あらすじ
窮地に陥ったスカイライダーの危機を救ったのはストロンガーだった。
2人のライダーを前にした怪人たちはいったん姿を隠すが、既に新たな作戦が進んでいた。
一方、スカイライダーはストロンガーと共に新たな必殺技を編み出す。
ストロンガーの帰還!新たなる技、大回転スカイキック炸裂!
前回、仮面ライダーをギリギリまで追い詰めたクラゲロンとサイダンプの強敵2怪人。
これまでのネオショッカーの「〇〇ジン」というネーミング規則を脱したこの2怪人の登場をきっかけに、ネオショッカー怪人はよりバラエティ豊かな怪人が多数登場するようになる。
また、今回のサブタイトル「2人ライダー対強敵2怪人」のフォントが、「対」を□で囲む表記になっており、映画「仮面ライダー対ショッカー」のセルフオマージュになっているのも見逃せない。
仮面ライダー=スカイライダーが1人でしかないことから、2つの作戦を同時に実行することで、仮にどちらかの作戦を阻止されてもどちらかの作戦は成功するという二面作戦を実行した魔神提督。
それはかつて、「点」でしかないV3を「面」で制圧すべく、ショッカー・ゲルショッカーの大幹部全員を蘇らせたデストロンのドクトルGの如き狡猾さだった。
だが、仮面ライダーは決して「1人」ではない。
かつて、デルザー軍団を壊滅させ戦いの宿命に終止符を打ち、海外へ旅立った栄光の7人ライダーたちもまた、日本で8人目の勇者が生まれ、戦っていることを知っていたのである。
そして今、スカイライダーの危機に際し、7人目の勇者、ストロンガーが帰還したのだ。
今、2人の仮面ライダーと強敵2怪人のタッグマッチが幕を開ける。
魔神提督は、東南アジアから、クラゲロンとサイダンプの2体の恐るべき改造人間を呼び寄せた。
クラゲロンは、その体内に持つ恐るべき毒小クラゲを繁殖させ、東京中の水に撒く毒水作戦を行い、サイダンプはそのパワーでダム破壊作戦を行う。魔神提督の大攻撃が始まろうとしていた。
しかも、両怪人には、仮面ライダー必殺のスカイキックが通用しなかったのだ。
絶体絶命の仮面ライダーが最大のピンチに陥った時、突然その勇姿を見せたのは、かつてブラックサタン、デルザー軍団から日本の平和を守り抜いたライダーストロンガーだった。
「ストロンガーも俺と同じ、『仮面ライダー』か…!」
自分と同じ、正義のため、人間の自由のためにネオショッカーと戦う改造人間「仮面ライダー」が、自分の他にも存在していたことに驚く仮面ライダー=スカイライダー。
ストロンガーはクラゲロンを追って日本へと帰国したのである。
ストロンガーの電キックがクラゲロンの触手に炸裂し、仮面ライダーの拘束を外した。
ストロンガーは、さらにサイダンプに対しても強烈な一撃を炸裂させる。
スカイライダーは前回、ネオショッカーに人質にされた弓子を逃がし、突撃してきたサイダンプを投げ飛ばす。倒れたサイダンプに、ストロンガーはクラゲロンの攻撃を誘導してサイダンプにぶつけることで、2怪人の仲違いを誘発させるのだった。
ストロンガーの、歴戦の勇士らしい判断力と実力が遺憾なく発揮されている。
ストロンガーによってまんまと仲違いさせられ喧嘩する2怪人に、魔神提督も呆れる。
「バカ者共!大事な作戦を前に戦っている場合か!仮面ライダーなど放っておけ!」
魔神提督の叱責で、クラゲロンとサイダンプは自分たちの作戦へと戻っていった。
「ストロンガー!東南アジアからやって来おったか…この日本で必ず始末してやる!」
魔神提督のストロンガーへの宣戦布告が、大空に響く。
「スカイライダー。お前の日本での活躍は知っていた!」
スカイライダーとストロンガーは、固い握手を交わす。
ストロンガーは7人目の仮面ライダーとして、かつて日本で活躍していた。そして、6人の仮面ライダーとともに、世界各国に散り、今は東南アジアでネオショッカーと戦っていたのであった。
クラゲロンと戦っていたストロンガーは、クラゲロンが毒小クラゲを繁殖させる手口を使うことを知っていた。そして、サイダンプがインドで次々にダムを破壊していることも。
スカイライダーは、ストロンガーの情報から、クラゲロンが東京の水質汚染を目論見、サイダンプがダムを破壊して大勢の人を溺死させようとしていることを察知する。
その頃、サイダンプは猛スピードで破壊目標となるダムへ向かっていた。
「う~ん、流石にジャパンのダムだ、良く出来ている。ぶっ壊しがいがある!」
こんなに嬉しくないメイド・イン・ジャパン礼賛も珍しい。
少し遅れて、ダムの管理者である金山はサイダンプの声を聞きつけて様子を見に来たが、サイダンプはその時既に姿を消していた。
スカイライダーとストロンガーは、互いの愛車に乗ってダムへ急行した。
「俺のこいつはカブトローだ!」
「俺のはスカイターボだ!」
お互いのバイクの名前を教え合う2人のライダーが、なんだか微笑ましい。
この時登場したカブトローは、「仮面ライダー (新) (スカイライダー)」のスポンサーだったポピーが販売した、(ライダーマン以外の)8人ライダーのバイクを立体化したフィギュアセット「スーパーライダーセット」のCM撮影のために新造されたもの。
このCM撮影のために、1号からストロンガーまでの乗るマシンが新造され、番組でも活用された結果、このシーンのように、スカイライダーの駆るスカイターボとの並走シーンが実現している。
「スーパーライダーセット」のセット内容に合わせた結果、1号が改造サイクロン号、2号が新サイクロン号と別のマシンに乗ることになったり、また個々のマシンの造形もやや不満が残る出来栄えではあったものの、「仮面ライダー」らしいバイクに乗った揃い踏みが実現したことは、「仮面ライダー (新) (スカイライダー)」にとって恵まれた環境だったと言える。
ダムに到着した2人のライダーだが、ダムに異常は見られない。スカイライダーとストロンガーは、ネオショッカーが2つの作戦を同時に実行しようとしていることを踏まえ、クラゲロンの毒小クラゲの繁殖が完了すると同時に、サイダンプのダム破壊も実行されるものと推測する。
ストロンガーによれば、クラゲロンの毒小クラゲの繁殖が東京中の水を汚染する数に達するまで、わずか3日しかない。2人のライダーは、同時に実行されるであろう2つの作戦を防ぐべく、ストロンガーがクラゲロンを受け持ち、スカイライダーがサイダンプを引き受けることにした。
クラゲロンは自分のアジトで毒小クラゲを繁殖させていた。
そこにやってきたサイダンプは、毒小クラゲが「気味が悪い」と嫌味を言う。
繁殖が完了次第、水道管に毒小クラゲを流し込む手筈を説明したクラゲロンに対し、サイダンプも自分はダム破壊のプロフェッショナルだと作戦の成功に自信を見せるのだった。
ブランカを訪れた洋は、谷にストロンガーと出会ったことを報告していた。
谷も、洋以外に「仮面ライダー」がいたことに驚きを隠せない。
茂は洋に、「どっちの仮面ライダーが強いと思う?」と素朴な疑問をぶつける。
ゴールドマンとシルバーマンの天上兄弟喧嘩が勃発しそうな質問だ…。
洋は「仮面ライダーの強さは同じなんだ」と答える。
そして、ストロンガーが駆けつけなければスカイキックが通用せずにやられていたことを省みて、スカイキックを強化すべく、特訓に挑むことを決意するのだった。
スカイライダーは、サイダンプ対策として、巨大な岩にスカイキックを命中させる。
だが、スカイキックは岩の重量の前に弾かれてしまい、スカイライダーはスカイキックのパワーアップのために何をすれば良いのか途方に暮れていた。そこに、ストロンガーが現れる。
「スカイライダー。かつて俺たち7人ライダーは、命がけの特訓で強敵と戦い、それを倒してきた。スカイライダー。お前も同じだ。俺が特訓の手伝いをしよう!」
ストロンガーは強固な鎖で自分の体を固定し、自分の胸のカブテクターめがけてスカイキックを炸裂させることで、サイダンプの装甲を貫くためのスカイキック強化特訓を行わせる。
スカイライダーはスカイキックを決めるが、スカイライダーのカブテクターに弾かれた。
「もっと回転を上げるんだ!」
ストロンガーは、スカイキックの前の空中回転数を上げるようにアドバイスした。
スカイライダーも、体の負担に耐えながら、回転数を上げていく。
「大回転!スカイキック!」
回転数を高めた大回転スカイキックがカブテクターを貫き、鎖に亀裂を生じさせた。
そして、再度放たれた大回転スカイキックは見事に鎖を切り裂くほどの威力を発揮。
ここに、スカイライダーは新たな技、大回転スカイキックを習得した。
2人のライダーは固い握手を交わす。ネオショッカー作戦決行まで、後2日。
魔神提督は、ストロンガーがクラゲロンの能力や毒小クラゲの繁殖力を知っていることから、作戦実行を2日後と計算していると踏んでいた。
クラゲロンも、ストロンガーならそれを計算済みかもしれないと、その判断力を警戒する。
ストロンガーの歴戦の戦士としての知力を最大限に警戒するネオショッカー陣営の対応が、海外で戦う先輩ライダーの頼もしさを演出しており、素晴らしいシーンだ。
そこで魔神提督は、作戦決行を1日早めるように命じ、クラゲロンも毒小クラゲの繁殖を進める。
サイダンプもまた、ダムの破壊のために爆薬のセットを進めるのだった。
真夜中、ダムの当直の職員は、爆薬を運んでいるアリコマンドたちを発見してしまう。
サイダンプはその職員を気絶させる。
朝になり、ダム破壊の準備を終えたサイダンプは、クラゲロンに作戦開始の合図を出す。
合図を受けたクラゲロンは水道管に毒小クラゲを流し込むのだった。
その頃、ダムの管理者の金山は、息子やその同級生をダム見学へ連れてきていた。
金山がダムの施設を案内していると、昨夜、サイダンプに襲われた職員を発見する。
職員が指差す先には、時限装置が作動した爆薬が仕掛けられていた。
金山は咄嗟に時限装置を解除することに成功する。
ブランカでは、沼が水道から出た毒小クラゲを発見。
谷は急いで洋に連絡を取り、洋はネオショッカーの作戦開始を知る。
そこに、ストロンガーも駆けつけ、洋はスカイライダーに変身してダムに急行した。ストロンガーもまた、川に蔓延する毒小クラゲを見て、川の上流にクラゲロンのアジトがあることを察知する。
ダム爆破の時間になっても爆薬が起動しないことを訝しんだサイダンプは、職員を連れて脱出を試みる金山を発見し、回収した爆薬を差し出すように詰め寄る。
金山はそれを拒絶するが、狡猾なネオショッカーはいつの間にか金山の息子を捕らえていた。
ストロンガーはついにクラゲロンのアジトへ到達し、毒小クラゲの繁殖装置を破壊。
だが、クラゲロンはアジトの脱出口から逃亡してしまう。
一方、スカイライダーもダムに到着し、金山の息子たちを救出した。
アリコマンドを蹴散らしたスカイライダーは、サイダンプとの決戦に挑む。
作戦が潰えたクラゲロンもダムに現れたが、2人の怪人はお互いの作戦の失敗を罵り合う。
お互いの健闘を信じて役割分担した2人のライダーとは見事に対照的な姿だ。
「ストロンガー、やってくれたのか…!」
破れかぶれのクラゲロンは、ダムの水に毒小クラゲを混入させようとする。
しかしそこに、ストロンガーが立ちふさがった。
「クラゲロン!お前の相手は俺だ!電ショック!」
ストロンガーの電ショックが放たれ、大地を走る火柱がクラゲロンを焼き尽くす。
地面に火柱を走らせる技は「エレクトロファイヤー」だった気もするが、そもそもストロンガーの技名は「ストロンガー」本編の頃からちょっと曖昧だったので、誤差の範囲だろう。
クラゲロンは触手をストロンガーに絡ませるが、やはり電ショックで反撃された。
ブラックサタンの奇械人がやりがちだった失敗で、同じ轍を踏んでいる。
一方、スカイライダーはサイダンプの突進攻撃に苦戦していた。
サイダンプはさらに、無理矢理にでもダムを破壊しようとダムに突進していく。
スカイライダーはそれを阻止すると、スカイキックを放った。
だが、サイダンプはまたしても尻尾をジャッキスタンドとして伸ばし、スカイキックを弾き返す。
「お前のキックなど通用せんぞ!」
そこに、クラゲロンを痛めつけるストロンガーがアドバイスする。
「ライダー!回転数を上げろ!」
そして、ストロンガーがクラゲロンを抑え込んでいるうちに、スカイライダーは大回転スカイキックを放つが、まだ回転数が足りず、サイダンプに通用しない。
「特訓を思い出せ!」
ストロンガーの檄を受け、スカイライダーは3度目の正直とばかりにまたしても跳躍する!
「大回転!スカイキック!」
これまでのスカイキックを遥かに上回る高速回転を加えた大回転スカイキックは、ついにサイダンプの体を吹き飛ばし、強敵怪人サイダンプはついに倒れた!
「クラゲロン…俺の…仇を~!!」
サイダンプの死に愕然とするクラゲロン。なんだかんだ、同士としての友情はあったようだ。
そこに、ストロンガーもまた、自身の最強の技を炸裂させる。
「超電ドリルキック!」
デルザー軍団の改造魔人すら粉砕した超電子の技が、見事にクラゲロンを打ち破った。
超電子ダイナモを起動させ、チャージアップ・ストロンガーとならずに超電ドリルキックを決めたのは、スーツがない都合や、その辺りの細かい描写まで気にしていないと言えばそこまでではあるが、この後、映像作品においてチャージアップ・ストロンガーが登場していないことを思えば、ネオショッカーとの戦いの中で超電子ダイナモを改良し、チャージアップ・ストロンガーとならずとも、超電子の力を制限なしに使えるようになったのかもしれない…と想像するのも面白い。
こうして、2人の仮面ライダーは、強敵2怪人を見事に打ち破った。
スカイライダーは、水道管に混入された毒小クラゲのことを心配するが、ストロンガーによれば、親のクラゲロンが死ねば毒小クラゲも自然に消えてなくなるらしい。
スカイライダーは、金山の息子に、金山は命を懸けて立派にダムを守った立派な父親だと称賛の言葉を贈る。ストロンガーも、命を懸けて守るべきものを守ろうとした勇気に感服するのだった。
魔神提督の卑怯な二面作戦も、2人の仮面ライダーに打ち砕かれた。
そして、ストロンガーは日本の守りをスカイライダーに任せ、再び海外へ旅立った。
だが、狡猾な魔神提督は、次に何を企む…?
なんだかんだ仲が良いところを見せていたとはいえ、基本的にいがみ合っていたクラゲロンとサイダンプと、初対面ながらに心を通じ合わせ、力を合わせて陰謀を打ち砕いたスカイライダーとストロンガーの素晴らしい連携が対比して描かれた。
お互いの健闘を信じて役割分担し戦う2人のライダーの姿からは「仮面ライダーは皆兄弟だ」という、かつてのストロンガーの言葉を思い出さずにはいられない。
強敵に対して特訓し、新技を編み出すという昭和ライダーならではの展開も見どころとなったエピソード。特訓相手となったのは「おやじさん」にあたる谷さん…ではなくストロンガーだったが、むしろライダーの特訓相手が務まっていた立花藤兵衛が超人だっただけではあるので、特訓相手を同じ仮面ライダーが務める方が自然な展開ではある。
また、特訓相手となったのがストロンガーというのも絶妙で、重装甲を誇るサイダンプ対策の技を編み出す特訓相手が、栄光の7人ライダーの中でも明確にプロテクターを身に着けておりタフネスあふれるストロンガーだったというのが見事に適合した展開になっている。
こうして、阿部征司プロデューサーのシリーズ復帰に伴う強化策として、歴代ライダーの登場が大きな売りとして展開することになった「仮面ライダー (新) (スカイライダー)」。
ストロンガーはこの後、8人ライダーが勢揃いするエピソードや、城茂本人が登場するエピソードにも登場し、スカイライダーの良き兄貴分として頻繁にスカイライダーを助けにやって来る。
そしてこのエピソードを一つのきっかけに、栄光の7人ライダーたちも次々に日本へ帰国。
スカイライダーを加えた8人ライダーと、ネオショッカーの戦いは新たなステージを迎える。