「太陽戦隊サンバルカン」第8話「父が歌う手まり唄」感想

2024年12月26日木曜日

太陽戦隊サンバルカン 東映特撮YoutubeOfficial

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あらすじ

美佐がブラックマグマに誘拐された。
ブラックマグマはジャガーバルカンの引き渡しを要求するが、嵐山は断固としてこれを拒否。
そこでブラックマグマは、嵐山の抹殺を目論む。人質にされた美佐の前に嵐山が現れ…。

親子の絆を繋ぐ手毬唄 嵐山長官の愛が美佐を救う!

今回のブラックマグマの作戦は、嵐山長官の娘である美佐を誘拐し、美佐を人質にサンバルカンの巨大空母・ジャガーバルカンを差し出させようとすること。
そのために、買い物を楽しんでいた嵐山長官と美佐、豹を襲い、美佐を拉致してしまう。
人の情愛を利用しようとするブラックマグマの卑劣さを前に、嵐山長官はその人質交換を拒否。
一方、美佐も太陽戦隊の一員として、自分には構わず戦うように伝える。

嵐山長官は冷静な判断力で美佐が囚われている場所の手がかりを見つけ、太陽戦隊とともに、美佐の救出に全力を尽くすが、ブラックマグマも十重二十重の罠を仕掛ける。
そして、親子の絆を揺るがされても信念を貫く嵐山長官を恐れたブラックマグマは、美佐を囮に嵐山長官を呼び出し、嵐山長官を直接抹殺しようと目論むのだった。
美佐との思い出の手毬を見つめる嵐山長官の目には、決意の炎が浮かんでいた。
果たして嵐山長官は、そしてサンバルカンは、美佐を救出することが出来るのか。

嵐山長官と美佐は、豹を連れて買い物に来ていた。
美佐は嵐山長官のネクタイを自ら選ぶ。だが、その様子はゼロワンたちに監視されていた。
豹は美佐を父親思いだと褒めるが、美佐の思惑は目当ての洋服を買ってもらうことで、嵐山長官はそれを海老で鯛を釣るためだと見抜いていた。なんだかんだと仲の良い親子だ。

美佐が試着室に入ると、試着室の中の鏡に機械生命体・ムゲンモンガーが映し出された。
美佐を接客していた洋品店の店員の正体がダークQだったのだ。
豹はバルパンサーになり、ダークQを破壊。嵐山長官は本物の店員を救出する。
バルパンサーはバルカンアイで、美佐を連れ去ったムゲンモンガーの行方を追った。
だが、ムゲンモンガーは妖術の「夢幻・花吹雪」でバルパンサーを苦しめる。
バルイーグルとバルシャークが駆けつけた時には、ムゲンモンガーは消え去っていた。

嵐山長官が、妖術を使う敵の出現に戦慄していると、街の公衆電話が突然鳴る。
それは、ブラックマグマからのメッセージだった。
ブラックマグマは嵐山長官をビル街の真ん中に呼び出す。
そして、美佐の命と引換えに、サンバルカンの巨大空母・ジャガーバルカンを差し出すように迫るのだった。だが、嵐山長官はそれを一笑に付す。
「娘を人質にすれば、親は泣き喚き、なんでも言いなりになる…。ジャガーバルカンだって差し出すに違いない。いかにも機械帝国、メカ人間どもの考えそうなことだ!」
それでも、美佐を殺すと脅しにかかるブラックマグマだが、嵐山長官は、美佐は娘であると同時に太陽戦隊の隊員でもあるのだと、ブラックマグマの要求を拒否し続ける。
豹はゼロワンたちに、美佐を返すように詰め寄るが、ブラックマグマも付近のビルに狙撃銃を持ったマシンマンたちを潜ませており、下手に動けば犠牲が大きくなるばかりだった。

基地に戻った太陽戦隊。豹は美佐を助けるように訴えるが、嵐山長官は人類の守り神であるジャガーバルカンを渡すわけにはいかないと、頑なな態度を見せる。
そこに、ブラックマグマからの電話が入った。電話に出たのは美佐だ。
自分に構わず戦うように言う美佐を痛めつけたゼロワンは、嵐山長官に要求の答えを聞く。
嵐山長官の答えは「No」だった。ブラックマグマは後30分だけ待つと言い残し電話を切る。
嵐山長官は、録音していた電話の音声を聞き、消防車のサイレンの音が後ろに聞こえることから、電話がかかってきた時間に出動した消防車を割り出すことで、美佐の居場所を探ろうとする。

太陽戦隊の調査で、その時間に出動した消防車は2台あることがわかった。
報告を受けた嵐山長官は、地図上から東京B地区にブラックマグマのアジトがあると断定。
東京B地区に到着したサンバルカンは、10km先で落ちた針の音も聞き取るバルカンイヤーで美佐の声を探知し、ブラックマグマのアジトと思われる場所を発見する。
「100m先に落ちた針の音をも聞き取る」東映スパイダーマンを超える超感覚だ。

アジトと思われる場所に辿り着いたサンバルカン。
だが、そこにあったのは爆弾を仕掛けられたマネキンだった。
巧妙なブラックマグマの策略によって、美佐の捜索は振り出しに戻る。
その頃、嵐山長官はスナックサファリで子供たちを迎えていたが、美佐の不在を尋ねられ動揺する。そして、帰還した太陽戦隊の様子を見て、落胆の色を隠せない。元気のないまま、子供たちにカレーを無料で振る舞う嵐山長官の様子を見て、太陽戦隊も自分たちの無力さを痛感していた。

太陽戦隊基地に戻った嵐山長官は、そこに置いてあった手毬を手に取る。
それは、美佐が幼い頃、共に手毬唄を唄い遊んだ、思い出の手毬だった。
手毬を見つめ、美佐の幼い頃を思い出す嵐山長官は、父として娘の無事を願う心と、太陽戦隊の長官としてジャガーバルカンを渡すわけにはいかない使命感との板挟みに苦しむのだった。

一方、一向にジャガーバルカンを引き渡そうとしない嵐山長官に業を煮やしたゼロワンたちは、嵐山長官に脅しは通用しないと確信していた。
親子の情を断ち切っても信念を通すその姿には、ヘドリアン女王ですら舌を巻く。
ヘルサターン総統は、ジャガーバルカンが引き渡されない以上、その頭脳となる嵐山長官を抹殺するしかないと判断し、美佐を人質に嵐山長官を誘き出す計画を命じた。

太陽戦隊基地に、嵐山長官を単身で呼び出す連絡が入った。
太陽戦隊は変装して自分たちが身代わりになると訴えるが、嵐山長官は娘を救うべく、単身で向かう決意を固めていた。そして、思い出の手毬を手に、呼び出された地点へ向かう。
単身、死ににやってきた嵐山長官を嘲笑うゼロワンたち。
縛られた美佐と対面した嵐山長官は、美佐の釈放を要求するが、ブラックマグマは最初から人質交換など行う気はなかった。そんなブラックマグマに対し、嵐山長官は、死ぬ前に娘と唄った手毬唄に乗せて、美佐と共に手毬を突かせるように要求した。
死ぬ前の余興だと高を括ったゼロワンたちは、30秒経てば処刑すると宣告してそれを許す。

美佐の縛りを解いた嵐山長官は、悔恨の念に駆られ涙する美佐を宥め、手毬唄を唄い始める。
30秒経ち、ゼロワンはマシンマンたちに命じ、嵐山長官たちを撃たせる。
だが、嵐山長官を狙った銃弾は、手毬に引きつけられ、嵐山長官に命中しなかった。
嵐山長官は、手毬に細工をし、手毬が突かれている間に強力な磁力を帯びる仕掛けを施した。
そして、手毬唄に乗せて突かれた手毬から放たれた磁力が、銃弾を全て引き付けたのである。
嵐山長官抹殺に失敗したゼロワンたちはムゲンモンガーを向かわせる。
しかしそこに、サンバルカンの面々が駆けつけた。
嵐山長官は手毬を投げつけムゲンモンガーを怯ませると、美佐と共に脱出する。

「輝け!太陽戦隊!サン!バルカン!!」
日輪とともに名乗りを上げたサンバルカンとブラックマグマの戦いが始まった。
サンバルカンはバク転を駆使した素早い動きで、次々にマシンマンを破壊。
ムゲンモンガーは「夢幻妖術」を繰り出すが、サンバルカンは太陽キックを決めて反撃。
なおも、「夢幻炎地獄」を繰り出すムゲンモンガー。
だが、バルシャークがシャークウォッシャーで炎を消火した。
ムゲンモンガーは、今度は「夢幻土落とし」で岩石をぶつけてくるが、今度はバルパンサーがパンサーギャラクシーで反撃。それでも「夢幻花吹雪」で反撃するムゲンモンガー。
しかし、花吹雪はバルイーグルのイーグルファイヤーで焼き尽くされた。

妖術を次々に破られたムゲンモンガーは、高速回転して砂嵐を引き起こす。
だが、サンバルカンも腕を組み、高速回転する「スクラムハリケーン」で砂嵐を跳ね返した。
そして、3人全員が空を飛ぶ、スカイイーグル、スカイシャーク、スカイパンサーを見せると、3方向から襲いかかるスカイジェッターでムゲンモンガーを痛めつける。
そして、とどめのバルカンボールを叩き込んで、ムゲンモンガーを倒した。

だが、ムゲンモンガーは巨大回路を起動させ、大モンガーとなる。
サンバルカンも、ジャガーバルカンの発進を要請した。
「ファイト!サンバルカンロボ」が流れる中、ジャガーバルカンが降臨。
「合体・グランドクロス!」
サンバルカンロボは連続パンチで大モンガーを追い詰めていく。
妖術でサンバルカンロボの動きを封じようとした大モンガーだが、サンバルカンロボは拳に炎を灯して殴りつけるファイヤーパンチで反撃、大モンガーを吹き飛ばした。
「太陽剣・オーロラプラズマ返し!」
最後のトドメのオーロラプラズマ返しが炸裂し、サンバルカンロボは勝利した。

嵐山長官と美佐は、再び買い物に来ていた。
美佐は、今度は嵐山長官にカーディガンをプレゼントするのだと張り切っていた。
豹は、自分もあんな娘がほしいと羨ましがるが、大鷲と鮫島に、その前に結婚しろ、その前に素敵な恋人を見つけろと次々にツッコまれ、それもそうだと笑うのだった。
嵐山長官親子とサンバルカンの固いスクラムが、ブラックマグマの陰謀を砕いた。
父と子の固い信頼関係が、地球の平和を守ったのである。輝け、太陽戦隊サンバルカン!

サンバルカンメンバーの主役回より先に展開された、嵐山長官親子の主役回。
ここまでの話数では、嵐山長官がブラックマグマの作戦を見抜いたり、サンバルカンメンバーより嵐山長官が主導となる展開も多く、実質的な主役は嵐山長官では…と感じさせるところはある。
今回も、親子の情と地球を守る使命の板挟みに苦悩する嵐山長官の人間味が情感たっぷりに描かれ、決然とした使命感を持ちながら、人間的な温かみも持つ嵐山長官が魅力的に描かれた。
また、あのヘドリアン女王にすら、親子の情を断ち切っても信念を通す恐るべき男と認識されている凄みも演出され、太陽戦隊を率いるに足る実力が描かれたと言えよう。

一方のサンバルカンも、ムゲンモンガーの妖術に対し次々と入れ替わりで個人技を披露して対処していく、グループ・ヒーローらしいチームワークが描かれ、戦闘描写も楽しめる回だった。
それぞれが陸・海・空に秀でた戦士でありながら、全員が空を飛んだのでちょっと驚いた(といっても、バルイーグルはもちろんバルシャークも以前から空を飛んでいたが…)が、それを活かしたトリプル攻撃・スカイジェッターも格好良く、「戦隊」らしい連携技が楽しい回だった。

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