「仮面ライダー (新) (スカイライダー)」第32話「ありがとう神敬介!とどめは俺にまかせろ!!」感想

2025年2月7日金曜日

仮面ライダー (新) (スカイライダー) 東映特撮YoutubeOfficial

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あらすじ

トリカブトロンの毒矢に当たり、谷底へ転落したスカイライダーは、神敬介に救われた。
一方、魔神提督は、大首領に生贄として捧げる少年たちに、生存を賭けた過酷な競争を強いる。
ネオショッカーの少年たちへの非道に怒るスカイライダーは、Xライダーと儀式に乱入した。

生存を賭けた死の競争!二人のライダーよ、少年たちを救え!

トリカブトロンの毒矢が命中し、吊り橋から谷底へ落下したスカイライダー。
だが間一髪、Xライダーは無事にスカイライダーの救出に成功する。
一方、ネオショッカーも、一対一の決斗を穢された黄金ジャガーが憤る一方で、スカイライダー抹殺の手柄を得たトリカブトロンは五階級特進で将軍の位を得ていた。

そして、トリカブトロンはネオショッカー大首領へ捧げる生贄を選別するべく、捕らえた子供たちに生存を賭けた過酷な競争を強いる。それは、山道を巨大な岩を引きずって歩き、最も早く神殿まで辿り着いたものだけが生き残れるという残酷なものだった。
ネオショッカーの少年たちへの非道に、洋は怒りを爆発させる。
そして、神敬介もまた、学生時代に世話になった魔神峠の人々を苦しめるネオショッカーへの怒りの炎を燃やしていた。二人のライダーは、ついに生贄の儀式に突入する。
スカイライダーとXライダーは、黄金ジャガーとトリカブトロンを倒せるのか。

黄金ジャガーと戦ったスカイライダーは、卑劣なトリカブトロンの毒矢に射られ、千尋の谷底へ転落した。神敬介はXライダーに変身すると、果敢に谷底に飛び降りた!

谷は、ブランカで洋が危機に陥る悪夢を見て、うなされていた。
そしてその悪夢は、遠く離れた魔神峠で、現実のものになっていた。
Xライダーは、谷底で毒矢が肩に突き刺さった洋を発見することに成功する。
毒矢を引き抜いたXライダーは、洋の無事を喜ぶのだった。

一方、生贄に選ばれたタケシたちは、魔神提督の前に連行されていた。
「お前たちは明日午前0時、この大神殿に捧げられ、大首領に喰われるのだ!」
人を喰う、という表現が使われている辺り、ネオショッカー大首領の正体が、宇宙から来た巨大な龍であるということは、このあたりで既に決まっていたものと思われる。
映画「8人ライダー対銀河王」の企画時にも、大首領の正体を示唆するという案があったらしい。
魔神提督は、タケシたちを地下牢へ入れる。そこに、トリカブトロンが現れた。
トリカブトロンは、自分がスカイライダーを倒したと報告した。
「この私めのトリカブトの猛毒を塗った矢が、奴の身体に!」
「流石だ、トリカブトロン!お前を五階級特進させて、将軍にして遣わす!」
「どうだ黄金ジャガー!俺も将軍、お前も将軍!同じ階級だ!」

一方、スカイライダーとの決斗を穢された黄金ジャガーの腸は煮えくり返っていた。
「提督!トリカブトロンに決斗を申し込みたい!」
「待て待て!お前が相手にする程の奴ではないだろう!」
なんだかんだ、黄金ジャガーとトリカブトロンを上手く扱っている魔神提督。
ゼネラルモンスター死後、シリーズの最後まで指揮を取り続けることになる魔神提督だが、こういう組織運営が巧みなこともあって換えの効かない人材なのだろう。
「それでは俺は、サハラ支部に帰る!」
「まだXライダーがおる。お前には奴を倒す任務があるぞ!」
結局、黄金ジャガーは不満を抱きながらも、日本に残ることになった。

神敬介は洋をトリカブトの毒を解毒する薬で治療し、洋は意識を取り戻した。
洋に回復を待つように促し、自らタケシたちを探しに向かった神敬介は、滝壺で、生贄となるために、アリコマンドに滝に打たされ、身を清めさせられていたユキ子を発見する。
アリコマンドを蹴散らし、ユキ子を救出した神敬介。神敬介とユキ子は、旧知の間柄だった。
神敬介はユキ子から、タケシたちが大首領への生贄にされたこと、そして村の人々が大神殿建設のために労働を強制されられていたことを聞かされる。
自分が逃げれば父や三郎たちが殺されてしまうことを恐れるユキ子は、大神殿へ戻るという。
「神さん…あたしは戻ります。お目にかかれただけでも、ユキ子は嬉しい。さようなら…」
「ユキ子さん。必ず助けに行きます。みんなに希望を捨てないように、伝えてください」

神敬介は、学生時代にユキ子の家に世話になったことがあった。
休養を取り回復した洋は、さっそくユキ子たちの救出に向かおうとする。
「恐るべき回復力だなぁ、流石、パワーアップしただけのことはあるな!」
洋の回復力に、関心しきりの神敬介。するとそこに、不審な太鼓の音が聞こえてきた。
前回から、洋と神敬介が回復していると、不審な音が聞こえてくる場面が多い。

太鼓を鳴らしていたのはネオショッカーだった。魔神提督は、生贄となるタケシたち5人の少年たちに、一人だけ生き残れるチャンスを与えるという。
それは、タケシたち5人の少年に、大神殿の魔神像の土台となる岩を引かせ、頂上の大神殿まで運ばせる。そして、その競争に優勝した者の命を助けるというのだ。
少年たちを痛めつけ、互いに争わせようとする魔神提督の非道に、洋は怒る。
そして、ユキ子たちの救出を神敬介に任せ、タケシたちの救出に向かった。

魔神峠に来れば、勉強や競争しなくていいと思っていたタケシたちは、生存を賭けた競争を強いられ落胆しながら、頂上へ向けた競争へ出発させられる。
その後を追う洋は、タケシたちを監視するアリコマンドの一人を倒し、入れ替わった。
そして、少年たちに、みんな同時にゴールするように耳打ちする。
一方、大神殿建設地に潜入した神敬介は、ユキ子の父親に接触。
脱出口となる、滝の裏の洞窟の存在を知る。
悲壮な覚悟で地下牢に囚われるユキ子を救うべく、神敬介は走るのだった。

その頃、少年たちのうちの一人が足を滑らせ、崖に滑落しそうになっていた。
するとそこに、黄金ジャガーが槍を投げ入れ、少年が引いていた岩の滑落を阻止する。
「怪我はないか?」
「余計なことをするな!」
「黙れ!生贄を減らすわけにはいかん!」
文句をつけるトリカブトロンに対しても、独自の信念を貫く様子を見せる黄金ジャガー。
やはりこの男、ネオショッカーにしておくには惜しい。

少年たちは必死に魔神峠の山道を歩き続け、とうとう落伍者が出そうになる。
だが、アリコマンドに扮した洋は彼らを必死に励まし、後押しした。
しかし、少年たちを後押ししていることが露見した洋は、トリカブトロンに命じられ、根性帽で少年たちを叩くように強制されてしまう。洋は、胸中で少年たちに謝るのだった。
少年たちは、殺される覚悟でみんな同時にゴールすることを誓い合う。

そしてついに、大神殿に少年たちが到着した。それも、5人同時に。
全員が優勝者なら、誰も殺されないはずだ。
神敬介と合流した洋は、大神殿の魔神像が、龍を模したものであることを目撃する。
黄金ジャガーは、優勝者を助けるように約束したことから、5人を釈放するように進言するが、魔神提督は、優勝者こそ大首領への生贄なのだと約束を反故にする。

ついに、ユキ子とタケシたちが大首領への生贄にされる儀式が始まった。
「おお…畏れ多くも賢き我らの帝王、黒き太陽の化身にして暗闇の王、大首領よ…ここに御身を祀る大神殿を建立し、生贄を奉る…!偉大にして麗しの御姿を現し給え…!」
魔神提督の儀式に応え、魔神像が赤い瞳を輝かせた。そして、舌がユキ子へ向け伸びる。
洋と神敬介は、ついに儀式に乱入し、スカイライダーとXライダーに変身した。

Xライダーは、ライドルスティックでユキ子へ伸びる舌を撃退。
そこに、ネオショッカー大首領の怒りの声が響く。
「魔神提督!儀式を穢した仮面ライダーとXライダーを殺せ!さもなくば、貴様の生命はないぞ!」
「ははーっ、必ずや!…ええい、この馬鹿者め!お前は五階級格下げじゃ!」
大首領の前で恥をかかされた魔神提督は、トリカブトロンの五階級格下げを決定。
栄枯盛衰が激しい組織である。
スカイライダーはユキ子や村人を逃がすが、そこに黄金ジャガーが勝負を挑む。
「仮面ライダー、よくぞ生きていた!今こそ決着をつけるぞ!」

「黄金ジャガー!トリカブトロン!必ずや仮面ライダーを仕留めよ!」
魔神提督は火花とともに姿を消し、撤退した。
「スカイライダー!トリカブトロンは俺が引き受けた!」
Xライダーは、ライドルスティックでトリカブトロンの毒矢を打ち落とす。
一方、スカイライダーも黄金ジャガーの槍を躱し、互角の死闘を演じる。
Xライダーはライドルスティックを投げつけ、トリカブトロンの弓矢を手から払った。
最大の武器を失ったトリカブトロンは、もはやXライダーの敵ではない。
「今だ!とおっ!Xキック!」
怒りのXキックが決まり、トリカブトロンは大神殿と共に爆発四散して果てるのだった。

一方、黄金ジャガーは必殺技である「必殺黄金ジャガー大車輪突き」を繰り出す。
だが、スカイライダーは、なんと突き出された槍の上に飛び乗った!
「スカイライダー99の技の1つ。槍渡り陽炎の術!」
陽炎の術とは、自分の体重を0として、陽炎のように身軽くなる、忍者の秘術である。
スカイライダーは、特訓に次ぐ特訓で、これを会得していた。
「押すことも引くことも出来ぬぞ!黄金ジャガー!」
7人ライダーとの特訓で「99の技」を得た強化スカイライダー。このブログでは、必然的に、強化スカイライダーへのパワーアップ後に披露した新技を「99の技の1つ」であると説明してきたが、本編中で「99の技」というフレーズが使われたのは今回が初。
スカイキックのバリエーションやプロレス技だけでなく、このような忍者の秘術まで会得しているあたりで、強化スカイライダーの強さがオールマイティーであることを印象付けている。

槍を封じられた黄金ジャガーは槍を捨てて反撃しようとするが、一瞬の隙を突かれ、スカイライダーに両足で頭を掴まれ、空中回転、大地へ投げ捨てられる。
脳天を強打した黄金ジャガーに、スカイライダーはとどめのスカイキックを放った。
「負けたぜ…仮面…ライダー!」
黄金ジャガーは潔くスカイライダーへの敗北を認め、爆発四散し散る。
まさに、最強の戦士と謳われるに相応しい、堂々とした最後だった。

こうして、危機を救われたタケシたちや、ユキ子たち魔神峠の人々は、2人のライダーに手を振り感謝する。スカイライダーとXライダーも、彼らに手を振り返すのだった。
「みんな頑張るんだ!負けるなよ!」
「さようなら!ユキ子さん!幸せになるんだよ!」
自分を呼ぶ神敬介の声を聞いたユキ子は、その姿を探し、神敬介の名前を呼ぶ。だが、彼女の幸せを遠くから祈るXライダー、神敬介は、その声に応えることなく姿を消すのだった。
洋はタケシたちの元へ戻り、三郎は改めてタケシたちに謝罪する。
タケシたちもそれを許し、洋は、彼らの友情を喜ぶのだった。
「みんな、いつまでもこの友情を忘れるな!」

黄金ジャガーとトリカブトロンとの決着、そして神敬介の活躍が描かれたエピソード。
学生時代と異なり、既に普通の人間ではなくなった自らの身を思い、ユキ子からの好意を振り切って、遠くから幸せを願う言葉を送り姿を消す、神敬介の改造人間としての悲哀が印象深い。
洋の窮地を救い、トリカブトロンを容易く撃破する先輩としての頼もしさも見事だ。

少年たちの頑張りを評価し、優勝者の命を救うという約束を守ろうとする黄金ジャガーの堂々とした姿も印象的だった。上司である魔神提督の方針に口を挟むことこそなかったものの、内心ではその卑劣さに思うところがあったのであろうことは、想像に難くない。
スカイライダーと決着をつけられることを喜び、敗北後も潔くスカイライダーの勝利を認めて散っていく堂々とした姿は、「最強の戦士」と謳われた将軍に相応しいものだろう。

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