あらすじ
メガール将軍の命により生み出された強力怪人・バチンガルは、ハルミと良を人質にした。
そしてファイブ・ハンドを得るため、忍者屋敷・蜂の巣城にスーパー1を誘い込んだ。
奇怪な罠に襲われるスーパー1は、人質を取られたことでファイブ・ハンドを奪われていく。
奪われたファイブ・ハンド!残された金の腕が活路を開く!
スーパー1の活躍で、全ての怪人を倒されてしまったドグマは追い詰められていた。
作戦を指揮する身として、その責任を問われていたメガール将軍は、起死回生の一手として、スーパー1と同じ能力を持った改造人間を生み出す計画を実行する。
そして誕生した怪人が、今回登場するスズメバチの特質を持った怪人・バチンガルだ。
ドグマ科学班が密かに手に入れた、スーパー1の設計図を基に生み出されたバチンガルは、有機的なフォルムを持ったスーパー1と言える姿を持っているのが特徴である。
しかしドグマ科学班も、スーパー1最大の武器であるファイブ・ハンドの秘密を解明するまでには至っておらず、仮にファイブ・ハンドまで完成させるには1ヶ月の時間を要していた。
だが、度重なる失敗で帝王テラーマクロやドグマ親衛隊から最後通牒を出されていたメガール将軍には、汚名を返上するまでもはや一刻の猶予もない。
そこでメガール将軍は、バチンガルにスーパー1の持つファイブ・ハンドを奪うように命令した。
スーパー1と同じ設計図を用いて開発されたバチンガルは、スーパー1のファイブ・ハンドを取り付け、その力を使うことが出来るのである。
だがなぜ、ドグマが宇宙開発の最先端技術で生み出された、惑星開発用改造人間を再現できる技術を持っているのか。それこそが、メガール将軍の正体の重大な秘密に迫る、大きな謎だった。
こうしてメガール将軍の命を受けたバチンガルは、良とハルミを拉致。
そしてスーパー1をアジトである忍者屋敷におびき出し、良とハルミを人質にしてファイブ・ハンドを次々に奪っていく。パワーハンド、エレキハンド、冷熱ハンド。
3つの腕を奪ったバチンガルは、抵抗手段を持たない相手とは戦わないというプライドからスーパーハンドとレーダーハンドを残し、スーパー1との直接対決に挑む。
それは、偵察用装備に過ぎないレーダーハンドは、戦闘に役に立たないという慢心だった。
スーパー1はその慢心の隙を突き、残された2つの腕で勝利を収めることが出来るのか。
幾多の戦いの果て、スーパー1に全てのドグマ怪人を倒されたメガール将軍は、焦りの色を隠せなかった。既に帝王テラーマクロからは見限られかけ、組織内の立場は悪くなるばかり。
そこでメガール将軍は、密かに手に入れたスーパー1の設計図を基に、スーパー1と同じスズメバチの特質を備えた怪人・バチンガルの製造を、ドグマ超医学研究班に命じていた。
しかし、その開発は難航を極め、期日を10日も過ぎるばかり。
焦るメガール将軍に、帝王テラーマクロの命を受けたドグマ親衛隊が面会を要求した。
度重なる敗北を、何もかも自分の責任にされることを恐れるメガール将軍は居留守を使ってその場を凌ごうとする。しかしそこに、帝王テラーマクロの鈴の音が響いた。
鈴の音で頭痛に襲われるメガール将軍は、そこに現れたドグマ親衛隊に責任を追求される。
そしてそこに、帝王テラーマクロの声も響いてきた。
「メガールよ…スーパー1のためにドグマ怪人はすべて破壊され…ドグマの野望は尽く打ち砕かれた…お前は何をしておる!」
メガール将軍はスーパー1打倒の秘策を進めていると訴える。
それは、ドグマ超医学研究員に命じ、スーパー1の改造メカニックを全て分析させ、スーパー1の能力に匹敵するドグマ改造人間・バチンガルを製造するというものだった。
しかし、帝王テラーマクロの怒りは激しい。
この作戦に失敗すれば、メガール将軍の命はないという最後通牒を発せられるのだった。
こうして、バチンガルの製造は九分九厘完成した。
身体の全てをスーパー1と同等の性能を持つように改造されたバチンガル。
しかし、その完成度は100%ではない。スーパー1最大の武器である、ファイブ・ハンドが、現在のドグマの科学力では再現不可能だったのだ。
それでも、一ヶ月の開発期間があればファイブ・ハンドの再現も可能だが、既に帝王テラーマクロに見限られているメガール将軍に残された時間は少なく、それを待っていられない。
そこでメガール将軍は、バチンガルにスーパー1からファイブ・ハンドを強奪するように命じる。
スーパー1と同等の性能を持つバチンガルなら、ファイブ・ハンドを奪ってそのまま我が物にすることが出来るのだ。メガール将軍は、ファイブ・ハンドの全てを奪うように念押しする。
もはや組織内での立場が危ういメガール将軍にとって、一瞬の慢心も許されない局面だった。
その頃、ハルミと良、チョロは、ハルミの得意な一輪車を用いて遊び、平和な時を過ごしていた。
だがそこに、不気味な羽音を響かせながら、バチンガルが現れる。
バチンガルは毒針をハルミと良に打ち込み、2人を気絶させると、そのまま拉致してしまう。
そしてチョロを、一也へのメッセンジャーとしてあえて見逃すのだった。
チョロから、ハルミと良が拉致されたことを伝えられた一也は、バチンガルが言い残した「蜂の巣城」へと向かう。蜂の巣城とは、蜂須賀の秘境にある江戸時代の忍者の隠れ屋式だった。
その様子はすぐにドグマの知るところになり、バチンガルは蜂の巣城で一也を迎え撃つ。
蜂の巣城に潜入した一也は、厳重な警備を突破し、城内に突入しようとする。
しかしそこに、バチンガルが現れた。一也はスーパー1に変身する。
井戸の隠し通路を通って城内に逃げたバチンガルを追い、スーパー1も城内に潜入した。
しかしそこでスーパー1を待っていたのは、閉鎖空間巨大な鉄球が落下してくる罠。
スーパー1はパワーハンドにチェンジし、その鉄球を受け止める。
パワーハンドには50トンの物体の落下を受け止めて、それを投げ返す威力がある。
パワーハンドで壁をぶち破り、次の部屋に進んだスーパー1を待ち受けていたバチンガルは、ハルミと良を人質に取り、二人の命と引換えにパワーハンドを渡すように迫る。
「スーパー1!パワーハンドの力を確かに見せてもらった。すげえ力だ…すっかり気に入ったぜ!おい、ハルミと良の命を助けたければ、パワーハンドを俺によこせ!」
二人を人質にされたスーパー1は、バチンガルがファイブ・ハンドを使えるはずがないという計算のもと、パワーハンドをバチンガルに手渡してしまう。
すると、バチンガルはパワーハンドを両腕に装着し、ハルミと良を連れて姿を消した。
人質を取られたことで圧倒的に不利な立場のスーパー1は、このままバチンガルに言われるがまま、ファイブ・ハンドを全て奪われてしまうのか。
出現した階段を登り、バチンガルの後を追うスーパー1。隠し針が飛び出してくる階段の屋上に隠されていた落とし穴で、奈落の底まで落ちてしまう。
暗黒の闇の中、スーパー1はエレキハンドにチェンジし、照明装置を点灯させた。
エレキハンドはどのような場所でもエレキを発生させ、電灯をつけることが出来る。
すると、部屋の上層ではなんと良が逆さ吊りにされていた。
さらにバチンガルも現れ、今度は良の命と引換えにエレキハンドを渡すように迫る。
スーパー1は今度は騙されまいと、良を降ろしてからエレキハンドを渡すと伝えると、バチンガルもその要求を呑み、良を下に下ろす。スーパー1は約束通り、エレキハンドを渡すのだった。
だが狡猾なバチンガルが、ただ約束を守るはずがない。
逆さ吊りにされていた良は、ドグマファイターの変装だったのだ。
罠にはめられたスーパー1はドグマファイターを撃退し、次の部屋へと進んでいく。
次の部屋でスーパー1を待っていたのは、火を吹き、毒矢を放つ不気味な鬼面。
スーパー1は冷熱ハンドにチェンジして、超高温火炎と冷凍ガスを同時発射し、鬼面を止める。
すると、冷熱ハンドの威力を確かめたバチンガルが隠し部屋から姿を現した。
そしてそこではハルミと良が電動丸鋸が回転する下に拘束されていた。
またしてもハルミと良を人質にされたスーパー1は、冷熱ハンドを渡してしまう。
こうしてバチンガルは、ファイブ・ハンドのうち3つを手に入れて去っていった。
スーパー1はハルミたちを助け出し、蜂の巣城から脱出させる。
首尾よくファイブ・ハンドのうち3つを手に入れたバチンガルだが、そこに慢心が生じた。
「おい、もういいぞ!スーパー1を処刑場に出せ!」
「しかし、バチンガル様!まだスーパーハンドとレーダーハンドが残っております!」
「パワーハンド、エレキハンド、それに冷熱ハンドは俺様が取った!奴はもう赤子同然よ!」
「しかし、メガール将軍はファイブ・ハンドの全てを奪い取れと命じられたのですぞ!」
「黙れ!俺様もドグマ怪人!裸同然のスーパー1を倒したのでは、後々まで物笑いの種になるわ!スーパーハンドとレーダーハンドくらい、残しておくのだ!」
まさかこの判断が、逆に後々まで物笑いの種になってしまうとは夢にも思わないバチンガルは、慢心からスーパーハンドとレーダーハンドを奪わずに決戦に挑む決意をする。
蜂の巣城を脱出したスーパー1は、十字架が立つ処刑場に迷い込んだ。
そしてそこに、バチンガルたちが現れる。スーパー1はハルミと良を逃がし、それを迎え撃った。
スーパー1はドグマファイターを倒すが、そこにエレキ光線が放たれる。
「お前のエレキハンドは、なかなか調子が良いぞ!」
「馬鹿な!ファイブ・ハンドは俺以外使えないはずだ!」
「驚いたかスーパー1!我がドグマは、お前のファイブ・ハンドを分析して、バチンガルがファイブ・ハンドを使用できるように改造手術を施しておいたのだ!」
勝ち誇るメガール将軍の命を受け、バチンガルがスーパー1に挑む。
エレキハンドのエレキ光線、そしてパワーハンドの怪力。
味方にすればあれほど頼もしいファイブ・ハンドも、敵にすれば最大の脅威にほかならない。
パワーハンドの怪力で投げ飛ばされ、冷熱ハンドの超低温ガスを浴びせられるスーパー1。
身体が凍結したスーパー1に、今度は超高温火炎が放たれる。
苦しむスーパー1に、バチンガルは猛毒針でとどめを刺そうとする。
だがスーパー1は、基本形であるスーパーハンド以外、唯一残されたレーダーハンドにチェンジ。
偵察用装備に過ぎないレーダーハンドで何が出来ると勝ち誇るバチンガルだが、メガール将軍は自分の命を効かずにレーダーハンドを残していたことに憤りを隠せない。
「バチンガル!ファイブ・ハンドの全てを奪い取ったのではなかったのか!」
「ご安心あれ!スーパーハンドとレーダーハンドはわざと残してやったまで!ここまでくれば、わしの勝利は確実ですぞ!」
「レーダーアイ、発射!」
スーパー1は、レーダーアイをロケット弾としてバチンガルに放つ!
それは偵察用装備であるレーダーハンドに隠された、まさに切り札だった!
「レーダーアイがロケット弾だったとは…知らなかったぁ!」
自らの迂闊さで大ダメージを負ったバチンガルに、スーパーライダー閃光キックが決まる。
そして、バチンガルから無事に3つの腕を取り戻したスーパー1は、エレキハンドを装着し、とどめのエレキ光線でバチンガルを撃破するのだった。
こうして、最後のドグマ怪人であるバチンガルは倒された。
追い詰められたメガール将軍は、ついに自らスーパー1に挑むべく、宣戦布告する。
今、メガール将軍との決戦の火蓋が、切って落とされようとしていた…。
スーパー1と互角の能力を持ち、ファイブ・ハンドまで使いこなす強敵怪人・バチンガル。
その能力説得力を持たせるべく、スーパー1の設計図を基に改造され、スーパー1と同じスズメバチの怪人であるという設定が劇中で説明されているのが見事な作劇。
そしてなぜドグマが惑星開発用改造人間の技術を持っており、もう1ヶ月あればファイブ・ハンドすら再現可能だったのかは、次回明かされるメガール将軍の正体にも通じる謎でもあり、メガール将軍を通して惑星開発用改造人間の技術をドグマが得ていた、と想像させるものになっている。
基本装備であるスーパーハンドはともかく、レーダーハンドを単なる偵察用装備として軽んじたゆえに敗北したバチンガルの慢心は、あまりにも順調に3つの腕が集まったゆえのもの。
視聴者側からすれば、以前ライオンサンダーとの戦いでレーダーアイのロケット弾攻撃が披露されており、今回の切り札としての運用も唐突なものになっていない、作劇の巧みさがある。
ついに最後のドグマ怪人が倒され、メガール将軍もスーパー1との最終決戦に挑む決意を固めた。
今、ドグマとの戦いにも終止符が打たれようとしている。
果たしてスーパー1はメガール将軍を、そして帝王テラーマクロを倒せるのか…。