「仮面ライダースーパー1」第3話「行け!地の果てドグマの黄金郷」感想

2025年5月13日火曜日

仮面ライダースーパー1 東映特撮YoutubeOfficial

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あらすじ

白鳥のような早業の拳法少女・白鳥さゆりがドグマの一団に襲われた。
これを救った一也は、ドグマの黄金郷計画を知る。
電気怪人・エレキバスは、ドグマ王国の黄金郷建設に必要な埋蔵金を発掘するため、埋蔵金を研究していたさゆりの父親を拉致し、さらに埋蔵金発掘のために、多くの人々を働かせていたのだ。
一也は黄金郷計画を阻止するため、ドグマを追って埋蔵金発掘が行われている山中に潜入する。

埋蔵金を巡る陰謀を追って――スーパー1、山中突破の大激闘!

今回のドグマ怪人は、タコと電気の能力を兼ね備えた怪人・エレキバス。
鞭となる両腕や体から伸びる触手から放つ電撃攻撃を武器とする怪人だ。
抱きついた相手に強烈な電流を浴びせる「エレキバス電気椅子」という必殺技も持つ。

そんなエレキバスの任務は、ドグマの黄金都市建設のための軍資金として、死人渓谷に伝わる埋蔵金伝説を追い、死人渓谷の何処かに埋められた小判を手に入れること。
そのために、埋蔵金伝説を研究していた白鳥を捕らえ、さらに白鳥の子供であるさゆりと新太を拉致し、埋蔵金が埋まっている場所へ案内させようとする。

偶然、さゆりと新太をドグマの魔手から救った一也は、ドグマの黄金郷計画を知り、それを阻止するため、過酷な死人渓谷に向かうのだった。
過酷な大自然が一也の行く手を阻む中、ドグマはついに埋蔵金の隠し場所に辿り着く。
果たして埋蔵金伝説は真実なのか。そしてスーパー1は、エレキバスを倒せるのか。

一也がVマシーンでパトロールをしていると、怪しい男たちがとある姉弟に襲いかかる現場に出くわした。姉が中国拳法の鶴の型で応戦するのに対し、男たちは蛇拳で襲いかかる。
男たちを蹴散らす少女・白鳥さゆりだが、流石に多勢に無勢、劣勢に追い込まれる。
そこに一也が助けに入った。
一也はどんぐりを投げつけるどんぐり飛礫で男たちを怯ませ、撤退に追い込む。
さゆりと弟の新太は、父親と待ち合わせをしていたところを襲われていた。

ここでさゆりやドグマの刺客が拳法使いであることはそこまでドラマの本筋に関わらないのだが、一也が赤心少林拳の使い手であることや拳法をテーマにしたライダーらしい展開と言える。

さゆりたちの父は、埋蔵金の研究家であり、日本全国の埋蔵金の調査をしていた。
そして、さゆりたちを連れて、死人渓谷の埋蔵金の調査に出かける約束をしていたという。
死人渓谷には、大黒屋という豪商が夥しい数の小判を埋めたという伝説があった。
約束の時間になっても姿を現さなかった父を心配するさゆりたちは、死人渓谷に父を探しに行こうとするが、死人渓谷は踏破するのも難しい魔境。これまで、埋蔵金伝説に眼が眩んだ者たちが何人も渓谷に足を踏み入れては、帰ってきたものがいないという。
そこで、一也は自分が死人渓谷に赴き、さゆりたちの父を探すことにした。

死人渓谷に向かう前に、研究所に向かった一也は、チェックマシーンで体のメカを点検した。
万全の体制を整えた一也は、Vマシーンよりも軽量で、オフロードに適したもう一台のマシーン、ブルーバージョンで死人渓谷に向かう。ブルーバージョンはここが初登場。
ヘンリー博士が設計し、その設計図を基に一也が日本で組み上げたスーパーマシンである。
設定的にも、撮影現場的にも、オフロード走行に適さないVマシーンの弱点を補うべく、機動性に優れたバイクとなっており、実車のベース車両はレース用のモトクロッサーが採用され、ジャンプ台を使えばビルの二階の高さまでジャンプできたという。
その性能は、エンディング映像でドグマファイターの群れを飛び越えるシーンで確認できる。

その頃、死人渓谷では、さゆりたちの父である白鳥が、一人死人渓谷に足を踏み入れていた。
ドグマの刺客に襲われたのではなく、単純に娘たちとの待ち合わせを忘れていたらしい。
仮面ライダー公式サイトの仮面ライダー図鑑でもそのように記述されている。
とんだうっかりさんだ。

だが白鳥は、山中に張られた鈴が付けられた紐に接触してしまい、鈴の音が鳴り響く。
それに合わせ、ドグマファイターたちが白鳥に襲いかかった。
娘だけでなく、白鳥自身も拳法の心得があるようで、ドグマファイターを蹴散らした白鳥は、急ぎその場を離れる。だがその様子は、ドグマの青鬼指揮官に監視されていた。
青鬼指揮官は「ドグマ結界鈴鳴り地獄」を山中に仕掛け、白鳥の行く手を阻んでいたのである。
ドグマ結界鈴鳴り地獄とは、無数の鈴を使って、敵の侵入と脱出を防ぐ戦術である。
懸命に逃走し、川に辿り着いた白鳥の前に、ドグマ怪人エレキバスが現れた。
エレキバスは腕の触手から電撃を放ち、白鳥を感電・気絶させる。

その頃、ドグマのアジトでは、メガール将軍が帝王テラーマクロに報告を上げていた。
ドグマは死人渓谷に、純金でできた帝王テラーマクロの宮殿を備えた黄金郷を建設することを目的としており、そのための資金や宮殿の材料として、死人渓谷の埋蔵金を狙っていたのだ。
帝王テラーマクロも、メガール将軍がプレゼンする宮殿の出来栄えにご満悦。
黄金郷建設こそ、帝王テラーマクロの長年の夢だったらしい。
そしてその黄金郷に住むことが許される人間は、一流中の一流のみ。
恐るべき選民思想を唱える帝王テラーマクロは、埋蔵金発掘を急がせるのだった。

一也はブルーバージョンを飛ばし、ようやく死人渓谷の入口にたどり着いた。
そして、広大な谷にロープを張り、そのロープを伝って対岸へと進んでいく。
安易に仮面ライダーに変身することなく、人間として極限まで体を使い進むのは、脚本の江連卓氏の美学が反映された、「スーパー1」ならではのシーンだ。
だがそこに、ドグマファイターの群れが現れ、投げナイフで一也の行く手を阻む。
ロープに宙吊りになった一也はなんとか体制を立て直すが、ついに、ロープを切られてしまった。
崖に体を叩きつけられた一也はなんとかその崖を登り、ドグマファイターを蹴散らす。

一方その頃、チョロも埋蔵金に目が眩み死人渓谷に足を踏み入れ、ドグマファイターに捕まってしまう。そして同じく囚われた人々とともに、埋蔵金発掘の労働を強制されるのだった。
ドグマの埋蔵金発掘現場に辿り着いた一也は、その中にチョロを発見する。
一也は密かに発掘現場に潜入するが、眼前で逃亡を図った男がエレキバスの「エレキバス電気椅子」で殺される現場を目の当たりにし、ドグマへの怒りを燃やすのだった。

しかし、青鬼指揮官のもとに、一也が渓谷に潜入した報告が上がってしまった。
すぐに一也の潜入は露見してしまい、一也とチョロは逃亡を図るのだった。
そして、さゆりと新太の姉弟も、ドグマファイターによって死人渓谷に拉致されてしまう。
懸命に山中を逃走する一也とチョロは、その先の山小屋で白鳥が拷問を受けている現場を目撃する。エレキバスは白鳥を尋問し、埋蔵金の在り処を探ろうとしていた。
白鳥を尋問するエレキバスの言葉から、一也はドグマの目的が黄金郷建設であることを知る。

黄金郷の名誉市民に取り立てると嘯き、白鳥に埋蔵金の在り処を詰問するエレキバス。
そこに、青鬼指揮官が現れ、さゆりと新太姉弟を人質に白鳥を脅迫する。
脅迫に屈した白鳥は、埋蔵金の在り処へドグマを案内することにした。
白鳥の煽動で、埋蔵金の在り処へ向かうドグマ。一也たちはそれを尾行する。

ついに埋蔵金の在り処に辿り着き、千両箱を掘り当てたドグマ。
その中には、無数の小判が収められていた。だが、その小判は銅で出来ている偽小判だった。
白鳥の調査によれば、かつてドグマと同じように死人渓谷の埋蔵金伝説に取り憑かれた男ががいたが、いくら掘っても金が出てこないことに絶望し、偽小判を自分で埋めた後、夥しい量の小判が埋まっていると言い残して息絶えたのだという。
なんとも傍迷惑な話だが、とにかくこれでドグマの黄金郷建設計画は潰えた。

エレキバスは怒り狂い、白鳥親子に襲いかかろうとするが、そこに一也が割って入った。
エレキバスは坑道を爆破して一也や白鳥親子を生き埋めにしようとする。
だが、一也は変身の呼吸によってスーパー1に変身、パワーハンドで坑道を塞ぐ大岩を動かす。
ブルーバージョンを駆り、エレキバスたちを追うスーパー1。
「ドグマ怪人エレキバス!黄金郷建設の野望、破れたり!」

ブルーバージョンに乗り、ドグマファイターを蹴散らすスーパー1。
ドグマファイターへの打撃に合わせ、スーパー1の内部機構がカットインする演出がカッコいい。
スーパー1はさらに青鬼指揮官に一騎打ちを挑み、「スーパーライダー諸手頸動脈打ち」で青鬼指揮官の頸動脈を痛めつけ、文字通りその息の根を止める。
歴代ライダーでもトップクラスにピンポイントな技だ…。

そして、とうとうエレキバスとの決戦。電流を操るエレキバスに対し、スーパー1は電流には電流で対抗するべく、エレキハンドを装着。稲妻放電でエレキバスを感電させる。
そして、昏倒したエレキバスに、「スーパーライダー閃光キック」を炸裂させた。

エレキバスは倒され、埋蔵金発掘を強制されていた人々も救われた。
突然いなくなった一也を心配していたチョロに、一也は岩陰で震えていたと嘘を付く。
スーパー1の正体を明かせば、周囲が危険に晒される。
仲間を守るために、まだ正体を明かすわけにはいかないのだ。

人間の限界に挑戦するような過酷な死人渓谷を超えるアクションシーンや、最後のどんでん返しに驚かされる埋蔵金伝説の謎など、見応え抜群の巨編となっていたエピソード。
スーパー1のアクションのキレも鋭く、スーツアクターの中屋敷哲也氏をして自ら「円熟期」と話すのも納得する静と動のメリハリが素晴らしい。
殺陣に「拳法」という明確なテーマが導入されたことも、多大な効果を上げている。

また、パワーハンドやエレキハンドといった、ファイブ・ハンドの見せ場となるシチュエーションも多く用意され、メカ機能と拳法を使いこなすスーパー1の魅力が十全に発揮されていた。

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