「太陽戦隊サンバルカン」第14話「地球が降伏する日」感想

2025年1月20日月曜日

太陽戦隊サンバルカン 東映特撮YoutubeOfficial

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あらすじ

FBIのミルズ捜査官と一緒にアルバート国連事務総長護衛の任に就いたサンバルカンだったが、あろうことか、ミルズ捜査官はダークQが変装した姿だった。
アルバート事務総長を誘拐したブラックマグマは、国連に全面降伏するよう要求し…。

地球を守る決然たる勇気 国連事務総長を救出せよ!

ブラックマグマは、ブラックマグマ対策会議の最高責任者であるアルバート国連事務総長を拉致し、国連本部に降伏宣言を要求する作戦を実行に移した。
FBIのミルズ捜査官に護衛され来日したアルバート国連事務総長だったが、ミルズ捜査官はブラックマグマのダークQが変装した姿であり、その先導で機会生命体・アルマジロモンガーが襲来。
護衛についていたサンバルカンの奮闘もむなしく、アルバート国連事務総長は拉致されてしまう。

アルバート国連事務総長を人質に、国連に降伏宣言を要求するブラックマグマ。
しかし、アルバート国連事務総長は自分の命を投げ売ってでも、ブラックマグマへの徹底抗戦を嵐山長官に促す。苦渋の決断を迫られた嵐山長官は、アルバート国連事務総長の平和への決然たる意思を受け、なんとしてもアルバート国連事務総長を救出すべく、決死の作戦に出るのだった。
果たして嵐山長官と太陽戦隊は、アルバート国連事務総長を救うことが出来るのか。

ヘルサターン総統は怒っていた。
ニューヨークの国連本部にスパイとして送り込んだダークQから、アルバート国連事務総長がブラックマグマ壊滅のための会議を行うため、日本へ来日するという緊急報告が上がってきたのだ。
憤るヘルサターン総統は、機械生命体アルマジロモンガーを誕生させ、ゼロガールズとともに、アルバート国連事務総長を拉致する作戦を行うように命じるのだった。

アルバート国連事務総長を乗せた飛行機が到着した空港に、ゼロガールズたちが入り込んだ。
一方、アルバート国連事務総長は、護衛任務を命じられた太陽戦隊と面会する。
アルバート国連事務総長は、FBIのミルズ捜査官にニューヨークから護衛されていた。
ミルズ捜査官と太陽戦隊の先導で、アルバート国連事務総長は車へと向かった。
だが、すれ違った女が連れていた犬に吠えられ、豹が逃げ出してしまう。
犬を連れた女は、ゼロガールズの変装だった。

仕方なく、豹を欠いた状態でアルバート国連事務総長を車に案内した大鷲と鮫島。
だが、ミルズ捜査官が突然、2人に銃を突きつけた。
大鷲と鮫島は素早く反撃し、ミルズ捜査官を蹴り飛ばす。
本物のミルズ捜査官は既にブラックマグマに殺されており、ダークQに成り変わられていたのだ。
大鷲がダークQを取り押さえている間に、鮫島はアルバート国連事務総長を逃がそうとするが、そこにゼロガールズたちが襲撃。駆けつけた豹も、足止めをされて動けない。

ゼロガールズはアルバート国連事務総長を車に乗せ拉致しようとする。
鮫島は車の屋根に飛びついたものの、振り払われてしまうのだった。
アルバート国連事務総長を確保したゼロガールズは、トラックのコンテナにアルバート国連事務総長を監禁し、追ってきたサンバルカンは、トラックに爆弾が取り付けられていることに気づく。
サンバルカンが近づけば、トラックはアルバート国連事務総長ごと爆発してしまう。
ゼロガールズは、アルバート国連事務総長を人質に、ニューヨーク国連ビル本部にブラックマグマへの全面降伏の証となる白旗を1時間以内に掲げるように要求した。
要求を伝えるヘルサターン総統の横で、我関せずと爪磨きに勤しむヘドリアン女王が、人類への冷酷さを態度で物語っていて素晴らしい演出だ。

嵐山長官はヘルサターン総統の要求を決然と跳ね除ける。
だが、要求を拒否すればアルバート国連事務総長の命はない。
「こんな戯言を呑むわけにはいかん。例え我々全員が死んだとしても、奴らに降伏などせんぞ!」
地球を守る戦士として、生命を賭して戦う覚悟を決めていた嵐山長官は、バルイーグルに命じ、コンテナトラックにアルバート国連事務総長と会話のできる通信機を取り付けさせた。
バルイーグルとバルシャークがマシンに乗ってゼロガールズたちの目を引きつけているうちに、高台に登ったバルパンサーがコンテナトラック目掛けて飛びつく。
だが、ゼロガールズはアルマジロモンガーを呼び出し、バルパンサーを迎撃させた。
バルパンサーとアルマジロモンガーの格闘戦は、全くの互角だ。

なんとかアルマジロモンガーを投げ飛ばしたバルパンサーは、コンテナトラックに通信機を取り付けることに成功。嵐山長官は、アルバート国連事務総長に連絡を取る。
「機械帝国ブラックマグマのヘルサターンは、貴方の生命と引き換えに、国連本部に白旗を掲げるように要求してきました!しかし我々は、そんな無法に屈するわけにはいきません!」
「当たり前だ!この世の中から正義が失われたら、世の中は闇だ!Mr.嵐山、私の生命はどうなっても構わない!このまま死んでも悔いはない。だから、卑劣な機械帝国の奴らに負けずに、断固戦って欲しい!正義を守るためにもだ!」
アルバート国連事務総長の正義を守る悲壮なまでの覚悟が、嵐山長官の心を動かした。
アルバート国連事務総長の言葉を聞き、苦渋の決断をも覚悟した嵐山長官の表情が素晴らしい。
岸田森氏の卓抜した演技力が、正義を守るために苦渋の決断を下さねばならないかもしれないことを覚悟し、なんとしてもその苦渋の決断を現実としないために戦う、嵐山長官の決意を表現しきっている。
アルバート国連事務総長の言葉に正義の強さを見た嵐山長官は、機械帝国のどす黒い野望に負けない決意を固め、自らも太陽戦隊と共に命を賭して戦うため、戦場へ向かうのだった。

1時間が経過したが、人類が機械帝国に白旗を掲げることはなかった。
「約束の時間じゃ…フフフ、貴方は奴らに舐められたようじゃ」
ヘドリアン女王は、人類を降伏させることが出来なかったヘルサターン総統を煽る。
怒りのヘルサターン総統は、トラックの爆破をゼロガールズに命ずる。
トラックは、後5分で自動的に爆発する。
たまらず、バルパンサーが正面から突撃したが、その行く手には地雷が埋められていた。
バルイーグルは、奥の手としてバルパンサーを地底からトラックに接近させた。
パンサーもぐらで穴を掘り、トラックへ向かうバルパンサー。

そこに、アルバート国連事務総長が現れた。それは、嵐山長官の変装である。
全てを察したバルイーグルとバルシャーク。
バルイーグルは、ブラックマグマが拉致したアルバート国連事務総長は偽物であると揺さぶりをかける。ゼロガールズは、嵐山長官が返送したアルバート国連事務総長を調べ始めた。
バルイーグルたちがブラックマグマの気を引いているうちに、バルパンサーが地底を急ぐ。
地下に埋められた地雷を慎重に躱し、急ぐバルパンサー。

「ブラックマグマ!また俺に一杯食ったな!」
嵐山長官は正体を表し、バルイーグルと共にゼロスリー、ゼロフォーを拘束した。
そして、その騒ぎの間にバルパンサーがついにトラックにたどり着き、爆弾を取り外す。
嵐山長官がアルバート国連事務総長を救出し、戦場を脱出した。
それを追おうとするアルマジロモンガーの前に、サンバルカンが立ちはだかる。
「輝け!太陽戦隊!サン!バルカン!!」

アルマジロモンガーは、地底からマシンマンの特殊部隊「アルマジモグラ」を呼び出す。
地下を通り、サンバルカンたちの足元に群がるアルマジモグラたち。
サンバルカンは太陽ジャンプでそこから逃れ、3人で足踏みをして地響きを起こす技・「スクランブルステップ」で、地底に潜ったアルマジモグラたちを気絶させる。
アルマジロモンガーは爆撃攻撃「アルマジ攻撃」でサンバルカンを攻撃し、反撃のバルカンスティックを地底に潜って回避。バルパンサーもそれを追い、パンサーもぐらで地底に潜る。

お互いに背中合わせになったり入れ替わったり頭をぶつけたりと、コミカルな応酬を魅せるバルパンサーとアルマジロモンガー。結局、バルパンサーのパンサーギャラクシーが炸裂し、アルマジロモンガーは地上に引きずり出される。
サンバルカンはさらに、ピコピコハンマーを用いたサンバルカンもぐら叩きで攻撃。
このピコピコハンマーはバルカンスティックが変形したものらしい。
そして、とどめのバルカンボールを叩き込み、アルマジロモンガーを倒すのだった。

アルマジロモンガーは巨大回路を作動させ、大モンガーとなった。
バク宙をしながら暴れまわる大モンガーを相手に、サンバルカンもジャガーバルカンを呼ぶ。
そして、コズモバルカンとブルバルカンを発進させた。
「合体!グランドクロス!チェンジ・サンバルカンロボ!」
バルトンファとバルシールドを手に戦うサンバルカンロボ。
大モンガーはたまらず、地下に潜って逃げ回る。
サンバルカンロボは「バルカンフラッシュ」で地下にいる大モンガーの居場所を掴むと、第4話以来の「鉄拳もぐら叩き」を使って大モンガーを地上に引きずり出す。
まさかの鉄拳もぐら叩きの再登場だ。てっきり、1話限りのアドリブ技かと思っていた…。
「太陽剣!オーロラプラズマ返し!」
そして、必殺のオーロラプラズマ返しが炸裂し、大モンガーは倒されるのだった。

不屈の闘志と決然たる意志で機械帝国に勝利し、人類の正義と平和への願いを守り抜いた嵐山長官とアルバート国連事務総長は、固い握手を交わす。
太陽戦隊サンバルカンの活躍によって、機械帝国ブラックマグマに対する懐疑は無事に開催された。しかし、ヘルサターン総統が指を咥えて見ているはずはない。
油断は禁物だ。悪の爪は、次はどこから襲いかかるのか。輝け!太陽戦隊サンバルカン!

正義を守る覚悟を見せたアルバート国連事務総長の意思に応え、彼を犠牲にする苦渋の決断を下さねばならないかもしれない覚悟を決めながら、決してそれを現実のものとしないために自らも命を賭して戦場へ向かう嵐山長官がひたすらに熱く、世界の平和と正義を守る太陽戦隊の長官としての決然たる意志を感じずにはいられない。

「太陽戦隊サンバルカン」のここまでの話数を見てきて感じるのは、ドラマの実質的な主役が太陽戦隊の面々というより嵐山長官であることを意識した作劇が目立つことだ。
子供にも優しく、平和と正義のために命を賭すことも厭わない不屈の意志を持った嵐山長官は、ここまでの話数で主役となるエピソードも多く、非常に魅力的なキャラクターとして描かれているが、反面、太陽戦隊の面々が多少割を食っている感も否めない。
それでも、鮫島と豹はドラマの主役となるエピソードが用意されていたが、大鷲は明確に主役となるエピソードがここまで存在していないので余計にそう感じてしまう。
この先にバルイーグル交代劇が待っていることを思うと、なんだか複雑だ。

国連事務総長の危機を巡るシリアスなドラマ展開と反比例するかのように、アルマジロモンガーとの戦闘シーンはコミカルな演出が多用されていたのもこのエピソードの特徴だ。
同じく地底に潜ったバルパンサーとのコミカルな応酬、ピコピコハンマーでのサンバルカンもぐら叩き、まさかの再登場となったサンバルカンロボの鉄拳もぐら叩きと、シリアスな雰囲気を吹き飛ばす明るい雰囲気の戦闘シーンが、メリハリの効いた演出となっていた。

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