あらすじ
ネオショッカーの怪人・ドブネズゴンは、下水の毒を培養したネズラ毒で人間の皆殺しを企む。
一方、洋はドブネズゴンに誘拐された少年・アキオを助けに向かうが、そこで罠に嵌ってしまう。
窮地を救う人間と動物の絆!ライダーマンよ、溝鼠怪人を打ち倒せ!
今回のネオショッカーの怪人は、溝鼠の特性を持つ怪人・ドブネズゴン。
アメリカのニューヨークから招聘されたドブネズゴンは、アジトにしていたニューヨークの下水道から作り出した、人間を白骨化させるネズラ毒を日本中にばらまくことを目的としている。
そのために、鼠型のラジコンロボット・ネズコンロボを開発して一般家庭や道路に送り込み、次々に人々をネズラ毒によって殺害。ネズラ毒を完成させ、下水道に流し込もうとしていた。
しかし、ペットのハムスターを母親に嫌悪され捨てさせられたアキオが、その一部始終を目撃してしまう。アキオを捕らえたドブネズゴンは、彼をスカイライダー対策の人質にしてしまった。
アキオを救いながら、下水道へのネズラ毒の混入を防ぐには、スカイライダーひとりでは間に合わない。しかし、今また、ドブネズゴンを追って日本に帰国した勇者がいた。
それは、復讐心を乗り越え、大義のために戦う「仮面ライダー4号」の名を持つ男。
結城丈二=ライダーマンが参戦し、スカイライダーと共にドブネズゴンの野望を打ち砕く。
OPクレジットでは、今回登場するドブネズゴンは「ドブネズラー」と表記されている。
これはデザイン画段階での仮称の名残とのこと。
平和なとある家庭では、父親と息子が仲良くプラモデルを作り、母親がそれを見守っていた。
さだまさしの「亭主関白」のインストが流れているのが気にかかる。
だが、突然停電が起こり、足元にネズミが現れる。しかし、ネズミは足も動かさないまま、床を滑るように動いていた。父親はそれを捕まえるが、ネズミは口から毒ガスを噴射。
毒ガスをもろに浴びた父親は、一瞬のうちに白骨化して絶命する。
母親と息子が逃亡した後、天井からネオショッカーの怪人・ドブネズゴンが現れた。
先程現れたネズミは、ドブネズゴンが作ったネズコンロボだったのだ。
正直、ネズミが足も動かさずに動いた時は、いくらなんでも作り物過ぎる…と思ってしまったが、何のことはない、本当に作り物のネズミだったのである。すっかり騙されてしまった。
「実験成功だ。よおし、このネズコンロボの性能はなかなか素晴らしい。だが、時間がかかりすぎる。もっともっと、強い毒が必要だ!」
ドブネズゴンは、ネズコンロボが放つネズラ毒の効力に、未だ満足していないようだった。
ネオショッカーのアジトに戻ったドブネズゴンは、魔神提督に謁見していた。
ドブネズゴンは、ニューヨークの下水道で研究に研究を重ね、汚れきった下水道の毒素を培養したことで完成させた猛毒・ネズラ毒で人間を白骨化させ、日本を壊滅させようとしていたのだ。
普通の人間なら、ネズラ毒の放つガスを浴びただけで、悶え死にするほどの威力。
さらに、ドブネズゴンは尻尾からネズラ毒の毒液を放つ能力まで持っていた。
ドブネズゴンは先程一般家庭に潜入させたネズコンロボを下水道に放ち、ネズラ毒を街中にばらまいて一気に人間たちを白骨化させようとしていたのである。
翌朝、学校に登校していた茂は、ハムスターのチャコを連れた転校生、アキオと出会う。
ハムスターを見せてほしいと頼む茂だが、アキオはそれを拒否して去っていった。
感じの悪い態度に、茂も閉口する。
学校が終わり、茂がブランカを訪れると、そこにはかつて、スカイライダーとヤモリジンとの決戦の中で重症を負い、入院していたユミがいた。ユミはまだ、左腕の骨折までは完治していないようではあるものの、なんとか無事、退院できるほどには回復したらしい。
しかし、茂の姉であるみどりは未だ退院できていないようだ。
姉の方の容態は知っているのであろうとはいえ、姉の不在は気にしない茂であった。
アキオについて話す茂は、感じの悪いアキオに不満を隠せない。だが、洋はアキオが転校したばかりで友達がいないことを寂しがっているだけだと、アキオをフォローするのだった。
帰宅していたアキオがチャコの世話をしていると、部屋に母親が入ってきた。
ハムスターとネズミの区別がつかない母親は、ハムスターを「汚らしいネズミ」とまで呼び、早く捨ててくるようにアキオを叱る。ハムスターがここまで罵られるのも珍しい。
アキオは仕方なく、近所の公園にチャコを放そうとするが、公園には野良猫がいて危険だ。
もちろん、ペットを野に放すことそのものが問題ではあるのだが…。そこでアキオは、残り少ないお小遣いで、もっと離れた場所にチャコを放すため出かけることにした。
その頃、ドライブデートを楽しんでいたアベックの車を、ドブネズゴンのネズコンロボが襲った。
アベックの男性の方は、「太陽戦隊サンバルカン」で鮫島を演じる杉欣也氏。
ネズコンロボは車を破壊し、外に逃げたアベックもネズラ毒によって白骨化する。
アベックが白骨化するまでの時間を計測していたドブネズゴンは、未だ白骨化までに30秒もかかっていることから、ネズラ毒の効力をさらに高めようと目論んでいた。
冒頭に起きた父親の白骨化事件を新聞で知った洋は、そこにネオショッカーの魔の手を感じ、白骨化事件が起きた街へ向かう。そしてその道中、アベックが白骨化した現場に出くわすのだった。
現場を見聞していた警察官は、運悪くネズコンロボを見つけてしまう。
それを大声で警告、ネズミから離れるように叫ぶ男がいた。
だが、一足遅くネズコンロボはネズラ毒を放ち、警官は白骨化してしまう。
ネズコンロボの危険を警告した男は、ライダーマン=結城丈二だった。
「V3」当時から一本気な男である結城丈二だが、今回も特に一生懸命な様子だ。
結城丈二は、ニューヨークでドブネズゴンが起こしていた白骨化事件を追っており、ドブネズゴンが日本へ向かったのを感知して、自らも日本に帰国していたのである。
洋と結城丈二は手分けしてドブネズゴンの捜索を開始した。
その頃墓地に墓参りに訪れていた親子にも、ネズコンロボの群れが襲いかかろうとしていた。
気絶した親子を、またしてもネズラ毒の実験台にしようとするドブネズゴン。
だがそこに、洋が駆けつけた。ドブネズゴンは尻尾からネズラ毒を噴射して攻撃する。
「貴様ら、人間の敵だ!許せん!」
第31話に続き、変身前の口上が洋の決め台詞として取り入れられた。
洋はスカイライダーに変身する。
スカイライダーは次々にアリコマンドたちを倒していく。
ドブネズゴンは尻尾からネズラ毒を噴出するが、スカイライダーは素早い動きで反撃。
そこでドブネズゴンは、近くの木を歯で削ってへし折ると、即席の武器にして振り回す。
そして木を投げつけるが、スカイライダーはあっさりそれを受け止め、投げ返すのだった。
ドブネズゴンは追い込まれ、再びネズラ毒を尻尾から放とうとするものの、既に体内に蓄積されたネズラ毒は尽き果てており、ドブネズゴンは撤退を選択するのだった。
下水道へ撤退していくドブネズゴンたち。
結城丈二はそれを密かに尾行し、アジトの入口を突き止めることに成功した。
その頃、アキオは、ドブネズゴンのアジト近くの廃工場に辿り着いており、そこでチャコを放す。
だが、運悪くチャコの声がドブネズゴンの耳に入り、アキオは見つかってしまった。
必死にドブネズゴンから逃げるアキオ。
「これで袋の鼠だ!」
ネズミの怪人だけに上手いことを言ったドブネズゴンだが、アキオはその背後を走って逃げる。
アキオは、茂の家に助けを求める電話をかけたが、ついにネオショッカーに捕まってしまう。
茂はすぐにブランカに向かい、谷に助けを求めた。
谷はすぐに、洋に連絡を取る。茂は、アキオが自分の家の電話番号を覚えていたことから、アキオが本当は自分と友だちになりたかったことを察するのだった。
ドブネズゴンは自らのアジトへアキオを連れ去った。
ドブネズゴンのアジトは、ネズラ毒を培養するために、ニューヨークの下水道と同じ、汚染された環境となっていた。あまりの匂いに顔をしかめるアキオに、ドブネズゴンは怒る。
「この香りの良さがわからん奴は、全て死ぬのだ!」
だが、ドブネズゴンは一計を案じ、アキオを利用してスカイライダーを苦しめる策を練る。
そして同時に、培養を完了したネズラ毒を、いよいよ下水道へ流そうとするのだった。
「間もなくこの狭山市は、人間も動物も全て死に絶えた死の街と化すのだ!」
谷から、アキオがネオショッカーに捕まったことを知らされた洋は、狭山市に急行する。
そして、道中で結城丈二と合流した洋は、二手に分かれてネズラ毒作戦の阻止へ動く。
ドブネズゴンのアジトである廃工場に辿り着いた洋の前に、ドブネズゴンが現れた。
洋はアキオを救出するべく、スカイライダーに変身する。
ドブネズゴンは再びネズラ毒を尻尾から放ち、スカイライダーを攻撃。
そして、自らのアジトへ続く下水道へ、スカイライダーを誘き寄せる。
下水道の先でスカイライダーが見たものは、ネズラ毒の原液の上で、アキオが鉄の棒を掴んで、ぶら下がっている光景だった。そして、ドブネズゴンが踏んだスイッチによって鉄格子が降り、スカイライダーはアキオの救出へ向かえない。ネズラ毒の中に落ちれば、アキオの命はない。
だが、スカイライダーが鉄格子を無理に破れば、その衝撃でアキオがぶら下がっている棒も破壊される。ドブネズゴンは、スカイライダーにアキオを見殺しにさせて苦しめようとしていたのだ。
「さあ、どうする仮面ライダー!この小僧が落ちて溶かされるのを黙って見ているか、それとも見捨てて一人で逃げるか!」
ドブネズゴンはネズラ毒を下水道へ流すべく、ネズラ毒が運び込まれた地点へ向かった。
スカイライダーは、ドブネズゴンが踏んだスイッチをもう一度押せば鉄格子が開くと考え、懸命にスイッチに手を伸ばすものの、スイッチまでの距離は遠い。
そこに、アキオが放したハムスターのチャコが現れた。
スカイライダーは、アキオにチャコを呼ぶように促す。
チャコはアキオの声に応えるように、スイッチへ向けて歩き、見事にスイッチを踏む。
鉄格子が開いた瞬間、アキオは耐えられず鉄の棒から手を話してしまったが、間一髪、スカイライダーが跳躍してアキオを受け止め、なんとかアキオを救出することに成功した。
アキオを救ったスカイライダーは、急いでドブネズゴンを追う。
ドブネズゴンはアリコマンドに命じ、ネズラ毒を下水道へ流そうとする。
しかしそこに、結城丈二が現れた。
「罠にかけたつもりだろうが、かけられたのはお前の方だ、ドブネズゴン!」
結城丈二はヘルメットを被り、ライダーマンに変身した。
気合が入りすぎていて、変身の時の「ヤーッ!」が「ドアーッ!!」くらいになっている。
ライダーマンは次々にアリコマンドたちを蹴散らしていく。
「パワーアーム!」と叫びながら鎖分銅型のロープアームを使っているが、左腕にカセットアームを取り付けていた「5人ライダー対キングダーク」に比べれば誤差の範囲内だろう。
アリコマンドの鞭攻撃を躱し、ドブネズゴンのネズラ毒もアリコマンドを盾にして回避するライダーマン。その俊敏な動きによって、ドブネズゴンは体内のネズラ毒を使い切る。
最大の武器を無駄遣いさせて封じる、ライダーマンの頭脳プレイが見事な戦法だ。
ライダーマンはロープアームでドブネズゴンを殴打し、大ダメージを与えた。
しかし、ドブネズゴンは最後の奥の手として、尻尾でライダーマンの身体を絡め取り、身動きを封じたところに鋭い歯で噛み砕こうとするのだった。
ライダーマンの危機。しかしそこに、スカイライダーが駆けつけた。
ライダーマンはロープアームでドブネズゴンを絡め取り、振り回して空中に投げ飛ばす。
スカイライダーはその機を見逃さず、ドブネズゴンの体を空中で掴み、ムーンサルトをしながら投げ捨てる、スカイライダー99の技の1つ、「ライダームーンサルト」を炸裂させる。
脳天から地上に激突したドブネズゴンは、ついに爆発四散するのだった。
戦いは終わり、洋と結城丈二がブランカで寛いでいると、そこに茂とアキオがやってきた。
アキオは無事、命の恩人であるチャコを飼うことを母親に許されたという。
だが、茂は恩人は「人」のことであり、ハムスターの時は何と言うのだろう、と小学生らしい屁理屈を言い、洋たちを笑わせるのだった。洋と結城丈二は改めて互いの健闘を称え合う。
ライダーマン=結城丈二は、ネオショッカーとの新たな戦いのために、再び日本を去っていったのだった。正義の誓いを込めたメカの右腕で、洋の勝利を願うVサインを見せて。
結城丈二=ライダーマンの客演編となるエピソードで、結城丈二の出番自体は洋と別行動を取っていたこともあり少ないものの、ドブネズゴンとの決戦におけるネズラ毒を無駄遣いさせて無効化する頭脳プレイが、単純な力では他のライダーに及ばないものの、明晰な頭脳を武器とするライダーマンならではの活躍を見せていて非常に秀逸だった。
また、台詞の一つ一つに迫真の気合がこもっていたことも印象的で、「V3」や「ストロンガー」登場時に見せた一本気な性格描写が続いていることも嬉しい。
アキオの態度に気を悪くした茂をなだめ、アキオのきもちをそれとなく伝える洋の優しさも印象的なエピソードだった。茂の良き兄として接する頼もしさと優しさが、筑波洋の性格描写に通底した描写となっており、キャラクターの定着を感じさせる。