あらすじ
東京中を氷漬けにしようとたくらむネオショッカーの怪人・コゴエンスキーは、戦いの前にささげる、生贄となる少女を誘拐していた。生贄にされた少女を収めた冷凍ミサイルの発射が秒読み態勢に入るなか、仮面ライダーがアジトに乗り込み…。
生贄を狙うコゴエンスキー 冷凍ミサイル発射を阻止せよ!
今回のネオショッカーの怪人は、雪男の怪人であるコゴエンスキー。
アラスカに存在するという「サブスギール帝国」から日本に招集された改造人間であり、体に生えた氷柱を取り外して投げつける「冷凍手裏剣」と口から吐く冷凍ガスが武器だ。
そんなコゴエンスキーの任務は、冷凍ミサイルを発射することによる東京寒冷化作戦だ。
だが、コゴエンスキーが住むサブスギール帝国では、戦いの前に国の勝利と栄光を願って「守護神ヒエール」に生贄を捧げるという儀式を行う掟になっているらしく、コゴエンスキーはその儀式に従って、冷凍ミサイルに生贄となる子供を収める人型を設置。
そこに、汚れのない少女を生贄として捧げ、生贄にされた少女の恐れ慄く心臓の鼓動に合わせてミサイルの発射装置が作動するという仕掛けを組み上げると、生贄となる少女を探し始める。
そして、茂の友人であるシンの妹、みつ子が運悪く生贄に選ばれてしまうのだった。
果たして仮面ライダーはみつ子や、先に捕まった茂たちを救い、コゴエンスキーを倒せるのか。
茂は、谷に作ってもらったというラジコン飛行機を、友人たちと一緒に飛ばしていた。
茂の友人であるシンは、茂に頼み込んで一回だけという約束でラジコン飛行機を操縦する。
だが、操縦を誤ってしまい、ラジコン飛行機は何処かへと墜落してしまった。
茂とシンは、シンの妹のみつ子にランドセルを預け、ラジコン飛行機を探しに行く。
茂とシンは無事にラジコン飛行機を見つけるが、そこにネオショッカーのトラックが現れる。
荷台から現れたのは雪男の怪人であるコゴエンスキーだった。
「あぁ~暑い暑い、なんて暑い国だ~!頭にくるわぁ~!!」
雪国育ちのコゴエンスキーは日本の気候に文句をいうと、冷凍ガスを放出。
周囲の木を一瞬で凍結させてしまう。
「見たか、俺様の冷凍ガスの威力を!日本は暑すぎる!」
茂とシンは、やめときゃいいのにネオショッカーの後をつけることにした。
ブランカでは、茂が来ないことをアキが心配していた。
ナオコは軽口を叩くものの、洋も内心茂が来ないことに不安を隠せない。
一方、茂はネオショッカーが入っていった倉庫の中の隠しスイッチを見つけ、秘密の入口を発見。
そこでは、コゴエンスキーが魔神提督に、冷凍ミサイルを見せていた。
コゴエンスキーの故郷であるサブスギール帝国が誇る兵器である冷凍ミサイルを撃ち込めば、東京はたちまちのうちに凍結し、氷漬けになってしまうのだという。
魔神提督がいつ発射するのかと尋ねると、コゴエンスキーは生贄が見つかり次第と答えた。
サブスギール帝国では、国の勝利と栄光を願い、戦いの前に守護神ヒエールに生贄を捧げる掟がある。コゴエンスキーは冷凍ミサイルに備えた人型に適合する生贄をセットし、その恐怖に慄く鼓動によって冷凍ミサイルの発射装置を起動させる仕掛けを作っていた。
魔神提督は早速、人型に適合する生贄を探してくるように命じる。
茂とシンは急ぎ洋にこのことを伝えようとしたが、手が滑ってラジコン飛行機を落としてしまい、アリコマンドに発見されてしまった。魔神提督はシンをミサイルの人型に嵌め込んで生贄にしようとするが、コゴエンスキー曰く、生贄は汚れのない少女でないといけないらしい。
コゴエンスキーが提示するあまりにもめんどくさい掟に辟易した魔神提督は、3日のうちに生贄を見つけて冷凍ミサイルを発射するように命じる。
そして、もし発射できなければコゴエンスキーも処刑すると告げ、去って行った。
コゴエンスキーたちは街に出て生贄となる少女を探し始めた。
だが、コゴエンスキーは選り好みが激しいのか、手当たり次第に多くの子供達を襲い、親子やバスを氷漬けにしながら女の子ばかりを拉致していく。
新聞記事で、コゴエンスキーが人々を氷漬けにしながら女の子を攫っていることを知ったブランカの面々。また、茂を探していた洋も、茂を見つけられずにいた。
そこに、みつ子が茂とシンのランドセルを届けにやってきた。
茂とシンが、ラジコン飛行機を追いかけていなくなったことを教えられた洋は、みつ子の案内で茂たちがラジコン飛行機を追いかけていった方角へ向かう。
だがその前に、コゴエンスキーが現れた。
コゴエンスキーは冷凍ガスで、洋のバイクを氷漬けにする。
そして、アリコマンドたちにみつ子を拉致させた。洋は仮面ライダーに変身する。
コゴエンスキーは氷柱を投げつける冷凍手裏剣で仮面ライダーを攻撃。
さらに、冷凍ガスで仮面ライダーの手を凍結させてしまった。
コゴエンスキーは仮面ライダーにとどめを刺すべく冷凍手裏剣で攻撃しようとするが、仮面ライダーは凍結し自由の効かない両腕で氷柱を挟み、コゴエンスキーの左目に突き刺す。
大ダメージを負ったコゴエンスキーは撤退したが、みつ子は攫われてしまった。
仮面ライダーはスカイターボを呼ぶ。冷凍ガスで凍結した洋のバイクは無事にスカイターボに変形し、仮面ライダーは急ぎみつ子を攫ったネオショッカーのトラックを負った。
だが、ネオショッカーのトラックは冷凍ガスを噴射し、仮面ライダーが怯んだ隙に姿を消す。
コゴエンスキーのアジトの地下牢には、手当たり次第に攫ってきた子供たちが溢れかえっていた。
だが、誰も彼もが生贄に適合しておらず、魔神提督はイライラする。
アリコマンドたちも、コゴエンスキーの選り好みの激しさに辟易していた。
「生贄はまだ見つからんのか!」
「全力を尽くしておりますが、何しろコゴエンスキー様の選り好みがキツすぎて…!」
「あの冷凍怪人め…!」
そこに、コゴエンスキーが帰ってきた。
仮面ライダーによって氷柱を左目に突き刺されたコゴエンスキーは、もし氷柱が溶けて失われてしまえば、そこから体内の冷凍ガスが漏れ出してしまい、命がないのだという。
コゴエンスキーたちがみつ子を攫ってきたことに、茂は怒る。
だが、コゴエンスキーはそれに激昂し、冷凍ガスを噴射。茂はそれを避けるが、後ろにいたシンが冷凍ガスを浴びて凍結してしまう。さらに、みつ子が生贄に適合してしまった。
ついに、冷凍ミサイル発射準備が完了してしまい、魔神提督は高笑いする。
ブランカに戻った洋は、谷から特製の指輪を渡されていた。
その指輪とは、100分の1に凝縮された液体酸素が入っており、スイッチ操作でショート、30秒間炎を噴射する仕掛けが施された、冷凍怪人対策の装備である。
洋はコゴエンスキーのアジトを探すべく、茂が遊びに行きそうな場所を虱潰しに探すことにした。
一方、囚われの茂も、アジトの場所を書いた手紙をラジコン飛行機につけて飛ばし、助けを呼ぶために、地下牢の外に落ちているラジコン飛行機のプロポを引き寄せようとする。
だが、狡猾な魔神提督は、そんな茂のアイデアを逆用し、仮面ライダーを誘き出す罠を目論んだ。
茂を捜索する洋の前に、茂のラジコン飛行機が飛来した。
そこから落ちた、茂の筆跡の手紙を手がかりに、洋はラジコン飛行機を追跡する。
ラジコン飛行機が着陸した倉庫に入った洋は、怪しい小部屋に潜入した。
だが、小部屋の扉は固く閉ざされ、通気口から冷凍ガスが噴射され始めた。
そこに、魔神提督の立体映像が投影され、罠に嵌った洋を嘲笑う。
さらに、みつ子が生贄にされ、茂が囚われている様子を見せ、勝ち誇る魔神提督。
もはや、東京は氷漬けになり、全滅する運命なのか。
洋は薄れゆく意識の中、仮面ライダーに変身。凍てついた身体に残された最後の力で、手首を回転させ壁を貫くスカイドリルを発動し、扉を貫いて外から施錠された鍵を開けることに成功する。
みつ子の脈拍が発射装置を起動させるほどに高まり、ついに発射装置が起動。
冷凍ミサイル発射準備が整い、残された時間は30秒。
しかしそこに、仮面ライダーが駆けつけた。
仮面ライダーは、谷が作った指輪を茂に渡し、牢屋の鍵を破るように指示。
茂は無事に牢屋の鍵を破ることに成功する。
そして、仮面ライダーも冷凍ミサイル発射装置を破壊。
駆けつけた谷に、みつ子や茂たちを任せ、逃亡を図るコゴエンスキーを追う。
仮面ライダーはネオショッカーの先回りをし、コゴエンスキーたちの前に立ちふさがる。
「ここがお前の死に場所だ!行くぞ!」
コゴエンスキーは氷柱を「冷凍槍」としてアリコマンドに投げ渡す。
だが、仮面ライダーは逆にアリコマンドから冷凍槍を奪い取って反撃した。
コゴエンスキーもまた、冷凍手裏剣攻撃で仮面ライダーを攻め立てる。
そして、冷凍ガスを直撃させ、仮面ライダーの全身を凍結させてしまった。
だが、仮面ライダーはその氷漬け状態をすぐに脱し、反撃。
コゴエンスキーの左目に刺さった氷柱が弱点になったことを看破すると、左目から氷柱を引き抜き、コゴエンスキーの体内から冷凍ガスを急激に失わせる。
冷凍ガスを失い弱ったコゴエンスキーに、仮面ライダーはとどめのスカイキックを放った。
「おのれ仮面ライダーめ…残念…!」
コゴエンスキーは倒れ、冷凍ミサイルも爆発。氷漬けになったシンも無事に回復した。
谷は洋の健闘を称え、洋も茂たちの無事を喜び、笑顔を見せるのだった。
冷凍ミサイル発射までに母国の掟を守った結果妙に回りくどいシステムを生成し、生贄の子供を選り好みしてアリコマンドにボヤかれるなど、コゴエンスキーのキャラが立っていて面白い回。
魔神提督が内心、サブスギール帝国の掟の面倒臭さに辟易しているのが窺えるのも面白い。
筑波洋が茂たちの良き兄貴分として活躍する描写も徹底しており、シリーズに復帰した阿部征司プロデューサーの好む、明るく明快なヒーロー像が徹底された作劇となっている。
明快なエンタメ性を高めた作劇の強化で、筑波洋の持っていた、改造人間になったことを悲観しない陽性の雰囲気も存分に物語の中で引き立つようになり、キャラクターが定着したと言えよう。