「仮面ライダー (新) (スカイライダー)」第41話「怪談シリーズ 幽霊ビルの秘密」感想

2025年3月17日月曜日

仮面ライダー (新) (スカイライダー) 東映特撮YoutubeOfficial

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あらすじ

しげるたちが幽霊を見たというビル。その地下はネオショッカーの基地となっていた。
実はそのビルでは、怪人・クチュウレイの指揮の下、ネオショッカーが製造する殺人ガスの工場であることが人間たちに気づかれないよう、幽霊騒ぎを起こしていたのだ。

旧日本軍が遺した毒ガスの恐怖! 巨大な牙がスカイライダーに迫る!

今回より、ホラー要素を追求した連作シリーズ、「怪談シリーズ」がスタートする。
「X」の「怖い!」2部作や、「ストロンガー」の「怪談」3部作を思い出す展開だ。
その先駆けとなる今回のネオショッカーの怪人は、巨大な口を持つクチユウレイ。
同時期の「バトルフィーバーJ」でも怪人のモチーフになった、「口裂け女」を思い出させる。
人魂に姿を変える能力や、口から取り外した歯を飛ばす攻撃を得意とする怪人だ。
第二次大戦中、薬が足りず大勢の人が命を落としたことから、幽霊が出ると噂される廃病院に潜伏し、その地下に隠されていたという旧日本軍の製造した殺人ガスの発掘を目的とする。

しかし、しげるたちが肝試しにその廃病院に乗り込んだことから、洋が廃病院の幽霊騒ぎを知ることとなり、毒ガス発掘計画が発覚。さらに、どこから聞きつけたのか、がんがんじいまで廃病院に乗り込んでくるなど、幽霊騒ぎに乗じた人払いに失敗したクチユウレイ。
ついに、スカイライダー排除のために自ら動き出すことになる。
果たして、スカイライダーはクチユウレイを倒し、毒ガス発掘を阻止できるのか。
そして、廃病院を騒がせる幽霊騒ぎの真相とは…。

今回、これまで「謎の人?」だったがんがんじいの正体がついに明らかになる。
「実は…矢田勘次」とクレジットされても、今回が初登場なので誰?ではあるが…。

戦争中、病院だったこの建物で、何百人もの人間が薬が足りず死んでいった。
そして、最近ここに幽霊が出るという噂が広がった。
今ではもう、誰一人ここに近づくものもいない…。
だが、深夜、その廃病院に、しげるたちが肝試しをするべく赴いていた。
しかし、しげるたちは、建物の奥で、不気味な人の声のような物音を耳にする。
しげるたちは無謀にも、その音のする方向へ降りていく。
すると、その背後には人魂が浮かんでいた。

しげるたちが病院の奥へ進んでいく中、壁から血が滴り落ちていた。
そして、しげるが持っていた懐中電灯が点灯しなくなると、彼らの眼の前に白い影が現れる。
やがてその影は、女性の幽霊に姿を変えた。それを皮切りに、次々に幽霊が現れる。
しげるは転倒してしまい、その拍子に持っていたカメラのシャッターが切れるのだった。

翌日、しげるは、谷やアキ、ナオコたちに、廃病院で撮影された写真を見せていた。
しかし、その写真には、幽霊など映ってはいない。
それでも幽霊の実在を訴えるしげるを、笑ってあしらう大人たち。
「少年の想像力を伸ばしてやらなくちゃ~!」
だが、それを笑って見ていた洋が、写真の違和感に気づく。
写真に写った壁面には、字のような模様が写っていたのだ。
洋はその違和感を確かめるべく、写真を引き伸ばすことにした。
一方、ナオコとアキは、写真を引き伸ばすより実際に廃病院を訪れた方が早いと、よせばいいのに、廃病院に肝試しに出かけることを決意してしまうのだった。

懐中電灯と杖を手に、廃病院に乗り込んだナオコとアキ。
彼女たちはそこで、壁を突きぬきて幽霊が手を伸ばしてくるのを目撃してしまう。
慌てて逃亡した2人だが、逃げ込んだ先でも女性の幽霊が天井から出現。
慌ててトイレに逃げ込むが、彼女たちを探すように、人魂が追ってきた。
息を殺して人魂が通過するのを待つナオコとアキ。
このあたりは、結構雰囲気が出ていてなかなかに怖い。
人魂が自分たちを探す声がしなくなり、安堵の声を漏らすナオコとアキ。
だが、幽霊たちは既にナオコとアキを発見していたのだった。
2人はあまりの恐ろしさに、気絶してしまう。

その頃、ブランカでは、洋が引き伸ばした写真を確認していた。
壁面に血で書かれていた文字は、「たすけて」という4文字。
洋は、この病院の地下に、旧日本軍が殺人ガスを大量に埋め込んだという噂があることから、ネオショッカーが幽霊騒ぎを起こし、人払いをしているのではないかと疑っていた。
「幽霊の正体見たり枯尾花」。ネオショッカーがかつて病院で亡くなった人の幽霊に化けたアリコマンドを用意し、廃病院に近づいた人を襲い、犠牲者が血で助けを求めていたのか?

舞台はふたたび廃病院に戻る。そこでは、がんがんじいが、よせばいいのに廃病院に乗り込んで、幽霊騒ぎの真相を突き止めようとしていた。
「出るなら出てみい!この日本一の力持ちのがんがんじい様が、捻り潰したろか!」
だが、廃病院内の十字架や、落ちてきた廃材にもビビりまくる始末。
さらに、がんがんじいの眼前に幽霊が出現し、がんがんじいは驚いて逃げ出してしまう。

廃病院に到着した洋は、急ぎナオコやアキを探した。
しかし、洋に向かって注射器が翔び、旧日本兵の幽霊が出現する。
するとそこに、幽霊に驚いたがんがんじいが逃げ込んできた。
さらにがんがんじいは逃げ込んだ先で、鉄仮面を奪われ素顔が顕になってしまう。
ネプチューンマンもびっくりの、スムーズなマスク狩りだ。
気絶したがんがんじいを起こした洋。がんがんじいは素顔が顕になったことに愕然とする。
「あれ?なんや頭がスースーするな…あらぁ!面が取れてしもうとるがな!顔がわかってしもうたら、謎のがんがんじいが誰か、わかってしまうやないか!困ったなぁ…」
「心配するな、誰にも言わないから!」
「さよか!えらいすいまへんなぁ!矢田勘次、この御恩は一生忘れまへん!おおきにありがとう!おおきにありがとう!おおきにありがとう!」
がんがんじいこと矢田勘次は、正体を秘密にしておきたい気持ちを慮る洋の優しさに感謝する。
だが、その眼前に再び幽霊が出現し、矢田勘次はまたしても気絶してしまうのだった。

洋の読み通り、ネオショッカーはこの廃病院の地下に埋蔵された殺人ガスを狙っていた。
ネオショッカーの怪人・クチユウレイの指示の元、殺人ガスは既に発掘されていた。
1つのカプセルに込められた分だけで、100万人を殺せるほどの殺傷力を持つ殺人ガス。
魔神提督も、たったの10個で東京を壊滅させるその破壊力にご満悦だ。
そしてこの殺人ガス入りのカプセルは、既に100個も発掘されていた。
魔神提督は、スカイライダーがそれを嗅ぎつけはしないかと心配していたが、クチユウレイはこの廃病院が幽霊ビルと恐れられ、人間たちが近づくことはないと高を括る。
ということは、クチユウレイはあくまで幽霊騒ぎの風評に乗じて殺人ガスの発掘を進めているだけに過ぎず、今起こっている幽霊騒ぎはクチユウレイの仕業ではないのか?

謎が謎を呼ぶ幽霊騒ぎの真相を確かめるべく、洋は廃病院の奥に進んでいく。
そしてついに、しげるが写真に取った壁の文字を発見した。
そしてそれは、やはりそれは血で書かれていたものである。
洋が更に奥に進むと、そこではネオショッカーが殺人ガスを運び出そうとしていた。
あれだけスカイライダーに気をつけろと言っていたのに、まんまと嗅ぎつけたことで魔神提督は激怒。クチユウレイに、スカイライダーを倒せなければ死刑と宣告するのだった。

クチユウレイは殺人ガスのある部屋を密封し、カプセルを割って洋の息の根を止めようとする。
殺人ガスに苦しんだ洋は、殺人ガスを発掘する竪穴に落下してしまうのだった。
一方その頃、谷もナオコやアキを助けるため廃病院に侵入。
気絶していた2人を発見し、廃病院からの脱出を試みる。そこにがんがんじいも合流した。
「またお化けかな、思いましたがな…」
しかし、彼らの前に再び幽霊が現れる。

ネオショッカーが狙う殺人ガスは、15分ほどで無毒化する性質を持っていた。
クチユウレイは洋の死を確認すべく、15分が経過した後、洋が落下した竪穴を確認する。
だが、洋は既にスカイライダーに変身して無事だった。
クチユウレイは形勢不利と見て、地上まで逃亡する。

アリコマンドを蹴散らすスカイライダーに、クチユウレイは人魂となって襲いかかる。
「今日こそ貴様の気取った面を、叩き潰してやるわっ!」
廃墟を舞台にした立体的な殺陣が面白い戦闘シーン。
クチユウレイは巨大な口でスカイライダーの頭部に噛みつこうと迫る。
さらに、口から歯を取り外すと、爆弾として歯を投げつけた。
しかしスカイライダーはそれを躱し、スカイチョップを叩き込む。
さらに、スカイライダーは連続回し蹴りを決め、グロッキー状態になったクチユウレイを抱えあげると、99の技の1つ、「竹とんぼシュート」を決める。
高速回転して大地に叩きつけられたクチユウレイに、とどめのスカイキックが炸裂。
クチユウレイは倒れ、旧日本軍の遺した殺人ガスを狙うネオショッカーの企みは潰えた。

廃病院のトイレで気絶していたことをからかわれるナオコとアキ。
谷は、幽霊騒ぎはネオショッカーのカモフラージュに過ぎなかったと安心する。
だが、洋はそうとばかりは言えないと、しげるの撮った写真を見せる。
なんと、写真からは「たすけて」の文字が消えてしまっていたのだ。
クチユウレイもまた、カモフラージュとして幽霊騒ぎを利用しただけに過ぎず、自ら幽霊騒ぎを起こしたとは言っていなかった。とすれば、廃病院に出現していた幽霊は本物であり、かつて戦火によって犠牲となった人々の霊が、旧日本軍の遺した殺人ガスによって再び世界が戦火に包まれることを恐れ、ネオショッカーを阻止すべく助けを求めていたのかもしれない…。
信じるか信じないかは、貴方次第。

幽霊騒ぎはネオショッカーのカモフラージュ、という現実的な落とし所に落ち着くと見せかけて、幽霊の実在をも感じさせる不思議な余韻を遺して終わる、まさに「怪談」なエピソード。
巨大な口を備えたクチユウレイのビジュアルはインパクト抜群の姿だが、幽霊騒ぎそのものには関わっていないこともあり、昭和ライダー怪人としては出番が控えめなのも珍しい。
幽霊の恐怖演出は今の目でも見てもなかなか凝っており、廃病院のロケーションも合わせて実際に怪談の舞台になっていそうな雰囲気がよく演出されていた。

今回、ついにがんがんじいの正体が明らかになり、洋が彼の正体を秘密にする約束を交わしたことで、2人は友人となることになる。洋がスカイライダーであることは知らないがんがんじいだが、洋を兄貴分として慕うようになり、共にネオショッカーを追う相棒になった。
とはいっても、滝和也のように強くはないので、ろくに役には立たないのだが…。
だが、洋にとって、気軽に付き合える友人が出来たことは、心の支えであることは間違いない。

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