あらすじ
妖怪王女の雨傘大作戦。
自由に雨を降らせることのできる雨男は、人間をコントロールできる雨傘を人々に持たせようと企んでいた。その正体であるジンドグマの怪人・アマガンサーに、スーパー1が立ち向かう。
傘をさす度に心が奪われる!? 妖怪王女の雨傘作戦
今回のジンドグマ怪人は、傘の怪人であるアマガンサー。
妖怪王女の配下のアマガンサーは、自在に雨を降らせる能力を持つ雨男に化けることが出来る。
閉じた傘を被ったような個性的な外見をしており、その傘を開き、回転しながら傘の先端より弾丸を発射する「雨傘ロケット」という技を繰り出すほか、一也も苦戦する拳法の使い手でもある。
また、マシンガンと剣が仕込まれた傘を武器として使う、強敵怪人だ。
そんなアマガンサーが行う作戦は、街中に人間をコントロールする装置を備えた傘を配り、自らの能力で雨を降らせ、人々にその傘を手に取らせて意のままに操ること。
そんなジンドグマの作戦を知ったジュニア・ライダー隊は街中をパトロールし、自分が持っている傘以外を使わないように呼びかけるが、大人は彼らの言うことを信じない。
結果、雨男が振らせた雨を凌ぐべく、人々はジンドグマの傘を手にしてしまうのだった。
このままでは、全ての人間がジンドグマのコントロール下に置かれてしまう。
果たしてスーパー1とジュニア・ライダー隊は、この危機を脱することが出来るのか。
ある日、ハルミとマサコが新宿でウインドウショッピングを楽しんでいると、そこに日傘をさした女性が現れた。日傘の女性はハルミとすれ違うと、日傘を手から離してしまう。
飛んでいった日傘をキャッチしたハルミだが、なんと、日傘から手が離れなくなってしまう。
それどころか、日傘から赤い瞳が浮かび上がり、真っ直ぐ歩くように命令してきた。
ハルミは日傘の命ずるまま、車道へ向かって歩いていってしまう。
「赤信号。無視して歩けば怖くない!」
日傘が命ずるまま、ハルミは前進を続け、しまいには柱に激突してしまうのだった。
柱に激突したショックでハルミは日傘を手放すことが出来た。
その日傘を、先程の女性が手に取る。女性の正体は、ジンドグマの妖怪王女だった。
妖怪王女の配下である老紳士は、実験の成功を妖怪王女に褒められる。
雨男と呼ばれたその紳士は、妖怪王女の計画の実行に移るのだった。
谷モーターショップに戻ったハルミは先程の日傘の話をするが、当然信じてもらえない。
だが、ハルミの涙の訴えに、一也と谷は流石に顔色を変える。
一方、ジンドグマのアジトでは、妖怪王女たちが先程のハルミの様子を皆で嘲笑っていた。
そこに現れた地獄元帥も、皆が楽しそうで何処かご満悦だ。
妖怪王女は地獄元帥に、先程の傘に仕込んだ人間コントロール装置の実験が完了したことを報告する。妖怪王女は自ら変装し、ハルミを使って人間コントロール装置の実験をしたのだ。
地獄元帥もその成果に大いに満足し、幽霊博士も人間コントロール装置を傘に仕込んだ妖怪王女のやり方を称賛するが、頭に血が上りやすい鬼火司令は雨が降らなければ意味がないと野次を飛ばす。しかし、妖怪王女には秘策があった。
妖怪王女の配下には、雨を降らせる能力を持つ雨男がいるのである。
地獄元帥は雨男に雨を降らせるように命じるのだった。
良たちが小学校から下校していると、そこには例の雨男がいた。
雨を降らせようとする雨男のちからによって、なんと本当に雨が降り出してしまう。
良たちは雨をさけるべく、通学路にこれ見よがしに置いてあった傘立てから傘を手に取る。
だがそれが、ジンドグマの罠だった。
「ご自由にお使いください」と書かれた傘立てには、人間コントロール装置が仕込まれた傘が置かれていたのだ。そうとは知らず傘をさした良たちは、人間コントロール装置で操られてしまった。
人間コントロール装置で操られた良たちジュニア・ライダー隊の面々は、雨男の後をぴったりと着いていく。そしてそのまま、電車が近づく踏切へ向けて前進を続けるのだった。
良は危険を察知したが、自分の意志に反して足が止まらない。
良は懸命に、ジュニア・ライダー隊本部へ救援信号を送った。
「踏切はみんなで通れば怖くない!進めぇ!」
雨男の命令のまま、踏切に立ち入ろうとするジュニア・ライダー隊。
しかしそこに間一髪、Vマシーンでパトロールをしていた一也が通りかかった。
一也は力付くでジュニア・ライダー隊の手から傘を落とし、彼らを救う。
計画を阻まれた雨男は手に持っていた傘から鋭い針を出し、一也に襲いかかった。
雨男は一也にも引けを取らない拳法の腕を持っていた。
「俺は雨を呼ぶジンドグマの雨男よ。だがそれだけではない!拳法技でも貴様に勝てる男だ!」
一也は駆けつけた谷たちに良たちの避難を任せ、雨男に立ち向かう。
だが雨男は強く、その針で一也は身体を貫かれてしまう。
そして雨男は、ジンドグマ怪人アマガンサーとしての正体を現した。
深手を負い追い込まれた一也は煙幕を張って撤退する。
勝利を確信したアマガンサーは、人間コントロール装置の最終実験に入った。
ジュニア・ライダー隊の面々はジンドグマの野望を阻止するため、自らパトロールする決意を固めた。谷は街を回って、自分の傘以外を使わないように呼びかけることを提案。
早速、ハルミたちジュニア・ライダー隊は街のパトロールに向かう。だがそうしている間にも、ジンドグマは人間コントロール装置入り傘が入った傘立てを街中に設置していた。
ジュニア・ライダー隊は懸命に街中に怪しい傘の危険性を訴えるが、雨男は所詮子どもが言うこと、誰も信用しないと嘯き、再びその力でゲリラ豪雨を降らせる。
人々は、街中の傘立てから人間コントロール装置入りの傘を手に取ってしまうのだった。
雨男は再び傘をさした人々を引き連れて去っていく。
大人たちが、自分たちを信用しなかったことに愕然とするジュニア・ライダー隊。
一方、一也はチェックマシーンで傷ついた身体メカを修理していたが、故障箇所が数カ所の及んでいたことで、治療には時間がかかってしまっていた。
雨男の先導で操られた人々に、雨男は最終実験を行わせる。
「これより人間コントロール実験の最終仕上げに入る!最終コースは、歩くのに邪魔なものは全て破壊することだ!車があれば車を壊せ!壁があれば壁をぶち破れ!お前たちの手にした傘は、超小型ロケット弾も撃てるぞ!撃て!進め!」
コントロール装置に操られた人々は、超小型ロケット弾で車を次々に破壊。
町は大混乱に陥ってしまう。マサルはあまりの恐怖におしっこを漏らしてしまうのだった。
良は人々を先導する雨男をスーパーボールで目潰しする作戦を立案。
ハルミの指示で、ジュニア・ライダー隊はスーパーボールで雨男を一斉攻撃する。
スーパーボールの中には胡椒と唐辛子が入っているのだ。
怒った雨男はアマガンサーになり、「雨傘ロケット」でジュニア・ライダー隊を攻撃する。
間一髪、難を逃れたジュニア・ライダー隊は、通信で一也を呼んだ。
アマガンサーは人間コントロールの最終実験として、人々に特攻攻撃を行わせようとする。
アマガンサーの指示で、人々は爆薬入りの傘を持ったままビルに突撃する。
あわや大惨事かと思われたその時、スーパー1が駆けつけ、エレキハンドのエレキ光線で傘を破壊した。ジュニア・ライダー隊は、コントロールを脱した人々を逃がす。
「みんな良くやってくれた!後はスーパー1に任せるんだ!」
スーパー1はアマガンサーとの最終決戦に挑む。
アマガンサーの雨傘の中から現れたジンファイターを、スーパー1は次々と蹴散らしていく。
追い詰められたアマガンサーは、武器となる雨傘からロケット弾を発射。
さらに雨傘を剣としてスーパー1に襲いかかるが、スーパー1は雨傘を奪い取る。
そして、エレキハンドのエレキ光線をアマガンサーに向けて発射。
避雷針となったアマガンサーの頭部にエレキ光線が直撃し、大ダメージを与えた。
そして、スーパー1はアマガンサーを空中に投げ飛ばし、スーパーライダー旋風キックを放つ。
「『かさ』ね重ね…残念~!!」
スーパー1とジュニア・ライダー隊の活躍で、アマガンサーは倒され、ジンドグマの恐怖の人間コントロール作戦は阻止された。一時の平和が戻ったのである。
一也が雨男の手で重症を負い、チェックマシーンによる修理を余儀なくされる中、ジュニア・ライダー隊が懸命に活躍するというジュニア・ライダー隊の活躍が主体のエピソード。
怪しい傘を使わせないようにする呼びかけこそ不発に終わったものの、雨男の目潰しを行って時間を稼ぎ、スーパー1が駆けつけるまでを持ち堪えた活躍が見事である。
雨傘の怪人というアマガンサーのユニークな見た目と、それと相反するように一也に勝るとも劣らないほどの拳法の達人であるという強豪ぶりのギャップも面白い。
不特定多数の人間をコントロールしようとするジンドグマの作戦は次回も継続して行われることになり、仮面ライダーはそんな支配から人間の自由を守るために戦うのだという、シリーズの原典に回帰したような構図となっているのも見逃せないポイントだろう。
時間帯変更とともに、ジュニア・ライダー隊を主体とした低年齢層に目線を合わせた作劇が徹底されているが、「仮面ライダー」シリーズたる勘所はしっかり意識されているのが見事だ。