あらすじ
ネオショッカーの怪人・ザンヨウジューは密かにロケットを建造していた。
それは、洋をロケットに誘い込み、宇宙の果てへ打ち上げようという途方もない作戦だったのだ。
アキを化石に変え、洋をロケットの中へ誘き寄せることに成功したザンヨウジューだが...。
スカイライダー宇宙へ追放!? ネオショッカーのロケット計画
今回のネオショッカーの怪人は、三葉虫の特性を持つザンヨウジュー。
口から浴びせた者の表皮を化石に変えるガスを吐き、動きを封じることが出来る怪人だ。
そんなザンヨウジューの行う作戦が、観音像に偽装したロケット建造。
ザンヨウジューの狙いは、このロケットに筑波洋を誘き寄せ、宇宙へ追放してしまうこと。
「大怪獣ガメラ」のZプランを思い出させる、途方もない作戦だ。
ザンヨウジューは洋を誘き寄せるために、デート中だったアキとそのボーイフレンド・陽介、そして弟のオサムを襲撃。アキを化石に変え、陽介とオサムを捕らえてしまう。
そしてついに、洋をも化石に変え、ロケットに積み込むことに成功してしまうのだった。
身動きの取れない洋は、このまま宇宙の墓場へ追放されてしまうのか…。
ナグリ渓谷にある観音像。それは、ネオショッカーが密かに建造した巨大ロケットの偽装だった。
過酷なロケット建造作業に疲れ果てたアリコマンドは、このロケット建造を主導する怪人・ザンヨウジューに見つかってしまい、化石にされて処刑されてしまう。
「そんなに休みたければ、化石になって永久に休むが良い!」
とんだパワハラ気質のザンヨウジューのもとに、魔神提督が現れた。
筑波洋を殺せと命令したにも関わらず、なぜロケットを建造しているのか尋ねる魔神提督。
「実は、この宇宙ロケットに、筑波洋を誘い込み、そのまま宇宙の死の果てまで、飛ばしてしまおうという計画なのです!」
なんと、洋をロケットに乗せ、宇宙の果てに追放しようという途方もない作戦を思いついていたザンヨウジュー。さらに、洋を誘き寄せるための作戦も既に考案しているという。
一方、魔神提督はこのところの失敗続きで立場が危うくなっていることを心配していた。
「この計画が失敗すれば、お前ばかりでなくこの俺まで大首領に殺されるかもしれんのだ!」
しかし、前任のゼネラルモンスターがわりとあっさり大首領に見限られたことを思えば、失敗続きにも関わらず、だいぶ長生きした方ではある魔神提督。
それだけ、日本支部に来る前の功績が大きかったということではあるのだろう。
その頃、アキは弟のオサム、そしてボーイフレンドの陽介と川遊びに来ていた。
オサムと仲良く釣りを楽しむ陽介。アキとは既に家族公認の仲なのだろうか…。
しかしその平穏は、もろくも崩れ去る。アキが用意していた食材にガスが吹き付けられ、食材は全て化石に変わってしまった。それはもちろん、ザンヨウジューの仕業だ。
アキの悲鳴を聞きつけたオサムと陽介が駆けつけると、アキも化石に変えられていた。
ザンヨウジューはさらに、オサムと陽介を捕らえてしまう。
翌日。ブランカでは、谷が行方不明になったアキとオサムを心配していた。
そこにナオコが大慌てでやってきた。なんでも、三丁目の画廊に、アキそっくりの彫刻があるのだという。ただならぬ気配を感じた洋と谷は、ナオコの案内で画廊に向かう。
するとそこには確かに、アキそっくりの彫刻があった。しかも、彫刻の目からは涙が流れる。
そこに、彫刻家の阿久野もとじという男が現れ、特殊な砂を固めた彫刻であり、水分を多量に含んでいるため涙を流しているように見えるのだと説明する。アキの彫刻について聞き出そうとする洋に、阿久野もとじはナグリ渓谷にある自分のアトリエに来るように案内するのだった。
その頃、ナグリ渓谷のザンヨウジューのアジトでは、オサムと陽介が宇宙ロケットの内部に連行された。そこに、阿久野もとじが現れ、ザンヨウジューとしての正体を表すのだった。
阿久野もとじが洋をアトリエに来るように誘ったのは、宇宙ロケットに誘い込むためだったのだ。
そうとは知らぬ洋は、警戒しながらもアトリエへと入っていく。
ロケット内部に軟禁されたオサムと陽介は、ロケット内部の回路にフーセンガムを詰め、ロケット発射装置の電源を切ることで脱出しようとする。だが時既に遅く、ロケットの前に洋が到着してしまい、オサムたちを助けるためロケット内部に入ってしまった。
ザンヨウジューはすかさずロケットを発射させようとするが、フーセンガムを詰められたことでコンピューターは故障し、ロケットは発射しない。大ファインプレーだ。
洋はオサムと陽介から、ネオショッカーが自分たちを宇宙に飛ばすつもりであることを聞き、ロケット内部から脱出。オサムと陽介を連れ、アジトからの脱出を図る。
しかし、陽介は脱出を阻まんとするザンヨウジューによって化石に変えられてしまった。
なんとか洋はオサムを救出し、アジトから脱出する。
その頃、ナオコは図書館で、阿久野もとじについて調べていた。
沼さんも図書館についてきていたが、漫画ばかり読んでいてろくに役に立たない。
回路に詰められていたフーセンガムを除去したネオショッカー。
魔神提督は、千載一遇の好機を逃したことで怒り、ザンヨウジューの目にフーセンガムを押し付ける。パワハラ気質のザンヨウジューが上司にパワハラを受ける、因果応報の構図だ。
「筑波洋を宇宙の果てまで飛ばしてみせると大口ばかり叩きおって!貴様は死刑だ!」
「お待ち下さい!もう一度チャンスを!」
ナオコは図書館で、本物の阿久野もとじは2年前に亡くなっていたことを突き止め、ナグリ渓谷へ向かうことにした。そして洋は、オサムを安全なところに送り届けると、アキと陽介を助けるため、ザンヨウジューのアジトへ引き返す。
再びアジトへ潜入した洋は、化石にされたアキと陽介を発見するものの、潜んでいたザンヨウジューの不意打ちを受け、自らも化石に変えられてしまうのだった。
「仲間を助けに戻ったのが運の尽きだったな、筑波洋!今度こそ宇宙に飛ばしてやる!」
ザンヨウジューはアリコマンドたちに、用済みとなったアキと陽介の化石を外に捨ててくるように命じる。そこに、ナグリ渓谷に到着したナオコと沼がやってきた。
そこに下山を試みていたオサムが現れ、ナオコにアキたちの危機を知らせるのだった。
ついに、化石になって身動きの取れない洋は宇宙ロケットに積み込まれてしまう。
身動きの取れない洋に、もはや打つ手はない。ついに、宇宙ロケットは発射の時を迎えた。
ザンヨウジューの手で、巨大観音像に偽装された宇宙ロケットが打ち上げられる。
「これで俺の出世は間違いなしだ!」
しかしその時、奇跡が起きた。宇宙ロケットの発射に伴い内部にかかる地上の数倍の重力が、洋の肉体の表面を固めていた化石を砕き、洋の身体から化石が剥がれ落ちたのだ。
洋はスカイライダーに変身する!
スカイライダーは宇宙ロケットのコントロールシステムをスカイドリルで破壊。
観音像型ロケットは、みるみる内に落下。ザンヨウジューのアジトに墜落した。
その頃ナオコは、アキと陽介の化石を発見。たまたま通りかかったがんがんじいと共に、2人の化石を運び出す。終始頼りにならない沼さんと比べて、いざという時に頼れる男のがんがんじい。
ロケットのタッカで、ザンヨウジューのアジトは壊滅。
脱出していたザンヨウジューは勝利を確信する。
「あの爆発では、いくら不死身の仮面ライダーでも助かるまい!これで日本は、我がネオショッカーのものになったも同然だ!」
しかしそこに、無事に脱出していたスカイライダーが現れる。
「貴様、生きておったのか!」
「俺がスカイライダーだということを、忘れたか!ザンヨウジュー!」
スカイライダーは、直接描写こそないものの、セイリングジャンプによって落下する宇宙ロケットから脱出していたのだ!セイリングジャンプが使われなくなって久しい、特に強化スカイライダーとなって以降は皆無となっていたことを思えば、「俺がスカイライダーだということを忘れたか」というのは、視聴者へ向けた言葉でもある、
スカイライダーはアリコマンド部隊を次々に撃破し、ザンヨウジューとの決戦に挑む。
だがザンヨウジューは、神出鬼没の瞬間移動能力でスカイライダーを撹乱。
「貴様の首をちょん切ってやる!」
そして、左手の鋏でスカイライダーの首を締め上げるザンヨウジュー。
スカイライダーは辛くもそれから脱出したが、今度は化石化ガスが襲いかかる。
だがスカイライダーは一瞬の隙を突いてザンヨウジューの懐に飛び込み、連続攻撃を浴びせた。
耐えかねたザンヨウジューは、自分の体に化石化ガスを噴射し、巨大な岩石に姿を変える。
岩石となったザンヨウジューには、スカイキックも通用しない。
そこでスカイライダーは、岩石を持ち上げたままジャンプし、岩石を投げ飛ばして大地にぶつける99の技のひとつ、「岩石落とし」でザンヨウジューの岩石化を解除。
なおも立ち上がるザンヨウジューに、スカイライダーはトドメのスカイキックを炸裂させた。
ついに、難敵ザンヨウジューも倒されたのである。
ザンヨウジューが倒され、化石になったアキと陽介も無事に元に戻った。
アキと陽介は抱き合い、お互いの無事を喜び合う。がんがんじいはそれを羨むのだった。
皆の顔に笑顔が戻り、一時の平和が訪れた。
洋を宇宙ロケットに乗せて宇宙の果てまで追放しようという、途方もないスケールの作戦が面白いエピソード。ネオショッカーが宇宙ロケットを巨大観音像に偽装しているのも、観音像というロケーションを活かしたアイデアで面白い。
そして、そんな最大の危機からの脱出として、明言こそされていないが、スカイライダーがスカイライダーたる能力であるセイリングジャンプが使用されているのも秀逸な展開だ。
番組のスタート当初はほぼノルマ的に挿入されてきたセイリングジャンプだが、スカイライダーの最大の特徴だけに、使われなくなるのもそれはそれで寂しいもの。
まして、強化スカイライダーとなって以降は触れられることもなかったので、今回のセイリングジャンプによる脱出だと想像させる台詞の挿入は嬉しいところだ。
一方、日本国外で様々な功績を上げ、鳴り物入りで日本支部を任されてきた魔神提督も、いよいよその立場を危うくし始めている。配下の怪人の失敗の責任を取らされ、大首領に処刑されることもちらつかされるようになってきたのだろう。
魔神提督との、そしてネオショッカーとの戦いに終止符が打たれる日も、近い。