あらすじ
A国とB国のスパイ衛星が相次いで墜落。これにより両国は対立関係に陥ってしまう。
この事件の背景にもブラックマグマの策略があった。
さらに危険な細菌をロケットの弾頭に搭載し、A国の主要都市に撃ち込もうという。
世界大戦争5秒前!太陽戦隊よ、大国の衝突を阻止せよ!
地球平和守備隊の嵐山長官の近くにまでスパイ用人造人間・ダークQを潜入させ、その魔手を伸ばしていた機械帝国ブラックマグマ。ブラックマグマはこのダークQを次々に量産し、諜報活動を行って太陽戦隊の情報を掴み、太陽戦隊の壊滅を狙っていた。
今回は、組織に潜入するダークQと、ダークQを見つけ出し逆にブラックマグマの情報を掴もうとする太陽戦隊の攻防戦が、スパイ・アクション的な作劇とともに描かれている。
機械帝国ブラックマグマの今回の狙いは、大国であるA国とB国のスパイ衛星を墜落させ、それをお互いの国の報復であると誤解させることで両国を対立状態に陥れることだった。
時は未だ冷戦下、東西間の衝突が現実的な危機だった時代性を感じさせるエピソードである。
更にブラックマグマは毒性の高い細菌を入手し、ミサイルに積み込んでA国の主要都市に撃ち込もうと画策。これが実行されれば、B国はA国に報復を行い、世界は戦火に包まれる。
そして、細菌の影響で世界は全滅、低温によって細菌が活動できない北極に本拠地を置くブラックマグマだけが生き延びる最悪の事態になってしまう。
太陽戦隊はこの世界存亡の危機を脱するために、懸命に細菌の積まれたロケット基地の場所を突き止めようとする。果たして太陽戦隊は、人類消滅の危機を救えるのか。
地球の周りを3000以上の人工衛星が周っているが、その中には、軍事目的で打ち上げられられたスパイ衛星も数多い。機械帝国ブラックマグマは、このスパイ衛星を標的にした。
ブラックマグマはまず、A国の打ち上げた人工衛星をレーザー砲で撃ち落とす。
墜落した人工衛星によって、200名もの死者が出てしまう大惨事となった。
それがブラックマグマの仕業だと知る由もないA国大統領はテレビ演説で、今度の事件はB国の謀略かも知れないと語り、事件の調査を国連に依頼した。
そして、A国の人工衛星墜落の翌日、今度はB国の人工衛星がブラックマグマに撃ち落とされ、石油コンビナートを破壊。B国首相は、これはA国の報復であり、挑戦であると激しく非難した。
両国の険悪な対立を憂慮した国連は、緊急平和理事会を招集したが、自体は悪化の一途を辿る。
嵐山長官は、この事件にA国とB国の双方を対立させようとする何者かの陰謀を感じ取っていた。
そんな自体を憂慮する大鷲たちをよそに、スナックサファリの店番をする美佐はカレーを豹に振る舞うが、分量を間違え、マスターのように上手くはいかなかった。
冷戦下にあった放送当時の時代性を考慮すれば、大国が打ち上げた人工衛星を極秘裏に墜落させることで、大国間の敵対感情を刺激するというのは非常にリアリティある展開。
スパイ映画さながらの緊張感ある展開に、美佐と豹のやり取りが清涼剤となっている。
その夜、国立細菌研究所にブラックマグマのアンドロイド、ダークQが潜入した。
ダークQの目的は、細菌研究所に保管されていた細菌の入手だった。
細菌研究所の襲撃事件を知った嵐山長官は太陽戦隊に、辛くも襲撃を生き延びた小室博士の護衛を命じる。しかし、ダークQも早々に小室博士の生存をブラックマグマ本部に報告する。
ブラックマグマは機械生命体製造マシンでシーラモンガーを生み出し、小室博士の抹殺を命じた。
小室博士の入院する病院を狙うシーラモンガーたちの前に、太陽戦隊が立ちはだかった。
太陽戦隊はそれぞれの得意技を駆使し、マシンマンたちを破壊していく。
さらに、シーラモンガーに対しても3方向からの同時攻撃でダメージを与え、撤退させた。
だが、ブラックマグマのダークQはその隙に病院の中に入り込んでいた。
看護師に化けたダークQが、小室博士に迫る。
護衛していた地球平和守備隊の兵士もダークQの犠牲になるが、医者に変装していた嵐山長官は、こんなこともあろうかと既に小室博士を別の場所へと移していた。
破れかぶれのダークQは嵐山長官に襲いかかるが、嵐山長官はダークQを光線銃で破壊。
電子頭脳を持つ頭部のみを本部に持ち帰り、ブラックマグマの情報を引き出そうとする。
ブラックマグマと太陽戦隊、双方の陽動作戦が展開された、お互いに裏をかこうとする熾烈な情報戦は見応え抜群。今回は、長官自らが指揮を取った太陽戦隊の勝利に終わった。
ダークQの頭部を作動させた嵐山長官は、小室博士を抹殺しようとするブラックマグマの目的を尋問する。尋問に対して口を割ろうとしないダークQに、嵐山長官は、小室博士が細菌に対抗できる免疫薬品を研究していたからだと推論を述べる。
嵐山長官はさらに、ブラックマグマが細菌を奪い何を目論んでいたのかを尋問。
ダークQは一千万都市の全滅という目的のみを話し、自ら回路を焼き切って機能を停止した。
嵐山長官は、ブラックマグマに狙われる都市は、A国かB国のどちらかにあると推測した。
両国は今、一触即発の状態にある。そのような状態で、もし、どちらかの国の一千万都市(メガシティ)に細菌をばらまかれれば、両国はたちまちのうちに戦争に突入。
そしてそのまま、世界中が戦乱の渦に巻き込まれてしまう。
ブラックマグマは北極の氷の下で細菌の汚染を避けながら、大国間同士の報復合戦によって引き起こされる世界の滅亡を高みの見物と洒落込むつもりだったのだ。
太陽戦隊は奪われた細菌を追った。だが、手がかりすらも掴むことは出来なかった。
二手に分かれ、懸命に細菌の行方を追う太陽戦隊。
同じ頃、東都大学ロケット研究所の滝本教授がブラックマグマのゼロガールズに狙われていた。
ロケット研究所に乗り込んだゼロワンたちは、滝本教授の妻子を人質にし、ロケットに細菌を詰め込んでA国の都市に打ち込む作業を行わせようとしていたのである。
だがそこに、大鷲がロケット研究所を訪れる。大鷲は滝本教授の教え子だったのだ。
だが、教授はよそよそしい様子で大鷲に応対し、大鷲はその様子に違和感を覚える。
大鷲は、滝本教授の息子の洋が誕生日だったことを思い出し、ケーキを持って滝本教授の家を尋ねる。だが、家にゼロガールズがいることから、教授の妻は大鷲を家に上げられない。
その様子に不審なものを感じた大鷲は家に踏み込み、ゼロガールズから滝本親子を救出。
ブラックマグマが滝本教授を脅迫してロケット発射を行おうとしていたことを察知したバルイーグルは、バルシャークとバルパンサーにロケット研究所へ向かうように連絡した。
太陽戦隊に作戦が露見したヘルサターン総統は、直ちに細菌入りロケットをA国の都市に打ち込むよう、ゼロワンたちに命令を下す。シーラモンガーがロケット発射を行わせるべく教授たちを連行していると、そこに太陽戦隊が駆けつけた。
「輝け!太陽戦隊!サン!バルカン!!」
バルイーグルのイーグルウイングが、マシンマンたちを吹き飛ばす。
バルシャークはスカイシャークで空を泳ぎ、マシンマンたちを蹴散らした。
そして、水に飛び込み、水中からシャークジョーズでマシンマンの頭部を破壊する。
バルパンサーは木に登り、マシンマンたちを素早い動きで翻弄した。
そしてついに、シーラモンガーとの最終決戦。
バルイーグルとバルパンサーはシーラモンガーの武器に捕まり追い詰められるが、その隙をついたバルシャークがシーラモンガーの背後から接近、シャークジョーズで頭部を破壊。
そして、サンバルカンのバルカンボールが炸裂し、シーラモンガーを倒した。
だが、シーラモンガーは巨大化システムが作動し、大モンガーとなる。
サンバルカンもジャガーバルカン発進を要請した。
ジャガーバルカンはブラックマグマの戦闘機、ヘルファイターをミサイルで撃墜し、戦場に着陸。サンバルカンが乗り込み、コズモバルカンとブルバルカンが発進した。
コズモバルカンのミサイル攻撃でシーラモンガーが怯んだ隙に、サンバルカンロボが合体する。
サンバルカンロボはバルシールドとバルトンファを構え、シーラモンガーと激突。
バルトンファの一撃がシーラモンガーに炸裂した。
だが、その間にも細菌を積んだロケット発射の時間が刻一刻と近づいていた。
滝本教授は頑なにロケット発射を拒むが、業を煮やしたゼロワンはついにロケット発射ボタンを押してしまう。サンバルカンロボはバルハンドでシーラモンガーを捉え、痛めつける。
そして、必殺の一撃を繰り出した。
「太陽剣!オーロラプラズマ返し!」
オーロラの輝きとともに放たれた一閃が、シーラモンガーを倒した。
だが、ついにロケットは発射されてしまう。
サンバルカンはサンバルカンロボを飛ばし、ロケットを追跡させる。
そして、大気圏外でロケットに追いついたサンバルカンロボは、ロケットを破壊。
こうして世界は、大国間同士の報復合戦や、細菌の恐怖から救われたのだった。
ひと時の平和を楽しむ太陽戦隊は、滝本教授一家をサファリパークへ誘う。
そして、嵐山長官手作りのケーキで、「人類の誕生日」を祝うのだった。
細菌爆弾の恐怖から生き延びた人類の、新たなる時代の幕開けとなる誕生日を。
世界中を戦火の中に叩き込もうとするブラックマグマの陰謀は、太陽戦隊によって阻止された。
サンバルカンたちは、地球上の全ての生命に乾杯した。
戦え、太陽戦隊。サンバルカンロボ、発進せよ!
大国間同士の衝突を煽るという、冷戦下にあった制作当時の時代性を反映したリアリティあるブラックマグマの作戦の脅威がスリリングに描かれたエピソード。
ダークQの頭部を鹵獲し、ブラックマグマの作戦の真意を尋問する嵐山長官の凄みは、人類存亡を賭けた戦いに臨む者としての覚悟が滲んでおり、岸田森氏の演技で、守るべきものに優しく、命を蹂躙せんとする敵対者へは決然と怒りを燃やす嵐山長官の性格が良く出た名シーンだった。
太陽戦隊とブラックマグマの熾烈な攻防を描いた、スパイ・アクションの名作回だろう。