「仮面ライダー (新) (スカイライダー)」第39話「助けて!2人のライダー!! 母ちゃんが鬼になる」感想

2025年3月10日月曜日

仮面ライダー (新) (スカイライダー) 東映特撮YoutubeOfficial

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あらすじ

世界的ダンサー・キレーダの持つ宝石を守るため、一文字隼人が日本へやってきた。
その宝石とは、人間を鬼に変える恐ろしいものであった。
ネオショッカーの怪人・ウニデーモンがその宝石を狙う。

人を鬼にする宝石争奪戦 2号ライダーがかっぱ巻きに!?

二度目の一文字隼人客演回となる今回は、行川アイランドとのタイアップ回。
行川アイランドならではのフラミンゴの行進は、今回も見せ場として取り入れられている。
楽しいレジャー施設とのタイアップ回だけあって、羽目を外した明るい演出が印象的な前後編だ。

今回登場するネオショッカーの怪人も、陽性なムードに当てられユニークな特徴を持っている。
まずはウニの特質を備えた改造人間であるウニデーモン。
その名の通り、鬼面のような厳しい表情と、肩に生えた痺れ毒を持つウニのトゲが特徴だ。
フィリピン・マニラの海底から招聘されたウニデーモンは、世界的ダンサーのキレーダが持つ、人の心に鬼を植え付ける光線を放つ宝石を手に入れることで、日本中の母親を鬼に変え、家庭崩壊を引き起こし日本を混乱させる作戦を実行しようと目論んでいる。
一文字隼人はウニデーモンに狙われたキレーダを守るため、日本に来日したのだ。

そしてもう1人、河童の特質を備えた怪人であるオカッパ法師も出現する。
頭部に備えた皿を投げつけ爆弾にするほか、皿を巨大化させ邪魔者を乗せて空を飛ばせることで排除するなど、河童ならではの頭部の皿を自在に操る能力で敵を翻弄する。
また、黒い布を敵に巻き付け拘束する「カッパ巻き」や、毒ガスを放つ「屁のカッパ」など、カッパから連想される様々な言葉の技を備えた、侮れない怪人だ。

今、キレーダの持つ宝石を巡り、スカイライダーとネオショッカーの宝石争奪戦が幕を開ける。
行川アイランドを舞台に展開される、この戦いの勝者やいかに。

ブランカでは、谷がスーツの試着をしていた。しかし、どうにもスーツのサイズが合っていない。
洋と谷は、世界的ダンサー・キレーダのディナーショーに招待されたのだ。
どうやら、谷は洋用のスーツを着てしまったようだ。
しかし、デリカシーの足りない谷は女性陣の前でスーツを脱ぎ、褌姿を披露する。
キレーダは千葉県の行川アイランドでディナーショーを行い、彼女が持っている世界に2つとない珍しい宝石の護衛として、一文字隼人も来日していた。その縁で、洋と谷が招待されたのだ。
そこに、沼さんがプレスリーの格好をして現れる。
フリンジの付いたその姿は、後の仮面ライダースーパー1を思わせる…かもしれない。

行川アイランドに到着した谷と沼。沼のプレスリーの格好は、好奇の目にさらされていた。
一方、洋たちは行川アイランド名物のフラミンゴの行進を見物し、行川アイランドを満喫する。
行川アイランドとタイアップした特撮は数多いが、ほぼ例外なくフラミンゴの行進に尺が割かれている気がする辺り、行川アイランドといえばフラミンゴの行進なのだろう。
ユミだけは不在だが、なんでも試験があって来られなかったらしい。
そこに、谷と沼も合流した。だが、谷はフラミンゴを鶴と勘違い。

一行はプールを訪れていた。だが、谷と沼は意地を張って、スーツ姿を崩そうとしない。
そこに、一文字隼人とキレーダが現れた。
一文字隼人が持っている箱の中には、美しい宝石が付けられた髪飾りがあった。
この宝石は、ポリネシアの伝説の中に平和と幸福をもたらすと言われているが、逆に悪人が手にすれば悪魔の宝石となると謳われている、持つ人の超能力を引き出す宝石である。

そのころ、暗雲立ち込める海岸では、ネオショッカーの怪人、ウニデーモンが姿を見せていた。
金棒の一撃で大地を爆発させる力を誇示するウニデーモン。その狙いは、キレーダの宝石だった。
ネオショッカーは、キレーダのショーに乱入し、アリコマンドたちが洋と一文字隼人を引き付けている間に、キレーダを拉致しようとする。一文字隼人は急ぎそれを追った。
だがそこに、ウニデーモンも現れる。
「宝石とキレーダは俺がもらった!鬼ごっこはここで終わりだ!」
鬼の顔をしているだけに、鬼ごっこという単語を使う茶目っ気だ。
ウニデーモンは怪力で一文字隼人を投げ飛ばし、地面を爆発させ撤退した。

アジトに戻ったウニデーモンは、額にキレーダから奪った宝石を埋め込む手術を受けていた。
「人間が鬼に変わって苦しむ姿を想像するだけで、俺の邪悪な心が、この宝石のエネルギーによって、光に変えられるのです!」
ウニデーモンの目的は、宝石を使って人間を鬼に変えてしまうことにあった。
魔神提督の要請で、キレーダに対して宝石の力を実験しようとするウニデーモン。
ウニデーモンはキレーダの美しさに、デレデレし、魔神提督に叱られる。
「女はキレイだ…たまらない~!」
「いい加減にせい!お前の女好きにも困ったものだ!」

叱られたウニデーモンは、宝石の力をついに実験する。
宝石から放たれた赤い光が、キレーダや囚われた女性たちの身体を照らしていく。
やがて、女性たちは鋭い牙を持つ、鬼の姿になり、そして再び人間の姿に戻った。
「どうしたのだ!みんな元の姿に戻ったではないか!」
「いえいえ、姿は人間に戻っても心は鬼のままです。この光を浴びた女たちに刺激を与えれば、ほうれ、この通り!」
アリコマンドが女性の身体を鞭で叩くと、女性はたちまち鬼に戻った。
魔神提督はこの実験結果に大満足する。
「これはすごい!早速日本中の女どもを鬼に変え、幸せな家庭を滅茶苦茶にしてくれようぞ!」
そんなことをして何の意味があるのかはよくわからないが、とにかく魔神提督は上機嫌だ。

一方、ウニデーモンは、2人のライダーがこの作戦の邪魔をしてくるのを心配していた。
しかし、魔神提督は既に、ウニデーモンの援護のためにもう1人の怪人を呼び寄せていた。
その名は、オカッパ法師。だが、オカッパ法師は妙に自信満々だ。
「こんな変な奴の力を借りずとも、私一人で仮面ライダーを倒してみせましょう!」
変な奴なのはお互い様だと思うが、とにかくオカッパ法師は単独で出撃。
その形相で行川アイランド周辺に住む女性たちを気絶させ、次々と拉致していった。
ウニデーモンもまた、独自に女性たちを攫い、鬼にする準備を整える。

洋と一文字隼人たちは、行川アイランドに戻り、ネオショッカーへの対抗策を考えていた。
だが、キレーダの行方は杳として知れない今、打つ手がない。
そこに、ホテルの従業員がお茶を運んでくる。しかし、その従業員は既に鬼にされていた。
運んできたお茶には、花を一瞬で溶かす猛毒が仕込まれていたのである。

その頃、ネオショッカーのアジトでは、ウニデーモンが鬼に変えた女性たちを従え、「ネオショッカーの節分」を行っていた。季節は夏だというのに、随分時期外れだ。
「今日はネオショッカーの節分だ!今から俺が手本を見せるから、その通りやってみろ!鬼は内!人は外!鬼は内!よおし、やってみろ!」
鬼に変えられた女性たちは素直に従うが、一人の女性は「鬼は外」と普通の節分の言葉を叫んでしまい、目ざといウニデーモンに咎められ、折檻される。
「貴様~!今なんと言った!それは、人間社会で言う言葉だ!鬼になりきれない奴はこうしてくれる!鬼になれ!もっと怒れ怒れ!怒れば怒るほど、一人前の鬼になるのだ!」

こうして身も心も鬼になった女性たちはそれぞれの家庭に返され、家族に理不尽な怒りをぶつけていた。テストで80点というそれなりの成績を取った少年も、母親に折檻される。
「なんて頭の悪い子なんだい!どの試験も80点ばかりしか取れないなんて!ええ!」
「それでも80点はクラスで2番なんだぞ!」
「2番だって?どうして1番になれないんだい!この出来損ないの、落ちこぼれが!」
「2位じゃ駄目なんですか?」の逆パターンでの説教だ。
折檻に耐えかねた少年は逃げ出し、お地蔵さんを拝んでいたお坊さんに助けを求める。
だが、そのお坊さんの正体はオカッパ法師だった。
オカッパ法師は少年に襲いかかろうとするが、そこにがんがんじいが現れる。
「俺は正義の味方、日本一の力持ち!その名も高きがんがんじい様だ!」

「だいたいなあ、お前らみたいな俺の名前知らない奴と、弱い者いじめする奴が、俺は大嫌いなんじゃ!いっぺんなあ、がんがんタックルで、身体バラバラにしてしもたろうか!」
実力は伴わないが、ちゃんと正義感はあるがんがんじい。実力が伴わないだけで、真っ当な正義の人であるため、足を引っ張るタイプのコメディリリーフとはいえ、ストレスなく見られる。
だが、渾身のがんがんタックルはあっさりと躱され、逆に「屁のカッパ」と毒ガスを浴びる。
「お前なんかにかまっている暇はない!皿に乗って、地球の周りでも周ってろ!」
オカッパ法師が頭部の皿をがんがんじいに投げつけると、皿が巨大化。
さらに、がんがんじいにぶつかり、がんがんじいを乗せた皿は、そのまま何処かへ飛んでいった。
ありがとう、がんがんじい。さようなら、僕らのがんがんじい。

その頃、洋と一文字隼人は、先程のホテルの従業員を尾行していた。
だが、従業員は忽然と姿を消す。洋と一文字隼人は二手に分かれ、その行方を追った。
一文字隼人の前に、オカッパ法師とアリコマンド部隊が姿を現す。
「おのれ!かっぱ巻きにしてくれる!」
オカッパ法師は黒い布を投擲。
それに当たってしまったアリコマンドは体を締め付けられ、爆発する。
なおも襲ってくる黒い布の脅威を防ぐべく、一文字隼人は仮面ライダー2号に変身した。
2号は勝負を決するべく、ライダーキックを炸裂させようとする。
だが、オカッパ法師は硬い甲羅でそれを防御。
「俺の甲羅にそんなキックが通用するか!」

一方、洋の前にはオニデーモンたちが姿を現した。
オニデーモンの指示で、鬼になった女性たちが豆型爆弾を投げつける。
洋はこの危機を脱するため、スカイライダーに変身した。
その頃、オカッパ法師と戦う2号は、ついに黒い布に捕まり、かっぱ巻きにされてしまう。
スカイライダーは鬼になった女性を気絶させ、ウニデーモンに立ち向かう。
だが、ウニデーモンは第ニ作戦に移ると言い残し、何処かへ姿を消してしまった。

そうしている間にも、2号の身体はかっぱ巻きに締め付けられ、軋んだ音を立てる。
ウニデーモンを探す洋は、気絶しているキレーダを発見するが、既に鬼になっていたキレーダは、洋の隙を突き、首に噛みついた。これがウニデーモンの第二作戦だったのだ。
洋の身体には、ウニデーモンの痺れ毒が染み込み、満足に動けない。

オカッパ法師のかっぱ巻きにされた、2号ライダーの身体が締め付けられる!
一方、キレーダの毒牙にかかった洋が危ない!果たして、2人は助かるのだろうか!

行川アイランドを舞台に全体的に陽性かつコメディチックな展開が続く中、最後には2人のライダーのまさかの大ピンチが描かれた落差の激しいエピソード。
女性を鬼に変え、日本中の家庭を滅茶苦茶にしようとする魔神提督に関しては何がしたいのかさっぱりわからないが、サブタイトル通り母ちゃんが鬼になった子供たちはたまったものではない。
ウニデーモンとオカッパ法師の2怪人も異常にキャラが濃く、特に技の全てがギャグにしか見えないにも関わらず2号ライダーを追い詰めているオカッパ法師は侮れない強豪だ。

一文字隼人の2回目の単独客演エピソードとなったこの前後編。
本郷猛=仮面ライダー1号の客演エピソードが存在しない分、2号ライダーが2回単独客演エピソードの登板となったとも言われているが、真相は闇の中だ。
とはいえ、前回の単独客演、そして最終エピソードでの客演も含め、度々帰国し洋とともに戦ったことで、一文字隼人に洋の兄貴分的な立ち位置が生まれているのが見事なところ。
一文字隼人を演じた佐々木剛氏は後年のインタビューで、「仮面ライダー」のオファーを断ったことはないと述懐しており、「仮面ライダー」シリーズの不動の人気を構築し、後輩たちを見守るように度々客演してくれた氏は、「仮面ライダー」シリーズに大きな功績を残している。

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