あらすじ
地獄谷から呼び寄せた拳竜会の最高師範・大石が変身したドグマ怪人・ライギョン。
彼がドグマ秘密警察設立のために、拳竜会の規模を広げようと暗躍する。
一也はライギョンとなって挑戦してきた大石を打ち破ったが、ライギョンは体内に寄生させたドグマ超A級怪人・ギョストマにスーパー1の戦闘データをインプットさせるための捨て駒だった。
ギョストマは死んだはずの大石に化け、一也の心を動揺させる。
寄生怪人ギョストマの罠!赤心少林拳最期の日!?
今回のドグマ怪人は、ライギョの特質を持つ怪人・ライギョン。
帝王テラーマクロが、ドグマ秘密警察を設立するために地獄谷から呼び寄せたライギョンは、大石秀人という拳法家に化け、拳竜会という拳法道場を開き、街で騒動を起こした暴漢を打ち倒して、近所からの評判を獲得。その強さに惹かれて弟子となった拳竜会の門下生を集め、彼らをドグマ秘密警察の一員にしようと目論んでいる。その拳法の冴えは、一也に勝るとも劣らないほどだ。
だがライギョンの真の能力は、ライギョンそのものの能力ではない。
実は体内にドグマ超A級怪人・ギョストマを寄生させており、自らが戦った相手の技を見切る捨て駒となることで、ギョストマにその戦闘データをインプットさせる事が出来るのだ。
ライギョと寄生虫という、数あるライダー怪人でも珍しいモチーフを十全に活かしきったこの能力は非常にユニークで、スーパー1の赤心少林拳が怪人に見切られる展開を盛り上げている。
大石の野望に感づいた一也は、ライギョンとなって襲撃してきた大石をスーパー1に変身して打ち倒すことに成功するものの、その技や機能は全てギョストマに見切られていた。
そして、ギョストマは大石に化け、再び拳竜会の道場に君臨する。
倒したはずの大石が生きていたことで、一也の心は動揺し、赤心少林拳の技の冴えを十分に発揮できずにいた。果たして一也はギョストマの罠を打ち破り、町の人々を救えるのか?
街で食い逃げをしただけに飽き足らず、棒を持って暴れまわる男を、拳法家・大石秀人が退治する事件が発生。大石の強さに、子どもたちは憧れその後をついていく。
だが、大石はその人間離れした強さで、男を殴り殺していた。谷はその強さに戦慄する。
そして間をおかず、今度は暴走族が街で暴れまわる事件が発生。
すると大石は、今度は暴走族から子どもを助け、暴走族を全員殴り倒してしまった。
一也は大石を止めに入るが、大石は街の秩序を乱す者に制裁を加えているだけだと反論。
暴走族を徹底的に痛めつける大石の強さは、一也もかなりの使い手と認めるほどだった。
大石は数日前二湖の街にやってきて、拳竜会という中国拳法の道場を開き、その強さに惹かれた若者たちに拳法を教えていた。ここ数日、街で悪漢を退治し喝采を浴びていた大石の評判はうなぎのぼりになっており、拳竜会に入門する若者は増える一方だったのだ。
今や大石は、街の人気者になっていたのである。
しかし、チョロやハルミは、大石の様子にどこか不審なものを覚えていた。
次の日。一也がハルミや良に稽古をつけていると、拳竜会の若者が突然一也に襲いかかった。
そこに、大石も現れる。大石は免許皆伝の腕にある一也を、拳竜会にスカウトしに来たという。
しかし、その技で無法の者を根絶やしにするという目的を語った大石の申し出を、一也は拒んだ。
一也にとって拳法とは、己の心と体を鍛えるためのものなのだ。
場所を変え、一也はハルミと良に、拳法の呼吸法を指南していた。
「大きく呼吸して、大気を吸い込め。大気中には、生命のもとになるエネルギーが、満ちているんだ。それを体の隅々に送り込む。そして、体の中の汚れた空気を、思い切り吐き出す!」
するとそこに、チョロが駆けつけた。なんでも、街の有力者が大石に道場を寄付したのだという。
その夜。大石の道場に、メガール将軍が現れた。
大石はなんと、帝王テラーマクロが直々に地獄谷より呼び寄せた、ドグマ怪人だったのだ。
その正体は、ドグマ怪人・ライギョン。
帝王テラーマクロより直々に言葉を頂いたライギョンの目的とは、ドグマ秘密警察を作ること。
そしてその手始めとして、その拳で若者の心を掴み、市民の喝采を得ていたのである。
そして次なる計画は、秘密警察の長官として、手足のごとく使える部下を作ること。
そして、ドグマ国家建設に無用な者・邪魔な者を抹殺することだった。
一也が真夜中のパトロールを送っていると、そこに大石が現れ、一也を襲撃した。
一也は赤心少林拳・中段突きを繰り出すが、大石には通じない。
「どうした沖一也!今度はスーパー1になって立ち向かってこい!」
一也は、自身をスーパー1と知る大石が、ドグマの手のものであると察知する。
そして大石は、ライギョンに変身して一也に襲いかかる。
一也もまた、スーパー1に変身した。
ライギョンは巨大な顎でスーパー1に襲いかかる。
しかしスーパー1も赤心少林拳の技でライギョンに対抗。
さらに、ライギョンの火花電流に対して、冷熱ハンドの超高温火炎で反撃する。
そしてパワーハンドにチェンジして目を潰すと、トドメのスーパーライダー旋風キックを繰り出し、ライギョンを倒した。ライギョンが息絶えたことを確認したスーパー1はその場を去る。
その様子を陰から見ていたドグマファイターは、ライギョンが口程にもないと嘲笑う。
だが、突然、ライギョンの遺体から、別の怪人の声が響いてきた。
「馬鹿め…ライギョンは元々、スーパー1に敗れるために作られた怪人よ…」
ライギョンの体を引き裂き、中からもう一人の怪人・ギョストマが姿を現した。
「このギョストマ様は、ライギョンの体を棲み処としていたのだ…沖一也の技は、このギョストマが全て見切った…今度会う時が、奴の最期だ…」
なんと、ライギョンの真の使命は、内部に寄生していた超A級怪人・ギョストマに、一也、そしてスーパー1の能力を全て見切らせることだった。ライギョンはそのために積極的な攻撃を最小限にとどめ、ひたすらにスーパー1の技を食らっていたのである。
ギョストマの出現で役割を終えたライギョンの体は、炎を上げ燃え尽きるのだった。
ライギョと、そこに潜む寄生虫というモチーフを十全に活かしきった、ライギョンを捨て駒にしたギョストマの出現はあまりにも秀逸な演出。シリーズを重ねてなお、ライギョの怪人も寄生虫の怪人もいなかったところに目を向け、ドラマの作劇と絡めて成立させた見事さがそこにはある。
一也はチェックマシーンで体の機能を点検していた。
大石を倒し、人々がドグマに騙されることはもうないと安心していた一也だが、それが全てギョストマの計画の内であることなど、知る由もなかったのである。
その頃、街のスーパーで、病気の母親に数の子を食べさせてあげたいという気持ちから魔が差してしまい、数の子を万引きしてしまった少年・オサムがいた。
しかしオサムは、ドグマ秘密警察と化した拳竜会の門下生に見つかりリンチを受けた挙げ句、道場に連行される。良は急ぎ、一也に助けを求めるのだった。
良から事の経緯を聞いた一也は、拳竜会の道場に大石がいたことを聞かされ、大石が生きていたことに驚愕する。そして道場では、オサムが稽古という名のリンチを受けていた。
道場に到着した一也は、大石が生きていたことに驚きを隠せない。
一也は大石の正体がドグマ怪人だと訴えるが、大石は余裕の態度を崩さない。
門下生たちも、大石のことを信じ切っていた。
自分を倒してドグマ怪人だと証明してみたらどうだという大石の挑発に乗り、一也は大石との一騎打ちに挑む。そしてその試合を、道場の外から玄海老師と弁慶も見ていた。
しかし、一也の心には迷いが生じていた。確かに倒したはずの大石が生きているという事実。
だとすれば、大石は不死身なのか?一也の迷いが拳を鈍らせ、大石に手も足も出ない。
大石の飛び蹴りが、一也に直撃し、一也は一敗地にまみれる。
「赤心少林拳…敗れたり!」
とどめを刺そうとする大石。しかしそこに、玄海老師が助けに入った。
弁慶が追手を足止めしている間に、一也は身を隠す。
果たして一也は、心の迷いを晴らし、大石を倒すことが出来るのか?
そして超A級怪人・ギョストマの罠を打ち破り、ドグマ秘密警察設立を阻止できるのか…。
次回予告は、暫くの間定番となる、一也による拳法の呼吸法の伝授。
拳法家としての沖一也の姿が描かれたエピソードに相応しい演出だ。
1クール目のラストを飾る前後編は、拳法家・沖一也に対する大石の挑戦、心を乱された一也の敗北、そしてライギョンを捨て駒にして姿を現す超A級怪人・ギョストマの暗躍と、見どころ盛りだくさんのエピソード。前述した通り、ライダー怪人として非常に珍しいモチーフであるライギョと寄生虫の怪人を出すにあたり、宿主であるライギョの怪人がデータ収集用の捨て駒で、寄生虫の怪人こそが本命であるという意外性とモチーフの特徴をドラマに活かした展開が非常に秀逸である。
ドグマ怪人・ギョストマと戦う前に、拳法家・大石との戦いに挑まなくてはならなくなった一也だが、拳法家としての戦いでは一敗地にまみれてしまった。
その敗北の要因として、大石が生きていたことへの動揺があったという展開も見事である。
いかに技を磨こうと、心を乱されてしまえば勝利はない。
一也が語った通り、拳法は心と体を鍛えるためのもの。
敵に勝利するためには、己に打ち克つ心の鍛錬も必須なのだ。
こうして敗北した一也は間一髪、玄海老師と弁慶に救われた。
だが、大石=ギョストマは強敵だ。
この強敵を打ち破るべく、一也は再び、己に克つための過酷な鍛錬に挑む。
果たして一也は新たな極意を掴み、ギョストマの野望を阻止することが出来るのか?