あらすじ
仮面ライダー2号=一文字隼人は、奇妙な種子で人間を樹に変える女を追って日本へ帰国した。
そして、彼の推測どおり、女の正体はネオショッカーの怪人・キギンガーであった。
洋と一文字は、キギンガーのアジトがあるという百鬼村へ向かう。
怖い!人間が樹になる百鬼村 一文字隼人よ、人々を救え!
今回は、仮面ライダー2号=一文字隼人の客演編となるエピソード。
仮面ライダー1号=本郷猛の単独客演エピソードが諸事情で存在しない分、一文字隼人はこの後数回にわたって「仮面ライダー (新) (スカイライダー)」に客演し、後輩ライダーである洋を見守る、後見人としての役割として活躍することになる。
今回のネオショッカーの怪人は、アマゾン支部から日本に招集された、熱帯樹の特性を備えたキギンガーと、ガラパゴス諸島支部から日本に招集されたドラゴンキングの2怪人。
前回・前々回に引き続き、人間を植物に変えようとする作戦を進行しようとしていたネオショッカーは、自らの種子を人間に植え付けて樹に変えてしまうキギンガーを日本に招集していた。
前回・前々回、人間を植物に変えるワクチンを作れそうだったばっかりにネオショッカーに狙われた南博士の立場がない気もするが、逆に言えば、南博士のワクチンのデータがキギンガーに送られており、キギンガーが種子を独自に完成させ日本に帰国したのかもしれない。
兎に角、人間を樹に変える種子を持って日本に帰国、税関も突破したキギンガー。
百樹村を人体実験場に選び制圧したキギンガーは、百樹村で自らの種子を育て、熱帯樹アフロマジンカを栽培。逆らった者を種子によってアフロマジンカに変えるだけでなく、樹にされた人間が不快に感じる電波によってアフロマジンカを自在に操る作戦を進行した。
そして、キギンガーと共に百樹村でアフロマジンカを栽培していたのがドラゴンキングだ。
拳法の使い手であり、2本の釵を用いた必殺技「飛燕岩石砕き」を使う武闘派怪人でありながら、頭脳派のキギンガーとも互いを認め合うドラゴンキングは、キギンガーと共同で百樹村を支配。アリコマンドから選りすぐった精鋭を直属の「闇の戦士団」として率いている。
キギンガーを追って日本に帰国した一文字隼人は、洋と共に百樹村に乗り込む。
しかし、彼らはキギンガーによって恐怖で支配された村人に捕まってしまうのだった。
果たして洋と一文字隼人は、この窮地を脱して百樹村を救うことが出来るのか…。
海外から日本に、一機の航空機に乗って不審な金髪の女性が来日した。
そしてそれを尾行する男が一人。仮面ライダー2号=一文字隼人である。
金髪の女は、一文字隼人の尾行に気づいており、前に立っていた男性に、アマゾンの熱帯樹の種だという、怪しげな種子を手渡し、何処かへ立ち去ってしまう。
一文字隼人がそれを追おうとすると、種子を渡された男が突然苦しみはじめた。
男の顔や手からは植物の芽が生え、金髪の女はそれに紛れて姿を消してしまう。
一文字隼人が尾行していた女は、ネオショッカーの怪人だったのだ。
その頃、山道を車で飛ばす男がいた。
男の顔や手足には、先程金髪の女に種子を渡された男のように、植物の芽が生えていた。
そんなこととはつゆ知らず、ブランカでオセロを楽しんでいるナオコやアキ。
一方、洋は、一週間前に帰国しているはずの一文字隼人から連絡が途絶えたことを心配していた。
そこに、先程の男が入ってくる。上条タケシというその男は、洋の知人だった。
タケシは、姉が住んでいる村に恐ろしいことが起こったことを伝え、姉や村を助けてほしいと懇願する。だが、そうしている間にも植物の芽は伸び、やがてタケシは樹になってしまった。
洋はタケシを襲ったこの怪奇現象が、ネオショッカーの仕業であると考えた。
タケシが助けてほしいと懇願した姉のキヨコは、洋の大学時代の友人であり、一昨年から百鬼村で小学校の教師として働いていた。洋は百鬼村で何かが起こっていると考え、百鬼村へ向かう。
すると、その道中、山中でがんがんじいがアリコマンドたちに追われていた。
前回・前々回といい、がんがんじいは何故こんな山の中に一人でいるのだろう?
「何者だ、君は?」
「私、がんがんじい言いまんねん!」
「がんがんじい?そんなものは聞いたことないぞ!」
洋はがんがんじいを助ける。
「君は何故アリコマンドに追われていたんだ?」
「それはでんなあ、このがんがんじい様が、ネオショッカーを倒して、世界平和をもたらす戦士だからですっ!」
「しかし、見たところ、そんな強そうには見えなかったけどな…」
「黙ってえ!俺はこの仮面ライダーより強い、スーパーヒーロー・がんがんじい様だぞ!」
結局、口では威勢の良いがんがんじいだが、アリコマンド相手にも四苦八苦する。
「がんがんじい!ネオショッカーは恐ろしい相手だ!早く家に帰れよっ!」
洋はがんがんじいを助け、百鬼村へ急ぐ。
山中を進む洋をアリコマンドが襲うが、そこに一文字隼人が現れ、アリコマンドを倒した。
「洋!手間を省いてやったぜ!」
一文字隼人はアマゾンから、怪しげな種子を持つ金髪の女性を追って帰国したのである。
洋もまた、人間が樹にされる奇妙な事件を追って百鬼村に向かっていたことを話し、2人は百鬼村にネオショッカーのアジトがあると考え、二手に分かれて村に潜入することにした。
それを、木々に紛れて監視していた怪人が一人。
それは、ネオショッカーの女怪人、キギンガーだった。
「筑波洋、一文字隼人よ…百鬼村には、地獄が待っているぞ…」
百樹村に辿り着いた洋は、キヨコが勤める小学校へ向かう。
それを見る村人の目からは、生気が失われていた。
小学校では、音楽の授業が行われており、洋は子供たちに囲まれたキヨコと再会する。
だが、キヨコは洋から目を逸らし、タケシのことについても口を閉ざし続ける。
小学校の外には、まるでキヨコを監視するかのように村人たちが集まっていた。
キヨコを監視する村人の様子に、洋はこの百鬼村で何かが起こっている確信を得る。
洋の見立て通り、ネオショッカーは百鬼村の公民館にアジトを作っていた。
人間を樹にする種子の研究をしていたキギンガーのもとに、魔神提督が現れる。
「魔神提督。実験はこのように、全て上手く生きました。日本中を、アフロマジンカの樹で埋め尽くしてご覧に入れます!」
「いかにも。ネオショッカーに背く者には、この種を植え付け、全て樹にしてやる!樹になってしまえば、もはや我々に背くことは出来ぬからのう!」
どうやら、今回の魔神提督は自分たちに背く者を物言わぬ樹に変えたかったらしい。
前回の「大自然怪人公園」計画といい、魔神提督の中で人間を植物にするのがブームだ。
その頃、百鬼村に駐屯するもう1人の怪人、ドラゴンキングが、配下であるアリコマンドの精鋭部隊「闇の戦士団」の訓練を行っていた。厳しい訓練で弱者を切り捨てる、苛烈な訓練。
そこに魔神提督が現れ、仮面ライダー抹殺の指令を出す。
「ドラゴンキングよ!拳法の達人の名にかけて、2人を粉々に打ち砕け!」
細かい点だが、前回までスカイライダーのことを「仮面ライダー」と呼んでいた魔神提督が、今回から「スカイライダー」と呼ぶようになった。
先輩ライダー客演編に伴い、明確に先輩ライダーとスカイライダーを区別する必要が生じたこともあって、スカイライダーという名前が完全に定着したことを伺わせる。
ドラゴンキングはデモンストレーションとして、必殺の飛燕岩石砕きを披露する。
百鬼村に潜入した一文字隼人は、情報を集めるべく、村の食堂を訪れていた。
山菜の天ぷらに舌鼓を打った一文字隼人に、店主は代金として10万円を請求する。
物価高が叫ばれる令和の現代ですらありえない金額を笑い飛ばす一文字隼人。
「10万?おいおい、冗談言うな。いくら美味しい山菜料理でも、一人前10万なんてべらぼうだ!」
「払わんつもりか!おーい!みんな!食い逃げだ!警察を呼んでくれ!!」
店主が騒ぐと、あっという間に警官がやって来る。
「手回しの良いことだな…」
「無銭飲食で逮捕する!」
「よし、ここはひとつ捕まって、敵の手の内を見てやるか…」
ネオショッカーの策略で、信じられない速度で前科一犯になった一文字隼人は、留置所に拘束される。案の定、警官の正体はアリコマンドだった。
洋は、キギンガーのアジトになっていた百鬼村公民館に潜入した。
その中では、キギンガーの実験によって樹にされた両親に、小学校の子供たちが涙ながらに呼びかけ続けていた。3人の子供たちがそれに耐えかね、街まで行って警官を呼ぼうとするが、キヨコは村人の命を人質にされており、それを必死で静止する。
だが、彼女たちの会話は、樹に紛れて潜んでいたキギンガーに聞かれていた。
キヨコの事情を知った洋を、姿を現したキギンガーが襲った。
その隙に、子供たちは村を出て助けを呼びに行こうとする。
キヨコを人質にされた洋は抵抗出来ず、キギンガーに捕まってしまった。
キヨコは子供たちを樹にされると脅迫され、洋に口をつぐんでいたのである。
そして、逃亡しようとした子供たちも、ドラゴンキングに捕まってしまっていた。
それを留置所の窓から目撃した一文字隼人は、手錠を引きちぎる。
だが、ライダー用に特殊合金で作られた留置所は、容易には破壊できない。
一文字隼人は、ついに仮面ライダー2号に変身した。
力の2号の剛力はネオショッカーの計算を上回っており、檻を捻じ曲げた2号は脱出する。
その頃、ドラゴンキングは逃げ出そうとした3人の子供たちを処刑しようとしていた。
ドラゴンキングとその配下の闇の戦士団は、村から逃げ出そうとした者を嬲り殺しにしていたのである。キヨコは自分を犠牲に子供たちの助命を懇願する。
「いくら謝っても、ドラゴンキングには通じないさ…」
ドラゴンキングは3人の子供たちに、死の騎馬戦を行わせようとした。
トゲの付いた棍棒で相手を叩き落とし、勝者のみが生き残る死のゲーム。
その残酷さに、洋は憤りを隠せない。
洋は自分を拘束するアリコマンドを蹴り、アリコマンドが持っていた剣で体を縛る縄を切った。
そして、スカイライダーに変身する。
「貴様ら人間の敵だ!許さん!スカイ!変身!」
変身後、ジャンプするスカイライダーが強化前の姿、すなわちバンクシーンだったのが謎だ。
ドラゴンキングと闇の戦士団が、スカイライダーに襲いかかる。
闇の戦士団を蹴散らすスカイライダーの実力を、ドラゴンキングも認めるのだった。
「やるな!倒す敵は強い方が面白い!」
そこに、仮面ライダー2号も現れ、キヨコを連れ去ろうとするアリコマンドを倒す。
キヨコの意識を取り戻させた2号は、スカイライダーの救援に向かう。
スカイライダーと2号ライダーのタッグが、ドラゴンキングに立ち向かう…が、その時。
空気を読めない、いやあえて読まないがんがんじいが、よせばいいのに割って入ってきた。
「邪魔をするな、がんがんじい…」
「スーパーヒーロー・がんがんじい!義によって、味方するでえ!」
「馬鹿!危険なところに来るなと言っただろう!」
「来てしまったもんは仕方ないがな!」
がんがんじいがもっと気が回っていたら、ここで洋がスカイライダーだと気づいていただろう。
ともかく、がんがんじいを加え、3人で戦うスカイライダーと2号ライダー。
だが、キギーラが村を逃げ出そうとした3人の子供を連れ去ろうとする。
2号ライダーはこの場を引き受け、スカイライダーにキギーラを追うように促すのだった。
スカイターボを飛ばし、キギーラの乗るジープを追うスカイライダー。
だが、ネオショッカーが吊り橋に仕掛けたダイナマイトが爆発。
爆発に巻き込まれ、スカイライダーは宙に舞った。果たして、生か死か!
洋だけでなく、がんがんじいの面倒まで見る一文字隼人の面倒見の良さが印象的なエピソード。
仮面ライダーの先達として頼りがいのある描写は、陽性なキャラクターの一文字隼人ならではだ。
一方、人間の肌を突き破り植物の芽が生え、やがて物言わぬ樹にされてしまう怪奇描写も見事。
見せしめであるかのように植物と変えられた親に、必死に呼びかける子供たちの姿からは、ネオショッカーの非道を感じずにはいられない。
こうして、強敵ドラゴンキングに苦戦しながらも、百鬼村の人々を救うべく戦うスカイライダーと2号ライダー。だが、スカイライダーは爆発に消えた。
果たして、2人のライダーはキギーラとドラゴンキングを倒し、百鬼村の人々を救い出せるのか?