「仮面ライダースーパー1」第19話「悪魔の学習塾!! 恐怖のラジカセ怪人」感想

胸部のカセットを交換することによってさまざまな音波を使い分ける怪人・カセットゴウモルが現れ、DGM学習塾の子供たちを催眠学習で洗脳した。

その目的は、子供たちにドグマ幹部候補生のエリート教育を受けさせることだったのだが…。

今回のドグマ怪人は、コウモリとラジカセの特質を併せ持つカセットゴウモル。

電子機器と生物の融合という点では、かつてのデストロン怪人を思わせる。

胸に備わったスロットに様々なカセットをセットすることで、催眠音波や幻覚音波、破壊音波といった様々な超音波を放ち、人を自在に操る能力を持っている。

そんなカセットゴウモルの目的は、ドグマ王国に有益な幹部候補生となる人材を育成するために、「三日で100点」が取れるようになるという売り文句でDGM学習塾を開き、その売り文句に惹かれて入塾した子供たちに催眠音波でドグマ教育を刷り込むことである。

良の友人であるミツルはわずか三日間でテストの100点がとれるという売り文句に惹かれてしまい、DGM学習塾へ入塾。そしてカセットゴウモルによる催眠教育に耐えたことで、ドグマ幹部候補生としてのエリート教育を受けさせられてしまう。その結果、確かにテストで100点を取ることには成功したものの、肉体は耐えられず衰弱してしまうのだった。

未来ある子供たちをドグマエリート教育の犠牲にするわけには行かない。

一也はDGM学習塾に乗り込むが、カセットゴウモルは強敵だった。

果たして一也はカセットゴウモルを倒し、悪魔のエリート教育を阻止することが出来るのか。

一也がVマシーンでパトロールをしていると、一人の少年が警報機の鳴る踏切に立ち入ろうとしていた。間一髪、一也は迫りくる電車から少年を助けることに成功する。

だが、少年はまるで前後不覚、催眠術にかかって自我を失ったかのようにふらふらと歩き続け、一也の声も届かない。少年は良の同級生である松原ミツルだった。

一也は明らかに様子がおかしいミツルのことを心配する。

良の話では、一週間前のミツルは元気で普通の少年だった。

しかし、テストの成績が芳しくないミツルは、町中に貼り出されていた、「DGM学習塾」の張り紙に目を奪われてしまう。なんでも、その塾では最新のシステムを用いた学習法で、三日で100点が取れるほどに学力が向上するというのだ。

DGM、すなわちドグマの頭文字なのだが、子どもたちはそんなことを知る由もない。

さらに、張り紙の近くに置いてあったラジカセからもDGM学習塾の勧誘の声が聞こえてきた。

子どもたちはラジカセの声に操られるように、DGM学習塾の入塾試験を受けに行ってしまう。

そこで行われた入塾試験は、不気味な音が流れるイヤホンを頭につけるというものだった。

多くの子供達がその音に耐えかねて苦しむ中、ミツルだけは平気だった。

それどころか、試験を終えた後のミツルは、なんと流暢な英語を話せるようになっていたのだ。

これがDGM学習塾の最新のシステムによる勉強法なのか。

するとそこに、先程のラジカセから聞こえてきた声が、またも聞こえてきた。

先程の不気味な音は英語の初歩の学習テープであり、ミツルはDGM学習塾の勉強法を受け入れる能力がある者だと認定され、DGM学習塾への入塾が決定する。

そして他の子どもたちは無能力者と見なされ、塾から追い出されたのだった。

ミツルは3日間で英語をマスターし、学校のテストも100点を連発。数学の積分までもこなしていた。しかし、DGM学習塾に通ってから、ミツルはみるみるうちに衰弱。

まるで催眠術にかかったようなミツルの様子に、一也はDGM学習塾を調べることを決意する。

DGM学習塾には、ミツル以外にも多くの子どもたちが入塾していた。

しかし、その誰もがミツルと同様に前後不覚、催眠術にかかったような様子。

そして、衰弱していたミツルはついに肉体の限界に達し、倒れて入院してしまう。

一也はミツルを病院に送り届けると、DGM学習塾に潜入した。

しかし、その様子はドグマ怪人・カセットゴウモルに監視されていた。

一也が子どもたちがつけていたというイヤホンを調べるため頭につけると、カセットゴウモルはドグマファイターに命じてイヤホンから破壊音波を放出し始めた。

教室全体を揺るがすほどの強烈な破壊音波が、一也を襲う。

一也は教室の天井にジャンプして張り付き、カセットゴウモルの監視カメラの死角に移動。

一也を見失ったカセットゴウモルが教室に入ってきたところを見計らい、頭に張り付いていたイヤホンを取り外すことに成功し、ドグマファイターを蹴散らしていく。

そして、カセットゴウモルを倒すために、スーパー1に変身した。

カセットゴウモルは胸のカセットに記録された破壊音波を耳のアンテナから発射。

だがスーパー1は跳躍してそれを躱し、赤心少林拳空中諸手斬りアンテナをへし折る。

追い詰められたカセットゴウモルは胸のカセットを入れ替え、幻覚音波を放った。

幻覚音波を受けたスーパー1の視界は大きく歪み、カセットゴウモルはその隙に撤退する。

胸のカセットを入れ替え様々な能力を駆使するのは、「キン肉マン」のステカセキングや、「戦え！超ロボット生命体トランスフォーマー」のサウンドウェーブなどを思わせてユニークだ。

その夜。衰弱したミツルが意識を取り戻さない中、カセットゴウモルは最終作戦として、催眠カセットを胸に装填。DGM学習塾に通う子どもたちを催眠状態のまま目覚めさせる。

そしてそれは、ミツルも同様だった。

こうして、DGM学習塾に通う子どもたちは行方不明になってしまう。しかし、ミツルを見張っていたチョロが、子どもに変装し、ミツルとともにカセットゴウモルのもとに辿り着いていた。

DGM学習塾の子どもたちを集めたカセットゴウモルは、彼らをメガール将軍のもとに連れてきていた。カセットゴウモルの狙いは、DGM学習塾の子どもたちをドグマの幹部候補生として育成することにあったのである。そしてカセットゴウモルは洗脳の成果を見せるように、マーチカセットをセット、マーチに合わせて子どもたちを行進させる。

カセットゴウモルはここからさらにドグマ教育を催眠学習で子どもたちに刷り込んでいき、ドグマの幹部候補生に育て上げようとしていた。

そして、それについて来れない者には死あるのみという、恐るべき残酷さを見せつける。

カセットゴウモルは子どもたちに行進を続けさせるが、ついに落伍者が出てしまう。

怒ったカセットゴウモルは死刑を宣告し、倒れた子どもを崖下に投げ捨てさせようとする。

だがそこに、間一髪一也が駆けつけた。一也は子どもを救い出すことに成功する。

一方、子どもたちはカセットゴウモルの監視下で、一定のリズムで食事を摂取させられていた。

しかしそこに、カセットゴウモルの油断が生まれた。

チョロはカセットゴウモルが腰に下げているカセットを、自分が持ってきたものと入れ替える。

そして、カセットゴウモルは催眠学習カセットで再び子どもたちに催眠学習を行おうとする。

だがカセットゴウモルが胸に嵌めたカセットは、先程チョロがすり替えた民謡のカセットだった。

子どもたちやドグマファイターは阿波踊りを踊りだしてしまう。

怒ったカセットゴウモルは、これまで以上に強い催眠学習カセットを胸に嵌めた。

それは、これまで催眠学習に耐えてきた子どもたちですら、苦しみ始めるものだった。

そしてチョロも、これまで嵌めていた耳栓が外れ、催眠音波に大いに苦しみ気絶する。

こうして大勢の子どもたちが気絶する中、4人の子どもが催眠音波に耐え抜いた。

カセットゴウモルは彼らを合格とし、他の子どもたちを谷川に投げ捨てさせようとする。

しかしそこに、一也が駆けつけた。カセットゴウモルは再び破壊音波で一也を狙う。

一也はカセットゴウモルと決着をつけるべく、スーパー1に変身した。

カセットゴウモルは最大ボリュームでの破壊音波を次々に放つ。

しかしスーパー1は素早い動きでそれを次々に躱し、エレキハンドにチェンジ。

稲妻放電がカセットゴウモルのカセットに直撃し、その機能を狂わせた。

カセットが逆回しで再生され、カセットゴウモルは大いに苦しむ。

スーパー1はそこにキックを炸裂させ、耳のアンテナを破壊。

カセットゴウモルは悪あがきとばかりに翼をブーメランにして投げつけるが、スーパー1はそれをいとも容易くキャッチし、トドメのスーパーライダー月面キックを炸裂させる。

こうして、カセットゴウモルもテラーマクロの名を呼び倒されるのだった。

カセットゴウモルの死とともに、子どもたちの催眠も無事に解けた。

戦いを終えたスーパー1は、VジェットをVマシーンに変形させて去っていく。

各部の変形機構をじっくりと映したシーンで、メカファンには大きな見どころだ。

ドグマの恐怖の作戦は、仮面ライダースーパー1の活躍で破られた、

しかし、ドグマは次にどんな作戦で挑んでくるか。頑張れ！我らの仮面ライダースーパー1！

ラジカセ怪人という移植のモチーフを存分に活かし、カセットの交換で様々な超音波を放つカセットゴウモルの能力描写が面白いエピソード。そんな中で、チョロの民謡のカセットをそうと気づかず装填してしまい、阿波踊りで子どもたちを踊らせてしまうユニークなシーンも印象的。

ドグマは優秀な人間だけが生き残る選民思想を持っていることが特徴の組織で、今回のDGM学習塾でもその催眠学習に耐えられない者は死あるのみという非情さでそれが描かれている。

仮面ライダーは、万人が平等に生きられる自由な世界を守るために戦うのだ。