「仮面ライダースーパー1」第38話「危い!冷蔵庫怪人の中に入るな!!」感想

2025年9月8日月曜日

仮面ライダースーパー1 東映特撮YoutubeOfficial

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あらすじ

幽霊博士が考案した4次元トンネル作戦を実行する冷蔵庫怪人・コゴエンベエ。
冷蔵庫に吸い込まれたジュニア・ライダー隊が見たものは、不思議で恐ろしいジンドグマの世界だった。ジュニア・ライダー隊を救うため、スーパー1の死闘が始まる。

冷蔵庫の中はジンドグマのユートピア?偽りの理想郷の恐怖!!

今回のジンドグマ怪人は、冷蔵庫をモチーフにしたコゴエンベエ。
ジンドグマの理想郷である「ユートピアン」に繋がる四次元トンネルの番人である。
冷蔵庫の怪人だけあって、冷凍ガスを噴射し標的を凍えさせる戦法が得意だ。

そんなコゴエンベエの任務は、人々とユートピアンに送り込み堕落させる四次元トンネル作戦。
その標的としてジュニア・ライダー隊が狙われ、家電ゴミ捨て場の冷蔵庫の中に四次元トンネルを作り出し、かくれんぼをして遊んでいたジュニア・ライダー隊が吸い込まれてしまった。
そして、行方不明となったジュニア・ライダー隊を追い、一也も四次元トンネルに迷い込む。
そしてユートピアンの中では、ジュニア・ライダー隊がジンドグマに勧誘されていた。
果たしてジュニア・ライダー隊の面々はこの誘惑を跳ね除けることが出来るのか。
そして一也は、ジュニア・ライダー隊を偽りの理想郷から救い出すことが出来るのか?



ジュニア・ライダー隊は集まって、自転車の整備点検を行おうとしていた。
だが、子どもたちにとってそんな時間は退屈そのもの。
ついに示し合わせて、ハルミたちの目を盗んでかくれんぼをしに出かけてしまった。
良とマモルが捨てられた冷蔵庫の影に隠れると、壊れた冷蔵庫が動き出した。
そして突然扉が開き、良とマモルは冷蔵庫の中に吸い込まれてしまう。
そして他の隊員たちも次々に冷蔵庫の中に吸い込まれてしまった。
唯一その様子を目撃したのは、最年少のマサルだけだった。

そこに、ハルミたちが皆を探しにやってきた。
マサルは冷蔵庫の中に皆が吸い込まれたと訴えるが、流石に誰も信じようとしない。
だが、迂闊に扉を開けたミチルとハルミも、冷蔵庫の中に吸い込まれてしまった。
「だから子どもの言う事を信じないといけないんです…」
冷静に不満を漏らすマサルが、ちょっと怖い。

冷蔵庫の中に吸い込まれたハルミたちは、そこで良たちと合流する。
しかしその中は、冷蔵庫の中とは思えないほどに広大な空間である。
「冷蔵庫の中を開けると、そこは雪国だった…なんちゃって!」
気が動転したハルミは、川端康成の「雪国」のパロディを口走り、ミチルに窘められる。
冷蔵庫の内部の空間は寒く、このままでは凍え死んでしまう。
そこでジュニア・ライダー隊は、この空間の中を移動し始めた。

そしてジュニア・ライダー隊の様子は、幽霊博士たちジンドグマに監視されていた。
幽霊博士は四次元トンネルをくぐると、ジンドグマのユートピアに繋がる「四次元トンネル作戦」を実行していた。そのユートピアの素晴らしさによって、人間を堕落させる作戦だ。
唯一その作戦を知らされていなかった鬼火司令は、不満をあらわにする。
前回といい、鬼火司令はジンドグマ四幹部の中で一人だけ武闘派ということもあり浮き気味だ。

トンネルを抜けたジュニア・ライダー隊は、美しい花が咲くユートピアにたどり着いていた。
ハルミたちはその美しさに心を奪われる。
その頃、現実世界ではマサコの通報を受けた一也や谷たちが冷蔵庫の調査に訪れていた。
電源もないのに動き出す冷蔵庫に不審なものを感じた一也は、自ら冷蔵庫の扉を開く。
そして、四次元トンネルの中に潜入するのだった。

四次元トンネルに潜入した一也の前に、ジンドグマ冷蔵庫怪人・コゴエンベエが現れた。
「子どもたちにはジンドグマの理想の国家を見せるのだ!そうすれば、子どもたちはジンドグマの偉大さを知り、喜んでジンドグマに協力するようになるのだ!」
コゴエンベエは冷凍ガスを吐き、一也を冷凍しようとする。
一也はスーパー1に変身するが、コゴエンベエは冷凍ガスに紛れて姿を消した。

ジュニア・ライダー隊の面々は、美しい海に来ていた。
するとそこに、ユートピアンの知事を名乗る怪しい男が現れる。
その頃、スーパー1も花が咲き乱れるユートピアンにたどり着いていた。
そこには、四次元トンネルに吸い込まれた子どもたちが、遊び回っている。

ユートピアンの知事の案内で、ジュニア・ライダー隊は動物園に来ていた。
そこにはフラミンゴや孔雀、キリンが住んでいる。
そう、ユートピアンのロケ地は、前回に引き続き行川アイランドだったのだ。
行川アイランドそのものが登場するのではなく、理想郷としての登場なのが珍しい。

ジュニア・ライダー隊はさらに、豪華なベッドルームに案内されていた。
自動キッチンやおもちゃボックス、落書きコーナーにTV学校。
子どもたちにとってまさに理想郷ともいえる施設の数々を、ライダー隊は満喫する。
さらにTV学校では自分で勉強せずとも、映像からの電波で勉強が完了する。
コンピューターが全てをやってくれる理想郷では、人間の考える力は必要ないという。
ハルミはその思想に、人間の考える力を奪う恐怖を感じるのだった。

一方、一也はユートピアンの警備兵に捕まっていた。
ユートピアンの国民は胸にナンバープレートがつけられ、その番号によって出身地や階級、住居がわかるようになっているという。まさにそれは、恐怖の管理社会だった。
ナンバープレートをつけていない一也は警備兵に捕まってしまい、連行される。

ハルミはこのユートピアンの真相を突き止めようとするが、ジュニア・ライダー隊の面々はまさに理想郷であるユートピアンの虜になってしまい、動こうとしない。
業を煮やしたハルミがTVをつけると、そこに映ったのは悪魔元帥だった。
悪魔元帥は、ジンドグマユートピアンの大統領を名乗り、国民に向けて、一億国民火の玉となり、世界に向けて銃を向け、ジンドグマのために兵役に就くように命じるのだった。
ハルミはジュニア・ライダー隊に、ここがジンドグマのユートピアであったことを告げる。

だが、ハルミたちの前に、コゴエンベエが現れた。
そして、ユートピアンの知事の正体は幽霊博士。
幽霊博士はジンドグマのユートピアの素晴らしさを語り、忠誠を誓うように迫る。
だが、ジュニア・ライダー隊は世界に戦争を起こそうとするジンドグマに忠誠を誓うことなどなかった。幽霊博士は怒り、彼らをユートピアンの奴隷地区に連行する。
そこでは、先に捕まった一也や、同じようにジンドグマに忠誠を誓わなかった人々が、奴隷として強制労働をさせられていた。
そして、ジンドグマが引き起こす戦争において、弾除け要員にさせられるのである。

このままでは、ジュニア・ライダー隊は明日にも戦線に送り込まれてしまう。
一也は今のうちに逃亡を図ろうとした。しかしそれは、コゴエンベエの罠。
あえて一也とジュニア・ライダー隊を逃がし、待ち伏せして倒そうというのである。
その罠は図に当たり、ジンファイターたちがジュニア・ライダー隊や捕まった人々に襲いかかった。一也は単身殿としてその場に残り、ジンファイターを蹴散らしていく。
コゴエンベエは業を煮やし、自ら一也を痛めつける。一也はスーパー1に変身した。

スーパー1はジンファイターを倒し、コゴエンベエとの最終決戦に挑む。
コゴエンベエはまたしても冷凍ガスを噴射し、スーパー1を冷凍しようとする。
追い込まれていくスーパー1。だが、スーパー1は冷熱ハンドにチェンジし、超高温火炎を発射。
超高温火炎がコゴエンベエの冷凍ガスを打ち破る。
そして、スーパー1はトドメのスーパーライダー月面キックを繰り出し、コゴエンベエを倒した。

こうしてジンドグマの四次元トンネル作戦は破られ、冷蔵庫に吸い込まれたジュニア・ライダー隊や、奴隷として捕まった人々も無事に開放された。
一也は、空き地に冷蔵庫が捨ててあっても中に入っては駄目だと、ジュニア・ライダー隊二釘を刺す。そして、一生懸命勉強して、一生懸命遊ぶように皆を励ますのだった。

冷蔵庫の中に吸い込まれるという、ユーモラスな導入から一変。
吸い込まれた先のユートピアで、ジンドグマが理想とする管理社会の恐ろしさを描いたシリアスなエピソード。一瞬で勉強が完了するTV授業や何もせずに食べ物が手に入る自動キッチンで人間の考える力を奪い、そうして自分で考える力を奪った人間を忠実な手駒として戦場に送り込む。
ディストピアSF小説の金字塔である「1984年」をも連想させる、ジンドグマのユートピアならぬディストピアの描写がジンドグマの恐怖を強調する、秀作エピソードになっている。

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