「太陽戦隊サンバルカン」第3話「日本に挑む鉄の爪」感想

2024年12月16日月曜日

太陽戦隊サンバルカン 東映特撮YoutubeOfficial

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あらすじ

銀行の地下金庫に納められた4兆円の金塊を狙ったブラックマグマだったが、この計画はサンバルカンに阻止された。しかし、ブラックマグマの進撃は休む間もなく続く。
ブラックマグマは、首相の孫娘の乗るスクールバスをジャックし…。

狙われた日本列島 ブラックマグマの金塊強奪作戦!

今回のブラックマグマの目的は、日本の国立銀行の地下金庫に収められた4兆円の金塊の強奪。
目的のためなら手段を選ばないブラックマグマの機械生命体・ナウマンモンガーは、銀行を襲うための陽動として街を襲撃、火の海へと変え、それに失敗すれば今度は日本の著名人の暗殺を行い、彼らの命を人質に日本政府に金塊を渡すように要求する。
太陽戦隊は必死に狙われた人たちを護衛するが、悪辣なブラックマグマは日本首相の孫娘に目をつけ、彼女が通う小学校のスクールバスをバスジャックした。
子供たちの命が危険に晒される中、太陽戦隊も総力を上げて人質奪回の作戦を進行する。
果たして、勝利するのは太陽戦隊か、ブラックマグマか…。

突然、ブラックマグマの戦闘機隊が街を襲った。それと同じくして、機械生命体ナウマンモンガーが、国立銀行の地下金庫へ潜入し、中に入っていた金塊を強奪する。
ブラックマグマ襲来の知らせを受け、太陽戦隊は出動した。
発進したジャガーバルカンは、戦闘機へ向けミサイルを発射し撃墜。
しかしその戦闘の余波で、街には大きな被害が出ていた。
太陽戦隊はジャガーバルカンを着陸させる。街中の風景や人間たちとジャガーバルカンを対比させ、ジャガーバルカンの圧倒的な巨大感を演出しているのが秀逸なシーンだ。

バルイーグルはコズモバルカンに、バルシャークとバルパンサーはブルバルカンに乗り込んだ。
コズモバルカンは戦闘機隊とのドッグファイトに挑み、ブルバルカンは街に出て、戦闘の被害を抑えるべく救助活動を開始する。コズモバルカンは見事に戦闘機隊を撃墜。
ブルバルカンもマジックハンドで瓦礫を除去し、人々を救助することに成功した。
その様子を見ていた嵐山長官は、この戦闘そのものが、国立銀行の金塊を強奪すべくブラックマグマが仕掛けた陽動作戦であることを看破し、太陽戦隊を国立銀行に向かわせる。
目的を果たすためなら、単なる陽動作戦として大規模な戦闘を起こすことも厭わない、手段を選ばないブラックマグマの恐ろしさを強調するシーンだ。

ブラックマグマによって4兆円の金塊が運び出されようとしている中、太陽戦隊が駆けつけた。
挿入歌「ぼくらのサンバルカン」をバックに戦うサンバルカン。
挿入歌が初期の話数から用意され、音楽展開が早くから充実している辺りは、「スーパー戦隊シリーズ」の人気が定着し、早くから挿入歌が作られることが決まっていたことが窺える。
ナウマンモンガーが足止めをしている間に、ゼロスリーとゼロフォーは金塊を積んだトラックに乗って逃亡を図るが、ナウマンモンガーを振り切ったサンバルカンは、ブルバルカンを発進させ、ブルバルカンのクレーンでトラックを捕獲する。ゼロスリーとゼロフォーは脱出し、逃亡した。
ロボットの足になるためのメカであることがひと目でわかる、直立型タンクという珍しいメカであるブルバルカンだが、このエピソードではブルバルカンに備わったメカを駆使して活躍するシーンが多く描かれており、万能戦車としてのイメージを見事に確立させている。

金塊強奪作戦に失敗した報告を受けたヘルサターン総統は怒り心頭だった。
火山国であり、マグマエネルギーが有り余っている日本はブラックマグマにとって格好の標的であり、その日本を手に入れるために、日本国が所有する4兆円の金塊を狙っていたのである。
ブラックマグマは次なる作戦として、女性型のダークQを作り出すと、金塊を渡さなければノーベル化学賞を受賞した野川博士を暗殺すると日本政府へ脅迫メッセージを送った。
そこで日本政府は、密かに野川博士を海外で脱出させる手筈を整える。
だが、野川博士は空港でダークQに接触され、持っていたライターを火炎放射器にすり替えられてしまった。海外へ飛ぶ機上でライターを灯そうとした野川博士は、すり替えられていた火炎放射器から放たれた火炎によって引き起こされた航空機爆発に巻き込まれ亡き者にされてしまう。
スパイ人間であるダークQによる暗殺を行うブラックマグマの暗躍は、スパイアクション的な作風を強めたものとなっており、冷戦下の社会情勢を思わせる描写だ。

スナックサファリで、子供たちとメンコで遊んでいた嵐山長官や太陽戦隊のもとに、野川博士が暗殺された知らせが入った。司令室に移動した太陽戦隊のもとに、金塊を渡さなければ今度は人間国宝である能楽師の土井晴信を暗殺するという脅迫メッセージが届く。
サンバルカンは能の舞台で、土井晴信の護衛を行うことになった。
しかし、ダークQは既に、能の客席に入り込んでいた。
土井晴信はダークQに刺されてしまうが、舞台上の土井晴信は嵐山長官の変装で、かつ防弾チョッキを身に着けていたため無事だった。太陽戦隊はダークQを破壊する。

次にブラックマグマが狙ったのは、日本首相の孫娘が通う小学校のスクールバスだった。
スクールバスにはナウマンモンガーやゼロワン、ゼロツーが既に乗り込んでいたのである。
孫娘自身に助けを求めさせたブラックマグマは、孫娘やバスに乗り合わせた子供たち10人の命を人質に、金塊の隠し場所を教えるように首相を脅迫する。
子供たちを怯えさせるべく、無理矢理に歌を歌わせようとするゼロツーが恐ろしい。

孫娘だけでなく、未来ある子供たち10人の命を人質にされた首相は苦渋の決断を迫られた。
緊急会議を開き、子供たちの安全を優先することに決めた首相は、金塊が地球平和守備隊第16駐屯基地の格納庫に隠されていることをブラックマグマに伝える。
金塊を運び出すまでの間、子供たちを盾として利用し、利用した後は始末するつもりである非情のブラックマグマに対し、嵐山長官は奇襲作戦を行い子供たちを奪還することを決める。

ゼロツーはスクールバスに時限爆弾をセットした。
そこに太陽戦隊が現れ、自分たちと引き換えに子供たちを開放するよう、取引を持ちかける。
その取引に、抵抗しないことを条件に応じたブラックマグマは、ナウマンモンガーに命じてサンバルカンを痛めつけ、時限爆弾の存在を明かしサンバルカンと子供たちを同時に始末しようとする。
ナウマンモンガーがサンバルカンにとどめを刺そうとしたその時、密かに上空に飛来したジャガーバルカンが自動操縦で降下し、噴射炎でナウマンモンガーたちを蹴散らした。
巨大なジャガーバルカンだが、全く気づかれず上空に飛来出来るほど静音性が高いらしい。
ブラックマグマが怯んだ隙に、バルパンサーがスクールバスから時限爆弾を取り外すと、ジャガーバルカンから降ろされた巨大アンカーがスクールバスをキャッチ。
ジャガーバルカン内部まで子供たちを避難させることに成功する。
互いに裏をかこうとする攻防戦は、見ごたえのあるシチェーションだ。

子供たちを避難させたサンバルカンは、高らかに名乗りを上げた。
「輝け!太陽戦隊!サン!バルカン!!」
サンバルカンはバルカンスティックを振るい、マシンマンたちを破壊。
稲光とともにマシンマンの内部メカを破壊する描写がカッコいい。
バルパンサーの、動物のような素早い動きは、「デンジマン」のデンジブルーの継承か。
ナウマンモンガーはそのパワーで大地震を起こしサンバルカンを苦しめる。
だが、サンバルカンは太陽ジャンプで一気に接近し、バルカンスティックを叩き込む。
そして、必殺のバルカンボールをアタックし、ナウマンモンガーを倒した。

体内の歯車が回転し、巨大化システムを起動させたナウマンモンガーは大モンガーとなった。
サンバルカンはジャガーバルカンからコズモバルカンとブルバルカンを発進させる。
コズモバルカンとブルバルカンは二面攻撃でナウマンモンガーを攻め立てる。
さらに、出撃してきたブラックマグマ戦闘機隊を、コズモバルカンは撃墜した。
「合体、いくぞ!チェンジ、サンバルカンロボ!」
サンバルカンはコズモバルカンとブルバルカンを合体させ、サンバルカンロボが完成した。
サンバルカンロボはバルトンファでナウマンモンガーの鼻を切断。
さらに、バルハンドでナウマンモンガーの体を振り回しダメージを与える。
「太陽剣!オーロラプラズマ返し!」
そして、必殺のオーロラプラズマ返しで、ナウマンモンガーを一刀両断し、勝利した。
敗北したヘルサターン総統は、サンバルカンへの怒りに震えるのだった。

太陽戦隊は、救出した子供たちをサファリパークへ誘っていた。
子供たちは、豹の顔がお猿さんに似ているとからかうのだった。
大胆不敵に日本に挑戦するヘルサターン総統。果たして、どんな戦略を巡らせてくるのか。
戦え、太陽戦隊。サンバルカンロボ、発進せよ!

コズモバルカンとブルバルカン、ジャガーバルカンのギミックを活かしたメカアクション描写のかっこよさと、暗殺やバスジャックで日本政府を脅迫し、金塊を手に入れようとするブラックマグマと太陽戦隊の攻防を描いたスパイアクション的作劇が、見ごたえ抜群のエピソード。
特に、戦いの被害を受けた街の瓦礫の排除や、逃亡するトラックの捕獲と様々なアクションを見せたブルバルカンの活躍は目覚ましく、コズモバルカンと合わせ、それぞれが魅力的に活躍するメカが、さらに合体することでサンバルカンロボが魅力あるメカとして描かれていると言えよう。

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