あらすじ
宇宙から地球を狙うジンドグマは、再建された国際宇宙開発局を狙った。
宇宙開発用ロケット・ジュピタースーパー1号を巡って、スーパー1とジンドグマの戦いが始まる。
魔女参謀や悪魔元帥の正体も明らかになっていくなか、最終決戦が繰り広げられる。
夢の流れ星は宇宙へと駆ける。さらば、仮面ライダースーパー1!
ついに、ジンドグマとの最終決戦の時が来た。
4大幹部の中で最後に残った魔女参謀は、超A級怪人マジョリンガとしての正体を現す。
念動力を用いた超能力岩石飛ばしという技と、巨大な蝶に化ける能力を持っている。
さらに、悪魔元帥から授かった悪魔元帥の守り刀「稲妻電光剣」を用いて戦う。
そして悪魔元帥もまた、無数の頭部を持つ異形の蛇怪人、サタンスネークとなる。
伸縮自在の蛇の首で敵を捕らえ、両目から放つ破壊光線スネークビームで敵を攻撃する。
まさにジンドグマ怪人の頂点に立つ、最強の存在である。
魔女参謀と悪魔元帥最後の作戦は、密かに富士樹海に再建されていた国際宇宙開発局を襲撃し、宇宙開発のために作られた新型ロケット「ジュピタースーパー1号」を強奪すること。
そして、ジュピタースーパー1号を用いて宇宙から地球を一方的に攻撃することだった。
人々の夢のために作られた宇宙ロケットで人々を苦しめようとする、最悪の陰謀である。
国際宇宙開発局の再建とジュピタースーパー1号の開発を知った一也は、ジンドグマに狙われた国際宇宙開発局を守るべく、富士の樹海へと急行する。
果たしてスーパー1は国際宇宙開発局を守り抜くことが出来るのか。
そして、悪との長い戦いに終止符を打ち、やむなく戦いに使われていた惑星開発用改造人間としての能力を、宇宙開発という本来の用途、人類の夢のために使うことが出来るのか。
今、仮面ライダースーパー1最後の戦いが始まった。
国際宇宙開発局に異常事態発生の知らせを受けた一也は、Vマシーンで富士の樹海に向かった。
前回ラストではスーパー1の姿でVジェットに乗っていた一也だが、今回は変身を解除している。
一方、谷とチョロ、そしてハルミはその後を追う。谷はハルミに、一也の使命を説く。
「一也はな、宇宙を開発するという重大な使命を帯びた人間なんだ」
「わかっています。わかってるけど、せめて一也さんがこの地球にいる間は、一也さんの傍にいてあげたい…」
その頃、国際宇宙開発局には世にも恐ろしいことが起こっていた。
逃げ惑う職員たちを、ジンファイターが追い回す。
そして職員たちの前に、無数の蛇の頭部を持つ異形の怪人が現れ、次々と職員を餌食にした。
その怪人は稲妻を帯びた剣を振りかざし、岩肌に隠れていたジュピタースーパー1号を発見する。
樹海の入口に到着した一也はVマシーンを降り、樹海の中へと踏み込んだ。
そして谷たちもまた、それを追って樹海の中に入っていく。
だが樹海を進む一也の前に突然、巨大な蝶が現れた。
その蝶の正体は、ジンドグマ超A級怪人マジョリンガ。
マジョリンガはジンファイターを呼び出し、一也を襲わせる。
一也はマジョリンガに攻撃を仕掛けるが、マジョリンガは巨大な蝶となってその攻撃を躱す。
一方、樹海を進む谷たちもまた、ジンファイターに襲われて、捕まってしまう。
マジョリンガを追った一也はそこで、国際宇宙開発局への隠し扉を発見する。
だが、国際宇宙開発局はすでにもぬけの殻だった。
所長室に入った一也の前に、悪魔元帥と魔女参謀が現れる。
悪魔元帥はジュピタースーパー1号を奪い、ジンドグマの新型爆弾を搭載することで、宇宙から一方的に地球を攻撃しようと目論んでいたのだった。
「地球上の多くの人々は心安く平和な日々を、祈りながら生きているんだ!お前はその人々の祈りを、踏みにじるつもりか!」
「心安く生きたければ、大人しくジンドグマの支配下に入れば良い!」
「黙れ!恐怖で人間を支配しようとする者の下に、平和などない!」
恐怖で人心を支配しようとする邪悪にこそ、人間の自由を守る仮面ライダーは抗う。
仮面ライダーは人間の自由のために、邪悪と戦うのだ!
一也は悪魔元帥に、ジンドグマの出自について尋ねた。
「悪魔元帥。お前はどこから地球に来た。お前は地球上の生物ではない。幽霊博士の使った黄金のカビは地球上には存在しないものだった。お前たちは他の星から来た生物だ!」
地球外から来たという正体を看破された悪魔元帥は、ついに正体を現す。
それは先程、国際宇宙開発局の職員を惨殺した怪人・サタンスネークだった。
そして魔女参謀もまた、マジョリンガとしての正体を現す。
「我らは銀河宇宙の彼方・B26暗黒星雲より地球を支配するために来た者だ!」
かつて地球の人口を削減し、世界を支配しようと目論んだネオショッカーの大首領。
ジンドグマはそのネオショッカー大首領と同じく、B26暗黒星雲より来た侵略者だった。
だとすれば、ネオショッカーが地球の人口を削減しようと目論んだのは、B26暗黒星雲より来る後続の侵略者たちを地球に受け入れるための、いわばテラフォーミングだったのかもしれない。
「お前は、お前の愛した者たちの前で死ぬが良い!」
サタンスネークの合図で、囚われた谷たちが連行されてきた。
「ハルミ!何故来たんだ!」
「一也さんが地球にいる間は、一緒にいたかったんだもん…!」
そんなハルミの想いを嘲笑うかのように、所長室の扉が閉ざされる。
そして、サタンスネークの力によって、閉鎖された所長室が爆発した。
一也はスーパー1に変身、パワーハンドにチェンジしてガラス戸を粉砕、脱出する。
谷たちを探すスーパー1だが、そこに天井から巨大鉄球が落ちてくる。
スーパー1がその下敷きになると、マジョリンガが死体を確認すべくやってきた。
だがスーパー1はパワーハンドの怪力で鉄球を受け止めており、無事だった。
そのままスーパー1はパワーハンドの怪力でジンファイターを一掃する。
頭部をパワーハンドの握力で握りつぶしてしまう描写が、怪力の描写として秀逸だ。
マジョリンガは超能力岩石飛ばしでスーパー1を攻めるが、岩石を弾き返される。
そこに悪魔元帥が助力として、悪魔元帥の守刀である稲妻電光剣を投げ渡した。
余談だが、稲妻電光剣と、「RX」に登場する怪魔稲妻剣がごっちゃになるのは私だけだろうか。
それはともかく、稲妻電光剣を手にしたマジョリンガは、その刀身に秘められた宇宙プラズマエネルギーでスーパー1の内部メカをズタズタに引き裂こうとする。
だがその時、スーパー1の変身ベルトの風車が勢いよく回転を始め、宇宙プラズマエネルギーを吸収し始めた。やがて、稲妻電光剣のエネルギーは底をついてしまう。
スーパー1は稲妻電光剣のプラズマエネルギーを自分のエネルギーとして吸収したのだ。
もはや理屈抜きすぎる展開ではあるが、ともかくスーパー1は逆転した。
真剣白羽取りによってマジョリンガから稲妻電光剣を奪ったスーパー1は、マジョリンガの胸に稲妻電光剣を突き刺し、ついにマジョリンガを倒すことに成功する。
マジョリンガから戻った魔女参謀は、ジンドグマの栄光を叫びながら散るのだった。
魔女参謀を倒したスーパー1はジンファイターに囲まれていた谷たちを救出する。
悪魔元帥を探し、国際宇宙開発局の部屋を捜索していたスーパー1は、突如密室に閉じ込められてしまった。それこそが、悪魔元帥最後の罠。
悪魔元帥は密室の空気を0にすることによって、スーパー1を窒息死させようとしていたのだ。
部屋の空気が抜かれ始め、スーパー1は酸欠状態に陥り、苦しみ倒れてしまう。
そこに、またしても囚われた谷たちが連行されてきた。
密室に倒れるスーパー1を目の当たりにしたハルミはあまりの光景に愕然とする。
「嘘でしょ…ねえ…目を開けてよ…スーパー1…ハルミって呼んで!スーパー1!」
悪魔元帥はそれを嘲笑うように、スーパー1の死体を大気圏外に放り捨てることを宣言。
それはスーパー1の肉体をスペースデブリにしようとする、残酷な宣言だった。
それに異を唱えたハルミに、悪魔元帥はハルミも宇宙に捨てると宣告。
ハルミは、一也ひとりを宇宙に彷徨わせはしないと、それを承諾してしまう。
悪魔元帥にジュピタースーパー1号に連行されるハルミは、気丈にも笑って死のうとしていた。
「さようなら。あたし怖くなんてない。だって、一也さんと永遠に一緒なんだもん…」
だがそこに、スーパー1が現れる。そう。スーパー1は惑星開発用改造人間。
酸素のない宇宙空間でも十分に活動できるように、体内に圧縮された酸素ボンベが準備されていたのだ。先程酸欠で苦しんでいたのも、おそらくは悪魔元帥を油断させる芝居だったのだろう。
もはや悪魔元帥を守るものは誰もいない。ついに、スーパー1と悪魔元帥の決戦が始まった。
悪魔元帥は取り戻した稲妻電光剣を振るい、スーパー1に襲いかかる。
しかしスーパー1は一瞬の隙をつき、稲妻電光剣を奪い取る。
追い詰められた悪魔元帥は、サタンスネークに変身した。
サタンスネークは無数の首を絡みつかせてスーパー1を締め上げる。
稲妻光線・スネークビームを放ちスーパー1を襲うサタンスネーク。
だがスーパー1は、稲妻電光剣を振るいサタンスネークの首を切り裂いた!
「サタンスネーク!お前の守り刀、稲妻電光剣でとどめを刺してやる!」
次々とサタンスネークの首を切り裂いていくスーパー1は、最後のトドメとばかりにサタンスネークの胸に稲妻電光剣を突き刺した!致命傷を負ったサタンスネークは、スーパー1を道連れに自爆しようとする。だがそれも躱され、サタンスネークは散った。
そしてそれに合わせるように、ジンドグマの本拠地も大爆発する。
ここに、恐怖の軍団・ジンドグマは完全に滅んだのだった。
ドグマ、そしてジンドグマとの長きに渡る戦いは終わった。
無事に完成したジュピタースーパー1号を前に、ジュニア・ライダー隊の面々が集合する。
彼らは皆、宇宙へ旅立つ一也を見送りに来たのだった。一也に敬礼するジュニア・ライダー隊。
「諸君。別れの時が来た。だが皆、忘れないでくれ。いつの日か俺は、必ず皆のところに帰って来る。地球は俺の故郷だ。皆、必ずまた会おう。正義を愛し、悪を憎むジュニア・ライダー隊の心を、地球の上に広げるんだ。そして大きくなっても、その心を忘れるな!」
別れの言葉を述べた一也は一人、ジュピタースーパー1号のコクピットに乗り込む。
そしてジュピタースーパー1号は、宇宙を目指し飛び立つのだった。
ハルミは愛する一也の名を、大空に向かって叫ぶ。
こうして、夢の流れ星は宇宙へ向けて飛び立った。
「さらば地球よ。我が故郷。いつの日か再び、俺は帰って来る。また会う日まで…さらばだ!」
これまで悪との戦いに使われてきた惑星開発用改造人間としての力が、本来の目的のために使われる日がようやく訪れたのだ。ありがとう、仮面ライダースーパー1。
さようなら、仮面ライダースーパー1!
惑星開発用改造人間という、人類の夢のために生み出されたスーパー1の物語の終着点として、スーパー1が悪と戦いを終え、人類の夢のために旅立つという美しい帰結を見せた最終回。
ただの人間相手なら酸素のない部屋で倒れていたかもしれないが、もともと空気のない宇宙での活動を前提に改造されたスーパー1には通じないという逆転劇は、初期設定を活かしていて痛快だ。
また、ジンドグマ編ではジュニア・ライダー隊の陰に隠れやや影が薄くなっていた谷やハルミ、チョロたちレギュラーキャストに改めてスポットが当たり、特にハルミはヒロインとして一也への思いを顕にし、最終二部作のドラマを盛り上げてくれた。
こうしたヒロインとのロマンスは「仮面ライダー (新) (スカイライダー)」でも構想されていたらしいが、ハルミは番組初期からのレギュラーだっただけに、その想いの強さも窺えるというもの。
決して結ばれることはない悲恋に終わる宿命は、一抹のもの哀しさを感じさせる。
こうして、とうとう完結した「仮面ライダースーパー1」。
「仮面ライダー (新) (スカイライダー)」の番組強化案として構想されていた「仮面ライダーV9」をベースに「人類の明日のために生まれたヒーロー」として、宇宙開発という人間の未来と夢のために改造されたポジティブなライダー、80年代の新たなる1号として生まれたスーパー1は、まさに明朗快活な作劇を目指した、新時代のライダー作品に相応しい作品だった。
メカニックな魅力を持ち、多彩な状況に対応することを可能にするファイブ・ハンドと、アクション面でも明確なテーマとなる赤心少林拳の設定。一見相反するメカニックな装備と拳法アクションはスーパー1独自の魅力となり、ヒーローの万能性を強く強調した。
その頼もしさは「スーパーライダー」の名に相応しい大きな魅力だったはずだ。
残念ながら放送局側の都合による時間帯変更があったものの、スタッフ陣はジュニア・ライダー隊や日用品をモチーフにした怪人という低年齢層にアピールする路線変更を行いながら、日用品をモチーフにしたゆえの様々なユニークな作戦を展開するジンドグマの作戦で視聴者の興味を惹きつけ、見事に1年間に渡るシリーズを完走してみせた。
メインライターの江連卓氏の意向もあったとはいえ、先輩ライダーの客演に頼ることなく、バラエティ豊かな怪人との攻防戦を描ききって1年間のシリーズを走りきった「スーパー1」。
80年代の新たなる1号という願いを込められたその名に相応しい、名作だった。
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