「仮面ライダースーパー1」第13話「見つけたり!必殺”梅花”の技」感想

2025年6月15日日曜日

仮面ライダースーパー1 東映特撮YoutubeOfficial

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あらすじ

ドグマ超A級怪人・ギョストマは、スーパー1の技を見破るためにドグマが呼び寄せた大石の変身体・ライギョンに寄生していた。ギョストマはギョストマ幻魔光線で自らの道場の入門者を服従させ、絶対的支配者になりドグマ秘密警察を作り出そうとしていたのである。
ギョストマが変身した大石に技の全てを見切られ、敗北した一也。敗北の焦りから心は乱れ、拳も鈍る中、一也は過酷な修行の中で見つけた梅の花に、赤心少林拳の極意を見つける。

敗北の先に咲く一輪の花!見出した”梅花”の極意が悪を討つ!

前回、倒したはずの大石が生きていたことに動揺し、己の拳に迷いが出た一也。
ライギョンを捨て駒にして一也の技を全て見切った大石の前に敗北を喫した一也は、正月返上で再び厳しい修行に励み、大石=ギョストマの野望を阻止せんとしていた。

だが、敗北に焦るあまり、一也は本来の優しさを見失い、ただ敵に勝つための拳を得ようとする。
玄海老師はそんな一也を、「冷たい大気の中で身を清める」ように諭すのだった。
そして大雨の中、寒さに耐えて咲く梅の花に、一也は赤心少林拳の極意を見出す。
強さを求める獣の拳ではなく、梅の花を慈しみ、優しく包み込む境地。
梅の花を包むように構えた掌で、敵の鋭い攻撃を受け止める「梅花」の技。
返し技の極意たる梅花の技を習得した一也は、再び大石に挑む。
果たしてスーパー1はギョストマを倒し、ドグマ秘密警察設立を阻止することが出来るのか。



恐るべきドグマ超A級怪人・ギョストマに、全ての技を見切られた一也は、拳竜会本部道場で、大石秀人に完膚なきまでに打ちのめされた。そして、玄海老師の助けにより、危機を脱した。
しかし、ドグマ秘密警察と拳竜会門下生は、そんな一也を執拗なまでに追跡する。
一也は真冬の川の中に身を隠し、川の上流にある赤心寺の隠し寺に身を隠すのだった。
寒いからと言って川の仲まで追ってこないドグマ秘密警察が迂闊だ。
そんな一也に、一也の逃亡を助けていた弁慶は玄海老師の伝言を伝える。
「冷たい大気の中で身を清めよ」。

大石は拳竜会の門下生を完全に支配下に置き、ドグマ秘密警察にしようとしていた。
一方、玄海老師と弁慶は谷モーターショップを訪ねていた。
玄海老師によれば、ドグマは地獄谷にドグマ拳法の道場を持っており、そこで暗殺者を養成するために、人間の限界を超えた荒稽古が行われているのだという。
大石はその地獄谷で拳法の天才児と謳われ、悪魔の生まれ変わりと言われる実力者だった。
さらに、他の怪人に寄生することで、標的の技を見切る能力を持っていたのである。
地獄谷の設定は、その後公開された劇場版に登場する「地獄谷五人衆」も大石=ギョストマと同じく地獄谷で稽古を積んだドグマ拳法の達人と設定されている。

ハルミは玄海老師に一也を助けるように懇願するが、玄海老師は獅子の子が親に崖下に落とされても自分の力で這い上がるように、自力で壁を乗り越える時が来ていると諭す。
一方、赤心寺の隠し寺で修行に励む一也は、敗北のショックから、大石に敗北を嘲笑われる幻覚を見るほどに精神が追い込まれていた。乱れた心では、赤心少林拳の極意を掴むことは出来ない。

正月が過ぎ、ハルミは成人式に出席。晴れ着を着て良と街を歩いていた。
しかし、本当に晴れ着を見せたい相手である一也が心配で、成人式どころではない。
しかしそこに、すっかりドグマ秘密警察の一員と化した拳竜会の門下生が現れる。
良は拳竜会少年会に入会しないことで、拳竜会に目をつけられていたのだ。
ハルミはそんな良を庇うが、虎の威を借る狐の拳竜会門下生の狼藉は止まらない。

ドグマのアジトでは、メガール将軍と大石が帝王テラーマクロに謁見していた。
帝王テラーマクロは一也を甘く見ないように大石に忠告する。
決して勝利に驕らない帝王テラーマクロは、巨悪の首領に相応しい風格だ。
大石もその言葉に気を引き締める。

大石は道場で大勢の門下生を前にギョストマに変身し、門下生にギョストマ幻魔光線を浴びせる。
ギョストマ幻魔光線を浴びた門下生は自我を失い、ギョストマの操り人形にされてしまう。
ギョストマ幻魔光線を浴びた門下生には、ギョストマの姿が人間の大石に見えるのだ。

正月返上で修業を重ねる一也を心配し、ハルミが差し入れの弁当を持って訪ねてきた。
だが、敗北のショックで未だ心焦るばかりの一也は、そんなハルミの気遣いを無下にして、弁当を払い除けてしまう。するとそこに、玄海老師が現れた。
隠し寺までの道中を危険を承知でやってきたハルミの心遣いを理解しない一也を一喝する玄海老師だが、一也はその言葉に耳を貸さず、自分に稽古をつけるように懇願する。
だが、玄海老師は今の一也に稽古をつけても無駄だと諭した。
「今のお前は獣のように強くなることばかりを考えておる!そのようなお前に大石の技を見切り、大石に勝つことなど決してできん!」

大石に勝つために、今の自分に何が足りないのか。迷う一也に、玄海老師は自らの五感でそれを掴むしかないとだけ教え、「冷気の中に身を置く」ように導く。
一也はその言葉だけを頼りに、大雨の中で坐禅を組み、ひたすら自らの五感を鋭くする。
そして、朝が来た。
目を覚ました一也は、隠し寺の近くにある木に、梅の花が咲いているのを見つける。
その梅の花を包み込むように掌を翳した一也は、その花に赤心少林拳の極意を見つける。
そこに玄海老師たちが現れた。
「一也。見つけたな。梅の花は、寒さの中にあってこそ、可憐な花を咲かせるものじゃ。お前は今、梅の花を大切な命を守るように両手で包みこんだな。一也。荒々しい戦いの中にあってなお、梅の花の可憐さを愛おしむ心こそ、赤心少林拳の心だ」

ついに極意を掴んだ一也に、玄海老師は赤心少林拳・梅花の型を伝える。
梅の花を包むように構えた掌で、相手の鋭く強い攻撃を受けて返す拳。
それこそが、赤心少林拳・梅花の型!

老人に化け街に戻った一也は、幻魔光線によってギョストマに忠誠を誓い、すっかりドグマ秘密警察と化した拳竜会門下生たちが、拳竜会に対する寄付の少ない人々を連行し、暴力に対する恐怖によって労働を強制させる現場を目の当たりにする。
子どもたちもまた、強制的に拳竜会少年会に入隊させられ、過酷な運動を強制されていた。
谷モーターショップも拳竜会に襲われ、店の土地を明け渡すように迫られていた。
そこに老人に化けた一也が帰還し、拳竜会門下生を追い払う。

一也の帰還は大石も知るところになった。
そして、今度は弁慶とともに時期外れの獅子舞に化けた一也が、拳竜会道場に乗り込む。
弁慶に門下生の相手を任せ、一也は大石との一騎打ちに挑むのだった。
道場の外に場所を移し、ついに決斗の時を迎えた一也と大石。
一也は梅花の型で大石の攻撃を受け、返し技で大石に大ダメージを与える。

追い詰められた大石はついに、ギョストマの正体を現した。
幻魔光線で一也の神経を麻痺させ思考を停止させようとするギョストマに対し、一也は梅花の型で精神を集中し、ギョストマの攻撃を受け流す。そして、スーパー1に変身した。
スーパー1は冷熱ハンドの冷凍ガス、そしてエレキハンドの稲妻放電の波状攻撃を炸裂させる。
そして、トドメの「スーパーライダー梅花二段蹴り」で、ついにギョストマを倒すのだった。

勝利した一也の耳に、別れを告げる玄海老師と弁慶の声が聞こえてきた。
一也は玄海老師に感謝を告げ、ハルミのところに帰っていく。
その勝利を祝うように、梅の花が一輪、咲いていた。

拳法を大きなテーマにしている「スーパー1」らしい、強敵の出現と敗北を経て、再び主人公が過酷な修行に挑み、新たな極意を見出すスポ根的な作劇が描かれた前後編エピソード。
赤心少林拳の極意とはやみくもに強さだけを求める獣の心ではなく、弱きもの、美しいものを慈しみ、守るために鋭い攻撃を受け流す「梅花」の心であるという展開が描かれ、心なき力の危険性と、その力を正しきことに使う人類愛こそ、スーパー1の強さの源である。
それは力だけを求めてドグマ拳法を鍛える地獄谷との対比にもなっており、スーパー1が振るう力、赤心少林拳が正しき心と力、双方を鍛える拳法だと改めて強調されたとも言える。

ドグマ超A級怪人という触れ込みで登場し、実際に一也を一敗地にまみれさせたギョストマだったが、その強さはあくまで他の怪人に寄生し相手の技を見切るがゆえだったためなのか、データにない新しい技である「梅花の型」には対応できず、ファイブハンドの波状攻撃にも抵抗できないまま撃破されてしまった。冷静に考えれば一也の敗北も一也が心乱れたゆえであるので、ギョストマ本人の実際の実力としてはそんなものなのかもしれない。
あるいは、データを入手していてもなお抵抗できないファイブハンドの威力も凄いのか。

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