あらすじ
日本を去った志度博士の言葉を受け、洋は富士急ハイランドで先輩の谷源次郎と再会する。
だが、この地下にはネオショッカーの怪人・ハエジゴクジンのアジトがあった。
ハエジゴクジンは猛毒細菌・ドクダーを風船に入れ、日本中に飛ばそうとし…。
風船爆弾の恐怖!ネオショッカーとの戦いは新たなステージへ
今回のネオショッカーの怪人は、ハエジゴクの特徴を持つハエジゴクジン。
仮面ライダーの戦闘データを分析し、そのパワーを上回るように計算されて作られた強化型改造人間であるハエジゴクジンの任務は、体内で生成された猛毒「ジゴク液」を元に作られた猛毒細菌兵器「ドクダー」を風船に詰め、日本中に飛ばすことで日本国民を全滅させることである。
その拠点として、富士急ハイランドの地下にアジトを作って暗躍を続けていた。
そんなハエジゴクジンの陰謀を知り、富士急ハイランドで調査を進めていた一人の男がいた。
ネオショッカー対策会議に招集され海外に旅立った志度博士の手紙に案内され、洋はその男に会うことになる。その男の名は、谷源次郎。
洋の大学の先輩であり、ネオショッカーに妻子を奪われたことで過去の名を捨て、喫茶店「ブランカ」のマスターを隠れ蓑に、ネオショッカーと戦い続けている男だった。
新たな世代の「おやじさん」とも言える、頼れる先輩と再会した洋は、決意も新たにネオショッカーに立ち向かっていく。果たして仮面ライダーは、ハエジゴクジンを倒せるのか。
正月を迎えた志度ハングライダークラブの面々。
みどりの弟であるしげるは、志度博士がどこかに行ってしまったと騒いでいた。
置き手紙には、ネオショッカー対策委員会に出席するため当分の間海外へ赴くことと、自分の代わりに「ブランカ」という喫茶店にいる、谷源次郎という人を尋ねるように書かれていた。
突然海外に行ってしまう志度博士は、後の「仮面ライダー剣」の烏丸所長みたいではある。
みどりたちに連絡を受けた洋が喫茶店「ブランカ」を尋ねると、そこで働くバーテンダーの沼から、谷が残したメモを手渡される。そこには、富士急ハイランドにネオショッカーの動きがあるという連絡が書かれていた。行く先々の置き手紙やメモでたらい回しにされるのは、なんだかロールプレイングゲームのお使いイベントみたいではある。
富士急ハイランドへ向かう洋は、その道中、いくつもの風船が空に漂うのを目撃するのだった。
洋が目撃した風船は、ネオショッカーの地下秘密基地から東京へ向け飛ばされたものだった。
その風船は、東京の上空に達した時、無線装置で破裂するようになっていたのである。
そして、東京上空へ辿り着いた風船は見事に破裂し、ネオショッカーの実験は成功した。
ハエジゴクジンが主導する、今度のネオショッカーの作戦とは、この風船にハエジゴクジンの体から出るジゴク液を基にして作り上げた猛毒細菌「ドクダー」を詰めて飛ばし、日本中に飛ばして破裂させることで、日本中の人間を風船から出たドクダーで殺害することだった。
ゼネラルモンスターはハエジゴクジンに仮面ライダーの存在を警告するが、ハエジゴクジンは仮面ライダーの能力を計算し、それを上回るように作られた強力な改造人間だった。
富士急ハイランドに到着した洋は、そこで不審な男を目撃し、その後を追う。
その男こそ、志度博士が洋たちに紹介した谷源次郎だった。
谷は洋の大学の先輩であり、洋は再会を喜ぶ。だが、谷は「昔の俺は死んだ」と自ら語るように、大学時代と名前を変えていたため、洋も名前を聞いただけではわからなかったのだ。
志度博士から仮面ライダーのことについても教えられていた谷は、ネオショッカーに妻子を殺された過去を持ち、その後、名前を変えてネオショッカーと戦っていたのである。
洋と谷は団結し、ネオショッカーに立ち向かう決意を新たにするのだった。
谷源次郎を演じるのは、特撮ファンには「帰ってきたウルトラマン」の加藤隊長としておなじみの名優、塚本信夫氏。次作「スーパー1」にも続けて登場する、新たな「おやじさん」としてのポジションとなるキャラクターになる。
ウルトラシリーズで、小林昭二氏が演じたムラマツキャップの後継キャラクターともいえる役回りだった加藤隊長を演じた縁で、「おやじさん」としてのポジションの後継キャラクターとして小林昭二氏から推薦を受け、この谷源次郎を演じることになったそうだ。
洋と谷が富士急ハイランドの調査を始めようとしたその時、すれ違った母娘が風船を拾った。
だが、その風船には、ハエジゴクジンが実験に用いていた無線装置が付いていたのだ。
ハエジゴクジンはネオショッカーの秘密を目撃した母娘を襲う。
母娘の悲鳴を聞きつけた洋と谷は、ハエジゴクジンから母娘を救う。
ハエジゴクジンは洋が仮面ライダーとは知らず、ネオショッカーの目撃者として消そうとする。
洋は仮面ライダーに変身した。
ハエジゴクジンはアリコマンド部隊を差し向け、仮面ライダーを襲わせる。
そこに飛田今太が居合わせ、特ダネだとアリコマンドの写真を撮りまくるが、それに夢中になったことで、回転する時計のオブジェの針に頭をぶつけて気絶した。それだけの出番だ。
ジェットコースターに乗って襲いかかるネオショッカーに、仮面ライダーもジェットコースターに飛び乗って戦う。実際にコースターが動いている上で座席を動き回って格闘している、かなりの危険撮影シーンとなっており、アクション映画として見応えがある。
ハエジゴクジンをジェットコースターから叩き落とした仮面ライダーはその作戦目的を尋問するが、ハエジゴクジンは一瞬の隙をついて逃亡し、アジトへと撤退するのだった。
洋は、ブランカを訪ね、富士急ハイランドへ案内されたみどりたちと合流した。
谷との自己紹介もそこそこに、みどりたちは分散してネオショッカーを探し始める。
みどりたちに気を使って自分と洋だけでネオショッカーを探そうとする谷が、年長者としての責任感ある行動を見せている、頼れる大人であることを示しているシーンとなっている。
富士急ハイランドを探索するしげるは、ネオショッカーの無線装置つき風船を拾ってしまった。
ネオショッカーは無線装置で風船を破裂させ証拠を隠滅し、さらにみどりたちを始末させようとする。洋はみどりたちをスケートでもやるように促すが、偶然みどりが落とした風船の無線装置を見つけ、そこにネオショッカーの陰謀を感じ取る。
ハエジゴクジンはみどりたちより先に厄介者である洋を始末することを画策し、富士急ハイランドにアナウンスを流し、富士の風穴に呼び出した。
洋は、仲間たちを谷に任せ、これが罠であることを承知で富士の風穴に向かうことにした。
スカイターボを飛ばし、富士の風穴へ向かう仮面ライダー。
ハエジゴクジンは設置していた爆薬を爆破し、さらに蔓を伸ばして仮面ライダーの動きを封じると、無数の岩を落石させ、仮面ライダーをスカイターボごと生き埋めにする。
仮面ライダーの動きを封じたハエジゴクジンは、みどりたちを始末に向かうのだった。
スケートを楽しむみどりたちを見守る谷。だが、そこに不審な男たちが現れた。
みどりたちを連行しようとする男たちに、谷が立ち向かう。
男たちの正体はアリコマンドだった。
逃亡するみどりたちを、アリコマンドが追いかける。
その道中、スケートをしていた飛田今太がいて、アリコマンドにぶつかり転倒した。
それだけだ。
谷はみどりたちを懸命に守るが、そこにハエジゴクジンまで現れる。
ハエジゴクジンは谷たちをドクダーの実験台にすべく、地下秘密基地へと連れ去った。
ネオショッカーの地下秘密基地は、富士急ハイランドの地下にあったのだ。
ハエジゴクジンはみどりたちを恐怖させるべく、眼の前で捕らえた男をドクダーの餌食にする。
そして、10分後にドクダーを満載した風船を飛ばそうとした。
谷はミチの手を縛る鎖を外そうとしたが、ハエジゴクジンに看破されて失敗する。
その頃、岩に生き埋めになった仮面ライダーは、懸命に岩をかき分けて脱出を目論んでいた。
しげるはみどりの鎖を噛み切ろうとするが、ハエジゴクジンに発見されて怒りを買い、ジゴク液を飲まされそうになる。谷は、子供には手を出すなと激昂するのだった。
恐らくだが、この時谷の脳裏には、妻子を殺された悲劇がよぎったのだろう…。
仮面ライダーはついに岩を粉砕し、生き埋め状態を脱した。
そして、スカイキックで地表を蹴り破り、地下秘密基地へと突入する。
仮面ライダーは谷の拘束を解き、みどりたちの救出を任せる。
地下秘密基地を破壊、ジゴク液やドクダーを次々に粉砕した仮面ライダーの猛攻で、ネオショッカーの地下秘密基地は爆発炎上し、アリジゴクジンの作戦は無に帰した。
仮面ライダーはさらに、谷たちを追跡するハエジゴクジンの前に立ちはだかる。
しげるはふと、仮面ライダーは誰なのだろうと疑問を口にし、みどりは「もしかしたら…」と口に出そうとするが、谷に逃げるように促され、その話は有耶無耶になるのだった。
とはいえ、みどりが第1話の段階で志度博士の助手であり、ネオショッカーの事も知っていたことを思えば、仮面ライダーの正体に感づいていても不思議ではない。
ハエジゴクジンは蔓を鞭にし、仮面ライダーを絡め取る。
腕を絡め取られた仮面ライダーは斜面に落とされるが、逆に鞭を引っ張ることでハエジゴクジンの態勢を崩しハエジゴクジンを崖の下まで転落させ、そこにスカイキックを叩き込んだ。
「残念…ライダーパワーの計算違いか…!」
仮面ライダーの能力を侮ったことで、ハエジゴクジンは敗れ爆発四散するのだった。
喫茶店ブランカに戻った一同。谷はみどりたちに、ケーキを振る舞っていた。
ひと時の平和が戻り、仲間たちは笑顔に包まれる。
世界平和のため、ネオショッカーと戦う一同は、新たな戦いへの決意に燃えていた。
新たな「おやじさん」となる、谷源次郎の初登場エピソード。
洋にとって仮面ライダーの宿命を知る良き理解者となり、みどりたちのことも暖かく見守る人格者としての描写はこの初登場エピソードで描かれており、懐の深さと、自らの妻子を殺されたような悲劇を繰り返させまいと、子供に手を出させまいとする苛烈さを併せ持った多面的なキャラクター造形を見せており、新たな「おやじさん」として強く印象付けられた。
ネオショッカーのアジトに捕まる苦境の中でも諦めず脱出しようとする姿からも、ネオショッカーと戦いを繰り広げてきた不撓不屈の決意を窺い知ることが出来る。
みどりの弟であるしげるが本格的に出番が増えてきたのも特筆すべき事項だ。
もともと、筑波洋が子供たちにとって良き兄貴分であることは多くのゲストキャラクターとの絡みで演出されてきたが、しげるがレギュラーキャラクターとして定着したことで、洋や仮面ライダーを慕う子供がレギュラーに加わったことになり、洋の子供たちにとって兄貴分である頼れる一面が、より強調されるようになったと言えるだろう。
先の話になるが、この後みどりはレギュラーを降板することになるが、しげるは番組に残留し子供目線のレギュラーキャラで有り続けたことも、「仮面ライダー (新) (スカイライダー)」が、子供目線から頼れる兄貴分として洋や仮面ライダーを演出しようとした試みの現れであると言える。