「仮面ライダースーパー1」第17話「一也の血が欲しい!不思議な剣が呼ぶ」感想

2025年6月30日月曜日

仮面ライダースーパー1 東映特撮YoutubeOfficial

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あらすじ

自分では力を持たず、剣術の天才児に憑依するドグマ三等怪人・ロンリーウルフ。
メガール将軍はそんな彼に、ドグマ王国建設悲願のため、妖刀・ドグマンをテラーマクロに献上する重大な任を与える。しかし、ロンリーウルフは妖刀からの「血が欲しい」という声を聞き…。

血を求める妖刀の声 起死回生の真剣白刃取り!

今回のドグマ怪人は、狼の特質を持つロンリーウルフ。
ドグマ怪人でも下位の三等怪人で、自分でもスーパー1には勝てるわけがないと認めるほどに戦闘力は低いが、その代わりに他の人間に憑依して体を乗っ取る能力を持った怪人だ。

そんなロンリーウルフに課せられた使命は、ドグマが開発した新合金で作られた妖刀・ドグマンを、帝王テラーマクロに献上すること。帝王に謁見する、三等怪人としては破格の任務である。
しかしロンリーウルフは、妖刀ドグマンが自分に与えられるものと思い込んでいた。
そしてテラーマクロの元へ向かう道中、妖刀が自分に語りかける声を聞いてしまう。
人間の血を求める、妖刀の囁きを…。

しかしそれは、帝王に献上する妖刀を人間の血で穢す、ドグマへの裏切り行為。
メガール将軍の怒りを買い、処刑を宣告されたロンリーウルフは、沖一也の血をもってドグマンを浄化すると嘯き、なんとか汚名返上のチャンスを得る。
しかし、所詮は三等怪人のロンリーウルフは、自分ではスーパー1に勝てないとわかっていた。
そこでロンリーウルフは、剣道の達人・男谷健一郎に憑依して一也を襲うことにする。
男谷の鋭い技に襲われ、さしもの一也も苦戦する。
そこで一也は再び玄海老師に教えを請い、赤心少林拳・真剣白刃取りを習得するのだった。
果たして一也は妖刀を受け止め、男谷からロンリーウルフを引き剥がすことが出来るのか。



メガール将軍はドグマの鍛冶師に命じて、ドグマ科学が生んだ超合金を使い、妖刀・ドグマンを鍛造させた。鋼を打ち砕き、スーパー1の身体をも真っ二つにする威力を持つのみならず、刀を手にしたものは人を斬らねば収まらない魔力まで秘めているのだ。
メガール将軍はドグマ三等怪人・ロンリーウルフを呼び、ドグマ王国建設を祈願して作られた妖刀ドグマンを、帝王テラーマクロに献上するように命じる。
だがロンリーウルフは、ドグマンが自分に与えられるものだと思い込んでいた。
メガール将軍はそんなロンリーウルフの心を見透かしたように、決して鞘からドグマンを抜かず、刃を血で汚すことがないようにと厳命するのだった。

こうして、ドグマンを持って帝王テラーマクロの下へ急ぐロンリーウルフ。
だが、ドグマンに興味津々のロンリーウルフは、誘惑に負けてドグマンを鞘から抜いてしまう。
すると、ロンリーウルフの耳に、ドグマンからの声が聞こえてきた。
「血が欲しい…血を吸わせてくれ…」
「そうか、血を吸いたいのか!よおし、たっぷり血を吸わせてやるぞ!」
こうして実にあっさりと誘惑に負けたロンリーウルフは、山道を通っていた人々に襲いかかり、妖刀で彼らを切り捨てていく。妖刀の切れ味に、ロンリーウルフはご満悦だ。

Vマシーンでパトロールをしていた一也のもとに、谷からの通信が入った。
それはロンリーウルフの凶行を伝えるものである。
一也は人々が襲われた現場に急行し、襲われた人々の傷跡から、これがドグマ剣法の太刀筋によるものであることを看破。スーパー1に変身し、レーダーハンドでドグマ怪人を探す。
そして妖刀を持って彷徨うロンリーウルフを発見するのだった。

妖刀の声に導かれるまま、凶行を重ねていくロンリーウルフ。
しかしそこに、ドグマ親衛隊が現れた。こんなこともあろうかと、メガール将軍の命でロンリーウルフを監視していた彼らは、帝王テラーマクロに献上するはずの妖刀を、手で汚したロンリーウルフに制裁を加えるべく、姿を現したのである。しかし、所詮三等怪人という下級怪人に過ぎないロンリーウルフも、妖刀の魔力で気が大きくなりそれに反発する。

そしてそこに、ロンリーウルフを追ってきたスーパー1まで現れた。
混沌とした戦場の中で、スーパー1はドグマ親衛隊を蹴散らし、ロンリーウルフに挑む。
ドグマンをもって襲いかかるロンリーウルフだが、スーパー1は強かった。
あっというまにドグマンの一撃を躱され、転倒させられるロンリーウルフ。
「とても俺様の敵じゃないわい…」
ロンリーウルフの手から払いのけられたドグマンを回収したドグマ親衛隊は、ロンリーウルフにドグマンを渡すと、自らはスーパー1の足止めをし、ドグマンを運ぶように促す。
下級怪人のロンリーウルフでは、スーパー1に勝ち目はなかった。

自分の命を無視してドグマンの刃を穢し、スーパー1に敗北しそうになったロンリーウルフに、メガール将軍の怒りは頂点に達した。ドグマンでロンリーウルフの首を刎ねようとするメガール将軍だが、ロンリーウルフはドグマンでスーパー1を倒し、ドグマンの刃を清めるので助命してもらえるように懇願する。メガール将軍もその覚悟に免じ、最後の機会を与えるのだった。

…とは言ったものの、三等怪人に過ぎないロンリーウルフでは、スーパー1に勝てないのは明白。
自分自身でもそれを理解しているロンリーウルフは、すっかり困り果ててしまった。
するとそこに偶然、暴走族に絡まれているハルミが通りかかる。
そしてハルミを、高校県道選手権で優勝するほどの剣道の達人である男谷剣一郎が助ける様子を目撃したロンリーウルフは、剣一郎にドグマンを与え、スーパー1を襲わせることを思いつく。

ハルミの案内で男谷道場を訪ねた一也は、剣一郎の恐ろしいほどの腕前に感心していた。
赤心少林拳の達人である一也に、剣一郎は赤心少林拳・真剣白刃取りの極意を見せてほしいと頼むが、一也は未だ、真剣白刃取りの極意を習得していなかった。

竹林で真剣を用いた稽古に励む剣一郎。そこに、ロンリーウルフが現れる。
「お前は人間を斬ってみたくてウズウズしているな?人間を斬るともっと面白いぞ?」
ロンリーウルフは剣一郎に魔術をかけ、剣一郎の体に憑依して一体化。
そしてドグマンを抜かせ、その魔力によって剣一郎の体を完全に支配してしまう。

谷モーターショップに戻ろうとする一也の前に、ロンリーウルフに憑依された剣一郎が現れ、問答無用とばかりに襲いかかってきた。その顔を見た一也は、自分に勝てないと見たロンリーウルフが、剣一郎の体に憑依したことを看破する。剣一郎の早業に、苦戦を強いられる一也。
ついに一也がドグマンで斬られるかと思ったその瞬間、弁慶が助けに入った。
玄海老師と弁慶が一也の危機を察知し、再び姿を現したのである。

剣一郎を傷つけずにロンリーウルフを倒すには、一体どうしたら良いのか。
思案する一也に、玄海老師はまず妖刀ドグマンを奪い取るように指南する。
そこで一也は、玄海老師に赤心少林拳・真剣白刃取りの極意を授けるように頼み込む。
しかしその習得には、命を捨ててかからねばならぬ鍛錬が必要だった。

真剣白刃取りの極意は、敵の太刀と自分の距離を一瞬にして見極める目が必要だった。
弁慶が振りかぶる真剣から目を逸らすことなく、太刀の距離を見極める訓練。
自らに向けて射られる矢を受け止める訓練。
命をかけたいくつもの鍛錬の果て、一也はついに真剣白刃取りの極意を習得する。

一也は男谷道場に乗り込み、ハルミに襲いかからんとした剣一郎に勝負を挑んだ。
そして、剣一郎の振りかぶるドグマンを、真剣白刃取りで受け止めてみせる。
剣一郎の手からドグマンを打ち払ったことで、ロンリーウルフは剣一郎から分離した。
破れかぶれになったロンリーウルフは、自らドグマンを持って一也に襲いかかる。
もはや、自分の実力ではスーパー1に敵わないと弱音を吐いている場合ではない。

一也はスーパー1に変身し、ロンリーウルフとの決戦に挑んだ。エレキハンドの稲妻放電でドグマンをへし折ったスーパー1は、姿を現したドグマファイターを蹴散らす。
ドグマ親衛隊から逆さ磔の刑に処されることを命じられたロンリーウルフは、唯一の生存の道である、スーパー1打倒のため決死の覚悟でスーパー1に挑む。
ここまでくるともはや哀れになってくるが、スーパー1はロンリーウルフに「スーパーライダー閃光キック」を炸裂させ、戦いに終止符を打つのだった。

剣一郎は無事に意識を取り戻し、自らの未熟さを悔やむ。
一也はその謙虚さがあれば大丈夫だと、剣一郎を励ますのだった。

明確に実力が劣る三等怪人・ロンリーウルフのキャラクター性がユニークなエピソード。
あれだけドグマンを汚してはいけないと念を押されたにも関わらずドグマンを抜いてしまい、結局自らの身の破滅を招いてしまったのは自業自得ではあるが、ちょっと哀れでもある。
名誉挽回の秘策としてスーパー1を倒そうとしたものの、自分の実力では勝てないことがわかりきっているだけに困り果ててしまうシーンなどは、思わず笑いが出るシーンだ。

そんなロンリーウルフの最後の秘策が、他人に憑依する他力本願の戦術。
ロンリーウルフ=一匹狼と名前がつきながら、他人をあてにしているのもなんだか情けない。
怪人のキャラが見事に立っている、秀作エピソードだと言えるだろう。

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