あらすじ
ブラックマグマの標的になったのは、高校球界のホープ・高瀬秀一。
父親によって野球の英才教育を受け、プロ入りを目指していた。
秀一は突然現れた女性に研究所へと連れて行かれるが、それは崩壊への第一歩だった。
栄光に魅入られた親子の末路 恐怖のビーストシャワー!
今回のブラックマグマの作戦は、スーパースターを心の支えとする人間の心理に付け込み、スーパースターとなる若者に栄光を味わわせた後、そのスーパースターを獣へと変えて人間を絶望させること。その標的として狙われたのが、高校野球界のホープである高瀬秀一である。
監督である父親によって野球の英才教育を受けていた秀一だが、その成績は伸び悩んでおり、プロ入りしたとしても好成績を上げられるかわからないことに、父親は苦悩していた。
ブラックマグマはその父親の苦悩に付け込んで、人間の野生の本能を呼び覚ますという野生研究所と偽り高瀬親子に接触。秀一の能力を伸ばそうとする父親によって研究所に連れて行かれた秀一は、そこで原始人の本能を呼び覚ますという「ビーストシャワー」を浴びせられてしまう。
ビーストシャワーを浴びた秀一は、野球の成績こそ良くなったものの、性格が荒々しく変貌、人間性を失ってしまった。サンバルカンの活躍で、一度は救われた秀一だが、今度はビーストシャワーの効力が切れたことで極度のスランプに陥ってしまう。
それを心配した父親は、サンバルカンの監視を掻い潜り、再びブラックマグマに接触して、秀一にもう一度ビーストシャワーを浴びせようとしてしまうのだった。
それこそが、ブラックマグマの罠。再びビーストシャワーを浴びた秀一は、完全な野獣へと変貌してしまう。果たしてサンバルカンは、秀一を救い出すことが出来るのか。
機械帝国ブラックマグマは、人間を苦しめるための戦略会議を行っていた。
ゼロワンたちが口々に好き勝手なことを言う中、かつてベーダー一族を率いて人間を苦しめてきた実績を持つヘドリアン女王は、彼女たちの意見を一笑に付す。
そして、人間というものは肉体的に痛めつけるより、精神的なダメージを与えるほうが堪えるものだと言う持論のもと、人間のスーパースターを敬愛し精神の拠り所にしている偶像を破壊することで、人間の心を痛めつける計画を立案。
令和の今で言うなら、大谷翔平の成績がニュースを騒がせ話題になっているようなことだろう。
人間の心を熟知したヘドリアン女王は、さすがベーダー一族を率いて幾多の星を滅ぼし、地球でも幾多の作戦で人間の心を痛めつけてきただけはある凄みを感じさせる。
ヘドリアン女王はさらに、若いスーパースターを誕生させ、その後にその者の精神と肉体を野生化、完全な獣へと変えることでよりスーパースターの喪失を重大なものにしようと目論む。
ヘルサターン総統もその作戦を気に入り、すぐに作戦に応じた機械生命体が生み出された。
その名も、ヤキュウモンガーだ。
さらに、戦略を実行するスパイ機械人間・ダークQも生み出された。
大江高等学校のグラウンドでは、野球部のメンバーが練習に励んでいた。
その中のひとり、エースの高瀬秀一は、マネージャーの千恵子の励ましで奮闘する。
高瀬秀一を演じたのは、後に「大戦隊ゴーグルファイブ」「科学戦隊ダイナマン」で2年連続ブラック戦士を演じ、スーパー戦隊シリーズに黒い戦士の系譜を築き上げた春田純一氏。
「バトルフィーバーJ」36話、「電子戦隊デンジマン」第40話に続き、顔出しでのゲスト出演でシリーズ3作に連続出演、今回は苦悩する高校球児を演じている。
高瀬秀一は、高校球界No.1の強打者として知られ、秀一のプロ入りは、早くも話題になっていた。
そんな秀一は、監督である父親の指導を受けていた。
だが、秀一の父親のもとに、ブラックマグマのゼロワンが人間に化けて接触した。
ゼロワンは、秀一の父親が内心抱いていた、秀一の実力ではプロ野球界では通用しないという焦りを指摘して動揺させると、「野生能力開発研究所」の職員と名乗った。
スナックサファリでは、豹と秀一が、嵐山長官のカレーをたらふく食べていた。
秀一はスナックサファリの常連客で、嵐山長官のカレーが大好物だったのだ。
子供たちにサインを求められても快く応じる秀一の人気は、まさにスーパースターだった。
だがその夜、自宅で素振りをする秀一を見つめていた父親は、ゼロワンに指摘された秀一の実力不足と、それを自分が誰よりも理解していることに悩み、「野生能力開発研究所」の研究によって、人間の潜在能力を開放、秀一の能力を倍にするという甘言を思い出していた。
秀一の父親の夢は、息子の秀一を日本一のスーパースターに育て上げることだった。
そのために、3歳の頃からバットとボールを持たせ、野球の英才教育を施したのだ。
だが、秀一が十分に努力し、実力を身に着けたにも関わらず、父親は息子を信じられずにいた。
苦悩した父親は、秀一を「野生能力開発研究所」に連れて行く。
その所長の男は、冒頭に生み出されたダークQだった。
ダークQは、いわゆる火事場の馬鹿力の話を持ち出し、人間には誰しもスーパーパワーが秘められていると説明すると、それを引き出すため、筋肉を野生化させる特殊光線「ビーストシャワー」を浴びせれば良いのだと嘯く。3日に1度、ビーストシャワーを浴びるだけで、王や長嶋といった、往年の名選手を上回る能力を身につけられるという誘惑。
秀一の父親は、ビーストシャワーを秀一に浴びせることを承諾してしまう。
ビーストシャワーを浴びた秀一の肉体は、急速に体毛が伸び始めた。
ダークQは潜在していた原人の能力が引き出されたためだと説明する。
やがて、秀一の肉体は元の様子に戻った。
その翌日から、秀一は見違えるような動きを見せ始めた。
ホームランを連発する秀一。だが、その態度は以前と明らかに異なり、周囲を敵視するような、野獣の眼光が浮かんでいた。千恵子は、そんな秀一の様子に不安を覚える。
スナックサファリを訪れた千恵子から、ホームランを打てるようになったものの、性格が荒々しくなった秀一の変化を伝えられた嵐山長官。
野生能力開発研究所の話を聞いた嵐山長官は、そこにブラックマグマの陰謀を感じ取った。
嵐山長官の命を受け、大鷲は秀一の見張りを始めた。
父親に連れられ、「野生能力開発研究所」に向かう秀一を尾行する大鷲。
大鷲はバルイーグルになり、バルカンアイで中を透視。ダークQが秀一にビーストシャワーを浴びせている現場を目撃すると、壁を突き破って秀一を救出に向かった。
壁を突き破るバルイーグルは、まるで人力ライダーブレイクだ。
バルイーグルはバルカンスティックでビーストシャワー発生装置を破壊。
ヤキュウモンガーが襲いかかるものの、そこにバルシャークとバルパンサーも現れた。
だが、ブラックマグマはすぐに撤退してしまう。
ビーストシャワーの効力が切れた秀一は、極度のスランプに陥ってしまった。
太陽戦隊は秀一を守るため、手分けして秀一をマークする。
太陽戦隊のマークが強くなったため、ブラックマグマから秀一の父親への連絡は途絶えており、秀一の父親は、この状況を苦々しく思っていた。
秀一の父親は、職員室でブラックマグマからの電話連絡を受け、もう一度ビーストシャワーを浴びせるように頼んでしまい、ブラックマグマはそちらに出向くことを承諾する。
太陽戦隊に、陽動としてゼロツーやマシンマンたちが襲いかかった。
そしてその間に、ゼロワンやダークQ、ヤキュウモンガーが秀一にビーストシャワーを照射する。
秀一の父親はついに自らの過ちに気づいたものの、気絶させられてしまった。
バルイーグルは秀一を助けに向かったが、時既に遅く、秀一はビーストシャワーの効果で完全に獣になってしまい、野獣化人間と化してしまう。
野獣化人間となった秀一は暴れまわり、車を持ち上げバルイーグルに投げつける。
3人揃ったサンバルカンですら、野獣化人間となった秀一を抑えられない。
そこに、千恵子が現れ、野獣となった秀一に必死に呼びかけた。
涙を流し、暴れるのを止めるように呼びかける千恵子の声が秀一に届く。
秀一の人間の心が呼び覚まされかけたその時、非道なブラックマグマはヤキュウモンガーに命じ、ヤキュウモンガーの殺人球を秀一に直撃させる。
さらに、ダークQが秀一を刺そうと近づいてきたが、太陽戦隊に破壊された。
太陽戦隊は千恵子たちに秀一を病院に運ぶように伝え、ヤキュウモンガーに立ち向かう。
「輝け!太陽戦隊!サン!バルカン!!」
今回から、3人揃っての名乗りの後に、太陽の輝きを背に3人が立つカットが追加。
より名乗りシーンが格好良くなった。
工場地帯で、太陽戦隊とブラックマグマの決戦が始まった。
バルイーグルの太陽パンチが、バルシャークのシャークジョーズが炸裂する。
ヤキュウモンガーは千本ノック攻撃を見せるが、サンバルカンもバットを取り出し、ノックされた殺人ボールをさらに打ち返して反撃した。
追い詰められたヤキュウモンガーは、殺人ボールを分身魔球で投げつけて攻撃。
しかし、サンバルカンも太陽ジャンプからの連続攻撃を決める。
そして、バルカンボールを叩き込んで、ヤキュウモンガーを倒した。
ヤキュウモンガーは巨大回路を起動させ大モンガーとなった。
サンバルカンもジャガーバルカンの発進を要請する。
今回からついに名主題歌「ファイト!サンバルカンロボ」が歌入りで流れ始め、よりジャガーバルカン発進シーンを持ち上げてくれるようになった。
「合体!グランドクロス!」
大モンガーは先端にボールが付いた杖がサンバルカンロボを殴打するが、サンバルカンロボもバルハンドで大モンガーを捕縛、杖を奪って反撃する。
「太陽剣!オーロラプラズマ返し!」
そして、必殺のオーロラプラズマ返しで大モンガーを倒し、勝利するのだった。
平和が戻り、秀一も無事に元の人間に戻った。
秀一は、今日も嵐山長官のカレーを食べている。千恵子との仲も良好だ。
嵐山長官は、秀一を救ったのは千恵子の愛の涙によるものだと話す。
「千恵子さんの愛の涙が、秀一くんの心を呼び戻したんだ。涙を流す動物はたくさんいるが、愛の涙を流せるのは、人間だけだ」
嵐山長官は、他者のために涙を流せる動物である、人間の素晴らしさを語るのだった。
ブラックマグマは、人間を野獣化しようとした。
しかし、人間の心まで、野獣化することは出来なかったのである。
愛が、人間を救ったのだ。輝け!太陽戦隊サンバルカン!
息子の秀一に夢を託した結果、焦りから息子を慮る心を失い、野獣に変えてしまいそうになった父親の悲劇と、そんな秀一を思う千恵子の愛の涙を流す真心が秀一を救うという美しい構図が対比して描かれ、他者を思いやることが出来る人間の心の素晴らしさが描かれた回。
嵐山長官が最後に語る、「愛の涙」についての話がこの物語のメッセージ性を伝えている。
また、名乗りシーンのさらなる演出強化や、「ファイト!サンバルカンロボ」の歌入りでの使用など、劇中を彩る演出が完成しており、見ごたえのあるエピソードだった。