫・公夫親子もネオショッカーに狙われ、浩夫がアリコマンドに攫われてしまう。そこに通りかかった志度ハングライダークラブの面々は、泣き叫ぶ公夫の声を聞き、ネオショッカーが街で暗躍していることを知る。
洋は公夫をみどりとユミに預け、志度博士に保護を頼むと、ネオショッカーの追跡に出た。
泥酔し街で騒ぐサラリーマン二人の前に、サンタクロースが現れた。
しかし、そのサンタクロースは、ネオショッカーの怪人・ナメクジンの変装だった。
ナメクジンはプレゼントと称し、サラリーマンたちに溶解細胞を発射。
サラリーマンたちは体を溶かされ、白骨死体と化してしまう。
そこに、足が治ったらしい飛田今太が通りかかり、人間が溶けたことに驚いて気絶した。
お気づきだろうが、今回もドラマに関わるのはそれだけだ。
ナメクジンは溶解細胞の実験をしていたらしく、ゼネラルモンスターに実験成功を報告する。
みどりとユミは公夫を励ますが、父親が目の前で拉致された公夫の顔は暗い。
志度博士は、こんな街中にまでネオショッカーが魔の手を伸ばしていたことに戦慄する。
その頃、洋は必死の探索の末、地下の水道からネオショッカーのアジトに潜入しようとしていた。
アリコマンドの一人から身ぐるみをはぎ、アリコマンドに化けた洋はアリコマンドパトロール隊に紛れ、ネオショッカーのアジトの中へと突入する。
アジトでは、労働人間として囚えられた人々が、強制労働に従事させられていた。
さらに、労働人間として不適格の人間は、ナメクジンの溶解細胞の実験台とされてしまう。
人を人とも思わぬ非道が展開される中、アジトの壁面の隙間から、液状化したナメクジンが現れ、実験台にされた人々に溶解細胞を浴びせ、次々に白骨へと変えていった。
凶暴な牙を持ったナメクジンの風貌は、ナメクジの怪人とは思えぬ獰猛さを感じさせるもの。比較的モチーフに忠実な外見だった、ショッカー怪人のナメクジラとも十分に差別化されている。
洋はネオショッカーのアジトを探索し、動力室を発見する。
アリコマンドパトロール隊の警備を掻い潜り、アジトの奥へと進んでいく洋。
アリコマンドの訓練場を抜けた洋は、労働人間の中に浩夫を発見するのだった。
なんとか司令室に辿り着いた洋だが、道中で排除したアリコマンドを発見されたことで、アジトの中に侵入者がいることをネオショッカーに突き止められてしまう。
しかし、その混乱の中で地下牢に辿り着いた洋は、浩夫に接触することに成功。
だが、それによってついにアリコマンドたちに発見されてしまう。
洋は、浩夫に必ず助けに来ることを約束し、窮地を脱するために移動するのだった。
ネオショッカーは次々にアジトの隔壁を閉鎖し、洋を閉じ込める。
だが、洋は仮面ライダーに変身。侵入者を排除せんと現れたアリコマンドを迎え撃つ。
ゼネラルモンスターは、ネオショッカー警備隊に仮面ライダーを包囲させる。
通風孔を見つけた仮面ライダーは、その中に身を隠すことにするのだった。
通風孔を進む洋は、そこでネオショッカーの改造手術台を発見する。
しかしそこに、地上での実験から戻ったばかりのナメクジンが現れた。
洋は仮面ライダーに変身すべく、変身ポーズを取る。
だが、ナメクジンはその刹那に、変身ベルトのトルネードの風車目掛けて特殊兵器「NO液」を噴射した。NO液によってトルネードの風車は固まり、変身ベルトが動作しない。
それはすなわち、仮面ライダーに変身することが出来ないということだった。
仮面ライダーになれない洋に、ナメクジンが襲いかかる。
ナメクジンの魔手から逃れた洋は、なんとか変身ベルトの風車を回すべく、変身ポーズを何度も行った。だが、何度変身ポーズを行っても、変身ベルトの風車は動作しない。
変身機能が動作しないまま、何度も変身ポーズを取るのは、「人造人間キカイダー」で、変身機能を破壊されたジローが何度も「チェインジ!」を叫んでいたのを思い出させて面白い。
洋は通風孔に再び身を隠し、通風孔を利用して囚われた人々を救出する作戦を練った。
地下牢から囚われた人々を脱出させた洋は、アジトの電気系統に仕掛けを施し、人々を通風孔へ案内する。だが、洋を捜索していたナメクジンは、通風孔を利用していることを察知すると、液状化して通風孔に入り込み、洋たちの後を追うのだった。
アリコマンドたちも通風孔を調べ始めた中、なんとか通風孔の出口まで辿り着いた洋たち。
しかし、ついにナメクジンに捕捉されてしまう。
アリコマンドたちを引き連れ現れたナメクジンから人々を逃がすため、足止めをする洋。
だが、洋は仮面ライダーに変身できず、このままでは勝ち目がない。
ビルの屋上の隅に追い込まれた洋は、アリコマンドによって屋上から落とされそうになる。
だが、洋はあえて、自らビルの屋上から落下。
落下の強い風圧によって、変身ベルトを覆うNO液を風車部分から剥がし、変身ベルトの風車の機能を復活させた洋は仮面ライダーに変身し、セイリングジャンプで脱出する。
仮面ライダーとなった洋の反撃が始まった。
アリコマンド部隊を蹴散らしていく仮面ライダーに、ナメクジンは溶解細胞を飛ばし攻撃する。
しかし、溶解細胞を躱されたナメクジンは、ついに仮面ライダーとの直接対決に打って出た。
ナメクジンと仮面ライダーは互いにジャンプし、空中で交錯。
先に倒れたのは―仮面ライダーだった。
勝利を確信し、喜ぶナメクジン。
だが、仮面ライダーは最後の力を振り絞り、空中を旋回してスカイキックを叩き込む。
歪む視界の中、仮面ライダーへの呪詛を唱え、ナメクジンは倒れた。
そして、ネオショッカーのアジトも、驚くほど大規模な爆発を伴い壊滅する。
そんな盛大に!?と思うくらい大規模な爆発で、ちょっと面白い。
家に戻った公夫は、母親とともに父親のいない寂しさを噛み締めていた。
だがそこに、浩夫がプレゼントを持って帰ってきた。
仮面ライダーが父親を助けてくれたことに、公夫は笑顔を見せるのだった。
ネオショッカーのナメクジンのアジトに潜入した仮面ライダーは、その組織の大きさを知った。
そして、これからのネオショッカーとの戦いに、新しい闘志を燃やすのだった!
ネオショッカー基地に潜入した洋の苦闘を通し、ネオショッカーの組織の大きさを演出した回。
改造人間を生み出す改造手術台が複数のアジトにいくつも存在していることは以前のエピソードで説明されていたが、今回のエピソードでもそのうちの1つが登場し、ネオショッカーが改造人間を生み出す力はいささかも衰えてない、底知れぬネオショッカーの脅威が演出されている。
志度博士が人目の多い街中にまでネオショッカーが活動を始めたことを戦慄するシーンも、ネオショッカーの活動の活発化を表現しており、今後の戦いの激化を予感させるものだった。
労働人間の確保と、ナメクジンの溶解細胞の実験台を両方確保するというネオショッカーの計画は、クリスマスで浮かれる街で行われた大規模なものだった。
クリスマスで宴会騒ぎに賑わう街には、泥酔して前後不覚になっており、格好の獲物となる人間が多かったということなのだろう。一方で、洋が早々にネオショッカーのアジトを突き止めていたあたりは、やはり人目の多い場所で活動した分、目撃情報が多かったのかもしれない。
市街地での活動はネオショッカーにとってもそれなりにリスクのある選択だったようだ。
仮面ライダーの変身に必要な変身ベルトの風車を封じるNO液を使った攻撃はかなり効果的で、硬化後の強度が十分でなかったがゆえに、ビルから落下した際の風圧で破壊されたとはいえ、自発的にベルトの風車を回す変身ポーズでの変身を不可能にしたことはかなりの脅威だった。
同時に、仮面ライダーの力の源は変身ベルトの風車であるという、初代ライダーに原点回帰した要素をあらためて強く印象付けた、「仮面ライダー」らしさあふれる展開だった。