あらすじ
戦時中に悪魔博士といわれたドイツの科学者・ゾルベゲールの脳がドグマによって蘇生した。
怪人・ムカデリヤは博士の発明したRガスをムカデに仕込み、人類抹殺を計画。
怪人・ムカデリヤは博士の発明したRガスをムカデに仕込み、人類抹殺を計画。
だが、ムカデリヤはスーパー1に敗北し、メガール将軍に処刑を言い渡される。
しかしゾルベゲールはムカデリヤを庇うと、ムカデリヤを唆してドグマに君臨しようとする。
ドグマをも欺く悪魔の脳!笑いガスの恐怖から子どもたちを救え!
今回のドグマ怪人は、ムカデの特質を持つムカデリヤ。
数々の殺戮兵器を作り上げ、ガス室の毒ガスを作り出した「悪魔博士」と呼ばれ処刑されたナチスドイツの科学者・ゾルベゲール博士の脳を入手し、別の実験人間にその意識を移し替えることでゾルベゲール博士を蘇生させ、ドグマに協力させた。
そして、ゾルベゲール博士が作り上げた、人を死に至らしめるまで笑い苦しめる死の笑いガス・Rガスを仕込んだムカデを放ち、ドグマに従わない人間を殺戮することを任務としている。
多くの子どもたちをRガスの犠牲にして暴れ回るが、それを知ったスーパー1との戦いで牙をへし折られ撤退。その体たらくに憤るメガール将軍に処刑を言い渡される。
だが、密かにドグマに君臨する野望を抱くようになっていたゾルベゲール博士に唆されたムカデリヤは、ドグマにクーデターを起こすことを決意し、メガール将軍を毒針で殺害。
さらには帝王テラーマクロにもRガスを浴びせ、ドグマに将軍として君臨せんとする。
一方、子どもたちを救うため、Rガスの解毒剤を求めた一也もドグマのアジトに潜入する。
果たしてムカデリヤとゾルベゲール博士のクーデターは成功するのか。
そして一也はRガスの解毒剤を手に入れ、子どもたちを救うことが出来るのか…。
イギリスの頭脳研究所から、ナチスドイツの科学者であり、殺人兵器や毒ガスを作り出し「悪魔博士」と恐れられ、30年前に死刑になったゾルゲベール博士の脳が盗み出されたという事件が発生した。この不可思議な事件に、一也はドグマの影を感じる。
そしてそれはやはり、ドグマの仕業だった。
ドグマ怪人ムカデリヤは、ゾルベゲール博士の脳を盗み出し、蘇生装置にかけていたのだ。
ドグマはゾルベゲール博士の脳を蘇生装置の働きで蘇らせ、会話装置によってゾルベゲール博士の自我を呼び覚ます。そして、ドグマに協力するのを条件に肉体を蘇生させ、ナチスドイツが世界征服のためにゾルベゲール博士に作らせていたRガス開発を行わせようとしていたのだ。
Rガスとは、特殊なきのこから作る笑いガスの一種であり、それを吸った人間は狂ったように笑い続け、最後には息絶えてしまう悪魔の発明だった。
ドグマは自我を失っていた奴隷人間を用意し、ゾルベゲール博士の蘇生装置と接続。
ゾルベゲール博士の意識を奴隷人間の脳に転送する。
転送が完了した時、奴隷人間の顔は生前のゾルベゲール博士のそれに変わっていた。
なぜ意識が移っただけで顔まで変わると思わなくもないが、脳だけを蘇生させ、それと会話できる技術力を思えば、本人の意識に合わせ顔を変えることも容易なのだろう。
葛城巧を桐生戦兎の顔に変えた、エボルトの能力の元ネタかもしれない。
突然、街の各所に大量のムカデが発生。
爆発してガスを出し、そのガスを吸った人間が狂ったように笑う事件が発生した。
良たちもそのムカデに取り囲まれてしまい、ガスを吸引してしまう。
それは生き返ったゾルベゲール博士が作った、Rガスの効果そのものだった。
街中の人々が狂ったように笑うその効果に、ゾルベゲール博士はご満悦。
「今に東京中を…笑いの炎で焼き尽くしてくれる!」
一也と谷は、良や大勢の人間が止まらない笑いに苦しむ現場を目の当たりにする。
するとそこに、団地一帯の全滅作戦を行ったムカデリヤが通りかかった。
一也はムカデリヤが乗った車をブルーバージョンで尾行するが、その尾行は罠だった。
待ち伏せしていたドグマファイターに、Rガス入りの爆弾を投げつけられた一也は風上に移動し、なんとか難を逃れる。そして、スーパー1に変身してムカデリヤと対峙した。
ムカデリヤのムカデロープで体を締め上げられたスーパー1だが、一瞬の隙を突いて反撃し、ムカデリヤの牙をへし折ることに成功する。ムカデリヤはたまらず撤退した。
病院は、Rガスによって死ぬまで笑い続け、苦しむ人々であふれかえっていた。
医者は良に鎮静剤を注射し、眠らせることで対処するが、あくまで一時しのぎに過ぎない。
数回の注射で肉体は限界を迎え、目を覚ませばまた死ぬまで笑い続けるのだ。
ハルミはあまりのショックに卒倒する。
一方、ドグマのアジトでは、スーパー1に敗北し、みずみすと撤退してきたムカデリヤに、メガール将軍が死刑を言い渡していた。だが、ゾルベゲール博士はムカデリヤの改造にかけた費用が無駄になるだけと諭し、自分にムカデリヤを預けるように取りなす。
「かたじけない。博士…」
なぜか武士口調のムカデリヤ。だがゾルベゲール博士の真意は、ドグマへのクーデターの手駒としてムカデリヤを利用することだった。将軍になりたくないかとムカデリヤを唆したゾルベゲール博士は、自分と手を組み帝王テラーマクロを倒すことを提案する。
すでにドグマファイターを手なづけていたゾルベゲール博士は、メガール将軍を取り押さえさせ、今日から自分がドグマのボスになることを宣言。そしてムカデリヤは、毒針を突き刺してメガール将軍を殺害することに成功する。
一方、良たちを救うべく、Rガスの解毒剤を求めてドグマのアジトに潜入していた一也。
だが、落とし穴に嵌り、そこでクモ糸に拘束されてしまう。一也は一本のクモ糸で宙吊りとなっており、そこには巨大なムカデが迫りつつあった。
クモ糸をちぎられれば、一也は多くのRガス入りムカデが待つ穴の底に落下してしまうのだ。
ゾルベゲール博士は、アジトの装置で日本中にばらまかれたRガス入りのムカデ軍団を一気に爆発させ、日本中の人間を一気に笑い死にさせようとしていた。
罠に嵌まった一也に勝利宣言をするゾルベゲール博士は、解毒用ワクチンの存在を明かす。
日本中が笑いガスで苦しんでも、自分たちだけは生き残れるのだ。
ゾルベゲール博士はムカデの爆破装置を1時間後にセットした。
そして、帝王テラーマクロに謁見し、Rガス入りのムカデ入りの箱を美術品入りの箱と称して献上し、帝王テラーマクロの暗殺を目論む。
しかし、用心深い帝王テラーマクロは、ゾルベゲール博士に箱を開けさせようとした。
そしてそこに、死んだはずのメガール将軍が現れる。
ムカデリヤが殺したのは、メガール将軍の影武者のうちの一人でしかなかったのだ。
クーデターに失敗したゾルベゲール博士とムカデリヤは一気に追い込まれる。
クモ糸に拘束された一也は、ムカデがクモ糸を噛みちぎり落下した瞬間、素早く身を躱し落とし穴を脱出。ムカデの爆破タイマーを止めるため、アジトの機械を破壊せんとする。
一方、ゾルベゲール博士はメガール将軍に粛清され、二度目の死を迎えていた。
追い詰められたムカデリヤは、メガール将軍たちから逃亡する。
一也はスーパー1に変身し、エレキハンドの稲妻光線でアジトの機械を破壊。
そして、既にゾルベゲール博士が死んだとも知らず、Rガスの解毒用ワクチンを求め、急ぎムカデリヤとゾルベゲール博士を捜索し、ドグマファイターに追われるムカデリヤを発見した。
三つ巴の戦いの中、逃亡するムカデリヤを追い、道を阻むドグマファイターを蹴散らすスーパー1。そしてついにムカデリヤに追いつくのだった。
ムカデリヤは解毒用ワクチンを条件に命乞いをするが、スーパー1がワクチンを拾おうとした瞬間、ムカデロープで襲いかかる。だが、スーパー1に同じ技は二度通じない。
破れかぶれでトゲ爆弾を投げつけるムカデリヤだが、スーパー1はその全てを尽く躱した。
そして冷熱ハンドの超低温ガスでムカデリヤを凍結させると、トドメの「スーパーライダー月面キック」を繰り出し、凍りついたムカデリヤを木端微塵に粉砕する。
ドグマを裏切ったムカデリヤは、帝王テラーマクロの名を呼ぶことなく爆散した。
こうしてワクチンを手に入れ、良や大勢の人々を救う手立てを得たスーパー1は、大空に自らに感謝する子どもたちの笑顔の幻影を見る。なんだか既に息絶えたみたいな演出だ…。
前作最終回で大空に消えた8人ライダーみたいでもある。
こうして1つの戦いが終わったが、スーパー1の戦いはなおも続くのだ。
悪魔博士と謳われた悪魔の頭脳の持ち主にふさわしく、ドグマにクーデターを仕掛けんとしたゾルベゲール博士の恐ろしさと、そのクーデターを見事に鎮圧してみせたメガール将軍の底知れなさが演出され、一筋縄ではいかないドグマの脅威を演出したエピソード。
ドグマ怪人と言えば断末魔に「テラーマクロ」と主の名を叫ぶほど忠誠心に厚い者ばかりが揃うほどに狂信的な集団であったが、あくまで自らの頭脳のみを過信していたゾルベゲール博士には帝王テラーマクロに忠誠を尽くす気はさらさらなかったのであろう。
人間としての1度目の死も、そうした姿勢を見抜かれナチスドイツに処刑されたのだろう。
だが彼が野心を抱きクーデターを起こしたことで、人々を笑い苦しめる恐怖のRガスはついにこの世から完全に失われたことだけが、最後の救いといえる。
ドグマ回りの描写が濃かった分、エピローグはスーパー1がワクチンを手にしたところでバッサリと終わっており、なんだか尺の割り振りにメリハリが効きすぎている気もする。
助かった子供たちの幻影が青空に浮かぶ演出は、既に息絶えたみたいな演出でちょっとびっくりしてしまった。