「仮面ライダースーパー1」第5話「跳べ一也!悪魔のマシーンレース」感想

2025年5月17日土曜日

仮面ライダースーパー1 東映特撮YoutubeOfficial

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あらすじ

モトクロス大会に出場した沖一也を、プロのマシン集団が襲う。
一方、ドグマ近代美術館建設のため、世界の秘宝を狙うドグマは、健気な忍法兄妹の兄をドグマ怪人・カメレキングに改造させ、美術品を盗ませようとしていた。
それを阻止せんとする一也と、マシンの名手・カメレキングとの死のオートレースが始まる。

哀しき忍者兄妹の悲劇!悪魔のマシンレースの結末は?

今回のドグマ怪人は、カメレオンの特質を備えた怪人であるカメレキング。
「ウルトラマンA」に登場した古代超獣と同じ名前を持っている怪人だ。
体色を周囲の環境に合わせて変化させることで姿を隠す、カメレオンの怪人らしい能力を持ち、口の中の剣や左腕の爆弾を巧みに使いこなす忍者怪人である。
また、オートバイの扱いにも長けており、そのテクニックはスーパー1に引けを取らない。

後述するように、忍者の里の青年をドグマが改造した怪人であるカメレキングの任務は、隠密性に優れた能力を活かし、ドグマ近代美術館建設のため、美術品を盗み出すことだ。
ドグマはそのために、忍者の里で妹の茜と暮らしていた青年・順吉をカメレキングに改造。
完全に脳改造を施し帝王テラーマクロへの忠誠を誓わせたうえで、妹の茜にはカメレキングの指令で爆発する首輪をはめ、逃げることが出来ない状況へと追い込んでいた。

オートレースに参加中、ドグマの刺客に襲われ忍者の里に迷い込んだ一也は、偶然茜たちに遭遇。
茜に、順吉がカメレキングに改造されてしまい、人間としての順吉が死んだことを教えられた一也は、ドグマの野望を阻止するため、カメレキングに挑む。
だが、カメレキングの巧みなマシン操縦テクニックの前に、苦戦を強いられるのだった。
走れ、翔べブルーバージョン!ドグマの野望を阻止するのだ!


関東地方の各地区から、腕に自信のある若者たちが集まり、モトクロス大会が開かれた。
その中に、沖一也の姿もあった。チョロとハルミの応援を受け、一也はバイクを走らせる。
だが、走行中の一也が左折を表す矢印に沿って通過すると、その看板の矢印を反転させる者がいた。それは、ドグマファイターだ。さらに、一也を追ってドグマのモトクロス部隊が現れる。

一向に帰ってこない一也をチョロとハルミが心配する中、一也はドグマの執拗な追跡を受ける。
ついに取り囲まれてしまった一也は、どんどんコースを外れてしまい、断崖絶壁に追い詰められる。そこに、ドグマ怪人・カメレキングが現れ、一也は崖下に転落させられてしまった。

その頃、ドグマのアジトでは、メガール将軍が新たに建設するドグマ近代美術館に展示する美術品のリストを、帝王テラーマクロにプレゼンテーションしていた。
それらの美術品の見事な美しさに、帝王テラーマクロも感嘆する。
「ほう…素晴らしい。どんなに波立った心も、たちまち静寂に変えてしまう不思議な力が、それぞれにある。のう?メガール将軍…」
しかし、それらの美術品は警戒厳重な国立美術館に収納されており、盗み出すことは難しい。
だがメガール将軍には妙案があった。忍びの術に優れた者を、既に改造手術を加えドグマ怪人・カメレキングに変えており、その忍びの術において国立美術館に潜入させるのだ。
一也を始末したカメレキングは帝王テラーマクロに謁見し、その力を誇る。
だが、帝王テラーマクロに一也の死体を確認しなかったことを咎められたカメレキングは、メガール将軍に命じられ一也の死体を確認しに戻ることになった。
帝王テラーマクロに口答えをするカメレキングは、まだ改造されて日が浅く、帝王テラーマクロへの絶対的な服従をプログラムされていないのかもしれない。

その頃、崖から転落した一也は、重症を負いながらも生きていた。
必死に崖を這い上がった一也は、ブルーバージョンを呼び寄せ、山中から脱出を図る。
だがそれは、山中の風景に擬態していたカメレキングに発見されていた。

山中を進む一也は、物言わぬまま魚を捕る、金の首輪を身につけた女性、茜に遭遇する。
茜に、黒いオートバイに乗った男の行く手を尋ねる一也だが、茜は答えない。
そこに、茜の兄と名乗る男が現れ、「妹は口が利けない」と話す。
男は、黒いオートバイに乗った男など見ていないと答える
そして一也に、もうすぐ日が暮れるので、付近の小屋で休むように勧めるのだった。

夜が更けて、小屋で休んでいた一也のもとを、茜が訪ねてきた。
茜は、「兄が仲間を連れて一也を殺しにやってくる」と話し、一也を逃がそうとする。
小屋の床に隠された隠し通路を通って、小屋を脱出した一也。
茜が暮らしているこの山中は、かつて忍者の里として栄えていた。
しかし、皆が山を降り、街に出たことで、今では茜と兄の2人しか住んでいなかった。
茜の兄は、ひときわ優れた忍者だった。しかしその能力に目をつけたドグマに捕まり改造手術を受け、心を悪魔に売ったドグマ怪人になってしまったのである。

ドグマは茜を殺すと脅すことで、茜の兄をカメレキングに改造してしまった。
そして茜の首に、カメレキングの頭に埋め込まれたコンピューターと連動した金の首輪を嵌め、茜が逃げようとすれば首が締まるようにして口封じを行っていたのである。
すると突然、金の首輪が茜の首を締め付け始めた。
茜の裏切りを知ったカメレキングが、金の首輪を締め付けたのである。
一也と茜は、茜の兄、いや、カメレキングたちに取り囲まれてしまう。
「動くな!この女が死んでもいいのか?」
「自分の妹に、よくも!」
「これはもう、兄じゃないわ…!兄の格好をした、悪魔なのよ!」

茜を人質に取られた一也は、抵抗できずにドグマに捕まってしまう。
一也を捕らえたカメレキングは、一也たちをアジトへと連行して。
そして、一也の両腕を縛って宙吊りにし、一也を吊るすロープの下に蝋燭を設置した。
この蝋燭が燃え、短くなれば、床にひかれた油に引火して炎が燃え盛る。
そしてその炎でロープが焼き切れれば、一也を吊るす下に設置された針に落下、串刺しになる。
それは、一也にじっくりと死の恐怖を味わわせて処刑する、残酷な処刑だった。
勝利を確信したカメレキングは、一也や、柱に縛り上げた茜に勝ち誇り高笑いをすると、もう一つの任務である国立美術館に収納された美術品の回収へと出かけるのだった。
じっくりと死の恐怖を味わわせて処刑するのは大体が失敗フラグだが、それだけドグマの一也への恨みつらみも深いものがあるということだろう。ただ始末するだけでは収まらないのだ。

一也を探したが発見できなかったチョロとハルミは谷モーターショップに戻るが、谷はギックリ腰の痛みと、一也が行方不明になった心配で満身創痍だった。
それを慮るチョロは、もう一度一也を探しに行く。
しかしその頃、国立美術館ではカメレキングたちの潜入を許し、警察の出動も虚しく、美術品の持ち出しに成功してしまう。チョロはその現場に偶然居合わせ、ドグマのトラックを追った。

ドグマのアジトでは、ついに蝋燭の火が油に引火し、一也を吊るすロープを焼き始めた。
一也は懸命に体を揺らし、ロープが焼ききれる瞬間、大きく横に跳躍。
床面の針を躱し、無事に着地して縛り上げられていた茜を救出しようとする。
人間としての能力や技で窮地を脱出するあたりが、「スーパー1」らしさだろう。
そこに騒ぎを聞きつけたドグマファイターが現れたが、一也は「赤心少林拳・猫」で反撃。
猫のようにしなやかな動きでドグマファイターたちを一掃し、茜を救い出す。

ドグマのトラックを追うチョロは、アジトを脱出した一也を遭遇した。
そして、チョロからドグマのトラックについての情報を得た一也は、茜をチョロに任せ、自らはドグマのトラックを追跡する。ブルーバージョンの超スピードでトラックに追いつき、トラックのコンテナを伝って運転席のドグマファイターを倒してトラックを停車させる。

トラックから出てきたカメレキングに相対する一也。
だが、カメレキングはドグマのオートバイ部隊を呼び出し、一也にけしかけた。
一也は向かってくるオートバイを躱すが、オートバイ部隊が投げたロープに両腕を絡め取られ、二台のオートバイによって地面を引きずり回されてしまう。
絶体絶命の危機。しかしそこに、様子を見に来たチョロと茜が現れた。
茜は十字手裏剣を投げ、一也の腕を縛るロープを切断して一也を救う。
それに怒ったカメレキングは、茜の首輪を締め付け始めた。

「俺様が死なない限り、その首輪は取れんわい!苦しめ苦しめ!」
妹を殺すことを厭わない卑劣なカメレキングに、一也の怒りが爆発した。
オートバイに乗って逃亡を図るカメレキングを、一也はブルーバージョンに乗って追う。
そして、変身の呼吸によって、スーパー1に変身した!
オートバイで山中を飛ばすカメレキングを、ブルーバージョンで追跡するスーパー1。
そしてついにカメレキングに追いつき、カメレキングをオートバイから蹴り落とした!

追い詰められたカメレキングは左腕の爪を取り外し、爆弾として投げつける。
だがスーパー1はエレキハンドの高圧電流で反撃し、左腕の機能を破壊した。
それでもなお、口から剣を取り出して襲ってくるカメレキング。
しかしスーパー1はその剣をスーパーハンドの手刀でへし折り、カメレキングの胸に突き立てた。
「いくら茜さんのお兄さんだとしても、悪を許すわけにはいかん!」
スーパー1はとどめの「スーパーライダー閃光キック」を放つ。
カメレキングは茜の兄に戻りながら、なおも帝王テラーマクロへの忠誠を叫んで散った。
もはや、心まで完全にドグマに支配されていたのだ…。

カメレキングが死に、茜の首を締め付けていた首輪も破壊される。
兄の死を悟った茜は、悪魔に染まった兄の死に、複雑な表情を浮かべるのだった。
すべてが終わり、茜は兄の骨壺を持って、郷里へと帰る。
「兄はあのまま生きるより、かえってこうなって幸せだったんです…」
一也は、兄をドグマに奪われた茜の幸せを祈るのだった…。

序盤のモトクロスレースや、ブルーバージョンとカメレキングのバイクとのチェイスシーンといったバイクアクションが大きな見せ場となっているエピソード。
それに、美術品を手に入れたいというドグマの欲望によってささやかな幸せを奪われ、兄を失うことになった茜たち忍者兄妹の悲劇が無常を感じさせ、自分たちによって選ばれた者たちの幸福のために人間を道具として利用するドグマの恐ろしさも浮き彫りになったエピソードだった。

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