「仮面ライダースーパー1」第18話「ファイブ・ハンドチェンジ不能!!」感想

2025年6月30日月曜日

仮面ライダースーパー1 東映特撮YoutubeOfficial

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あらすじ

ドグマの予言怪人・ヤッタラダマスは、大予言教の少年教祖に変身する。
そして偽りの予言で人心を惑わし、東京にドグマ王国の神殿を建設。
それを使って人々を熱烈な信者にしようと計画を進めていく。

予言者怪人の不吉な福音!稲妻放電で邪悪な予言を打ち砕け!

今回のドグマ怪人は、龍の特質を持つ怪人・ヤッタラダマス。
「やたら」「騙す」から名付けられたナイスなネーミングセンスが光る怪人で、大預言者を名乗る子供に変身し、その名の通り自作自演で予言を的中させ、人々を騙し教祖に上り詰めた。
そして、その予言によって獲得した信者にドグマ王国の神殿を建設させるのを任務にしている。
必殺技の稲妻放電「ドラゴンサンダー」や火炎攻撃「ファイヤードラゴン」といった強力な攻撃はスーパー1のファイブ・ハンドに勝るとも劣らない力を持ち、電気を帯びた鞭である「ドラゴンビート」による攻撃も強烈な、強豪怪人である。

大預言者として不吉な予言で人々の感心を惹き、ついには大予言教の教祖に上り詰めたヤッタラダマスは、東京中の大停電を予言し、それを実現するため発電所を襲う。
スーパー1はそれを食い止めるために戦うが、ヤッタラダマスのドラゴンサンダーの威力は、なんとエレキハンドの稲妻放電をも上回っていた。
エレキハンドを破壊され、ファイブ・ハンドをチェンジ不能になってしまったスーパー1は、チェックマシーンでの修理を経て、エレキハンドの強化を決意する。
果たしてスーパー1は強化されたエレキハンドを使いこなし、大預言者怪人を倒せるのか。



良が街で買い物をしていると、怪しい少年が目の前に立ちはだかってきた。
少年は良がもっているパンを渡すように迫ってくる。
なんでも、良が持っていてもパンが無駄になるだけだというのだ。
少年はトランプ占いで良の運勢を占い、もうすぐ良が事故にあうと嘲笑う。
ハルミに慰められながら良が家路を急いでいると、なんと、本当に車が突っ込んできた。
良は間一髪助かったものの、パンは道路にぶちまけられ、先程の少年が言ったように無駄になってしまった。その様子を、少年は邪悪な笑みを浮かべながら見つめていた。

良は不吉な預言が的中したショックで、入院することになった。
ハルミは一也たちに、良に不吉な預言をもたらした少年について話す。
そこに不審なものを感じた一也は、ハルミを連れて少年を街中を探し回った。
そこで一也は、先日銀行強盗を働いた男たちが逮捕される現場に出くわす。
なんと、先程の少年が銀行強盗の潜伏先を予言し、警察に通報したのだという。

少年は次々に預言を的中させ、新聞などのメディアはその預言を大々的に報じるようになった。
ジャンボジェット墜落。火事。電車脱線転覆。様々な大事件を次々に的中させる少年は、当時世間を不吉な預言で騒がせていた、ノストラダムスの再現かと報じられるようになった。

しかしそれは、全てドグマ怪人・ヤッタラダマスの預言作戦だった。
ドグマの組織力を用いることで、自らが預言した不吉な預言を実現させることで人心を惑わし、人々を恐怖で震え上がらせることで人身を掌握することを目的としていたのである。
帝王テラーマクロはこの成果に大いに満足し、東京にドグマ王国の神殿を建造させるように命じた。既に預言少年を信じる者が大勢その信者となっている今、少年の預言次第で多くの人々が、ドグマの信者へと変貌する下地が出来上がっていたのである。

再び預言少年の姿となったヤッタラダマスは、宗教団体「大予言教」の教祖として君臨し、街中の人々を自らの不吉な預言で扇動した。太陽が凍りつき、人々は闇に包まれる。
すなわち、日本壊滅の前触れとして、東京中が大停電に襲われるというのだ。
その恐怖の予言を信じた人々は、次々に大予言教にお布施を捧げていく。
それを知った谷は、東京に電力を送る4箇所の変電所の場所を調べ、大停電を阻止するため、変電所を調べることを提言。一也たちは皆で手分けして、4箇所の変電所を調べ始めた。

ハルミが向かった東京第三変電所では、職員が何者かに襲われ気絶していた。
そしてハルミは、ドグマファイターたちが変電所に破壊工作を仕掛けている現場を目撃する。
しかし、ハルミは運悪くドグマに発見されてしまい、そこにヤッタラダマスが現れる。
ヤッタラダマスはトランプのカードでハルミを襲うのだった。

ハルミの持っていた発信器からの異常信号を感知した一也は、急ぎ第三変電所に向かう。
だが、ヤッタラダマスはそうしている間にも、ハルミに襲いかかろうとしていた。
「今度はその美しい胸でも見せてもらおうか…」
ド直球のセクハラ発言を行う、令和の今ならコンプラ違反の発言を行うヤッタラダマス。
少年に化けておきながら、とんだムッツリスケベの怪人だ。
しかしそこに間一髪、一也が助けに現れた。一也はドグマファイターを蹴散らしていく。
「赤心少林拳・十字蹬脚!」
四方を囲まれながら、その全てに蹬脚を喰らわせる奥義が炸裂する。

一也とドグマファイターの戦いが展開する中、通報を受けて警官隊も駆けつけた。
だが警官隊は、ヤッタラダマスの電磁鞭・ドラゴンビートで全滅。
一也はこの強力怪人を打ち破るべく、スーパー1に変身する。
スーパー1は鋭い技でヤッタラダマスに打撃を食らわせていくが、ヤッタラダマスもドラゴンビートを振り回し反撃。スーパー1は電気には電気で対抗すべく、エレキハンドにチェンジする。

ヤッタラダマスは、ドラゴンビートをエレキハンドに絡ませる。
そこでスーパー1は両腕のエレキハンドでドラゴンビートを掴み、ダブルパワーで反撃。
強烈な稲妻光線がヤッタラダマスに逆流し、大ダメージを与えた。
しかし狡猾なヤッタラダマスは、ドグマファイターにハルミを襲わせていた。
オートバイを用いた牛裂きの刑にかけられそうになったハルミを、スーパー1は急ぎ助ける。
牛裂きの刑なんてものが自然に出てくるのが、残酷映画を撮っていた東映らしい…のか?

だがヤッタラダマスはその隙に、スーパー1に向けて必殺技のドラゴンサンダーを繰り出した。
その威力はエレキハンドの稲妻放電をも上回っており、エレキハンドの回路が破壊されてしまう。
ヤッタラダマスはさらに、火炎攻撃ファイヤードラゴンを繰り出す。
スーパー1はそれに対抗すべく冷熱ハンドにチェンジしようとしたが、エレキハンドの回路が破壊されてしまったことで、ファイブ・ハンドのチェンジが不可能になっていた。
スーパー1はこの絶体絶命の危機を、ヤッタラダマスの弱点だった喉を攻撃して脱する。
ダメージを負ったヤッタラダマスは撤退した。

スーパー1は基地に戻り、チェックマシーンでエレキハンドの交換修理を行う。
そして強力エネルギーを注入し、その強化を図った。
激しい痛みに耐え、スーパー1はエレキハンドの強化に成功する。
しかし強化されたエレキハンドの威力は、その反動で腕に激痛を与えるほどだった。
だが、ヤッタラダマスの不吉な預言に惑わされ、恐怖に怯えるまま扇動される人々を救うべく、スーパー1は強化エレキハンドを使いこなすための訓練に励む。
このあたりの描写は、第1話でパワーハンドの怪力が腕の痛みを生じさせたことを踏襲したもの。
メカ部分の強化だけでは肉体に負担をかけてしまう、という描写の一貫性だろう。

人々の不安を煽るヤッタラダマスはついに、大予言教の仮神殿を作り上げていた。
そこには不安に煽られた人々がお布施を捧げ、預言を聞くために集っていた。
そこに、変装した一也が現れた。
「占ってほしいのではありません。私は、大教祖様の運命を知らせに参ったのです。インチキ預言者のヤッタラダマスは、もうすぐ仮面ライダーに倒されると占いました」
人々を不吉な預言の恐怖から開放すべく、一也はドグマファイターに立ち向かう。

ヤッタラダマスは仮神殿を抜け出し、オートバイで逃亡。
一也も急ぎVマシーンに乗り込み、それを追う。そして、スーパー1に変身した。
挿入歌「無敵の勇者スーパー1」の初披露とともに、ブルーバージョンに乗り換えるスーパー1。
ヤッタラダマスとスーパー1の熾烈なバイクチェイスが始まった。
ブルーバージョンが宙を舞い、ヤッタラダマスの前に立ち塞がる。しかしヤッタラダマスは、ドグマオートバイ部隊が待ち伏せする場所までスーパー1を誘き寄せていた。
スーパー1は、次々にドグマオートバイ部隊を蹴散らしていく。

オートバイ部隊を倒されたヤッタラダマスは、再び逃亡。
しかしスーパー1はブルーバージョンを大ジャンプさせ、ヤッタラダマスの退路を断った。
ついに、ヤッタラダマスとの決着の時。
ヤッタラダマスはドラゴンビートでスーパー1に襲いかかるが、スーパー1は強化されたエレキハンドで反撃。そして、ドラゴンサンダーをもパワーアップしたエレキハンドで打ち破った。
ドラゴンサンダーを破られたヤッタラダマスはファイヤードラゴンを放つが、スーパー1はさらに冷熱ハンドの超低温ガスでそれを防ぐ。そしてトドメのスーパーライダー月面キックが炸裂。
ついに、不吉な預言をもたらすヤッタラダマスは倒されるのだった。
勝利を収めたスーパー1は、帰還の途につくのだった。


今回も怪人のキャラが立っており、スーパー1との丁々発止のやり取りが面白いエピソード。
ヤッタラダマスの「やたら騙す」という日本語からきたにも関わらず、どことなく「ノストラダムス」と語感が似ている奇跡のネーミングセンスが面白い。
人身を不吉な預言で惑わせ、人々の不安を煽るヤッタラダマスの作戦は、ある意味現代の日本でも2025年現在起こっていることでもあり、極めて現代的な作戦でもある。

そしてそうして人々の不安を煽る心の侵略だけにとどまらず、ドラゴンサンダー・ファイヤードラゴンといった特殊能力やオートバイテクニックなど、力の強さも印象的だった。
前回のロンリーウルフが、怪人としての戦力ではまるでスーパー1の相手にならなかったのとは対照的と言えるだろう。そしてスーパー1がとった対処法も対照的で、ロンリーウルフに対しては赤心少林拳・真剣白刃取りの極意を学ぶ、体と心の鍛錬でこれを打ち破ったのに対し、今回はファイブ・ハンドの強化パワーアップでヤッタラダマスを打ち破っている。
スーパー1というキャラクターは、赤心少林拳の達人という身体的・精神的な強さと、ファイブ・ハンドに代表されるメカニックライダーとしての強さを併せ持つところに唯一性の魅力があるキャラクターで、それゆえに個々のエピソードの逆転劇も振り幅が広い。
バラエティに富んだエピソードを展開できたのが、「スーパー1」というシリーズの魅力だ。

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