「仮面ライダー (新) (スカイライダー)」第42話「怪談シリーズ ゾンビー!お化けが生きかえる!?」感想

2025年3月17日月曜日

仮面ライダー (新) (スカイライダー) 東映特撮YoutubeOfficial

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あらすじ

謎の怪紳士・死人博士がゾンビとして蘇らせた死体が、各地を徘徊していた。
ゾンビは攻撃を受けてバラバラにされても、すぐに再生できる能力を持っていた。
そんなゾンビが、不死身の戦闘員としてスカイライダーを襲撃する。

スカイライダーを死霊のえじきにしろ!不死身のゾンビ軍団大進撃

「怪談シリーズ」第2弾の題材となるのは、屍人が蘇ったモンスター、ゾンビ。
「ゾンビ映画」というジャンルを広く世に知らしめた巨匠、ジョージ・A・ロメロ監督の傑作「ゾンビ(原題:Dawn of the Dead)」のイタリアでの公開が1978年、日本での公開が1979年であったことを思うと、「ゾンビ」日本公開翌年に、早くもゾンビを題材としたエピソードを制作する、東映の時代性を捉えた制作姿勢の凄みを感じさせる。

そんな今回登場するネオショッカーの怪人は、南米のハイチから招聘されたゾンビーダ。
右半身が骸骨、左半身がイモムシを模した醜悪な姿が恐怖感を演出する怪人だ。
持っている杖から光線を放ち、屍人をゾンビとして使役する能力を持っている。
既に屍人であるがゆえに、例え身体をバラバラにされても蘇るゾンビを不死身の兵隊として、スカイライダー抹殺の手駒にすることを目的としている怪人だ。
果たしてスカイライダーは不死身のゾンビ部隊を躱し、ゾンビーダを倒せるのか…。

深夜の街を、怪しい男が徘徊していた。
まるでその男の出現に合わせるように、夜中にトイレに行こうと目を覚ました少年は、家のトイレに不気味なゾンビがいるのを目撃してしまう。
別の家では、その男の声に目を覚ました少女の部屋にも、ゾンビが徘徊していた。
また別の家で、夜中にインターホンが何度も鳴り、少年が外に出るとゾンビが現れる。
ゾンビは怪しい男が持つ杖によって操られており、男は子供たちを恐怖に陥れていた。

翌朝、ゾンビを目撃した少年たちは、しげるたちに恐怖の体験談を話していた。
だが、しげるは「お化けなんているわけないだろ」と冷淡だ。
前回、肝試しで撮れた写真を見せ、お化けの実在を訴えていた情熱は消え失せたらしい。
子供たちの間でも、お化け=ゾンビの実在に意見が分かれる中、彼らの前に怪しい男が現れる。
「ゾンビーとは…呪われた屍人のことだ。ワシの術によって蘇った屍人は、ゾンビーとなってこの世を彷徨うのだ…ゾンビーは、生きている人間を襲い、血を啜り、肉を喰らう!やがてお前たちも、ゾンビーの餌食になるのだ…ワシの名は、『死人博士』!」
死人博士はゾンビについて解説し、子供たちを恐怖のどん底に陥れる。
このあたりは、ゾンビというモンスターの概念を視聴者に説明する意味もあるのだろう。

死人博士から逃げたしげるは、通りかかった洋にゾンビについて聞く。
洋は、お化けは怖がっている人のところに現れるのだと、しげるを脅しつつ励ますのだった。
その夜、とあるビルに金庫破りに潜入した二人組の泥棒の前に、死人博士が現れる。
翌日、ナオコとアキ、ユミの三人は、幽霊に腰を抜かした泥棒が捕まった記事を見て笑っていた。

しげるたちの間では、なおもゾンビの実在について意見が分かれていた。
そこで、ゾンビを目撃したススムが、ゾンビの実在を確かめるべく、お墓に行こうと提案する。
日本は基本的に土葬ではないのでゾンビはいない気はするが、結局しげるたちはその夜、墓地へ肝試しに行くことになるのだった。前回から、いくらなんでも肝試しが好きすぎる。

その夜、しげるたちは墓地に出かけた。しげるはゾンビはにんにくに弱いと思い込んでにんにくを持ってきたが、それは吸血鬼だろうと冷静に突っ込まれてしまうのだった。
彼らはそこで、人魂が翔び、地面にゾンビが横たわっているのを目撃。
しげるたちは慌てて逃げ出すが、ススムがゾンビに捕まってしまう。

翌朝、しげるの案内で、洋と谷は墓地に向かった。洋はそこで、足跡を発見。
谷は、幽霊に足があるのか?と不思議がる。ゾンビと幽霊の概念がごっちゃになっていて紛らわしい。洋はこのゾンビ騒ぎの裏に、何かあると直感するのだった。
夜になり、ススムを探す洋の前に、死人博士が現れた。
「屍人が蘇る…蘇った屍人たちが、東京中に満ち溢れるのだ。そして、生きている人間どもを墓場に引きずり込むのだ…。ワシの名は、死人博士!」

死人博士の正体は、ネオショッカーの怪人・ゾンビーダだった。
ゾンビーダはゾンビを自在に操る能力を持っている。しかし、魔神提督は、ゾンビの力は普通の人間を襲う分には十分でも、スカイライダーを倒すには力不足だと憤っていた。
しかしゾンビーダは、手足がバラバラになったゾンビを再生させるデモンストレーションを行い、もともと命を持たず不死身であるゾンビの有用性を証明する。
「屍人はもとより命がない。だから不死身というわけです。いかに仮面ライダーとはいえ、無限に襲いかかってくる敵を相手にしては、勝ち目がありますまい!」
魔神提督もその発想に感心し、ゾンビーダにスカイライダー抹殺の期待を寄せる。
各地で起こるゾンビ=幽霊騒ぎは、スカイライダーを誘き出すための作戦だったのだ。

その頃、墓場では、がんがんじいが鎧の修理を行っていた。なんで墓場でそんなことをやってるのかはよくわからないが、人目につきにくいと考えたのだろうか。
「ほんまに、ネオショッカー退治も楽やないわぁ…」
修理を終え、鎧を着込んだがんがんじいが工具箱を持ち上げようとすると、何故か持ち上がらない。地中からゾンビが手を伸ばし、工具箱を握っていたのである。
がんがんじいは結局、地中のゾンビごと工具箱を引き上げ、ゾンビは地上に出現。
ゾンビを目撃したがんがんじいは、あまりの恐怖に卒倒してしまう。
今や懐かし、飛田今太的な役回りだ。
死人博士は邪魔ながんがんじいを墓場の裏のゴミ箱に打ち捨てさせる。

ススムの行方は全くわからなかった。
洋は鍵を握る怪しい人物、死人博士の姿を求めて街を走り回っていた。
そしてついに、洋は墓地で死人博士を発見し、その後を追う。
ススムの助けを求める声を追った洋は、そこで縛られているススムとがんがんじいを発見した。
だが、洋はゾンビに足を捕まれてしまい、さらに大量のゾンビに取り囲まれる。
「ワシの可愛いゾンビたちが、お前を地獄に送ってくれるわ!」

大量のゾンビにまとわりつかれ、苦戦を余儀なくされる洋は、スカイライダーに変身する。
墓地を舞台に、スカイライダーとゾンビたちの死闘が始まった。
スカイライダーはゾンビを投げ飛ばす。だが、ゾンビはいくら吹き飛ばされ身体をバラバラにされても、すぐに元に戻って襲いかかってくるのだった。
このままでは体力を消耗し、スカイライダーといえどもいつかはやられてしまう。
「どうだ!仮面ライダーといえども、永遠に戦い続けることは出来まい!」

しかしスカイライダーは、ゾンビが死人博士の持つ杖で操られていることを看破。
そこで死人博士はゾンビーダとなり、スカイライダーに襲いかかる。
だがそれが、ゾンビーダの運の尽きだった。スカイライダーはゾンビーダの杖を蹴り上げ、それを破壊。コントロールを失ったゾンビは消失してしまう。
ゾンビを失い、やけくそ気味に攻め立ててくるゾンビーダやアリコマンドを相手に、スカイライダーの猛攻が始まった。スカイライダーはゾンビーダを投げ飛ばす。
そして、スカイライダー99の技の1つ、「スカイフライングソーサー」がゾンビーダに炸裂。
ゾンビーダは爆発四散し、自らも屍人と化すのだった。

洋は、ゾンビを目撃した子供たちを、悪い夢を見ていただけだと宥める。
谷も、「幽霊の正体見たり枯尾花」の話をして、怖がりすぎないようにと諭すのだった。

不死身の怪物、ゾンビを題材に、いくら仮面ライダーといえど、戦い続ければエネルギーが尽きてしまうという点に着目したゾンビーダの悪辣さが印象的なエピソード。
一見、何の意味もなさそうな子供たちをゾンビによって怖がらせるという冒頭の展開も、子供たちの兄貴分である洋が、ゾンビを恐れる子供たちを放っておけないことに着目して子供たちを脅かす、洋を誘き出すための作戦であるというのも、意外と筋が通っている。
実際、自らスカイライダーにとどめを刺そうとしなければ、不死身のゾンビ部隊を相手にしたスカイライダーのエネルギーが尽きてしまっていた可能性もあるあたり、侮れない怪人だった。

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