「仮面ライダー (新) (スカイライダー)」第37話「百鬼村の怪!洋も樹にされるのか?」感想

2025年3月4日火曜日

仮面ライダー (新) (スカイライダー) 東映特撮YoutubeOfficial

t f B! P L

あらすじ

ギギンガーは人間を木に変えるだけでは飽き足らず、木を電波で操る研究を進めていた。
スカイライダーは研究室に突撃し、2号ライダーと共にドラゴンキングを撃破。
しかし、樹にされた人間たちがキギンガーによって電波で操られ、ライダーたちを襲う。

樹にされた人間を操る怪電波!子供たちの想いが人々を救う!

前回、百鬼村を逃れ助けを求めようとした子供を連れ去ったキギンガー。それを追ったスカイライダーは、ネオショッカーが仕掛けたダイナマイトの爆発に巻き込まれて宙を舞ってしまう。
そして、キギンガーは熱帯樹アフロマジンカに変えた人々を自在に操る、怪電波の研究を進めていた。これにより、百鬼村の人々はアフロマジンカに変えられたのみならず、キギンガーの手先として操られることになってしまう。人間の自由を踏みにじる蛮行。
これに、「人間の自由のために戦う」戦士である仮面ライダーが、黙っているわけがない。
果たして、スカイライダーと仮面ライダー2号は、キギンガーとその用心棒であるドラゴンキングの強敵2怪人を打倒し、百鬼村の人々を開放することが出来るのか。

百鬼村に乗り込んだ筑波洋と一文字隼人は、アマゾンの怪人・キギンガーのために、子供たちの両親が、熱帯樹アフロマジンカにされていたことを知った。
村から脱走しようとした子供たちを捕らえたキギンガーを追うスカイライダーは、ネオショッカーの仕掛けたダイナマイトで、スカイターボとともに宙に舞った。

ダイナマイトの爆風で宙に舞ったスカイライダーだが、スカイターボは空中で体勢を制御し、見事に着地に成功。前回、衝撃のオチだったクリフハンガー展開だが、わりとあっさり解決した。
一方、仮面ライダー2号はよせばいいのに戦場に乗り込んだ、がんがんじいの面倒を見ながら戦っていた。「足手まといだな!」とはっきり言いつつ、しっかりがんがんじいの面倒を見る面倒見の良さを発揮しているのが、「仮面ライダー (新) (スカイライダー)」客演時の一文字隼人の特徴だ。

だが、ドラゴンキングの命を受け、闇の戦士団は2号ライダーとがんがんじいを取り囲む。
「お前がいては勝負にならん!俺が突破口を作る!」
2号ライダーは闇の戦士団を蹴散らし、がんがんじいを引き連れ包囲網を脱出する。
だが、百鬼村はもはや完全にネオショッカーのテリトリーであり、逃げ場所はない。
ドラゴンキングは「楽しみは後に取っておく」と余裕の笑いを見せるのだった。

その頃、ブランカではアフロマジンカにされたタケシに、谷が懸命に声をかけていた。
樹にされたタケシは、谷の言葉に僅かだが反応を見せる。
そこに顔を見せたナオコとアキ、ユミは、洋から何の連絡もないことから、よせばいいのに自分たちも百鬼村に乗り込もうと提案し、谷を怒らせる。
だが、全然応えていない女性陣は、結局密かに百鬼村に乗り込む算段をつけていた。

一方、百鬼村の洋は、ネオショッカーのアジトになった公民館の様子を窺っていた。
だが、流石に警備は厳重だ。
アジトの中では、キギンガーの人間体である金髪の女が、アフロマジンカになった人間に怪電波を当てていた。電波を当てられた人間は、苦しむような反応を見せる。
キギンガーは電波を当てることでアフロマジンカになった人間を自在に操る実験を行っていた。
魔神提督も、ただ人間を樹にするだけではなく電波で自在に操ろうとするキギンガーの頭脳に大いに満足し、上機嫌だ。キギンガーはさらに、感受性の豊かな子供を樹に変え、電波を当てて操る実験を行うことで、この研究を完成させようとしていた。

翌朝、ブランカには、ユミやナオコ、アキの姿がなかった。
谷に頼まれた沼さんがユミの自宅に電話をかけると、ユミたちはサイクリングに出かけたという。
谷は、ユミたちが、これまたよせばいいのに百鬼村に向かったのだと直感した。
ユミたちは、山道を通るとは思えないくらいの軽装で自転車を飛ばし、百鬼村に到着する。
そして、キヨコの小学校を訪ねるのだった。

小学校の子供たちは、樹にされた両親たちを励ますため、歌を歌おうと提案した。
さっそく、樹にされた人の前で、子供たちはナオコたちが歌を披露する。
樹にされた両親たちは、気丈にも自分たちを励まそうとする子供たちの姿に涙を流すのだった。
子供たちもその様子に感極まり、樹にされた両親にすがりつく。
キヨコは、何も出来ない自分の無力さに苦しむ表情を見せるのだった。

その頃、公民館の外では、洋と一文字隼人が合流していた。
そしてそこに、がんがんじいも現れる。がんがんじんはカモフラージュとして木の枝を鎧に貼り付けており、一文字に「キギンガーにやられたかと思った」とからかわれる。
一文字隼人とがんがんじいの軽妙なやり取りは、引き裂かれた親子の悲痛なドラマが展開されるこのエピソードにおいて、清涼剤として機能していると言えよう。
そして、一文字隼人は洋に、妙案が思いついたと耳打ちするのだった。

一文字隼人の妙案は、がんがんじいに囮の役割を頼み、その隙にアジトに潜入することだった。
高らかに名乗りを上げたがんがんじいに、見張りのアリコマンドは誘引される。
洋と一文字隼人は、役目を果たしたがんがんじいに逃げるように伝え、アジトへ向かった。
だが、がんがんじいは足を滑らせ、転倒してしまう。
仕方なく一文字隼人ががんがんじいを助けに向かい、洋は一人でアジトへ向かった。
一文字隼人はアリコマンドを蹴散らし、がんがんじいを逃がす。
騒ぎを聞きつけたドラゴンキングたちを一文字隼人が引き付けている間に、洋がアジトで捕まっている子供たちのもとに向かった。だが、窓の鉄格子は洋でも破れない。
その間に、子供たちはキギンガーの実験のために連行されてしまった。

がんがんじいをかばいながら、ドラゴンキングから身を隠す一文字隼人。
「それにしても、がんがんじい…お前、逃げ足だけは一人前だな」
「ちょっと待てぃ!本当は強うおまんねんでえ!能ある鷹はヘソ隠すだ!」
「馬鹿、それを言うなら、能ある鷹は爪を隠すだ…」
そうこう言っている間に背後から迫ったアリコマンドを倒した一文字隼人は、洋と合流しアジトへ乗り込もうとする。がんがんじいも、よせばいいのについてこようとするが、一文字隼人はそんながんがんじいを気絶させる。
「勘弁しろ…しばらく、休んでな」
囮を務めたがんがんじいを労る一文字隼人の優しい言葉が、一文字隼人の人柄を物語る。
本当にいいコンビだ。

キギンガーはついに、捕らえた子供たちにアフロマジンカの種を植え付けようとしていた。
しかしそこに、スカイライダーが子供たちを助けに現れる。
子供たちを縛る鎖を断ち切り、子供たちを逃がしたスカイライダーに、キギンガーが襲いかかる。
アフロマジンカの種を投げつけ、スカイライダーを樹に変えようとするキギンガー。
だが、スカイライダーはそれを回避し、子供たちと共にアジトを脱出した。

しかしそこに、ドラゴンキングと闇の戦士団が現れる。
ヌンチャクを振るい、スカイライダーを攻める闇の戦士団。
スカイライダーは子供たちを守りながら戦うが、ドラゴンキングもそこに襲いかかる。
「子供たちがいてはどうにもなるまい!皆殺しだっ!」
そこに、仮面ライダー2号が駆けつけた。
二人のライダーは、ドラゴンキングの釵攻撃に懸命に立ち向かう。
「飛燕!岩石崩し!」
ドラゴンキングはついに必殺の飛燕岩石崩しを放つ。
だが、スカイライダーはスカイキックを、2号は2号ライダーキックを放ち、それを迎撃。
カウンター攻撃が直撃したドラゴンキングは、爆発四散する。
「キギンガー!街の人間どもを、樹にしてしまえ~!!」
キギンガーへ後を託し、ドラゴンキングは倒されるのだった。

ジープに乗り街へ向かうキギンガーを追って、スカイライダーはスカイターボを飛ばす。
キギンガーは通りすがりの人間たちを、次々に樹に変えながら暴走していた。
しかし、スカイライダーがその後を追った先には無人のジープが残されていた。
いったい、キギンガーは何処に?

姿を隠したキギンガーは再び仮初の姿である金髪の女になり、百鬼村に引き返していた。
そして、ユミやナオコ、アキを騙し、公民館へ潜入。
樹にされた人々に、樹にされた人間を苦しめ操る電波を放つ。
「もうすぐ仮面ライダーが来る!お前たちは私の命令に従い、ライダーを殺せ!」
キギンガーは正体を顕にし、ユミたちにアフロマジンカの種を植え付け、樹に変える。
そこに、百鬼村に引き返してきたスカイライダーが戻ってきた。
キギンガーは電波を放ち、樹にされた人々を操ってスカイライダーを襲わせる。
「かかったなスカイライダー!それっ!ライダーの骨をバラバラにして、窒息させてしまえ!」

スカイライダーには、元は人間である樹を攻撃することは出来ない。
そこに、樹にされた人々の子供たちが割って入ってきた。
「やめてくれ!父ちゃん母ちゃん!おれたちは樹にされてもいい!悪いことだけはしないでくれ!そんなことをする、父ちゃん母ちゃんたちを見たくないんだ!」
すると、子供たちの両親を思う想いが、樹にされた人々に届き、動きを止めた。
樹にされた人間を操る計画が潰えたキギンガーは動揺する。
「キギンガー!人間は樹に変えられても…正義を愛する心までは変えることはできんぞ!」

ついに、スカイライダーとキギンガーの決戦の刻。
計画が破綻し、やけくそ気味に鞭を振るって襲いかかるキギンガー。
だが、スカイライダーは怒りの連続攻撃を叩き込む。
そして、スカイライダー99の技の1つ、「風車三段投げ」が炸裂した。
ダメージを負ったキギンガーに、とどめのスカイキックが放たれる。
ついに、邪悪な植物怪人は打ち倒されるのだった。
そこに、村人を救出していた2号ライダーも合流し、スカイライダーの健闘を称える。
ブランカにいたタケシも無事に、人間に戻るのだった。

ユミやナオコ、アキも人間に戻り、洋と一文字隼人も、百鬼村を後にする。
村を救ってくれた英雄たちに、百鬼村の人々は惜しみない感謝を伝えるのだった。
だが、がんがんじいは一人山道で転倒し、置いて行かれてしまうのだった。

人間を樹に変えるのみならず、電波によって自由に操ろうとする、人間の自由を踏みにじるキギンガーの非道が印象的なエピソード。両親を失い自分たちも悲しい中、気丈にも樹にされた両親を励まそうと歌を披露する子供たちの姿は涙を誘うものがある。
仮面ライダーはこうした、人間の自由を蹂躙する者と戦う戦士であることを再確認させられる。

珍しく頭脳派怪人と武闘派怪人の仲が良かったキギンガーとドラゴンキングの名コンビぶりも面白い。キギンガーはどこぞのタコ怪人と違って意味もなく武闘派怪人を馬鹿にしない、スマートさを持っていた。魔神提督も、普通に強かったマントコングを冷遇した反省か、ドラゴンキングのことは普通に重用している。むしろ何故マントコングはあんなに冷遇されていたのだろう…。

樹にされた人々とその子供たちの思いがネオショッカーの悪意を跳ね除けるシリアスなエピソードの中で、一文字隼人とがんがんじいのやり取りが清涼剤として機能しているのも秀逸だ。
一文字隼人はこの後、もう一度単独客演エピソードとなる前後編が存在、さらに最終エピソードにも登場し、洋だけでなくがんがんじいの面倒を見ることになる。
その面倒見の良さは、陽性のキャラクターである一文字隼人ならではの立ち回りと言えるだろう。

QooQ