あらすじ
グランバザーミーは地下のマグマを噴出させ、日本を壊滅させる計画を立てていた。
日本へ帰還した7人の仮面ライダーは、グランバザーミーを倒すため、洋の特訓を開始。
過酷な特訓を乗り越えパワーアップしたスカイライダーが、戦いに臨む。
最強怪人グランバザーミーの脅威!強化スカイライダー、新たなる飛翔!
前回、8人ライダーに宣戦布告したグランバザーミーが、本格的に活動を開始した。
右腕に備えた鋭い鋏や、口から吐く火炎放射「グランファイヤー」の圧倒的な攻撃力。
そして、仮面ライダーたちのライダーキックをいとも容易く回避する高速移動。
攻防共に優れたその能力は、まさに地球最高の改造人間に相応しいものだった。
その力の前に、ついにスカイライダーも敗れてしまう。
グランバザーミーの前に、一敗地に塗れたスカイライダーは、グランバザーミーを倒すべく、7人の先輩ライダーに特訓を乞う。7人ライダーもまた、グランバザーミーを倒せるのはスカイライダーしかいないと考え、彼を死よりも辛い特訓で鍛え上げるしか勝利の道はないと考えていた。
そして、過酷な特訓の果て、スカイライダーは7人ライダーからエネルギーを与えられ、99の技と100万馬力を備えた新たな姿、強化スカイライダーへと生まれ変わったのである。
スカイライダーの強化を果たした8人ライダーは、ついにグランバザーミー率いる、改造人間二世部隊との決戦に挑む。正邪の一大決戦を制するのは、正義か、悪か。
ネオショッカーは、日本壊滅作戦を計画。一斉攻撃を開始した。
この攻撃を察知した7人ライダーは、スカイライダーと協力。
ネオショッカーの野望を打ち砕くべく、日本へ戻ってきたのである。
グランバザーミーは、日本の地下の大断層地帯を利用し、地下に眠るマグマを噴出させ日本全土を壊滅させる「マグマ噴出作戦」を実行すべく、拉致した人間に採掘作業を強制させていた。
そして、改造人間二世部隊に命じて、次々に人間を拉致させていたのである。
しかしそこに、1号、2号、アマゾンライダーが駆けつけた。
1号と2号の戦闘シーンに合わせ、「ライダーアクション」や「レッツゴー!! ライダーキック」のインストが流れるのが、懐かしくも嬉しいファンサービスだ。
だが、改造人間二世部隊を支援すべく、猛スピードでグランバザーミーが突っ込んできた。
3人のライダーはグランバザーミーとの戦いに挑む。
グランバザーミーは3人のライダーを一人で相手取り、その間に改造人間二世部隊に人間を拉致するように命じる。アマゾンライダーは必殺の大切断を繰り出し、1号と2号もライダーダブルキックを繰り出すが、グランバザーミーはそれを高速移動で尽く躱してしまうのだった。
人間を攫うまでの時間稼ぎを終えたグランバサーミーは、やはり猛スピードで姿を消す。
1号たちは、その脅威のスピードに戦慄するのだった。
アジトに戻ったグランバザーミーは、魔神提督にマグマ噴出作戦の進捗を尋ねられた。
「グランバザーミー。マグマ噴出作戦は、まだ始まらんのか?」
「後2万メートルも掘れば、マグマが噴出するのだが、技術者が足らん!」
「馬鹿者!石油を掘る技術者がアフリカから日本に帰ってきてるのを知らんのか!雑魚ばかり集めてないで、さっさと技術者を連れてこい!」
魔神提督の提言に感心しきりのグランバザーミーは、早速石油を掘る技術者の拉致に向かった。
石油化学研究所に勤める職員たちが、改造人間二世部隊に拉致された。
石油採掘の技術者である吉田の子供たちは、その現場を目撃する。
「いったい、私たちをどうするつもりなんだ!」
「お前たちの技術で、地球に孔を開けるのだ!」
「いくら掘っても、日本では石油など出はしないぞ!」
「石油よりももっと熱いものが出るさ!」
吉田がサイダンプに拉致されようとする中、スカイライダー、ライダーマン、Xライダーが駆けつける。しかしそこに、またしてもグランバザーミーが現れた。
グランバザーミーは高速移動でライダーたちを撹乱し、研究者の拉致までの時間を稼ぐ。
ライダーマンはグランバザーミーを羽交い締めにし、Xライダーとスカイライダーはそこにダブルキックを叩き込もうとする。だが、やはりグランバザーミーはそれを躱してしまった。
父を拉致された吉田の子供たちを励ますため、茂は一番大事にしているという、スカイライダーの顔のピンバッチを渡す。だが、1つしかないため、妹には何も渡せなかった。当時の状況には詳しくないのだが、テレビマガジンあたりでこのバッチが全員サービスだったのだろうか?
洋は、悲しみに暮れる兄妹を思い、吉田の奪還を決意する。
その頃、吉田は地下で、マグマの噴出へ向けた採掘作業を強制されていた。
グランバザーミーは、ある程度の深さまで採掘を進めたところで爆弾をセットし、日本の地下を通る大断層地帯からマグマを噴出させ、列島を壊滅させようとしていたのだ。
谷のもとに、恐谷の地震研究所から、地下水の温度が異常に上昇したという連絡が入った。
その間にも、グランバザーミーは拉致した人間に労働を強制し、逆らった者を処刑していく。
そして、労働力の補充のために、再び、改造人間二世部隊によって人々が拉致された。
スカイライダーとV3、ストロンガーは、拉致された人々を乗せたトラックを追う。
しかし、グランバザーミーがそれを猛スピードで追ってきた。
グランバザーミーはストロンガーやV3を、右腕の鋏で撃退。
さらに、スカイライダーも鋏の一撃をもろに食らってしまい、大ダメージを負ってしまう。
V3とストロンガーの反撃でグランバザーミーは撤退したものの、スカイライダーのダメージは大きかった。意識を失った洋は、グランバザーミーの脅威を夢に見る。
未曾有の強敵であるグランバザーミーの脅威。
だが、ネオショッカーによって父を拉致された兄妹のためにも、洋は負けられない。
そこに、今度は7人ライダーたちの声が響く。
「そうだ、筑波洋。それでこそスカイライダーだ!」
「教えてくれ!俺は、どうしたら勝てる!」
「俺は、何度も死ぬような目にあった。だが、自らの命を鍛えて、立ち直ったんだ!」
「自らの命を、鍛えるとは?」
「特訓だ」
「自らの力に、挑戦することだ」
「耐えられるか?」
「死ぬより辛いぞ!」
「耐えられるか?」
7人ライダーに取り囲まれ、「耐えられるか?」と詰問され続ける洋。
内心、先輩ライダーたちのことがちょっと怖いのだろうか?
「俺は…耐えるぞ!」
洋が目を覚ますと、そこには7人ライダーがいた。
先程までの7人ライダーの詰問は、あくまで夢の中の出来事だったのだ。
だが、特訓を望む洋と同じように、7人ライダーもまた、洋への特訓の必要性を感じていた。
「今、皆と話し合った。グランバザーミーを倒せるのは、君しかいない!我々の全ての力を集めて、君の力を10倍にも20倍にも強化する!やるか、筑波洋?」
「やる!やらせてくれ!俺に力を与えてくれ!」
「よし。遠慮はしないぞ。行くぞっ!」
V3のパンチが洋に炸裂する。そして、1号とXライダーが、洋を投げ飛ばした。
斜面を転がり落ちる洋に、休む間もなくアマゾンライダーが襲いかかる。
アマゾンライダーに投げ飛ばされた先に、2号とライダーマン、Xライダーが待ち受けていた。
3人ライダーの体当たりが、洋をまたしても斜面に突き飛ばす。
「さあ今度は、これを受けてみろ!さあ!」
転がり落ちた先に待っていたストロンガーは、鎖鉄球を振り回し、叩きつけてきた。
「これくらいでへこたれては駄目だ!」
鉄球で岩場の上に吹き飛ばされた洋は、足を滑らせ岩場から落下する。
ライダーマンが伸ばしたロープアームを使い、下に降りる洋。
そこに、今度はV3がハリケーンに、ストロンガーがカブトローに乗って突っ込んできた。
この場面でだけ、V3の手袋が赤いのが地味に気になる…。
「もっとスピードを上げろ!もっと足を上げるんだ!」
洋はハリケーンやカブトローからなんとか逃げ切るのだった。
過酷な訓練で身体能力を高めた洋に、ストロンガーは電ショックを叩き込む。
すると、稲光とともに洋はスカイライダーに変身した。
「よし、仕上げだ!」
そして、特訓の仕上げとして、7人ライダーが次々にライダーキックを叩き込む。
キックを受ける度、どんどん頑強になっていくスカイライダーの身体は、ついにアマゾンライダーとストロンガーのダブルライダーキックを弾き返す、鋼の肉体へと変貌した。
「見事だ。出来たぞ!スカイライダー!」
「ありがとう…みんなのおかげだ!」
8人ライダーは、手を合わせる。すると、7人ライダーのエネルギー電流が、スカイライダーの体に注ぎ込まれ、スカイライダーは従来より明るい体色の、よりたくましい肉体に生まれ変わった。
今ここに、7人ライダーの全ての力が、スカイライダーの体内に流れ、スカイライダーは、99の技と100万馬力を持つ強化スカイライダーへ、新しく生まれ変わったのだ!
その頃、ついにグランバザーミーは採掘作業を終え、爆弾の設置を始めていた。
8人ライダーはネオショッカーのマグマ噴出作戦を阻止すべく、恐谷へ急行する。
グランバザーミーは、用済みとなった吉田たちを縛り上げ、断層とともに爆破せんとする。
しかしそこに、8人ライダーたちが駆けつけた。
グランバザーミーもまた、改造人間二世部隊を率いて、8人ライダーを迎え撃つ。
「者共!油断するな!行くぞっ!」
グランバザーミーの指揮で、改造人間二世部隊が前進する。
スカイライダーたち8人ライダーもまた、グランバザーミーたちへ向かっていく。
正邪の一大決戦が、ここに幕を開けた。
「仮面ライダー賛歌」のインストが流れる中、ついに戦いが始まった。
強化スカイライダーは、グランバザーミーと互角のスピードで渡り合う。
7人ライダーたちは次々に必殺技を繰り出し、改造人間二世部隊を撃破。
一人の怪人が必殺技を受け爆発するところに、他の怪人を投げ飛ばすことで、誘爆で複数の怪人をまとめて始末するのが、歴戦の勇士らしい戦い慣れしたところを見せている。
ついに、強化スカイライダーとグランバザーミーの一騎打ちが始まった。
強化スカイライダーの一撃の速度は、グランバザーミーの攻撃の速度を上回っていた。
追い詰められたグランバザーミーは、切り札である火炎放射、グランファイヤーを発射。
しかし、強化スカイライダーはそれを素早く躱すと、周囲の壁を蹴り、その反動でまた別の壁へ翔び敵を撹乱、生じた一瞬の隙にキックを叩き込む「大反転スカイキック」を炸裂させる。
大反転スカイキックでグロッキーになったグランバサーミーに、スカイライダーは組み付く。
そして、空中でグランバザーミーの頭と足を同時に抑えこみ、空中でその体を反転させて、背中に足をかけ身動きを取れなくしたまま落下する新たな必殺技、「三点ドロップ」でグランバザーミーの背骨を完全に粉砕。ついに、最強怪人グランバザーミーを打ち倒すことに成功するのだった。
超スピードで攻撃を回避するグランバザーミーに対し、壁を蹴って跳躍して撹乱し、隙を生じたところにキックを命中させる大反転スカイキックや、組み付いての投げ技でありスピードでは回避不能な三点ドロップで対抗するのが理にかなっている。
吉田たちは、間一髪8人ライダーによって救出された。ネオショッカーのアジトも破壊され、8人ライダーは日本をネオショッカーの大攻撃から救ったのである。
7人ライダーは、日本の守りをスカイライダーに託し、再び全世界のネオショッカーと戦うため、世界中に旅立った。スカイライダーとの再会を誓って…。
吉田親子の感謝の声を背に、8人ライダーは新たなる戦いへ向かって、走り去っていく。
ネオショッカーの日本大壊滅作戦も、8人ライダーの力で阻止することが出来た。
そして、スカイライダーも、新しい必殺技を身につけたのだった。
1号、2号、V3、ライダーマン、Xライダー、アマゾンライダー、ストロンガーは、世界のネオショッカーとの戦いに、再び旅立っていく。スカイライダーもまた、7人ライダーから授かった力と技、そして勇気を胸に、ネオショッカーとの戦いに挑むのだった。
数々の番組強化策の頂点とも言える、スカイライダーのモデルチェンジが行われたエピソード。
明るい体色へのモデルチェンジは、「仮面ライダー」における本郷ライダーから一文字ライダーへのモデルチェンジ、さらには新1号・新2号へのモデルチェンジを、結果的には踏襲している。
新1号や新2号へのモデルチェンジの理由は番組内で語られることはなかったが、スカイライダーは強力怪人への敗北と、それを乗り越えるための特訓という劇的なエピソードと共に、モデルチェンジが演出され、鮮やかな強化スカイライダーのデビューを華々しく飾ることになった。
快晴の青空に映える明るい体色は、空を翔ける仮面ライダーに相応しい。
明るい体色へのモデルチェンジが決定に至るまでは、スカイライダーが死亡し、死亡したスカイライダーを7人ライダーが改造し全く新しいライダーに生まれ変わる案や、宇宙からきた全く新しい仮面ライダーへの交代などが検討されていた(講談社「仮面ライダー大全集」より)そうだが、筑波洋というキャラクターの定着もあり、スカイライダーの続投が無事に決定し、7人ライダーたちによる特訓でパワーアップするという、盛り上がるドラマと共に演出されることになった。
一方、ここで検討されていた宇宙からきた全く新しい仮面ライダーという案は、その後、次番組である「仮面ライダースーパー1」として結実することになる。
強化スカイライダーへと生まれ変わったことで、「99の技」を持つと設定されたスカイライダーは、今回披露された「三点ドロップ」を皮切りに、様々なパワフルな新技を見せつけ、過酷な特訓によって身につけた新たな力を強烈に印象付けていくことになる。
超スピードで撹乱し、鋏の一撃でスカイライダーを昏倒に至らしめたグランバザーミーの強敵描写も素晴らしく、シリーズの節目に相応しい大娯楽編だった。
そして、主役ヒーローのモデルチェンジを果たした「仮面ライダー (新) (スカイライダー)」は、さらなる強化策として歴代ヒーローのOB出演編へ進んでいく。