「仮面ライダー (新) (スカイライダー)」第30話「夢を食べる?アマゾンから来た不思議な少年」感想

2025年2月3日月曜日

仮面ライダー (新) (スカイライダー) 東映特撮YoutubeOfficial

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あらすじ

ブラジルから転校してきた少年・麻野夢太郎。
彼は、さまざまな超常現象を起こしてみせることで念力少年と呼ばれていた。
だが、その正体はネオショッカーの怪人であるアマゾンの王子・オオバクロンだった。

謎の超能力少年 悪夢を植え付ける獏怪人の恐怖!

今回のネオショッカーの怪人は、バクの特質を持つ怪人、オオバクロン。
「アマゾンの王子」と呼ばれ、南米のアマゾン支部から日本に招集された怪人だ。
数々の超能力を持っており、子供たちに悪夢を見せて催眠状態に陥れる能力や、触れずして物体を動かす念力、鼻から毒液を放つ能力などを備えた改造人間である。

オオバクロンは、麻野夢太郎という少年に化け、アキの弟の小沢オサムが通う小学校に潜入。
オサムのクラスの生徒に次々に悪夢を見せて催眠状態に陥れると、学校のチャイムの音を聞くことで暴れ出すように仕向け、子供たちを各地で暴れさせる。
子供たちを利用したオオバクロンの悪事に、筑波洋は怒りを燃やすのだった。
果たしてスカイライダーはオオバクロンの念力を破り、子供たちを救えるのか。

オートバイを飛ばしていた洋に、アキが声をかけてきた。
なんでも、弟のオサムが給食費を忘れて出かけてしまったのだという。
洋とアキがオサムの小学校に赴くと、小学校では騒ぎが起きていた。
見かけない少年が、屋上に仁王立ちしているのである。
先生たちは降りるように声を掛けるが、なんと少年は屋上から身を投げてしまった。
洋は受け止めようと駆け寄るが、少年は空中で物理法則を無視した動きを取り、着地する。

少年はオサムのクラスに転校生として現れ、麻野夢太郎と名乗った。
ブラジルから転校してきたという夢太郎は、突然、クラス委員の令子の隣に座ると言い出した。
そして、もともとその席に座っていた生徒に対して、席を譲るように恫喝。
拒絶されると、念力で机を動かして脅し、無理矢理に令子の隣の席を勝ち取るのだった。
夢太郎は、ブラジルで念力少年と言われていたのだという。
しかし、「そんなことに念力を使ってはいけません!」と叱る先生が何気に凄い。
念力の存在自体は普通に受け止められている。

朝から騒ぎを起こしてばかりの夢太郎は良くも悪くも注目の的で、彼の周囲に人だかりができる。
夢太郎は、夢を食べる動物である獏と一緒に育ったと言い張る。
ブランカでも、夢太郎の話で話題が持ちきりだった。そこに、オサムが現れる。
オサムは、夢太郎から聞いた、夢を食べる動物の獏の話を聞きに来たのだった。
洋は、夢を食べる獏は伝説上の生き物であって実在はせず、本物のバクとは異なるのだと教える。
前回から、洋は子供たちに知識を教えるシーンが挿入され、子供たちと洋の交流が印象的に描かれているのも、子供たちにとっての頼れるヒーロー像の強調と言えるだろう。
洋は、夢太郎が獏と一緒に育ったという話を聞き、不審なものを感じるのだった。

その夜。クラス委員の令子は、花畑で蝶を追いかける楽しい夢を見ながら眠りについていた。
その枕元に、ネオショッカーの怪人、オオバクロンが姿を現す。
オオバクロンは令子の頭に鼻を伸ばし、令子の幸せな夢を吸い取り始めた。
そして、念力で令子が眠っていたベッドを宙に浮かび上がらせ、令子を恐怖に陥れる。
ベッドから落ちた令子を、さらに椅子や人形がひとりでに動き、襲った。
そして、人形は夢太郎に姿を変え、令子は夢太郎に助けを求める。
すると、夢太郎は今度はオオバクロンに姿を変えた。令子は恐怖に卒倒する。
オオバクロンは、夢太郎の声で令子に催眠をかけ始めた。
それは、学校のチャイムの音が聞こえれば、友人を傷つけるように促すものだった。

令子が脂汗をかきながら目を覚ますと、部屋は何事もない様子のままだった。
全ては夢だったのか?
だが、オオバクロンはその夜を皮切りに、少年少女の家に現れ、楽しい夢を食べてしまい、悪い夢だけを頭の中に残して憔悴させ、令子と同様の催眠を脳裏に刻みつけていた。
オオバクロンは夜の街をパトロールしていた洋と谷に発見されたものの、逃げおおせる。

翌日、学校のチャイムの音を聞いた麗子は、花瓶を破壊、破片を学友へ投げつける凶行を行う。
そして、その日を境に、各地で似たような事件が続発した。
子供たちがチャイムの音を聞き、突然暴れ始めるのだ。
オサムもまた、チャイムの音を聞いて暴れ、バターナイフをアキに向けて突き刺そうとする。
間一髪、洋が止めに入ったが、催眠状態のオサムの様子は尋常ではなかった。
やがて、チャイムの音が途切れると、オサムは正気に戻る。

洋は、子供たちが夢の中で何者かに暗示を受けた可能性に至る。
谷は洋に、アマゾンライダーから送られてきた資料を見せる。
アマゾンから来た怪人の資料をアマゾンライダーが送ってくるというのは、納得の行く展開。
せっかくなら単独客演してくれても良かった気はするが、キャストの都合もあって難しかったのであろうことを思えば、こうして名前が出てきてくれるだけでも嬉しいものだ。
その資料には、ネオショッカーアマゾン支部のオオバクロンの情報が記載されていた。
資料によれば、オオバクロンは夢を食う怪人なのだという。
洋は、念力少年の夢太郎と、オオバクロンの間に関係があることを直感するのだった。

ネオショッカーのアジトでは、魔神提督とオオバクロンが乾杯していた。
「アマゾンの王子、オオバクロンに乾杯!」
「魔神提督閣下に乾杯!」
オオバクロンは日本の子供たちの夢を食べ、暗示をかけることで凶暴化させようとしていた。
「勉強どころではなくなるのう!」
「いかにも!」
日本の子供たちが勉強どころではなくなることがよほど嬉しいのか、大笑いする魔神提督とオオバクロン。ここにきて、魔神提督が地獄大使的な陽性のキャラクターになってきた。
そこに、アリコマンドから、洋が夢太郎の身辺調査をしているという報告が入る。
オオバクロンは洋を黙らせるべく、出撃するのだった。

夢太郎を探す洋の前に、アリコマンド部隊が現れた。
そして、オオバクロンも現れる。
「ネオショッカー、アマゾンの王子!オオバクロン!」
洋はスカイライダーに変身し、オオバクロンが念力で飛ばしてくる土管を弾き飛ばす。
だが、オオバクロンは鼻から毒液を噴射。
オオバクロンの念力で動きを封じられたスカイライダーは、毒液をもろに浴びてしまう。
ダメージを負ったスカイライダーの胸に、オオバクロンは爪を突き刺す。
そして、土砂を積載したダンプカーを呼び出すと、スカイライダーに向けて土砂を投下させた。
スカイライダーの身体が、みるみるうちに土砂に埋まっていく。
「ワシの毒液と、この泥で、ライダーも溶けてしまうわ!」
勝利を確信したオオバクロンは、スカイライダーの生死も確認せず去っていくのだった。
こういう詰めの甘さは、一番やってはいけない。

夢太郎に戻ったオオバクロンは、クラスの学友を誕生日パーティーに招待した。
そして、チャイムの音を聞かせて子供たちを催眠状態に陥れる。
「諸君、チャイムだ!君たちのチャームポイントはチャイムだ!このチャイムの音を聞くと、君たちの力は10倍になる!悪い大人をやっつけろ!」
前半部分はちょっと何を言っているのか良くわからないが、とにかく子供たちを催眠状態に陥れた夢太郎は、催眠状態の子供たちを暴れさせるのだった。

なんとか土砂の中から脱出に成功したスカイライダー。だが、夢太郎はそれを察知していた。
夢太郎はオサムに、誕生パーティーへの招待状を持たせ、ブランカを訪ねさせる。
それは、洋を完全に始末するための挑戦状だった。
だが洋には既に、オオバクロンの念力殺法を破るための秘策があるのだという。
洋は夢太郎の自宅だという、誕生パーティーの会場へ向かった。

夢太郎はチャイムを鳴らし、子供たちを催眠状態に陥れる。
凶暴化した子供たちは、ナイフを構えて洋に迫った。
洋は一人の少年の手からナイフを奪い、夢太郎に投げつけ、チャイムの音を中断させる。
夢太郎はついに、オオバクロンとしての正体を表した。
「オオバクロン!純真な子供たちに悪い夢を見させるとは、許せん!」
「小癪な筑波洋!今日こそお前の息の根を止めてやる!」
オオバクロンは念力でフォークやナイフを投げつけ、さらに毒液を噴射する。
洋はスカイライダーに変身した。

「念力返し!ライダースピン!」
スカイライダーは、体の回転で風を起こし、物体を逆転させる技、念力返し・ライダースピンで、オオバクロンが念力で飛ばしたフォークやナイフを跳ね返した。
恐らくはこれも、7人ライダーとの特訓で会得した99の技のひとつなのだろう。
99の技の設定のお陰で、理屈抜きの新技を繰り出しても不自然さは軽減されている…気はする。
「オオバクロン!お前の念力は、俺には役に立たんぞ!」

最大の武器の念力を封じられたオオバクロンは、アリコマンド部隊をスカイライダーにけしかけた。だが、強化スカイライダーの技と力の前には、アリコマンド部隊は相手にならない。
オオバクロンは爪を伸ばしてスカイライダーに襲いかかるが、スカイライダーはその攻撃を躱し、オオバクロンを転ばせると、腕ひしぎ十字固めを極め、ダメージを与えた。
プロレス技を駆使するパワフルな戦法も、強化スカイライダーの特徴だ。
そして、グロッキー状態のオオバクロンに、トドメの技を繰り出す。
「必殺・空中稲妻落とし!」
空中に投げ上げたオオバクロンを追いかけジャンプ、空中でキャッチしてこんどは地面へ向かって脳天から叩きつける99の技のひとつ、必殺空中稲妻落としが決まった。
地面に頭が突き刺さる、犬神家の一族の地上版になったオオバクロンは、そのまま爆発四散する。

こうして、オサムのクラスには平和が戻った。
夢太郎は、また家庭の事情で転校していったということになったらしい。
学友が怪人だったというショッキングな事実を子供たちに伝えまいとした、洋の優しさだろう。
オオバクロンは、スカイライダーの必殺空中稲妻落としの前に崩れ去った。
また子供たちの学園生活に、平和が取り戻されたのである。

先週に引き続き、子供たちを凶暴化させて暴れさせようとする作戦が描かれたエピソード。
魔神提督のマイブームだったのだろうか?
博物館の入館特典で配ったミイラの仮面の作用で操ろうとしたヒカラビーノに対し、オオバクロンは草の根運動的に一軒一軒子供たちの夢を食べて催眠状態に陥れるあたりは、地道な怪人だ。

前回に引き続き、強化スカイライダーの新たな技も続々と披露された。
念力返しライダースピン、必殺空中稲妻落としといった名有りの必殺技だけでなく、腕ひしぎ十字固めを極めるあたりでも、7人ライダーとの特訓によって、これまで使ってこなかったパワフルな技をいくつも習得したことを想像させてくれる。
そして、子供を利用しようとするネオショッカーに怒りを見せる筑波洋の、子供たちを想う優しさと強さも印象的に演出され、彼の魅力が十全に描かれたエピソードだろう。

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