あらすじ
街に突然、子どもの味方を名乗る少年・チャイルドXが現れた。
彼が配ったサングラス・Xメガネをかけると、子どもたちが大人に反抗をし始める。
その正体であるメガネ怪人・グラサンキッドは世の中の混乱に乗じ、日本征服をたくらむ。
Xメガネの恐怖!子どもたちが街の秩序を壊す日
今回のジンドグマ怪人は、メガネをモチーフにした怪人・グラサンキッド。
妖怪王女の配下であるグラサンキッドは、巨大なサングラスをかけたような頭部から幻覚を見せる念波を放ち、胸の目玉からは「光線爆弾」という破壊光線を放つ能力を持つ。
また、腰にはサングラス型の手錠を下げており、これで敵を拘束する戦法を得意とする。
そんなグラサンキッドの任務は、街中の子どもたちを少年ギャングに変えること。
ジュニア・ライダー隊に対抗する、悪の少年ギャングを作り上げようとしていたのだ。
その目的のために、「子どもの味方」を名乗る少年・チャイルドXに化けたグラサンキッドは、立ち読みをする子どもたちを叱る書店の店主や、勉強を強いる教師を成敗。
遊びたいざかりの子どもたちの信頼を得ると、子どもたちを自らの率いる「X軍団」に勧誘し、その仲間の証として銀色のサングラス・Xメガネを配布した。
だが、Xメガネにはグラサンキッドの命令に従う洗脳装置がついていたのである。
チャイルドXの率いるX軍団に加わり、Xメガネを掛けた子どもたちは少年ギャングとして、街中を暴れまわるようになり、大人と対立するようになってしまう。
もしこのまま、日本中の子どもたちがX軍団になってしまえば、日本は大混乱に陥ってしまう。
ジュニア・ライダー隊の面々は、同じ子どもたちを救うため懸命にX軍団に呼びかけるのだった。
果たしてスーパー1とジュニア・ライダー隊は、グラサンキッドの野望を阻止できるのか。
街の本屋では、子どもたちが好き勝手にマンガを立ち読みしていた。
もちろん、店主からしたら迷惑な存在だ。
怒った店主は子どもたちを店から追い出すが、子どもたちに反省の色はない。
すると突然、空からサングラス型の手錠が飛んできて、店主の手足を拘束した。
そしてそこに、サングラスをかけた子どもが現れる。
子どもの味方・チャイルドXを名乗るその子どもは、子どもの自由と権利を守ると嘯き、店主を子どもをいじめる邪悪として断罪。サーベルによって口を封じると、子どもたちに好きなだけ立ち読みをさせる。子どもたちは拍手喝采、大喜びだ。
その様子を見ていたジュニア・ライダー隊の大助とシゲルは、チャイルドXに不審な目を向ける。
谷モーターショップに戻った大助とシゲルは、チャイルドXの様子を一也たちに話していた。
するとそこに、良が慌てて入ってくる。なんでも、公園の木に人が吊るされているというのだ。
一也たちが公園に急行すると、そこでは3人の大人たちが木に吊るされていた。
その3人は、勉強に厳しいことで有名な、桜町小学校の教師だった。
彼らは、子どもたちに勉強を強いたことで、チャイルドXに制裁を受けたのだという。
姿を現したチャイルドXは公園に集まった子どもたちに演説する。
「もう大人たちの言うことを聞くのはやめよう!さあ、このサングラスをかけてX軍団に入るんだ!X軍団には勉強も宿題もない!お菓子と自由があるだけだ!」
チャイルドXはそう言って、子どもたちに銀色のサングラスを見せる。
聞こえのいいことばかり述べるチャイルドXのことをまんまと信じた子どもたちは、チャイルドXの後をついていき、X軍団に加わってしまうのだった。
こうして、大勢の子どもたちがチャイルドXの配下であるX軍団になってしまった。
X軍団の証としてチャイルドXが配った銀色のサングラスをかけると、お菓子を食べたり遊んだり、宿題や勉強が嫌になり、大人たちの言うことを聞かなくなってしまうのだ。
大人たちは手足を縛られ、教室は荒れ放題。お菓子を盗み、幼稚園バスも占領される。
チャイルドXの被害は、新聞に出るほどの社会問題となっていた。
警察も、相手が子どもということでチャイルドXに手が出せずにいた。
ハルミは、それもチャイルドXの計算のうちだと呆れてしまう。
商店街のケーキ屋も荒らされてしまい、このまま放っておけば社会の混乱は間違いない。
そこで、良たちジュニア・ライダー隊はチャイルドXを探してこの混乱を収めようと行動を開始した。一也とハルミも、良たちを心配してその後を追う。
良たちは手分けして、自転車でパトロールを開始した。しかし、X軍団の子どもたちが仕掛けたロープに捕まり、転倒させられると、バットを持ったX軍団に囲まれてしまう。
X軍団に加わるように脅迫された良は、逆に彼らを説得しようと試みるが、X軍団は聞く耳を持たない。良はサングラスを無理やりつけられそうになるが、間一髪、一也たちが到着。
X軍団は逃げ出したものの、良たちと別れてパトロールをしていた大助とミチルが、同じようにX軍団に囲まれていたのである。一也たちは、急ぎミチルたちを探す。
一也は、X軍団に壊されたミチルの通信機を発見するが、そこにチャイルドXが現れた。
チャイルドXは、ジンドグマ怪人・グラサンキッドとしての正体を現す。
グラサンキッドは目から念波を放ち、一也に幻覚を見せようとする。
一也は幻覚を断つため目をつぶり、変身の呼吸でスーパー1に変身した。
だが、グラサンキッドはすぐに撤退してしまう。
ジンドグマのアジトでは、妖怪王女が作戦の進捗について報告していた。
すでに、チャイルドXによって東京中の子どもたちがX軍団に加わり、大人に反抗している。
このままでは、大人の言うことを聞く子どもはいなくなってしまうのだ。
妖怪王女の目的は、そうして大人に反抗する子どもに武器を持たせ、革命を起こすことだった。
だが、作戦を聞かされた鬼火司令は、やり方が手ぬるいと野次を飛ばす。
幽霊博士は逆に、あまり性急なやり方では大人の反感を買うと妖怪王女に同情的だ。
だが悪魔元帥は、一也のいる地域だけX軍団の数が少ないことを指摘。
妖怪王女にその空白を埋めるように命じるのだった。
その頃、大助とミチルはX軍団によってアジトに連行され、眼の前でおやつを好き放題食べられるという、なんだかちょっと可愛らしい拷問?を受けていた。
大食漢の大助には効果てきめんで、少し心が揺らいでいるのが面白い。
ミチルはX軍団の面々を、そんなにたくさん食べると後でお腹が痛くなると諭す。
そしてその説得は見事に的中した。X軍団の一人である三郎が、腹痛に襲われたのだ。
ミチルは急ぎ病院に運ばなくてはと訴えるが、X軍団はチャイルドXの命令でミチルたちを見張るように言われたんだと突っぱねる。だがそうしている間にも、腹痛は止まらない。
X軍団の面々は、チャイルドXへの忠誠心か、仲間の命かを天秤にかけることになる。
その頃、良たちはミチルが残していった連絡用コインを辿り、X軍団のアジトに近づいていた。
そうこうしている間にも、三郎の腹痛はどんどんひどくなっていく。
ミチルたちの説得を受けた三郎の兄は兄弟の情を取り戻し、三郎を病院につれていくことにした。
だがそこに、チャイルドXが現れる。自らの命令を破った三郎の兄に、チャイルドX=グラサンキッドは命令を破った罰として死刑を宣告するのだった。
良たちはとうとうアジトに辿り着くが、時すでに遅く、ミチルたちは死刑場へ連行されていた。
ハルミは一也にアジトの場所を連絡する。
手錠で拘束されたミチルたちは深い穴の底に座らされ、ブルドーザーで生き埋めにされそうになってしまう。ミチルたちは必死に穴を這い上がろうとするが、上手くいかない。
ブルドーザーが土を穴の底へ運ぶのを笑って見ているX軍団にミチルは叫ぶ。
「あなたたちはジンドグマに騙されているのよ!友達が殺されるのを、見ているつもり!?」
ハルミは意を決して、ミチルたちを助ける作戦を立案した。
ブルドーザーを操縦するジンファイターにジュニア・ライダー隊の面々がスーパーボールを投げつけて気を逸らし、その間にハルミがミチルたちを救出する作戦だ。
ジュニア・ライダー隊のスーパーボールが炸裂し、ジンファイターはブルドーザーを操縦不能になる。その間にハルミが、穴の底へロープを投げ入れ、ミチルたちを救出せんとする。
だが、グラサンキッドの投げつけた剣が、ロープを断ち切ってしまった。
結局、救出作戦は失敗し、ジュニア・ライダー隊の面々は皆捕まってしまう。
グラサンキッドはジュニア・ライダー隊をも生き埋めにしようとするが、そこに突然、ブルドーザーが突っ込んできた。ブルドーザーを操っていたのは、スーパー1だ。
「子どもたちは、この仮面ライダースーパー1が殺させはしないぞ!」
スーパー1はブルドーザーを自在に操り、ジンファイターたちを次々に撃退。
そして、グラサンキッドの光線爆弾を躱す。
だがそこに、グラサンキッドに操られるX軍団がスーパー1に襲いかかってきた。
スーパー1は洗脳装置であるサングラスを子どもたちから外すため、空中で高速回転し、土煙を上げる「ハリケーンシールドスモーク」という技を繰り出す。
土煙が目に入り、目を痛めた子どもたちはたまらずサングラスを外した。
サングラスを外して洗脳が解けた子どもたちを逃がしたスーパー1は、最後の決戦に挑む。
スーパー1の強烈な一撃でダメージを負ったグラサンキッドは、今度は自分でブルドーザーに乗りスーパー1を生き埋めにしようとするが、スーパー1はパワーハンドにチェンジ。
50トンもの怪力でブルドーザーの前進を押し留め、バケットを掴んで回転させる。目が回って昏倒したグラサンキッドにパワーパンチを炸裂させ、グラサンキッドのサングラスを破壊。
そして、トドメのスーパーライダー月面キックを炸裂させ、グラサンキッドを倒した。
こうして、子どもたちの間に笑顔が戻った。
子どもたちは自分の意志でX軍団のサングラスとユニフォームを捨て、大人たちの言う事を聞こうと反省する。だが、勉強を強いる親たちからは、たまらず逃げていくのだった。
ジュニア・ライダー隊を主軸とした作劇が中心となっているジンドグマ編だが、今回のエピソードでは悪のジュニア・ライダー隊とでも言うべきX軍団がジンドグマによって結成。
そんな彼らを救うために、言葉を尽くして説得を試みる良やミチルたちジュニア・ライダー隊の活躍が大きくフィーチャーされるエピソードになっていた。
勉強をさせたり、お菓子を食べすぎないように注意する大人の言葉には、先人の知恵が詰まっている。子どもの味方を名乗り、聞こえのいい言葉でそれを蔑ろにするチャイルドX=グラサンキッドの悪知恵に、負けてはいけないのだ。
聞こえのいい言葉に騙されてはいけない、という点では、非常に寓話的なエピソードだろう。
最終決戦では、敵味方ともにブルドーザーを活用した戦術を行っていたのも面白い。
グラサンキッドが操るブルドーザーの圧倒的なパワーを、それ以上の怪力で抑え込むパワーハンドの剛力の演出も見事で、50トンもの剛力を見事に演出した名シーンだった。