「太陽戦隊サンバルカン」第6話「機械の支配する家」感想

2024年12月23日月曜日

太陽戦隊サンバルカン 東映特撮YoutubeOfficial

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あらすじ

ヘドリアン女王の主導により、新たなる機械生命体・キカイモンガーが誕生。
強力な念動波で、自分の分身の金属細胞が付着した機械なら全て操ることができる。
ブラックマグマは市民に無償で家電製品を配り始めるが…。

動き出した機械の反乱 文明社会崩壊の危機!

ヘドリアン女王によって、新たな機械生命体キカイモンガーが生み出された。
キカイモンガーはヘドリアン女王から与えられた念動波によって、自分の分身の金属細胞が付着した機械を意のままに操る能力を持っていた。
そして、ブラックマグマは市民に向け、家にある古い家電製品や玩具を新品のものに無償で交換する家電メーカー「21世紀電気」に化け、キカイモンガーの細胞が付着した機械を街中にばらまく。
目先の欲に駆られ、まだ使える家電製品や玩具を新品と交換してしまった市民たちは、あたかも機械の逆襲を受けるように、キカイモンガーに操られた機械たちに襲われてしまうのだった。
スナックサファリの掃除機も、美佐がうっかり新品のものと交換してしまったことで暴れ出し、太陽戦隊は機械の反乱を知ることになる。果たして太陽戦隊は、機械の反乱を鎮圧出来るのか。

ヘドリアン女王は黒い太陽神の祭壇に念動波を捧げ、新たにキカイモンガーを生み出した。
念動波を強く出せる機械生命体として生み出されたキカイモンガー。
ヘルサターン総統は、早速キカイモンガーのテストを命じる。

その頃、鮫島はオートバイのスタントアクションを子供たちに披露していた。
鮫島のオートバイテクニックに、子供たちも夢中だ。
だがそこにキカイモンガーたちが現れ、鮫島のオートバイに金属細胞を付着させる。
そして、キカイモンガーが念動波を放つと、オートバイはひとりでに動き始めた。
むちゃくちゃな動きをするオートバイから、鮫島は振り落とされてしまう。

鮫島がオートバイから剥がし取った細胞は、動物の細胞体に金属元素が混ざっている、機械生命体の一部だった。ブラックマグマはキカイモンガーの実験の成功に沸き立つ。
そして、ヘルサターン総統は「マイホーム作戦」の実行を指示した。
ブラックマグマは家電メーカー「21世紀電気」の宣伝カーに化けると、市民に向け、下取りキャンペーンと称し、家庭の古い家電製品を新品に無償で交換すると触れ回った。
家電だけでなく、玩具も新品に交換されるこのキャンペーンに、市民は喜んで飛びつく。
スナックサファリの常連である正男少年も、玩具を交換してもらうのだった。

だがそこに、パトロール中のバルシャークとバルパンサーが通りかかった。
聞いたことのないメーカーが行う無償交換キャンペーンに不審なものを感じたバルシャークとバルパンサーは、逃走する21世紀電気の宣伝カーを追跡する。
宣伝カーが逃亡した廃タイヤ置き場で、キカイモンガーが姿を現した。
バルシャークとバルパンサーは応戦するが、廃タイヤを飛ばしてくるキカイモンガーに苦戦する。
さらに、キカイモンガーはホイールローダーを操り、バルシャークとバルパンサーを襲わせた。
間一髪、バルシャークが投げたバルカンスティックがキカイモンガーに命中、キカイモンガーが撤退したことで、バルシャークとバルパンサーは難を逃れる。

嵐山長官は、基地に戻った鮫島たちに金属細胞の分析結果を伝えていた。
金属細胞は一種の受信機の役割を果たしており、機械生命体が発する念動波を受け、金属細胞が付着した機械を自由に動かすことが出来るのだ。
だが、嵐山長官を持ってしても、なぜブラックマグマが機械を下取りしているかはわからなかった。そして、そんなことを知る由もない美佐は、スナックサファリの掃除機を21世紀電気に持ち込み、新品に交換してもらっていた。その掃除機には、例の金属細胞が付着していた。

翌日、正男少年の家で異変が起こった。
台所の水道がひとりでに向きを変え、なんと炎を吹き出し始めたのだ。
そして、電話が鳴ったと思うと、なんと電話口から水が吹き出す。
電話から聞こえてきた声は、「人間が機械の奴隷になる時が来た」と嘯くのだった。
その夜、ふと目を覚ました正男少年を、金属細胞が貼り付いたラジコン戦車が襲った。
サルの人形が不気味に動く中、火を吹くラジコン戦車。
この回の監督は小林義明氏ということもあり、後年の宇宙刑事シリーズに受け継がれる、身近な日常が崩壊する怪奇性の演出が際立っている。
さらに、模型の戦闘機が空を飛び、正男少年一家を襲う。
外に逃げた正男少年たちの前にキカイモンガーが現れ、機械の奴隷になることを迫った。

その翌日、パトロールから戻った太陽戦隊を、スナックサファリで嵐山長官と美佐が迎えた。
だが、太陽戦隊のパトロールの成果はなし。
食欲だけは尽きない豹が嵐山長官にからかわれていると、その背後で掃除機が動き始めた。
掃除機は先端からロケット弾やガスを出し、豹の首に絡みつく。
間一髪、嵐山長官がコンセントを引き抜き、掃除機に金属細胞が付着していたことを見抜いた。
嵐山長官はこの事件によって、ブラックマグマの狙いが人間を機械の奴隷にすることだと察知。
太陽戦隊に、この付近のパトロールの強化を命ずるのだった。

サンバルカンは手分けしてマンションを調べ始めた。
正男少年の家を、バルイーグルが訪ねる。「太陽戦隊です」と名乗って家庭訪問するバルイーグルは、ネットで良くネタにされているシーン。こんな序盤で見られるとは思わなかった。
「太陽戦隊」は公的機関なので、そう名乗るのも当然ではあるのだが。
だが、機械に脅されている正男少年たちは、バルイーグルを追い返す。
しかし、その様子に不審なものを感じたバルイーグルは、バルカンアイで家の中を透視。
そこでは、冷蔵庫から手足が生え、キカイモンガーと家の中を蹂躙していた。
太陽戦隊は人質を救出すべく、キカイモンガーを誘き出す作戦を立てる。

キカイモンガーが得意げになっていると、21世紀電気の宣伝カーが現れた。
だが、先程現れた、ブラックマグマの車とは様子が異なっている。
なんでも、人間の命令通りに働くロボット・ロボターを安価で販売しているらしい。
ロボターの周りに子供たちが集まり、ロボターは宣伝カーのコンパニオンの言うことを何でも聞き始めた。その様子を見ていたキカイモンガーは、機械が人間の言うことを聞くことに憤慨。
正男少年の家からキカイモンガーが飛び出すと、ロボターが俊敏な動きで戦い始めた。
ロボターはなんと、嵐山長官の変装だったのだ。
嵐山長官は積極的に前線に出てサンバルカンと共に戦い、実働部隊の苦労を分かち合ってくれるのは良いのだが、ちょっと仕事を選ばなすぎでは…という気もする。

嵐山長官の奮闘で見事にキカイモンガーを誘き出したサンバルカンは、太陽ジャンプで現れる。
「輝け!太陽戦隊!サン!バルカン!!」
サンバルカンは大地を跳躍し、それぞれの得意技でマシンマンたちを破壊。
キカイモンガーは、周辺の重機に金属細胞を貼り付け、サンバルカンを襲わせる。
クローラークレーンに迫られ、クレーンの先のフックで釣り上げられるサンバルカン。
そのまま大地に叩きつけられたサンバルカンは、バルカンスティックを交差させ、キカイモンガーに投げつけてダメージを与えた。逆光をバックにバルカンスティックを交差させるのが格好良い。
サンバルカンは続けざまに太陽キックを放ち、バルカンボールを叩き込む。
キカイモンガーはバルカンボールの一撃で粉砕されるのだった。

だが、キカイモンガーは巨大回路を作動させ、大モンガーとなった。
サンバルカンはジャガーバルカンを呼び、さらにコズモバルカンとブルバルカンを発進させる。
「合体・グランドクロス!チェンジ・サンバルカンロボ!」
コズモバルカンとブルバルカンが合体し、サンバルカンロボが完成した。
サンバルカンロボはバルトンファとバルシールドを取り出し、大モンガーを痛めつける。
だが、大モンガーは金属細胞をサンバルカンロボに貼り付かせ、なんと念動波でサンバルカンロボの身動きを封じてしまった。しかし、サンバルカンロボはバルカン砲で反撃。
「太陽剣・オーロラプラズマ返し!」
そして、必殺のオーロラプラズマ返しで大モンガーを切り裂き、サンバルカンロボが勝利した。

機械のせいで恐ろしい目にあった美佐は、機械の怖さを思い知っていた。
だが、嵐山長官はそんな美佐を優しく諭す。
「機械を否定してしまってはいかん。もともと、機械は、人間が作り出したものだ。その機械を利用して、文明をここまで発達させてきたんだ。要するに、使う人間次第さ。難しいことだけどな」
嵐山長官の機械に対する考え方は、テクノロジー全体に言えることだろう。
どんな技術も、悪用しようと思えば悪魔の技術になる。だが、良き事に使おうと思えば、人間の発展を助けてくれるはずだ。「鉄人28号」の「良いも悪いもリモコン次第」という名フレーズが語るように、技術そのもに善悪はなく、それを使う人間に全てはかかっている。

機械は便利である。しかし、一歩使い方を誤ると…。
君、機械や玩具を、大事に使ってるかい?

人間を機械の奴隷にしようとする今回のマイホーム作戦は、機械生命体であるブラックマグマらしい作戦とも言える。しかし、その実行に際してはヘドリアン女王の念動波が欠かせないものだったというのがユニークで、科学力と妖魔力がミックスされているところに面白みがある。
この作戦にヘドリアン女王とその念動波が必須だったことを思えば、ブラックマグマがヘドリアン女王を蘇生させ、メカ心臓によってブラックマグマに協力せざるを得ないようにしたことも重要な戦略だったことにも納得がいくだろう。

最後の嵐山長官の機械へのメッセージがこのエピソードのメッセージ性を物語っている。
目先の欲に駆られ、まだ使える機械を新品に交換してもらった正男少年一家が機械の逆襲を受けることからも、物を粗末に扱う文明社会への批判的なメッセージが窺えるだろう。
機械は正しく使えば便利だし、大切に使えば長持ちする。
機械を正しく使い、機械に使われることがないように生きていきたいものだ。

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