あらすじ
機械帝国が誇る科学技術によって誕生するダークQ。
そのうちの一体を次郎少年が目撃したが、両親は信じない。
それどころか次郎に家庭教師をつけるという。
やがて、家にやってきた家庭教師の顔を見て、次郎は愕然とする。
少年に迫るダークQの恐怖!騙し合いの変装合戦
ブラックマグマは巨大砲を備えた地下要塞を建設すべく、機械生命体トリモンガーを生み出した。
そして同時に、スパイ用機械人間であるダークQを日本中に送り込み、地球平和守備隊の機密情報を盗み出そうとしていたのだ。そんなダークQの活動を、次郎少年は偶然にも目撃する。
ブラックマグマはダークQを次郎の家庭教師として送り込み、父母の命を人質に、全てを忘れるように脅迫する。そんな次郎少年の様子を怪しんだ嵐山長官は、太陽戦隊に出動を命じるのだった。
太陽戦隊はダークQを排除して次郎少年を救い、トリモンガーを倒すことが出来るのか?
そして、ブラックマグマは密かにある計画を進めていた。
それは、かつてベーダー一族を率いてデンジマンと戦い、バンリキ魔王によって全てを失ったことで姿を消した、ヘドリアン女王の復活である。
太陽戦隊とブラックマグマの戦いは、新たな局面を迎えようとしていた。
深夜、地球平和守備隊の高官の家に、ブラックマグマのスパイ、ダークQが潜入した。
ダークQはガスを噴射して高官の意識を喪失させると、用意していた高官の顔と同じ仮面を取りつけ、全く同じ顔に成り代わってしまう。ダークQのスパイとしての恐ろしさが演出されているのは、スパイアクション的な作劇を強く打ち出したものになっている。
地球平和守備隊はスパイ潜入の知らせを受け、中央情報部隊の金庫の緊急ダイヤルを回す。
だが、その緊急ダイヤルが回されたことは、太陽戦隊の基地に知らされていた。
緊急ダイヤルが回される様子をモニターしていた嵐山長官は、金庫を開けている中のひとりが、冒頭、ダークQに成り代わられた上官であることを察知し、太陽戦隊を出動させる。
ダークQは車で逃亡したが、バルパンサーはそれを追跡。
ダークQは元の女性の姿に戻り、逃亡する。その様子を、偶然次郎少年が望遠鏡で目撃した。
次郎少年は泥棒がいると良心に訴えるが、そこにいたのは隣のおじいさんだった。
次郎少年は結局、泥棒の存在を両親に信じてもらえなかった。
一方、サンバルカンもダークQが逃げ込んだ先を見つけ出すことは出来なかった。
民家に逃げ込んだダークQ。ブラックマグマのスパイであるダークQは、普段普通の家で我々と変わらない生活を営み、北極のブラックマグマ本部からの司令を受けて動き出す。
だが、一般社会に入り込んでいるために、発見は困難を極めるのだ。
しかし、サンバルカンに発見されるという失敗を犯したダークQは、死刑に処される。
そしてすぐさま、代役の新たなダークQが派遣される。それがダークQの宿命なのだ。
スパイとして組織の手駒にされる機械人間の悲哀を語った、秀逸なシーンだ。
ダークQが狙っていたのは、中央情報部隊の金庫に隠されていた秘密基地の地図だった。
太陽戦隊はブラックマグマがどこかに要塞を築こうとしていると推測し、バルイーグルはコズモバルカンで空から、バルシャークは地上から要塞を探る。そして、豹は聞き込みを行い、ダークQを捜索。次郎少年の家を訪ねた豹だが、なかなか情報は得られない。
次郎少年が帰宅すると、なんと今日から家庭教師が来ると告げられた。
一方、豹はダークQのいる家を尋ねるが、家の前にいた犬に驚いて家に踏み込めない。
ダークQはさらに、赤ん坊の声を録音したカセットテープを流すことで、子供がいる家であるかのようにカモフラージュしていた。日常生活にスパイが入り込む緊張感の演出が見事なシーンだ。
ヘルサターン総統は機械生命体、トリモンガーを誕生させた。
サンバルカンロボを倒す指令を受けたトリモンガーは、ゼロワン・ゼロツーと出動する。
ブラックマグマは地下要塞を密かに建造し、その完成は間近だった。
一方、太陽戦隊はスパイの足取りを掴むことも出来ず、要塞も発見できなかった。
嵐山長官は敵の出方を待つことにする。
次郎少年は友人と一緒に目撃した泥棒のいる家に入ろうとした。
ちょっとした探偵気取りの次郎少年に、友達も呆れて帰ってしまう。
次郎少年が入った家では、冷蔵庫にも何も入っておらず、ベビーカーには赤ん坊の人形がある不気味な様相を見せており、次郎少年はその奥で機械の顔をしたダークQを目撃してしまう。
次郎少年が慌てて逃げ出し、110番に電話しようとすると、あの時目撃した泥棒、つまりダークQが家庭教師として自宅にいた。ダークQは次郎少年の手を取り、部屋へ連れ込む。
そして、両親の命を人質に、何もかも忘れるように脅迫するのだった。
スナックサファリでは、嵐山長官が子供たちとベーゴマで遊んでいた。
スナックサファリを訪れていた次郎少年が元気がないことを怪しんだ嵐山長官は、他の子供たちから、次郎少年が泥棒を目撃したという話を聞き出す。
ダークQがねぐらにしている家に戻ると、そこにはダークQが変装していた老人や女の姿をした太陽戦隊が待ち構えていた。ダークQは一人でいくつもの顔を使い分け、世間を欺いていたのだ。
太陽戦隊はダークQを破壊するが、ダークQはサンバルカンロボが粉砕されると不吉な予言を残す。鮫島はバルシャークとなり、バルカンアイで壁の向こうにある隠し部屋を発見した。
バル強化服の出現シーンは、デンジマンの強化服の装着シーンと似ており、この2つの戦隊の間に何らかの関係があるのでは…と思わせる仕掛けになっている。
ベーダー一族との戦いをデンジマンに任せざるを得なかった地球平和守備隊が、デンジマンの技術を元に作り上げたのが太陽戦隊の装備なのだろうか、と想像出来て楽しい。
隠し部屋はブラックマグマの秘密基地であり、地下要塞からの信号を受信していた。
太陽戦隊はその信号を逆に辿り、ブラックマグマの地下要塞を発見。
ジャガーバルカンを発進させると、迎撃に現れたブラックマグマの戦闘機隊を撃墜する。
地下要塞付近にジャガーバルカンを着陸させたサンバルカンの前に、トリモンガーが現れた。
サンバルカンは高らかに名乗りを上げる。
「輝け!太陽戦隊!サン!バルカン!!」
サンバルカンは素早い動きで次々にマシンマンたちを破壊した。
スピーディーな名アクションと、スローモーション演出を組み合わせたメリハリの効いた演出だ。
トリモンガーは空を飛んでミサイルを撃ち込み、バルパンサーを攻撃する。
さらにバタフライ攻撃を仕掛けようとするトリモンガーに、バルイーグルが立ちはだかった。
空中での戦いは、バルイーグルのイーグルキックが勝利する。
トリモンガーを地上に引きずり下ろしたサンバルカンは、太陽ジャンプからのバルカンスティック、さらに太陽キックを決め、トドメのバルカンボールでトリモンガーを倒した。
トリモンガーの巨大化システムが起動し、大モンガーとなった。
サンバルカンはコズモバルカンとブルバルカンを発進させる。
「合体、いくぞ!」
コズモバルカンとブルバルカンが合体し、サンバルカンロボとなった。
ブラックマグマは地下要塞の巨大砲を繰り出し、サンバルカンロボを砲撃する。
嵐山長官は、「鉄拳もぐら叩き」を使うようにバルイーグルに指示した。
「鉄拳もぐら叩き」は、サンバルカンロボの拳が巨大化する装備であり、サンバルカンロボは巨大な拳で巨大砲を叩き潰すと、トリモンガーとの対決に挑む。空を飛ぶトリモンガーをバルハンドで掴み、叩き落としたサンバルカンロボは、太陽剣を取り出した。
「太陽剣!オーロラプラズマ返し!」
オーロラプラズマ返しが決まり、トリモンガーは一刀両断された。
サンバルカンロボの勝利だ。
敗北し、サンバルカンへの怒りに震えるヘルサターン総統。
だが、ブラックマグマは密かに、かつて、ベーダー一族を率いてデンジマンと戦い、バンリキ魔王によって全てを失った後、氷河で眠っていたヘドリアン女王を目覚めさせようとしていた。
デンジマンとの戦いの果てに、「私には休息が必要」だとして姿を消したヘドリアン女王だが、ただ独り氷河の中で眠りについていたということは、ヘドラー将軍たち信頼できる部下を失った絶望に苛まれたことで、自決しようとしていたのだろうか…。
だが、ブラックマグマはヘドリアン女王を目覚めさせ、仲間に引き入れようとしていたのだ。
次郎少年に笑顔が戻った。嵐山長官は次郎の復活を喜んでいた。
それは、少年の心に平和が戻った証拠だからだ。
戦え、太陽戦隊。サンバルカンロボ、発進せよ!
地球平和守備隊や、一般家庭に入り込みブラックマグマの任務を遂行するスパイ人間・ダークQの恐ろしさを次郎少年の目線からスリリングに描いたエピソード。
いくつもの顔を使い分け、複数人の人間がいるかのように見せかけることで一般社会に溶け込んでいるダークQの描写は、隣人がスパイかもしれないという身近な恐怖を見事に演出している。
このあたりも、冷戦下という時代背景を踏まえればリアリティある恐怖描写だったのだろう。
一方、いくつもの顔を使い分けるダークQへの意趣返しとして、ダークQが使い分けた3つの顔に返送する太陽戦隊の描写は痛快で、騙し合いの応酬が見ごたえのある展開だ。
子供の様子に気を配る嵐山長官の優しさも描かれ、人の命を守る信念が窺えるのも良い。