「仮面ライダースーパー1」第2話「闘いの時来たり!技は赤心少林拳」感想

2025年5月2日金曜日

仮面ライダースーパー1 東映特撮YoutubeOfficial

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あらすじ

未だ変身の極意を掴めない一也は、赤心少林拳の呼吸にスーパー1への変身法を求めていた。
師である玄海老師の教えを受け、死の100人組み手に挑戦し、猛特訓の末に変身の呼吸を身に着けた一也は、街で無法を働く猿渡師範の正体であるドグマ怪人・ファイヤーコングに挑む。

100人組み手の地獄稽古を越えて――一也よ、変身の呼吸を掴め!

偶然、スーパー1へと変身を遂げたことで、ドグマの襲撃から生き延びた沖一也。
彼が日本へと逃げ延びて、半年の時が経とうとしていた。その間、一也は変身の呼吸を習得するべく、師である玄海老師の下、赤心少林拳の修行に励んでいたのだ。
ファイブ・ハンドというメカニカルな装備を持った、機械で作られた身体を動かすのは、あくまで厳しい修行で養われた人間の精神力であるという構図が、「スーパー1」の特色である。

だが一方、ドグマもついに日本での活動を開始していた。
国際宇宙開発局を壊滅に追い込んだドグマ怪人、ファイヤーコングが化けた猿渡という拳士が、街で無法を働いていたのである。やがてその魔手は、かつてスカイライダーとともにネオショッカーと戦い、一也とも旧知の仲である谷源次郎の住む街にも迫る。

猿渡の無法を知った玄海老師は、一也に変身の呼吸を習得させるべく、地獄稽古を命じる。
それは100人もの門下生との組み手の果て、玄海老師とも拳を交える過酷なものだった。
しかしその地獄稽古を乗り越えた一也はついに、変身の呼吸を習得する。
「スーパー1」となった一也の姿を目撃した谷は、その姿をネオショッカー大首領から地球を守るため宇宙に散った、8人ライダーの生まれ変わりだと確信するのだった。
スーパーライダー、「仮面ライダースーパー1」となった沖一也の戦いが、今始まる。

闇の王国ドグマの手により、アメリカ国際宇宙開発局が壊滅してから半年――。
絶体絶命の危機の中で、無意識にスーパー1に変身して危機を脱していた沖一也は、秩父連山の大森林にある中国拳法の修練場・赤心寺で変身の呼吸を習得するべく、赤心寺の僧侶にして赤心少林拳最高師範である玄海老師の教えの元、厳しい修行に励んでいた。

前回の記事で記述した通り、身体を極限まで鍛えることで、初めて人間は敵に打ち勝つ事が出来るという脚本の江連卓氏の信念が込められた展開。
劇中では語られていないが、一也はかつて、亡き父と共に赤心寺の門を叩き、幼い頃から玄海老師の教えを受けている。そして、玄海老師の傍に仕える赤心少林拳師範代・弁慶とは、その頃からの兄弟弟子として共に育った過去を持っている。玄海老師はいわば、一也のもう一人の父なのだ。

その頃、谷モーターショップでは、谷がチョロやハルミ、ハルミの弟の良を連れて、日課のランニングに出かけていた。一也との再会、そしてその成長を楽しみにする谷。
すると谷はランニング中、空手の道場である柏木道場の門下生とすれ違う。
だが、その平穏は突然破られた。柏木道場の門下生たちが、1人の道場破りによって倒されたのである。その道場破りは、アメリカ国際宇宙開発局を壊滅させた猿渡だった。
その現場を目撃した谷は、ヘンリー博士を殺した男が日本に現れたことに戦慄する。
猿渡は柏木道場の看板を外し、自らの猿渡空手道場の看板をかけさせるのだった。
猿渡はこうして、自らの勢力圏を広げようとしていたのだ。

一方、一也は厳しい滝行に自らを置いていたが、変身の呼吸は一向に習得できなかった。
焦る一也に、玄海老師は教えを授ける。
「一也。焦るでない。焦っても、赤心流少林拳の極意は身につかんぞ」
玄海老師は爆炎の中から変身して脱出した際のことを思い返すように促すが、あの時の変身は、一也自身も無意識下に行ったものであり、無我夢中で何も覚えていなかった。
「ワシの目を見つめるのだ!一也!」
玄海老師の目を見つめる一也は、その瞳の中に燃え盛る炎を見た。
ファイヤーコングによって壊滅した、国際宇宙開発局の爆炎のような炎を。
「一也。お前がその時変身できたのは、無念無想の境地に達したからだ。お前は、自分を虚しゅうして、自らの身体を大気と化した。赤心少林拳の極意は、火に転ずるということなり。大気を体の隅々に染み通らせ、自らの肉体を大気と化することなり!」
この極意を身につければ、変身制御コンピューターの助けがなくとも、変身することが出来る。
玄海老師の教えを胸に、一也は赤心少林拳の極意を掴む決意を新たにするのだった。

その頃、谷から言付けを預かったチョロとハルミは、赤心寺へ向けてバイクを走らせていた。
そして2人は、厳しい修行に励む一也の姿を目撃する。ハルミは一也の姿に興味津々だ。
一也の実力を見ようと棒を持って近づいたチョロは一也の技で気絶し、ハルミも卒倒する。

そして玄海老師との組み手に挑む一也のもとに、目を覚ましたチョロとハルミが姿を見せる。
チョロとハルミは、谷から預かった玄海老師への手紙を手渡すのだった。
その手紙には、中国拳法の名手・猿渡が東京に現れ、無法を働いている旨が書かれていた。
もはや一刻の猶予もない。
玄海老師は一也に変身の呼吸を習得させるため、地獄稽古を行う決意を固めた。
100人もの猛者を相手にし、赤心少林拳の極意を身につけるか。
それとも、敗れて荒野の露となるを恐れて逃げ出すか。
ドグマの野望を阻止するべく、一也は、地獄稽古に臨むことを選ぶのだった。

そして、地獄稽古の100人組み手が始まった。次々に襲い来る門下生を、一也は蹴散らしていく。
釵を持った弁慶すらも打ち倒した一也の前に現れた最後の相手は、玄海老師だった。
「ワシを倒さぬ限り、変身の極意を身につける事は出来ないぞ!来い!一也!」
一也は怯むことなく、玄海老師に向かっていく。
しかし、玄海老師は一也の一撃を躱し、足を払った。崖下に落下していく一也。
その窮地の中、ついに一也は変身の呼吸を習得し、再びスーパー1に変身することに成功する。
玄海老師の教えで、ついに変身の呼吸を習得した一也は、玄海老師に感謝する。
そして、地獄稽古を乗り越えた一也を、赤心寺の面々も称えるのだった。

スーパー1への変身の呼吸を習得した一也は東京に戻り、谷オートショップのある街に用意していた、秘密の研究室へと向かった。そこには、改造人間スーパー1の機能をチェックし、ボディのダメージの点検や修理を行うチェックマシーンが隠されていたのである。
精神力で変身する人間としての強さと、常に点検・修理を欠かさずその性能を最大限に発揮するメカニックライダーの魅力を兼ね備えた描写が、スーパー1の個性を強調している。

その頃、谷オートショップには、猿渡空手道場の面々は、本部道場を建てるために店の土地を明け渡すように要求していた。もちろん、谷はそれを拒むものの、空手道場の面々は谷たちに暴力を振るい、谷たちを道場まで連行する。自分に従おうとしない谷たちに、暴力を振るう猿渡。
だがそこに、一也がやってきた。再会を果たした谷に、自分に任せるように告げる一也。

地獄稽古を乗り越えた一也にとって、猿渡空手道場の門下生など取るに足りないものだった。
そしてついに、一也と猿渡は直接対決の時を迎える。
「来い!猿渡!赤心少林拳、沖一也が相手になる!」
国際宇宙開発局での対決では猿渡の拳法に全く対処できなかった一也だが、赤心少林拳の厳しい修行を積んだことで、互角以上に戦えるようになっていた。
一也の一撃でダメージを負った猿渡は、ファイヤーコングとしての正体を現す。

「ヘンリー博士の仇!今日こそ決着をつけてやるぞ!」
道場から出た一也はファイヤーコングに挑みかかるが、怪人相手には分が悪い。
ついに一也は、自ら掴んだ変身の呼吸で、自力でスーパー1に変身する!
その姿を目撃した谷は、スーパー1を「仮面ライダー」と呼ぶのだった。
スーパー1はドグマファイターを蹴散らす。谷はその戦いを見守るのだった。
「一也は…『仮面ライダー』だったのか!」

スーパー1はエレキハンドの稲妻光線でドグマファイターを破壊。
さらに、ファイヤーコングの火炎放射を、冷熱ハンドの冷凍ガスで相殺。
続けて超高温火炎を噴射し、ファイヤーコングに大ダメージを与える。
そして、怯んだファイヤーコングに、とどめの「旋風スーパーキック」を炸裂させた!
絶対の忠誠を誓うテラーマクロの名を呼び、ファイヤーコングは爆発四散した。
スーパー1はここに、ヘンリー博士の仇を討ったのである。

ドグマのアジトでは、スーパー1が生きていた報告が上がっていた。
そこに、帝王テラーマクロが姿を見せる。
「メガール将軍…スーパー1が生きていたというのは真か?」
「申し訳ありません!」
「ははは…良いではないか。手強い敵があってこそ、我らの計画にも弾みがつくというものだ」
不敵に笑う帝王テラーマクロ。その底知れない雰囲気は、帝王の名に相応しい威厳だ。
「流れ星が蘇ったとは、面白いのう…!」

戦いを終えたスーパー1に、谷が駆け寄る。
「仮面ライダー!一也、お前は、仮面ライダーだ!」
「仮面ライダー?」
「ああそうとも、お前こそ、子供たちが愛した、仮面ライダーの生まれ変わりだ!俺は今日から、仮面ライダースーパー1と呼ぶぞ。仮面ライダースーパー1。スーパーライダーの誕生だ!」
ネオショッカーから地球を守るために、宇宙に散った8人ライダー。
谷は、スーパー1を彼らの生まれ変わりであり、人類の未来を守る新たなライダーだと確信した。
新時代の1号である、スーパー「1」。それはただ「1」人で戦う、戦士の名に相応しい名だった。

スーパーライダーと、ドグマの戦いの火蓋が切って落とされた!
走れ、風のように!飛べ!鳥のように!叫べ!虎のように!
人類の未来をかけて、ドグマ王国を打ち倒せ!スーパーライダー!

人間はまず、自分の肉体を極限まで鍛え、それで初めて敵に打ち勝つ事が出来るという脚本の江連卓氏のヒーロー観が凝縮された、「スーパー1」というシリーズの方向性を決定づけたエピソード。
地獄稽古の100人組み手を乗り越え、玄海老師の教えで初めて変身の呼吸を習得した一也が、その後にチェックマシーンで改造人間としての身体を点検するという、人間の精神力と機械の体を双方備えたヒーローであるスーパー1の特性が丁寧に描写されているのも見事だ。

「仮面ライダー (新) (スカイライダー)」では、変身ポーズは改造人間の姿へと変わるためのスイッチとなる動作という理由付けがされていたが、「スーパー1」はそれを一歩進め、変身制御コンピューターに頼らない変身を可能にするため会得した、赤心少林拳の呼吸であるという理由付けがなされ、それを会得するため過酷な鍛錬に挑むというドラマ面に落とし込んでいる。
いわば「お約束」である変身ポーズを、ドラマとして必然性のあるものにする作劇が素晴らしい。

8人ライダーが宇宙に散った世界でひとり、人類の未来のために戦う戦士となったスーパー1。
8人ライダーの生まれ変わりである、新世代の「1」号ライダーに相応しい名を備えたライダーだ。
今、新たな次代を切り開くスーパーライダー、スーパー1とドグマの戦いの幕が上がる。

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