あらすじ
市場で売られていたカニが大量に奪われた。
事件を追ったスーパー1は、それらのカニを素材として作られた、強靭な肉体を持つ怪人・ガニガンニーを発見した。ドグマに忠誠を誓う服従カプセルを取り付けられる前に怪人製造工場から脱走したカニガンニーだが、ドグマ親衛隊に捕まり服従カプセルを装着させられる。
ドグマに服従したカニガンニーの冷凍泡によって、さしものスーパー1も苦戦させられる。
市場のカニが怪人に!?恐怖の怪人製造ラインを暴け!
今回のドグマ怪人は、蟹の特性を持つ怪人・カニガンニー。
左手の巨大な鋏と、右手の鋭い爪で連続突きを繰り出す「先手地獄突き」を必殺技とする怪人で、さらに口からは改造人間の機能を停止させる冷凍泡「泡地獄」を繰り出す。
だが、そんなカニガンニーの最大の特徴は、人間をベースとしたわけでもなく、市場で売られている活きの良い蟹を集めてきて、それを改造人間製造責任者のドクター・ガイガンが選別。
選別された蟹をベースに生み出され、帝王テラーマクロに服従する心を植え付ける「服従カプセル」を埋め込まれる前にドグマ怪人製造工場を脱走し、無垢な心の赴くまま街を彷徨っていた。
結局は「服従カプセル」を埋め込まれたことになるが、人間をベースとしたわけでないがゆえに、無垢な心を持った改造人間として生を受けたという展開がユニークだ。
こうして服従カプセルを埋め込まれ、帝王テラーマクロに忠誠を誓ったカニガンニーは、メガール将軍の指揮のもと、新兵器開発のために必要な鉱石を狙って行動を開始する。
果たしてスーパー1はカニガンニーを倒し、ドグマの作戦を防ぐことが出来るのか。
ある夜。谷は、トラックで二匹1000円で活きの良い蟹を販売する業者と出会う。
だがそこに、ドグマファイターが現れ、蟹を満載した軽トラックを強奪。
谷に頼まれたハルミとチョロはバイクで軽トラを追う。
だが、軽トラを追った先は何も無いブロック塀。軽トラは忽然と姿を消してしまっていた。
そこに通りかかった一也は、道を塞ぐブロック塀が単なる板で出来ており、蟹を盗んだ軽トラはその板で隠されていた隠し通路を使って逃亡したことを看破する。
さらに、蟹泥棒はこの一軒だけでなく、魚市場からも大量の蟹が盗まれていた。
ドグマはいったい、そんなに多くの蟹を盗んで何をしようというのか。
そのころ、ドグマの怪人製造工場では、市場から盗み出された蟹を、ドグマの科学者、ドクター・ガイガンが検品し、活きの良さや甲羅の硬さ、鋏の強さをチェックしていた。
ドグマは活きの良い蟹を選別し、多くの蟹から優れた部位を選び出すと、蟹から再貿易を抽出。
さらに特殊な光線を浴びせ鋏や甲羅を巨大化させると、そこに超合金で出来た毛を胸に埋め込んだ。それは、骨をも砕く、手裏剣にもなる強力な武器である。
こうして、蟹の優秀な部位を素材にして生み出された部品が組み合わされ、世にも珍しい蟹だけを素材にして完成した改造人間・カニガンニーが完成した。
ドグマの科学力は、素体となる人間すら必要とせず改造人間の製造を可能にしていたのだ。
こうしてカニガンニーの肉体は完成し、後は能力テストを行ったうえで、帝王テラーマクロに忠誠を誓い、ドグマの命令に忠実となる「服従カプセル」を頭脳に埋め込むのみとなった。
服従カプセルなしでは、カニガンニーは野生の蟹そのものの獰猛な獣に過ぎないという。
そこに、メガール将軍とドグマ親衛隊が現れ、カニガンニーの進捗を尋ねる。
帝王テラーマクロは、密かに進める「M作戦」にカニガンニーの実戦投入を求めていたのだ。
帝王テラーマクロは、ドクター・ガイガンにカニガンニーの能力を尋ねる。
「ドクター・ガイガン…その方、怪人カニガンニーには、スーパー1を上回る性能を与えたであろうのう?」
M作戦遂行のために、スーパー1を上回る性能をカニガンニーに求める帝王テラーマクロ。
そして、カニガンニーの能力テストが始まった。
甲羅の硬さは、3万トンの重量の槍でも突き通す事はできないほど。
そして、腹部の腹筋力は、スーパー1がスーパーハンドで繰り出す、1万メガトン(=100億トン)のパンチにもびくともしない頑強さを持っていた。さりげにスーパー1が物凄いパンチ力だ…。
そして、鋏の鋭さは、ドグマファイターの首を容易に断ち切る程に鋭い。
そして、最後のテストは「泡地獄」。カニガンニーが口から吐く毒の泡は、スーパー1の機能を麻痺させ、作動を停止させる能力を持たされていた。
テスト用のドグマファイターがその泡を浴び機能を停止するが、倒れたドグマファイターを避けようとしたドグマ親衛隊が偶然、壁のスイッチに触れてしまい、稲妻光線が作動してしまう。
服従カプセルを埋め込まれる前にその稲妻光線の光を見たカニガンニーは暴走してしまい、怪人製造工場から本能の赴くまま脱走してしまった。
翌朝。早朝ランニングに励むハルミと良の前に、カニガンニーが現れる。
鋏を開閉させながら近づくカニガンニーの恐ろしさに、2人は気絶してしまった。
偶然通りかかった一也はハルミからカニガンニーの話を聞き、それを追う。
だがカニガンニーは、まるで子どものように公園で遊んでいた。
服従カプセルを埋め込まれなかったことで、無垢な野生生物の心が残っていたのである。
そしてそこにドグマ親衛隊が現れる。ドグマ親衛隊は、自分たちの失敗でカニガンニーを逃がした責任を問われ、なんとしても服従カプセルを埋め込むべくカニガンニーを追っていた。
それを聞いた一也は、服従カプセルの埋め込みを阻止する決意を固める。
本能のまま歩き回るカニガンニーは、花屋に姿を現し、売り物の花を刈り取っていた。
そこに、花屋の娘が現れ、花を粗末にするカニガンニーに説教する。
それを聞き入れるカニガンニーにはまだ無邪気なところがあることを感じ取った一也だが、今のうちに倒さねばこの先どのような被害が出るかわからない。
そして、ドグマ親衛隊がカニガンニーを捕らえ服従カプセルを埋め込まんとした。
暴れ、抵抗するカニガンニー。一也は服従カプセルの埋め込みを阻止すべく、ドグマに挑んだ。
ドグマ親衛隊の攻撃と、本能のまま暴れるカニガンニーに苦戦する一也は、スーパー1に変身。
スーパー1は次々にドグマファイターを蹴散らすが、ドグマファイターがスーパー1を足止めしている間に、ドグマ親衛隊はカニガンニーの頭脳への服従カプセル装着を完了していた。
ドグマはカニガンニーに、10万人の敵をひとりで倒せる特殊銃を開発する「M作戦」を行わせようとしていた。そして、完成したカニガンニーがスーパー1に襲いかかる。
カニガンニーの能力は凄まじく、スーパー1のパンチもキックも通用しない。
そして、泡地獄の効果も絶大であり、スーパー1の身体機能が一瞬にして麻痺してしまった。
そこに駆けつけた谷はかんしゃく玉を投げつけ、その隙にスーパー1は脱出する。
「おお、成功したようだな」
「失敗を願っていたような口ぶりだな…」
メガール将軍とドグマ親衛隊の間に、ピリついた空気が流れる。
将軍といえども、帝王テラーマクロの傍らに仕える親衛隊よりは地位が下のようだ。
「メガール将軍。親衛隊は責任を果たした。此処から先は、貴殿の責任だ!」
メガール将軍はカニガンニーにM作戦の詳細を伝える。それは、特殊銃に必要な、ダイヤモンドよりも固い「メラン鉱石」をメラン鉱石研究所から強奪するというものだった。
一也はカニガンニーとの再戦に備え、チェックマシーンで体の機能をチェック、治療した。
万全の体制になったスーパー1は、Vジェットを飛ばしカニガンニーを探す。
VマシーンからVジェットへの変形シーンが詳細に描かれ、メカ描写がカッコいいシーンだ。
スーパー1はレーダーハンドにチェンジ、レーダーアイを空に発射。カニガンニーの反応を掴む。
その頃、カニガンニーはメラン鉱石研究所に乗り込み、警備員たちを殺害する。
そしてついにメラン鉱石を奪い取ることに成功するが、そこにスーパー1が駆けつけた。
カニガンニーは「ドグマ拳法・先手地獄突き」や「泡地獄」でスーパー1を攻める。
だが、スーパー1は冷熱ハンドにチェンジし、泡地獄を冷凍ガスで凍結させ無力化。
最大の武器を無力化されたカニガンニーは、身体の棘を手裏剣として投げつける。
しかしスーパー1はそれにも怯まず、メラン鉱石を奪回。
さらにエレキハンドにチェンジし、稲妻放電でカニガンニーを感電させると、トドメの「スーパーライダー閃光キック」を炸裂させ、強敵・カニガンニーを打ち破るのだった。
戦いを終えて谷モーターショップに帰還した一也は、お土産として蟹を持ってきた。
蟹怪人に困らされていた一同は、たまらず驚きの声を上げるのだった。
改造人間製造に伴いベースとなる人間を必要とせず、活きの良い蟹を数匹集めて改造人間を製造してしまうドグマの改造人間製造技術の凄さが描写されたエピソード。
また、メガール将軍とドグマ親衛隊の間の微妙な力関係も少ない台詞の中で描かれており、将軍の地位にあるとはいえ、メガール将軍もその地位が安泰な訳では無い、緊張感の演出が見事だった。
スーパー1の能力を計算して開発されたカニガンニーの能力描写も秀逸で、テストだけでなく実際にスーパー1のパンチやキックが通用しないタフネスを見せつけ、泡地獄でスーパー1を撤退に追い込むその強さ描写も見事だった。そしてその泡地獄や防御力の高さの演出が優れているからこそ、それを打ち破るファイブ・ハンドの各機能の凄さも端的に伝わる。
レーダーハンドにより敵の探知も描写され、ファイブ・ハンドの各機能を自在に使い分けるメカニックライダーとしての能力描写が非常に優れているエピソードだった。