「仮面ライダー (新) (スカイライダー)」第19話「君も耳をふさげ!オオカミジンの殺しの叫び」感想

2024年12月27日金曜日

仮面ライダー (新) (スカイライダー) 東映特撮YoutubeOfficial

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あらすじ

野村博士が誤って作り出してしまった殺人音波。
ネオショッカーの怪人・オオカミジンは、それを武器にしていた。
オオカミジンは拡声器で殺しの叫びを増幅させ、仮面ライダーにダメージを与えようとする。

殺人音波の恐怖 オオカミジンの巨大メガホンを攻略せよ!

今回のネオショッカーの怪人は、狼の特質を持つ改造人間、オオカミジン。
ブリテン島北部のエジンバラから招聘された改造人間であり、人間の3000倍の嗅覚を持つ。
また、頭部と胴体を分離させ、独立して飛行する頭部と胴体の二面攻撃で敵に襲いかかる能力も持ち、例え胴体が破壊されても頭部のみで襲いかかる執念深さを備えている。

その任務は、野村博士が生物を活性化させる音波の研究を行っている際、助手として入り込んでいたネオショッカーの工作によって誤って作り出してしまった、殺人音波を発生させる「殺人音波発生装置」を体内に組み込み、その「殺しの叫び」で仮面ライダーを抹殺することだ。
「殺しの叫び」の威力は凄まじく、仮面ライダーの身体にすらダメージを与え、それに巻き込まれたアリコマンドも肉体を破壊されて倒れてしまう絶大な威力を持つ。
さらに、オオカミジンは専用の巨大なメガホンを用意しており、耳当てを装備して殺人音波のダメージを免れたアリコマンドとの連携で、さらにその威力を増幅させた「殺しの叫び」を放つ。

オオカミジンは野村博士を脅し、殺人音波発生装置を身体に組み込むが、直後に野村博士の息子のトシキが、茂と共に野村博士の研究所を訪れ、計画が露呈。
茂とトシキを助けに現れた洋との戦いが始まるのだった。
果たして仮面ライダーは、オオカミジンの殺人音波を攻略することが出来るのか。

前回、シビレイジンに勝利を収め、スカイターボに乗って帰還していた仮面ライダー。
だが、狡猾な魔神提督は、密かにスカイターボのフロントカウル底面に強力爆弾を仕掛けていた。
魔神提督の命で、強力爆弾のタイマーがセットされる。
だが、時限爆弾のタイマーにスイッチが入ったことで、仮面ライダーはベルトイヤーの聴覚によりタイマーの音声をキャッチすることに成功。強力爆弾の存在に気がついた。
だが、そこは街のど真ん中。このままでは、爆発の余波で二次被害が出てしまう。
仮面ライダーはスカイターボをジェット噴射で急加速させ、全速力で郊外に向かった。
そして、谷の上から湖に突入。水に突入したショックで時限爆弾をスカイターボから取り外すと、急浮上して脱出。爆弾は水中で爆発し、仮面ライダーは難を逃れることに成功する。
仮面ライダーは、狡猾な魔神提督の恐ろしさに戦慄するのだった。
前回のラストから地続きで描かれたこのシーンは、一度敗北しても次々に作戦を実行する魔神提督の狡猾さを演出し、新たなネオショッカーの大幹部の恐ろしさを強烈に印象付けている。

その頃、ネオショッカーは既に次なる作戦を開始していた。
超音波を研究する、野村博士の研究所を、不審な黒尽くめの男が見つめていた。
野村博士は、生物を活性化させる音波の研究を進めていたのだが、その研究は失敗。
実験に使われたモルモットは元気になるはずだったが、逆に絶命してしまう。
偶然にも殺人音波を作り出してしまったことに戦慄する野村博士。
だが、助手の男は実験は成功だとほくそ笑んだ。
実は、助手はネオショッカーが送り込んだ工作員であり、野村博士の研究を歪め、大量殺戮兵器として殺人音波を開発するように仕向けていたのである。
さらに、研究所内に先程の黒尽くめの男が現れ、自らの身体に殺人音波発生装置をセットするように迫った。拒否する野村博士だが、息子のトシキに危害を加えると脅迫されてしまう。
「トシキ」の名は、今回の脚本を担当した伊上勝氏の息子、井上敏樹氏からだろうか…。

ブランカに顔を出した洋は、挨拶の大声をナオコとアキに驚かれていた。
茂は沼に頼んでサンドイッチを二人前用意してもらう。
なんでも、親友のトシキと一緒に、トシキの父の野村博士の研究所を訪ねるらしい。
野村博士は既に、3日も家に帰ってきておらず、トシキはそんな父親を心配していた。
ナオコとアキは、ガールフレンドとピクニックにでも行くんじゃないかとからかうのだった。

黒尽くめの男の身体は、殺人音波発生装置をセットできるように、既に改造されていた。
野村博士は、完成した殺人音波をインプットした殺人音波発生装置を、男の身体にセットする。
そこに、トシキと茂が尋ねてきた。
助手はトシキと茂を殺人音波の実験台にしようと考え、2人を研究所の中に入れようとする。
それに気付いた野村博士は、助手がネオショッカーの手先であると叫び、茂はトシキを連れ逃げ出した。だが、野村博士はそれによって黒尽くめの男の怒りを買い、黒尽くめの男が持つ鋭い爪によって顔に傷を負わされ、気絶してしまった。
黒尽くめの男はオオカミジンに変身すると、殺人音波を放つ技「オオカミジン 殺しの叫び」の実験台として、用済みになった野村博士の助手を選び、殺人音波によって助手を殺害した。

自転車で逃亡する茂とトシキの前に、アリコマンド部隊が現れた。
アリコマンドに取り押さえられた茂たち。そこに洋が駆けつけた。
洋は茂たちを逃がし、アリコマンド部隊に立ち向かう。
アリコマンドを全滅させた洋は、野村博士を病院へ搬送した。
野村博士は一命を取り留めたが、意識が戻らない。
洋はトシキをナオコとアキに任せ、オオカミジンを探しに出かけた。

ネオショッカーのアジトに、殺人音波発生装置を装着したオオカミジンがやってきた。
「オオカミジン、只今参上!イギリスは、エジンバラの荒野から馳せ参じました!」
オオカミジンは、「殺しの叫び」のデモンストレーションで、アリコマンドたちを破壊。
アジト全体をも揺らし、傍らで聞いている魔神提督をも苦しめる威力を見せつける。
その威力に満足した魔神提督は、オオカミジンを仮面ライダー抹殺に向かわせた。

オオカミジンは黒尽くめの男の姿になって洋を誘き出し、オオカミジンとなって洋を襲う。
「オオカミジンだ!死ね、若造!」
洋もまた、仮面ライダーに変身した。オオカミジンはアリコマンド部隊を出現させる。
アリコマンド部隊を蹴散らしていく仮面ライダー。
オオカミジンはその腕に噛みつき、仮面ライダーの体内に直接殺人音波を流し込む。
振りほどかれてなお、仮面ライダーの味を「不味かった…」と嘯く豪胆さだ。

オオカミジンは周辺のアリコマンドもろとも、仮面ライダーへ向け「殺しの叫び」を放つ。
アリコマンドたちが次々に倒れていく様子に、驚愕する仮面ライダー。
「貴様…!仲間を殺すのか!」
「貴様と一緒なら本望じゃろうて!」
オオカミジンはさらに、イヤーガード(耳当て)をつけて殺人音波を遮っているアリコマンドたちに、「殺しの叫び」を増幅させる巨大メガホンを持って来させる。
殺人音波を無効化するとは、ノイズキャンセリングイヤホンもびっくりの効力だ。
巨大メガホンで増幅された「殺しの叫び」の殺人音波は、仮面ライダーの強靭な肉体すらも揺るがすほどの振動となって襲いかかる。
仮面ライダーは窮地を脱するべく、跳躍してスカイキックをオオカミジンに叩き込んだ。
それはオオカミジンの頭部に直撃し、首を刎ね飛ばしたかに思えた。

しかし、なんと首を刎ね飛ばされたはずのオオカミジンの胴体がひとりでに動き、仮面ライダーの体を押さえつけた。そして、頭部が宙を飛んで仮面ライダーに襲いかかる。
仮面ライダーの拳に、オオカミジンの頭部が噛みついた。
そして、噛みついた拳から、仮面ライダーの体内に向けて殺人音波が放たれる。
仮面ライダーの体内を殺人音波が駆け巡り、仮面ライダーを苦しめる。

仮面ライダーは岩にオオカミジンの頭部を叩きつけ、なんとか拳からオオカミジンの頭部を引き剥がすが、再び頭部と胴体と合体させたオオカミジンは、巨大メガホンで「殺しの叫び」を放った。
「殺しの叫び」で仮面ライダーがまともに動けない中、イヤーガードをつけたアリコマンド部隊が襲いかかる。仮面ライダーはセイリングジャンプで空中に逃れようとしたが、「殺しの叫び」で体の機能を破壊されつつあるのか、ベルトの重力低減装置も機能しなかった。
仮面ライダーは一か八か、崖から身を踊らせ、水中へと飛び降りる。
勝利を確信したオオカミジンは、アリコマンドに仮面ライダーの死体を確認させるのだった。
久しぶりにセイリングジャンプを使用しようとしたシーンだが、不発に終わってしまった。
序盤の特徴だったセイリングジャンプだが、こうして使われなくなってしまうと寂しい。

病院で、苦しむ父親を目の当たりにしたトシキは、父親をひどい目に合わせたネオショッカーへの復讐を決意し、病院を飛び出した。茂はトシキを止めるが、聞く耳を持たない。
その頃、オオカミジンはとある村に現れ、殺人音波の威力テストを開始。
巨大メガホンを使って「殺しの叫び」を放ち、村の人々を苦しめ始めた。
村から逃げ出そうとする人々の前には、イヤーガードをつけたアリコマンド部隊が立ちふさがる。
先程まで平穏だった村は、地獄絵図となってしまった。

オオカミジンの殺しの叫びが山彦となって響く中、意識を失っていた洋は目を覚ました。
このままでは、何処かで犠牲者が出る。洋は怪我を押してオオカミジンを探した。
一方、トシキと、トシキを止めようとする茂もオオカミジンのいる山へ向かっていた。
洋は、オオカミジンに襲われた村に辿り着くが、そこにいた村人はアリコマンドの変装だった。
村人は皆、オオカミジンによって殺されてしまったのだ。
オオカミジンは洋の接近を鋭い嗅覚で感じ取り、待ち伏せしていたのである。

廃墟となった家屋に籠城する洋は、仮面ライダーに変身した。
仮面ライダーは殺人音波を使われる前に、オオカミジンに接近して組み付く。
「これだけ近ければ、殺人音波は使えまい!」
一定の距離を必要とする「殺しの叫び」の特性を見切った仮面ライダーは、間合いを詰めて接近戦を挑み、オオカミジンを痛めつけていく。
しかし、オオカミジンは既に茂とトシキを人質にしていた。
「どうだ、仮面ライダー!抜かりはないのだ、たわけ!」

だがその時、ナオコとアキが現れ、アリコマンドから茂とトシキを救った。
ナオコは合気道の道着を、アキはバトントワリングのバトンを振り回す。
お互いがお互いにぶつかってはいるが、一瞬とはいえアリコマンドを動揺させた2人。
仮面ライダーはナオコとアキに茂とトシキを任せ、アリコマンド部隊を蹴散らす。
だが、オオカミジンと距離が離れてしまったことで、オオカミジンは巨大メガホンを取り出してしまい、「殺しの叫び」が再び仮面ライダーに放たれた。
仮面ライダーは再度接近戦に持ち込むべく、オオカミジンへ向けて跳躍するものの、オオカミジンは頭部を分離させ、仮面ライダーの足に噛みついた。仮面ライダーはなんとかそれを振りほどいたが、オオカミジンは「殺しの叫び」による攻撃を続ける。

このままではやられてしまう。窮地の中、仮面ライダーは天啓を得た。
音を消すにはより大きな音でかき消せば良い。
仮面ライダーはスカイターボを呼び、そのエキゾーストノートで「殺しの叫び」をかき消した。
さらに、仮面ライダーはオオカミジンたちの周辺を旋回し、オオカミジンの平衡感覚を失わせた。
転倒したオオカミジンに組み付いた仮面ライダーは、殺人音波発生装置を破壊する。

最大の武器の殺人音波を失ったオオカミジンは、もはや仮面ライダーの敵ではない。
仮面ライダーのスカイキックが、オオカミジンに炸裂した。
「おのれ…出来るな、仮面ライダー…!」
スカイキックに吹き飛ばされ、倒れ伏したオオカミジンは、執念で再び頭部を分離させ、仮面ライダーを襲う。仮面ライダーはオオカミジンの頭部を弾き飛ばし、再度スカイキックを叩き込んだ。
スカイキックを受けたオオカミジンの頭部と胴体は爆散し、ついに仮面ライダーが勝利した。
仮面ライダーは、最後まで自分を苦しめたオオカミジンの執念に戦慄するのだった。

野村博士は無事に回復し、トシキにも笑顔が戻った。
ナオコとアキは、自分たちの助けで助かったのだと胸を張る。
洋や谷は、ナオコやアキの跳ねっ返りぶりに驚き、笑い合うのだった。

次回以降、シリーズ最大のテコ入れ要素となる、先輩ライダーの客演編がスタートする。
その第1弾となる次回からの前後編は、強力な2怪人に2人の仮面ライダーが立ち向かう大娯楽編として展開されることになり、次回予告では、次回登場するもう1人の「仮面ライダー」のブーツが映り込み、視聴者の期待感を煽る演出がなされた。
はっきりと誰が登場するかを明言することなく、白いブーツやシルエットを映すことで、次回以降展開される先輩ライダー客演編への期待感を煽る演出が見事だ。

サブタイトルに謳われる「殺しの叫び」の殺人音波で仮面ライダーを苦しめるだけでなく、頭部を分離させた二面攻撃という驚きの戦法を見せたオオカミジンの暴れぶりが印象深いエピソード。
体内の電気でスカイキックを無効化したシビレイジンに続き、頭部を分離させることでスカイキックを回避してみせたオオカミジンもまた、一工夫しなくてはスカイキックが通用しなかった相手であり、魔神提督によって海外から招聘された怪人たちの強さを見事に印象付けている。

また、今回は新たなライダーガールズであるナオコとアキの活躍編でもある。
合気道とバトントワリングという一芸を持ってアリコマンドを一旦は蹴散らしてみせるその姿は、初代「仮面ライダー」のライダーガールズを思い出さずにはいられない。
軽いノリの2人が加入したことで、話のトーンも全体的に明るい雰囲気に一新されている。

こうして、なんとかオオカミジンを倒した仮面ライダー。
だが、魔神提督はさらなる攻勢を開始する。仮面ライダーとネオショッカーの戦いが激化する中、世界中に散った伝説の勇者たちもまた、日本へ帰還するのだった。

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