「仮面ライダー (新) (スカイライダー)」第31話「走れXライダー!筑波洋よ死ぬな!!」感想

2025年2月7日金曜日

仮面ライダー (新) (スカイライダー) 東映特撮YoutubeOfficial

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あらすじ

仮面ライダーを倒すために呼び寄せられた、ネオショッカー最強の戦士・黄金ジャガー。
一方、洋は仮面ライダーX=神敬介と共に、大神殿が建てられつつある魔神峠へと向かう。
洋はそこで、ネオショッカーの将軍である黄金ジャガーから、一対一の決闘を申し込まれるが…。

スカイライダーを狙う毒矢怪人!Xライダーよ、筑波洋を救え!

今回よりしばらく、「仮面ライダー (新) (スカイライダー)」は、ネオショッカーの作戦を追い、歴代ライダーが帰国、スカイライダーと共闘するエピソードが連続して制作されることになる。
しかもそれは、シリーズに途中復帰した阿部征司Pの働きかけで、単なる歴代ライダーの客演だけにとどまらず、歴代ライダー俳優もゲスト出演を果たすという豪華なものだった。
今回と次回の前後編では、神敬介=仮面ライダーXが帰還し、スカイライダーと共闘する。

スカイライダーとXライダーを迎え撃つのは、対象的な性格の2怪人だ。
まず、アフリカのサハラ支部から招聘された黄金ジャガー。
ネオショッカー最強の戦士と謳われ、その武勇で将軍の地位に就いている。
武器である長槍を自在に操り、必殺技「必殺黄金ジャガー大車輪突き」の威力は絶大だ。
また、強敵との正々堂々とした勝負を好む、ネオショッカーとしては珍しい武人肌の気質を持っており、卑怯な手段を厭わないトリカブトロンとは反りが合わない。
その実力は、歴戦の勇士である神敬介すら、相当の実力者と認めざるを得ないほどだ。

そしてもう1人登場するのが、トリカブトの特質を持つ怪人・トリカブトロン。
モンゴル支部から日本へ招集された弓矢の名手であり、猛毒を塗った矢や火矢を武器とする。
手柄のためなら手段を選ばない陰湿で卑怯な性格の、ある意味でネオショッカーの怪人らしい性格のため、正々堂々と戦う武人肌の黄金ジャガーとは対立していた。
その任務は、塾講師・鬼島に変装し、ネオショッカー大首領のための大神殿に捧げる生贄を選別すること。そして、生贄に選んだ少年たちを、大神殿が建造されている魔神峠に向かうように仕向けて捕らえると、ネオショッカー大首領への生贄にしてしまおうとするのだった。

かつて、学生時代に魔神峠で過ごした経験のある神敬介は、自分にゆかりのある魔神峠でネオショッカーが大神殿を建造しようとしていることを知り、日本へ帰国していた。
そして、魔神峠へ向かい行方不明になった子供たちを追ってきた筑波洋と合流することになる。
しかしそこに、スカイライダー抹殺のために呼び寄せられた黄金ジャガーが襲来。
スカイライダーは黄金ジャガーとの一対一の決斗に臨むことになる。
だが、卑劣なトリカブトロンはスカイライダー抹殺の手柄を狙い、陰からスカイライダーを狙い、その毒矢の狙いをつけていた。果たしてXライダーは、この危機を救えるのか。

鬼島進学塾では、成績の悪い少年たちが講師の鬼島に折檻を受けていた。
その中には、ナオコの弟である伊藤タケシもいる。さりげに、ナオコもアキも弟がいるという家庭環境が明らかになっているのは、細かい設定が描かれないライダーガールズでは珍しい。
鬼島は、成績の悪い子供たちの尻を根性棒で叩く。現代なら即、SNSに晒され炎上待ったなしだ。
平成でもアウト気味な表現だった、ネオギルド精神注入棒の話は今はしていない。
タケシの様子を見に来た洋は、塾の厳しさに舌を巻くのだった。

鬼島は成績の良い子供たちには甘い一方、成績の悪いタケシたちには、赤点を取ったテストを直接タケシたちの母親に届けると宣言し、一晩で終わるわけのない多量の宿題を明日までに終わらせるように命じ、宿題を終わらせなければ塾はクビだと宣告するのだった。
しかし、成績の悪いタケシたちにとって、塾をクビにされるのは脅しになるのだろうか?
とにかく、困りきったタケシたちは、鬼島や母親から逃れるべく、一計を案じる。
なんでも、タケシの文通友達である三郎から、魔神峠にイワナ捕りに来ないかと誘いが来ているのだという。こうしてタケシたちは、宿題から逃れ、魔境探検に出かけることにした。
同じタケシでも、本郷猛とは大違いではある。

だが、魔神峠では、ネオショッカーが村の働き手となる男たちを拉致し、ネオショッカー大首領の怒りを鎮めるための大神殿の建造を強制させていた。魔神提督は自らその指揮を執る。
「仮面ライダーが仲間の特訓を受けて、戦力の増強をしてからというもの、次々と怪人が敗れ、大首領の怒りは日増しに募られておる…この大神殿を建てて、大首領の怒りを沈めねばならぬ!」
さらに、魔神提督はその大神殿を、日本制圧のための大要塞にしようとしていた。
「大神殿を何者にも敗れぬ、堅固な大要塞にするのだ!そして、ネオショッカーの支持者を全てここに集め、日本制圧の新たな作戦を始めるぞ!」
労働を強制されている中には、タケシの文通友達である三郎の父もいた。
三郎の姉であるユキ子は、過酷な労働によって疲弊した父の身を案じる。

魔神提督は、ネオショッカーの怪人・トリカブトロンを呼んだ。
すると、モニターに映ったのは、タケシに体罰を行った鬼島の姿。
そして、鬼島はトリカブトロンに姿を変える。
トリカブトロンは、大首領に捧げる生贄の少年を集めるために学習塾を開き、タケシたちが大量の宿題に耐えかね、三郎からの誘いに応じて魔神峠へ向かうように仕向けていたのである。

洋と谷は、魔神峠で行方不明者が多発していることにネオショッカーが関係していると推測していた。そこに、ナオコや、タケシの友人の母親たちが駆け込んでくる。
タケシたちは、トリカブトロンの思惑通りに家出をして、夜行バスで魔神峠へ向かったのだ。
洋はタケシたちを探すが、そこでトリカブトロンに襲われる。
木の上から毒矢を放つトリカブトロンに対し、洋はスカイライダーに変身した。
「毒矢怪人トリカブトロン!貴様の生命はもらった!」
スカイライダーは毒矢を躱すが、トリカブトロンもまた、姿を消してしまう。
洋は、タケシの家出とネオショッカーの間に関係があるのではないかと考える。
ナオコから、タケシの文通友達である三郎が魔神峠の近くに住んでおり、遊びに来ないかと誘われていたことを聞いた洋は、魔神峠に何かあると考え、単身魔神峠に向かうのだった。

翌朝、夜行バスは魔神峠に到着し、タケシたちは三郎に迎えられた。
その背後から、黒尽くめのコートに実を包んだ鬼島が、魔神峠へ向かい歩いていく。
タケシは、特に知らせていないにも関わらず、三郎が自分たちの到着を知っていたことを訝しむが、なんとなく予感がしたんだとだけ言われて流される。
三郎は、魔神峠の厳しさを話して、やめるなら今のうちだと警告する。それは、ネオショッカーが魔神峠に跋扈していることを知っているがゆえの、最後の警告だったのかもしれない…。
結局、タケシたちは三郎と共に、魔神峠へと向かうのだった。

その頃、洋も魔神峠近くの村に到着したが、そこは既にもぬけの殻だった。
そこに、何者かが物陰から洋に向かって、角材を投げてきた。
「すまんすまん、悪かったな。ちょっと腕試ししただけだ!」
「…神さん!」
それは、Xライダー=神敬介。かつて、日本全滅を目論むGODの悪巧みを止めるため、父の叫びを胸に悪と戦い抜いた鋼のカイゾーグが、日本に帰国していたのである。
「腕を上げたな、洋!」
「いやあ、神さんやみんなのおかげですよ!神さんはどうしてここに?」
「この村は、俺にゆかりのある村なんだが、働き手がみんな消えてしまったんだ」
「そんなバカな!」
「そのバカなことを、俺は調べに来た。今どき、神隠しなんかあるはずがないしな。あの魔神峠に、ネオショッカーのアジトがあるらしい。村人は何らかの理由で、ネオショッカーに誘われたと俺は見ている」
神敬介の話を聞き、魔神峠にネオショッカーの陰謀が隠されていることを知った洋は、タケシたちの身を案じる。するとそこに、不審な馬の嘶きが聞こえてきた。
とっさに洋と神敬介が身を隠すと、白馬に乗った怪人が、魔神峠へ向けて走り去っていった。
それは、魔神提督が仮面ライダー暗殺のために呼び寄せた殺し屋だろうと、神敬介は推測する。

タケシたちが魔神峠へ向けて歩いていると、先程の白馬に乗った怪人を目撃した。
タケシたちは不安に襲われながら、それでも魔神峠へ向けて歩いていく。
一方、洋と神敬介は二手に別れ、魔神峠へと向かっていた。
ネオショッカーのアジトでは、トリカブトロンが魔神提督のもとに到着。
そして、アフリカのサハラ支部から、白馬に乗った怪人=黄金ジャガーも到着した。
「黄金ジャガー、只今参上!」
「おお…待ちかねたぞ!ネオショッカー最強の戦士と謳われたお主なら、仮面ライダーなどただの一突きであろう!」
黄金ジャガーの声を担当しているのは、玄田哲章氏。
骨太な声質が武人肌の黄金ジャガーの性格を的確に表現しており、格好良い。
トリカブトロンは、自分の立場を危うくする黄金ジャガーの出現に慌てる。
「て…提督!仮面ライダーなど、俺様一人で十分です!」
「お主では到底、無理だ!」
「な、何だと!それでは貴様、ここで俺と勝負してみるか!…ま、待て!」
トリカブトロンは、一瞬で黄金ジャガーの槍を喉元に突きつけられ、恐れ慄く。
「勝負をすると言ったのは、お前の方だ…!」
圧倒的な実力差を見せつけられたトリカブトロン。魔神提督は、黄金ジャガーの実力に満足し、非常にご機嫌。2人の怪人に仮面ライダー抹殺を任せ、出撃させるのだった。

大神殿建設地では、三郎の父がアリコマンドに折檻を受けていた。
そして、三郎は父やユキ子を助けるために、ネオショッカーに命じられ、大首領への生贄となるタケシたちを魔神峠に誘き寄せる役目を強いられていたのだった。
だが、卑劣なトリカブトロンは、三郎との約束を破り、ユキ子も生贄に選んでいたのだ。
一方、魔神峠に到着したタケシたちはイワナ捕りを楽しんでいたが、彼らを騙し、生贄にしてしまった三郎の表情は暗い。だが、家族を人質に取られた三郎に、他に選択肢はなかった。

三郎は、ネオショッカーへ向けた、生贄到着の合図となる狼煙を上げる。
洋と神敬介は、急ぎ狼煙の上がった方へ向かった。
だが、洋たちの到着前に、ユキ子を連れた鬼島=トリカブトロンが現れる。
三郎は父とユキ子を開放するように訴えるが、約束を守るようなネオショッカーではない。
アリコマンド部隊が、タケシたちを捕らえ、大神殿建設地へ連行していく。
そこに、洋が駆けつけた。トリカブトロンは、自ら洋を足止めする。

トリカブトロンは長槍を持ったアリコマンド部隊に洋を襲わせる。
「貴様たちは人間の敵だっ!許せん!」
洋はスカイライダーに変身し、アリコマンドの一人から槍を奪って反撃する。
だが、タケシたちや三郎は大神殿建設地へ連行されてしまった。
三郎は自らの過ちを謝罪し、タケシは家族を人質に取られた三郎の苦しみを慮る。
タケシたちは、こんなことなら塾で勉強しておけばよかったとぼやくのだった。

アリコマンド部隊と戦うスカイライダーの前に、黄金ジャガーが白馬に乗って現れた。
「仮面ライダー!ネオショッカーの将軍・黄金ジャガー!一対一の決斗を申し込む!」
「望むところだ!来いっ!」
お互いに槍を持った、スカイライダーと黄金ジャガーの決斗が始まった。
それを物陰から見守る神敬介は、一対一の決斗の邪魔をするわけにはいかないと、パワーアップしたスカイライダーの実力を信じて見守ることを選ぶ。
「大丈夫だ。スカイライダーはもう昔のライダーじゃないんだ」
だが、卑怯なトリカブトロンは、スカイライダーが黄金ジャガーとの決斗に集中しているところを毒矢で狙い撃ち、自らがスカイライダー抹殺の手柄を上げようとしていた。
「仮面ライダーはこの俺が倒してやる!」

黄金ジャガーは馬から降り、スカイライダーに本気の勝負を挑む。
お互いの実力が拮抗した、まさに互角の攻防。やがて、戦場は峡谷の吊り橋へと移る。
「流石だ!仮面ライダー!燃えてきたぞ!」
強敵との戦いに血潮を燃やす黄金ジャガー。
そして、その槍の一撃が、スカイキックを決めようとしたスカイライダーを打ち落とす。
スカイライダーは、吊り橋にぶら下がる、転落寸前の態勢になってしまった。
「よおし、今だ!」
黄金ジャガーがスカイライダーにとどめを刺そうとしたその時、狡猾なトリカブトロンが物陰からスカイライダーへ向け毒矢を放ち、その矢はスカイライダーの左肩に突き刺さった。

「卑怯だぞ黄金ジャガー!一対一の決斗じゃなかったのか!」
トリカブトロンと黄金ジャガーが反目していることなど知る由もない神敬介は、怒りを見せる。
スカイライダーは、吊り橋から谷底へ落下していった。
神敬介はスカイライダーを救うべく、Xライダーに大変身した。
果たしてXライダーは、スカイライダーを救えるのか。
そして、スカイライダーは生贄にされたタケシたちを救うことが出来るのか…。

神敬介をゲストに迎え、対象的な性格の2怪人との死闘が描かれたエピソード。
ネオショッカー最強の戦士と謳われ、正々堂々とした勝負を挑む武人肌の黄金ジャガーは、後の「仮面ライダーBLACK RX」に登場したガイナギスカンにも通じる正統派の強豪怪人だ。
今回のエピソードを執筆した江連卓氏は「RX」のメインライターも務め、ガイナギスガンが登場したエピソードも執筆しているため、キャラクターとしての類似性を感じることが出来る。

一方のトリカブトロンは、実利を求めて卑怯な手段を厭わない性格がいっそ清々しい怪人。
黄金ジャガー相手に格の違いを見せつけられながら、黄金ジャガーとスカイライダーの決斗に乗じて自らがスカイライダー暗殺の手柄を上げようとする抜け目のなさが恐ろしい。
冒頭で、タケシたちに根性棒での折檻を行う塾講師になっていたのも、魔神峠にタケシたちを誘うための策略であると同時に、個人としても子供をいじめることに愉しさを見出していたのだろう。

前後編のエピソードであり、黄金ジャガーとスカイライダーが一対一の決斗を演じていたこともあって、Xライダーとしての出番はラストカットのみとなった神敬介。
しかし、学生時代に世話になったことがある、ゆかりのある村の異変を調べるために日本に帰国したという展開で、単に海外から怪人を追って帰国した、というだけにとどまらないドラマ的に必然性のある客演を果たしている辺りは丁寧な展開だ。
せっかく歴代ライダー俳優も含めた客演エピソードを制作するからには、単に海外からスカイライダーを助けに来たというだけではない、ドラマとしてそのライダーが帰国する理由がある作劇が行われているのは嬉しいし、見ごたえがあるドラマになっている。
また、「仮面ライダーX」路線変更後の「大変身」で変身するXライダーという描写もしっかりと踏襲され、「X」本編からの設定上の一貫性を確保しているのも嬉しいところだ。

こうして、卑劣なトリカブトロンの毒矢を射られ、谷底へ消えたスカイライダー。
Xライダーはスカイライダーを救えるのか。
そしてスカイライダーは、ネオショッカー最強と謳われる黄金ジャガーを倒せるのか?

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