あらすじ
ネオショッカー大首領の日本占領を阻止するため、7人のライダーが帰国・集結した。
だが、ネオショッカー大首領は、仮面ライダーに24時間以内に支配下に入るよう要求する。
そして、却下すれば空気中の酸素を破壊する爆弾を爆発させるとの声明を発するのだった。
一方、洋は救出した母親をネオショッカーによって喪ってしまう。
洋は哀しみと怒りを胸に、ネオショッカーを壊滅させるべく最後の戦いに臨む。
はるかなる愛に、この命をかける――スカイライダー、最後の飛翔!
父を名乗る狡猾な罠を仕掛けてきた魔神提督を打ち破り、ついに母親と再会した洋。
しかし、洋の大切な人を服従させることに悦びを覚えていたネオショッカー大首領の怒りは、ついに頂点に達していた。大首領直属のドクロ暗殺隊が、洋たちを襲う。
ようやく再会できた母親を守り、洋は奮戦するが、最大の悲劇はすぐそこまで迫っていた。
一方、ついに日本占領のための大々的な攻撃を開始したネオショッカー大首領。
それを食い止めるべく、世界中から栄光の7人ライダーが結集した。
しかし、大首領はそれを嘲笑うように、空気中の酸素を破壊する酸素破壊爆弾を持って仮面ライダーたちを脅迫。24時間以内に、自分の支配下に入るように迫る。
仮面ライダーたちに残された時間は、もう残り僅かしかない。
7人ライダーは谷やブランカの仲間たちに別れを告げ、大首領との最終決戦に向かうのだった。
そして、母から大首領の弱点を聞いた筑波洋もまた、ネオショッカーとの最終決戦に向かう。
たったひとつの命を、はるかなる愛にかけて斗う。スカイライダー、最後の戦いが始まった。
果たして、正邪の最終決戦に勝利するのは、正義か、悪か…。
ネオショッカーを支配する大首領の正体は、地球侵略を目指す、暗黒星雲の宇宙怪物だった。
スカイライダー=筑波洋は大首領の召使いにされていた母親を助け、氷漬けの父に別れを告げ、地上を目指した。だが、大首領の起こした大地震によって、筑波洋と母に、危険が迫っていた。
大首領の起こした大地震はブランカをも揺るがし、ナオコやアキだけでなく、ブランカを訪れていたがんがんじいもビビりまくる。震源地が魔神湖であることを知った谷は、洋の危機を察知する。
そこに一文字隼人と城茂が戻って来るが、洋と洋の母の行方は杳として知れない。
ナオコたちは、行方不明の洋を心配する。
一方、ネオショッカー大首領は直属の精鋭部隊、ドクロ暗殺隊を招集。
洋を抹殺し、洋の母を連れ戻すように命ずるのだった。
そして、科学者グループには、日本を乗っ取るV作戦の開始を命令。
そしてネオショッカーの技術が作り上げた、酸素破壊爆弾を用意させるのだった。
「ゴジラ」でいうオキシジェン・デストロイヤーを、より広範囲に、海中だけなく地上にまでその効果を発揮させるものだとすれば、これほど恐ろしい武器はない。
決戦に備え、一文字は2号ライダーに、城茂はストロンガーに変身。
そして、ネオショッカーとの最終決戦に備え、ついに世界中から7人ライダーが結集した。
メキシコから1号が。ギリシャからV3。ライダーマンは南アフリカ、Xライダーはエジプト。
そしてアマゾンライダーはペルーから、ネオショッカー大首領との決戦のために帰国したのだ。
栄光の7人ライダーの集結に、「戦え!7人ライダー」のインストが流れる演出が燃える。
7人ライダーは団結し、スクラムを組んでネオショッカー大首領に立ち向かう決意を固める。
そして、2号とストロンガーが行方不明のスカイライダーの捜索を開始した。
その頃、ドクロ暗殺隊は洋の母の奪還を目指し、洋たちの行方を追っていた。
そして、ネオショッカー大神殿では、洋の母に逃げられたことに大首領が怒りを見せていた。
筑波洋の大切なものを自分の意のままに支配することに悦びを覚えていた大首領は、洋の母に異常なまでの執着心を見せていたのだ。ちょっと異常すぎる気もする。
その間に、ネオショッカー科学者グループは酸素破壊爆弾の用意を完了。
大首領は東京上空へ向けて、酸素破壊爆弾の発射を命じる。
魔神湖を抜け、東京上空へバルーンで空輸された酸素破壊爆弾。
ブランカの面々や、戻ってきた一文字隼人と城茂も、その威容を目撃する。
するとそこに、ネオショッカー大首領の声が響いてきた。それはライダーへの降伏勧告だ。
「仮面ライダーに告ぐ。24時間以内に姿を現し、ネオショッカーの支配下に入ることを承諾せよ。さもなくば、空気中の酸素を破壊する、酸素破壊爆弾を爆発させるぞ!」
「酸素が切れたら、生物は全部窒息しちまうぞ!」
「いいか。24時間。24時間以内に、YesかNoか返答せよ!」
「大首領!酸素がなくなればお前たちも生きていられないぞ!」
「愚かなり、一文字隼人。我らネオショッカー、万全の策もなく行動すると思うな!」
ネオショッカー大首領はさらに東京上空に幻影を現し、その威容で人々を恐怖させる。
2号とストロンガーは、大首領の本体は大神殿にいるものと推測する。
その頃、なんとか脱出に成功した洋は、母を背負い海岸を歩いていた。
母の背に負われていた思い出を懐かしむ洋。だが、その平穏は長くは続かない。
ドクロ暗殺隊が、ついに洋たちを発見したのだ。
雨のように襲い、風のように人を刺すドクロ暗殺隊の襲撃が洋たちを襲う。
そこに、一文字隼人が洋たちを助けに現れた。洋と一文字はドクロ暗殺隊を次々に蹴散らす。
ネオショッカー大首領の降伏勧告を伝えた一文字に、洋は母を安全なところに送ってから駆けつけると答える。一文字も、ようやく母と再会した洋の心情を慮り、それを承諾するのだった。
だが、一文字が去った後、洋の母は洋を叱咤した。
「洋。すぐ行きなさい」
「母さんをこのまま放りだしては行けないよ!」
「私は大丈夫よ。早く行って、皆と手を合わせて戦いなさい。死んだお父さんも、きっとそのほうが喜ぶわよ…」
世界の平和のために、個人の感情を捨てて戦うことを促す母に、洋の心は揺れる。
だが、そんな洋を狙い、ドクロ暗殺隊の生き残りが最後の力でボウガンを発射した。
しかし、その矢は洋の母の体を貫く。再会した親子は、再び引き離されるのだった。
洋は怒りのまま、ドクロ暗殺隊にとどめを刺す。そんな洋に、母は最期の言葉を残す。
「洋…お聞きなさい。完璧に見える大首領にも、急所はあるんです。その急所は、右足の裏にあります。私は、召使いにされていた時に、偶然に気づいたんです」
大首領が洋の母に執着したのは単なる趣味ではなく、自分の急所を知られていたからだった。
「洋…行きなさい。早く行きなさい!」
最愛の母を2度奪われた洋は、母の命を奪ったボウガンを手に、慟哭の叫びを上げる。
酸素破壊爆弾の爆破まで、仮面ライダーに残された時間はもう残り僅かしかない。
7人ライダーは結集し、ネオショッカー大首領の潜む大神殿に急ぐ。
2号は、世話になったブランカの面々に別れを告げるのだった。
がんがんじいはそんなライダー部隊についていこうとするが、もちろん追いつけない。
転倒したがんがんじいを起こしたのは、洋だった。
「がんがんじい。元気でな!」
例え戦力にはならなくても、善意でネオショッカーと戦っていたがんがんじいは、洋にとって、かけがえのない戦友だった。その戦友に別れを告げ、洋もまた、最終決戦に向かう。
「間違いない…洋さんは…仮面ライダーや!」
がんがんじいは、その言葉に、洋がスカイライダーであることに気づくのだった。
「おーい!洋さん!生きて帰ってくるんやで!わかってるな!」
同じ時間を過ごしてきた戦友同士の別れを描いたこのシーンは、正直言って泣ける。
そして、戦友からのエールを背に、洋はスカイライダーに変身する!
「スカイ!変身!」
「ようし!これよりネオショッカー本部を襲撃する!」
1号ライダーの号令で、7人ライダーが突撃する。
「来たな、仮面ライダー!お前たちは皆殺しにしてやる!」
余裕の笑みを崩さないネオショッカー大首領もまた、その姿を現した。
「俺たちが負ければ日本はネオショッカーに支配される!いいな!行くぞ!」
2号ライダーの号令とともに、魔神湖に飛び込む7人ライダー。
しかし、彼らは即座に湖から弾き返された。
魔神湖の底から、ネオショッカー大首領が姿を現したのだ。
「待っていたぞ、仮面ライダー!今日こそお前たち全部を、まとめて殺してやる!」
「大首領!俺たちは負けるわけにはいかんのだ!」
7人ライダーは高く跳躍し、次々にライダーキックを叩き込むが、大首領には通じない。
大首領の尾が巨岩を弾き飛ばし、火炎放射が7人ライダーを襲う。
7人ライダー総掛かりで足を攻めても、まるで効果がない。
このまま、仮面ライダーたちは嬲り殺しにされてしまうのか?
「こうなったら、大首領に突撃して、大首領諸共!」
「俺たちが死んでも、俺たちの志は子供たちが継いでくれる!」
「そうだ!悪を憎み、正義を愛するライダーの心を!」
「その通りだ、みんな!俺も戦線に復帰するぜ!」
決意を固めた7人ライダーのもとに、ついにスカイライダーが合流した。
「スカイライダー!お母さんはどうした!」
「母は、大首領に殺された!みんな、俺にやらせてくれ!」
「来たな、スカイライダー!貴様も両親のもとに送ってやるぞ!」
スカイライダーは大首領の頭部に飛びつき打撃を加えるが、振るい落とされる。
スカイライダーはスカイキックを決めるが、やはり大首領には何の効果もない。
しかし、スカイライダーに一瞬の勝機が訪れた。
スカイライダーを踏み潰そうと、大首領が右足を高く上げたのだ!
スカイライダーは、亡き母が教えてくれた大首領唯一の急所、右足の裏にボウガンを放つ!
母の命を奪った因縁の武器が、大首領への必殺の武器となったのだ。
ダメージを追った大首領に、7人ライダーは一斉にライダーキックを炸裂させる。
ついに、ネオショッカー大首領は倒れたかに見えた。
だが、ネオショッカー大首領は最後の悪あがきとばかりに立ち上がる。
「このまま死んでたまるか!こうなったからには酸素破壊爆弾諸共自爆して、皆殺しだ!」
上空に浮かぶ酸素破壊爆弾めがけて、飛翔するネオショッカー大首領。
「そんなことをさせてたまるか!みんな!8人の力を合わせるんだ!」
8人ライダーは手をつなぎ、全エネルギーをスカイライダーの変身ベルトに集約する。
そして、スカイライダーは8人ライダーの全エネルギーで、重力低減装置を起動させた。
「セイリング、ジャンプ!」
決死のセイリングジャンプで飛翔した8人ライダーは、大首領の体に組みつく。
そして、酸素破壊爆弾ごと自爆しようとする大首領を大気圏外へ葬り去るべく、大空へ翔ぶ。
谷たちは、8人の勇士が大空高く舞い上がるその姿を、確かに目撃するのだった。
「仮面ライダーは、大気圏外で、大首領を始末する気だ…」
そこに、がんがんじいも涙ながらに現れる。
「ああ…とうとう置いていかれてもうた…ワシも皆と一緒に英雄になりたかったのに…!」
それは、最愛の戦友の帰還がもう叶わないと悟った、哀しみの涙だったのだろう…。
やがて、大空に、大首領の爆発が起こした閃光が走り――。
その後には、8つの輝く星が、この地球を見守るように光っていた。
ブランカの面々やがんがんじいは悲しみに包まれる。谷は、そんな彼らを諭すのだった。
「泣くんじゃないみんな。仮面ライダーは死んだんじゃない、必ず生きている。君たちが呼べば、必ず…必ず!どこからともなく、翔んでくるんだ!」
そして、谷たちは、大空の彼方に確かに見た。地球を優しく見守る、8人の勇士の姿を。
たったひとつの命を、はるかなる愛にかけて斗い抜いた、仮面ライダーたちの姿を…。
仮面ライダー8人の活躍で、ネオショッカーは滅び、日本の危機は救われた。
ありがとう、仮面ライダー。さようなら、我らの仮面ライダー!
最終回となる今回は、洋の両親を巡るドラマの結実、8人ライダーが集結した最終決戦、そして皆を救うため、たったひとつの命をかけて大空に翔んだスカイライダーの姿を描いた、感動巨編となっていた。最後の最後に、スカイライダーがスカイライダーたる所以であるセイリングジャンプが大首領の野望を阻止する切り札となった構図は、あまりにも美しい。
がんがんじいと洋との別れは、がんがんじいにだけ直接別れの挨拶をしたということを踏まえれば、洋ががんがんじいのことを本当にかけがえのない戦友と思っていた証明であり、泣ける。
洋がこれまで自分を助けてくれたスカイライダーであったことを悟ったがんがんじいだが、洋の無事を一心に願っていたにも関わらず、その帰還が叶わなかったのは、本当に寂しい。
空に消える8人ライダーを見て叫んだ、自分も英雄になりたかったというのも、洋と共にネオショッカーと最後まで戦いたかったという思いの現れだったのだろう。
こうして、とうとう完結した「仮面ライダー (新) (スカイライダー)」。
SFブーム・リバイバルブームに乗って、第1作である「仮面ライダー」のリメイク的作品として制作されたこの作品の歩みは、正直言って順風満帆とは言えなかった。
当初の番組のウリだったセイリングジャンプとライダーブレイクのフェードアウトや脚本陣・メインライターの交代。レギュラーキャストの大幅な降板と刷新、歴代ライダーの目まぐるしいまでの客演、そしてスカイライダー自体のモデルチェンジといった数々の番組強化策が導入された。
さらにその上で、新しいライダーの登場までもが検討されていたという。
だが、「仮面ライダー (新) (スカイライダー)」にとって幸運だったのは、それら全てのテコ入れが上手く作用し、筑波洋というキャラクターが序盤から備えていた、子供たちにとっての良き兄貴分であるという性格設定が、より明確になったことでキャラクターが定着したことだろう。
先輩ライダーが次々客演するという、長期シリーズ作品だからこそ出来る離れ業を用いつつ、その中で主役ヒーローの性格描写もより綿密に描かれたことで、筑波洋=スカイライダーの魅力もまた、十全に発揮されるようになったのである。
結果として後期エンディングテーマのように、8人ライダーの輝く魅力を描いた「仮面ライダー (新) (スカイライダー)」はなんと逆に1年の放送予定から2クール延長される案すらもあったという、起死回生の巻き返しに見事に成功した、テコ入れの成功例と言える作品になった。
この延長案は、主演の村上弘明氏のスケジュール都合で実現こそしなかったものの、初期の不調を見事に覆した証明とも言える、輝かしい成果であったと言える。
それを成し遂げたのは、「原点回帰」を志向した作品だからといって、変化を恐れずに面白そうな要素を貪欲に取り入れ、エンタメ性を重視した作劇を重視した制作陣のセンスである。
それはもともと初代「仮面ライダー」が持っていた、面白そうな要素なら多少の整合性などを無視しても番組強化策として取り入れる、貪欲なスタンスの再来であったとも言える。
多くの番組強化策でエンタメ性を強化した「仮面ライダー (新) (スカイライダー)」はまさに、そういう意味では初代「仮面ライダー」への原点回帰を果たしたのかもしれない。
こうして、8人の仮面ライダーはこの地球を救うべく、たったひとつの命をかけて大空に翔び、己を犠牲にしてネオショッカー大首領の野望を打ち砕いた。
だが、時代が望む時、仮面ライダーは必ず蘇る。
大空に彼らを呼ぶ声があれば、何処までも必ず助けにやって来るはずだ。
そして、8人の勇士が去った地球にまた1人、新たなる勇者も誕生する。
人々の夢のために、自ら人であることを捨てた、惑星開発用改造人間が――。