あらすじ
ブラックマグマは上村博士に毒シダを繁殖させるため、博士の亡き愛娘・ユミそっくりのダークQを与えた。博士は心ならずもブラックマグマに協力する。
一方、博士と旧知だった美佐は、独自で真相を調査し始める。
利用された娘への愛 感情を持ったダークQの悲劇
ブラックマグマは、娘のユミを失い悲しみに暮れていた上村博士の心の隙に乗じ、上村博士に毒シダを繁殖させる代わりに娘そっくりに作り上げたダークQを提供する契約を交わした。
そして、ユミの顔と心をコピーしたダークQを与えられた上村博士は、毒シダを繁殖させてしまえば人間社会に大きな被害が出ることに苦しみながら、娘を2度失うことを恐れてブラックマグマに協力してしまう。一方、上村博士と既知の間柄だった美佐は、亡くなったはずのユミと歩く上村博士を目撃し、上村博士の周囲に異変が生じていることに気づき、単身調査を行うのだった。
果たして美佐と太陽戦隊は、ブラックマグマに利用される上村博士を救えるのか。そして、ユミの心をコピーしたダークQは、ブラックマグマの命令と父への愛のどちらを選ぶのか…。
ブラックマグマは、新たに少女型のダークQを作り出していた。
その使命は、植物の品種改良にかけて世界一と言われる上村博士の一人娘、ユミになることだ。
上村博士は1年前、ユミに先立たれて以来、ショックで嘆き悲しんでいた。
ブラックマグマはその心の隙に乗じ、ユミの姿を模したダークQを作り与える代わりに、猛毒を持った毒シダを繁殖させるという契約を交わしていたのである。
ダークQはユミの役を演じて上村博士を立ち直らせ、毒シダ繁殖を進めさせるために上村博士を監視する役目を与えられると、ユミの顔を持って完成に至った。
ヘドリアン女王も、その出来栄えに惚れ惚れする。
ブラックマグマは植物の品種改良に長けた上村博士に毒シダを品種改良、猛毒に変化させた後、日本中に繁殖させて人間を皆殺しにしようと目論んでいた。
ユミとなったダークQと対面した上村博士は、二度と会えぬと思っていた娘との再会に涙する。
涙を流すダークQを見た上村博士は、娘を二度と離すまいと感涙するのだった。
ブラックマグマはそんな上村博士に、毒シダを繁殖させる契約を履行させようとする。
公園でローラースケートの練習をしていた美佐は、上村博士がユミと遊ぶのを目撃した。
美佐は上村博士と既知の間柄で、ユミが既に亡くなっていたことも知っていた。
美佐がユミの生存を訝しんでいると、上村博士は美佐に気づき、逃げるように立ち去ってしまう。
美佐が上村博士の家を訪ねるが、家はブラックマグマが占拠していた。
ブラックマグマは、上村博士に美佐にユミのことを知られたからには警戒するように命じる。
スナックサファリに戻った美佐は、嵐山長官たちにユミのことを話していた。
だが、嵐山長官も1年前のユミの死を目の当たりにしており、それ以来、上村博士が家にこもって気落ちしていることから、美佐の言うことを信じきれない。
太陽戦隊の面々も、他人の空似ではないかと美佐の言うことを信じず、パトロールに行ってしまった。美佐は仕方なく、一人で上村博士のことを徹底的に調べることにした。
美佐は再度上村博士の家を訪ねたが、上村博士の自室はもぬけの殻になっていた。
研究資料を急いで持ち出した痕跡が残されている研究室で、美佐は1年前の日付と、別荘にて撮影した旨が裏に書かれた、上村博士とユミが写った写真を発見する。
その頃、上村博士はユミ=ダークQの監視を受けながら、別荘にて毒シダの品種改良と繁殖作業を行っていた。急速に繁殖する毒シダは、やがてシダモンガーに姿を変える。
自分が機械生命体を生み出してしまったところを、娘に目撃された上村博士は自らの行いを後悔するが、ユミはパパのすることはどんなことでも許すと微笑むのだった。
上村博士は、そんなユミに2人だけで生きようと語りかける。
シダモンガーは、花壇や植え込みに毒シダを一本一本植え始めた。
なんだかものすごく地道な作業だが、一度植えてしまえば後は勝手に繁殖するのだろう。
やがて、花壇や植え込みに毒シダの葉が現れ、それに手を触れた人々は毒にやられ、倒れていく。
知らせを受けた太陽戦隊が出動し、シダモンガーを発見した。
「ぼくらのサンバルカン」をバックに、シダモンガーを痛めつけるサンバルカン。
シダ爆弾を躱したサンバルカンは、太陽キックを炸裂させたものの、シダモンガーはシダ毒ガスで反撃し、サンバルカンが怯んだ隙に逃げおおせてしまった。
一方、美佐も上村博士の別荘へたどり着いていた。
上村博士とユミは、「四季の歌」を唄い、ひと時の平穏な時間を過ごす。
だがそこに、ブラックマグマが現れた。
なんでも、上村博士が品種改良した毒シダは、一時的にこそ毒の効果を発揮するが、命に別状がない程度の効力しか持たず、ブラックマグマは上村博士がわざと弱い毒を作ったのではないかと疑っており、契約不履行ならばユミを再び失うことになると脅しに来たのだ。
その様子を部屋の外から見ていた美佐は、ユミがダークQであることを知る。
美佐からの連絡を受けた嵐山長官は、上村博士が毒シダ作りを強制されていることを知った。
嵐山長官は太陽戦隊に、上村博士の救出を命じる。
一方、上村博士もまた、毒シダの品種改良を完成させてしまえば今度こそ大きな被害が出ることと、ユミを失うことになる苦しさとの間で板挟みになっていた。
そこに、別荘に潜入した美佐が現れる。
ユミを見捨てられない上村博士に、ユミはダークQ、メカ人間に過ぎないと説得する美佐。
美佐はユミを気にする上村博士を連れ、脱出を図った。
だが、上村博士はユミのもとへ向かい、ユミも一緒につれて脱出を図ろうとする。
その様子はブラックマグマに発見されてしまい、シダモンガーが美佐たちを追跡した。
美佐はユミを抱いて逃亡する上村博士からユミを引き離そうとするが、もみ合った末に全員崖から滑落してしまう。どうでもいいが、抱きかかえられたユミのスカートが捲れ上がっているのは今ならNGシーンだろう…。後、崖から滑落する美佐が派手に回転して落ちているのも凄い。
崖下に落ちた上村博士は、ダークQの機械の顔を顕にしたユミに、ユミの顔の仮面を貼り付け、ダークQを再びユミの姿に戻す。その頃、太陽戦隊も別荘に辿り着いていた。
上村博士の胸の中で、ユミが目を覚ました。
だが、ゼロワンはユミに、裏切り者を殺すように指令を出していた。
ユミの手首が外れ、中から機関銃が顕となり上村博士を狙う。
そこにバルイーグルが助けに入り、太陽戦隊はユミがメカ人間であり、ブラックマグマにリモートコントロールされているのだと説得する。
だが、上村博士はユミをまっすぐに見つめ、名前を呼び続けた。
すると、指令通り動くはずのメカ人間だったユミが感情を持ち、「父」を撃つことを拒んだ。
ゼロワンは、ブラックマグマを裏切ったユミを、遠隔操作で自爆させる。
ユミは、上村博士を巻き込まないために遠く離れると、父に別れを告げて爆発した。
あまりにも非情なブラックマグマの行いに、美佐と太陽戦隊の怒りが爆発する。
ブラックマグマはシダモンガーを上村博士抹殺に向かわせた。
太陽戦隊は上村博士を美佐に任せ、高らかに名乗りを上げる。
「輝け!太陽戦隊!サン!バルカン!!」
サンバルカンは各々がモチーフとする動物を模した、アニマルアタックでマシンマンたちを破壊。
シダモンガーはシダ毒ガスを放射し、サンバルカンを攻撃する。だが、サンバルカンは反撃のスカイジェッターを叩き込むと、バルカンボールを叩き込んでシダモンガーを倒した。
シダモンガーは巨大化回路を作動させ、大モンガーとなった。
サンバルカンもジャガーバルカンの発進を要請する。
ジャガーバルカンからコズモバルカンとブルバルカンが発進。
「合体!グランドクロス!チェンジ、サンバルカンロボ!」
コズモとブルが合体し、サンバルカンロボが戦場に降り立った。
大モンガーはシダ毒ガスや、蔓を伸ばした攻撃を見せるが、サンバルカンロボには効かない。
「太陽剣!オーロラプラズマ返し!」
必殺のオーロラプラズマ返しが炸裂し、大モンガーは敗れ去るのだった。
上村博士は、ユミのために墓を作り、ユミは心のなかで生き続けると、その死を悼んだ。
美佐や太陽戦隊もまた、博士の愛情が届き、感情を持ったダークQの死を悼む。
メカ人間の感情を動かした、愛の偉大さに打たれて、サンバルカンは戦いの場を後にした。
輝け、太陽戦隊サンバルカン…。
人間の愛の心を受け、感情を持つに至ったダークQの悲劇と、人の心の悲しみにつけこみ、裏切り者を容赦なく始末するブラックマグマの非道が強く強調されたエピソード。
娘に先立たれてしまった悲しみにつけこまれ、二度と会えないはずの娘との再会という願いをブラックマグマに利用されてしまった上村博士を、誰が責めることが出来よう…。
今回は美佐の活躍編となっており、既知の間柄である上村博士を心配し、感情を持ったユミの死に哀しむ美佐の優しさが強調して描かれていた回でもあった。
美佐の優しい心が描かれていたからこそ、対比としてゼロワンたちブラックマグマの非情さ、冷酷さもまた強調され、裏切ったメカ人間を容赦なく始末するゼロワンたち機械帝国の冷徹さと、その死を悼む美佐の人間の愛の心が対比して描かれた回だったといえよう。