あらすじ
カナダから日本にやってきた怪人・ムササベーダー兄弟は、仮面ライダーにX作戦の内容を映したフィルムを奪われてしまう。しかし、それは魔神提督の計略であった。
奪ったフィルムは実際の作戦とは違う内容であり、別の場所で同時に2つの作戦が進んでいた。
恐怖の爆弾人間作戦!両面作戦を阻止せよ、仮面ライダーV3!
今回のネオショッカーの怪人は、ムササビの特性を持つムササベーダー兄弟。
カナダから日本に招集された彼らの行う作戦は、爆弾を内蔵した爆弾人間を東京で爆発させ、新宿を壊滅に追い込むX作戦。だが、彼らはスカイライダーにX作戦の詳細が刻まれたフィルムを奪われ、X作戦の詳細を掴まれてしまう。だが、それこそが狡猾な魔神提督の作戦だった。
実は、ネオショッカーは横浜で爆弾人間を爆発させるY作戦をX作戦と並行して進めており、あえてスカイライダーにX作戦の詳細を掴ませ、スカイライダーが新宿の守りについている間に横浜でY作戦を実行、横浜を壊滅に追い込もうと目論んでいたのである。
「点」でしかないスカイライダーの弱点を突き、「面」を展開できる組織の強みを活かした作戦を実行したネオショッカーの目論見は図に当たり、スカイライダーは新宿に誘き寄せられる。
このまま、横浜は爆弾人間によって焦土と化してしまうのか。
だがその時、力と技の風車を回し、赤い仮面の戦士が日本に帰還した。
その名は、仮面ライダーV3。
かつて、地獄のデストロンを、命の限り打ち倒した正義の戦士が、再びその姿を現したのだ。
ネオショッカーの両面作戦を、2人の仮面ライダーが打ち砕く。
ネオショッカーの連絡員404号を、一人の男が襲撃した。
その男、伊藤次郎は、連絡員404号からネオショッカーの秘密計画書を奪い、それをフィルムに収める。ネオショッカーの救援班が駆けつけ、伊藤は素早くその場から撤退した。
伊藤はブランカの谷に連絡を取った。
伊藤は谷と知り合いで、カナダで独自にネオショッカーと戦っており、ネオショッカーの秘密計画を阻止すべく日本へ来日、今は横浜に潜伏していたのである。
谷は洋と共に横浜に向かった。脳天気なナオコとアキも、横浜に行けると勘違いし色めきだったが、遊びじゃないんだと咎められ、ブランカで留守番することになる。
沼さんの「バカだなあ、怒らせちゃって」という口癖も初登場だ。
横浜に到着した洋と谷は、伊藤が潜伏している中華街の料理店「太新樓」を訪れた。
店の支配人も伊藤の協力者であり、洋と谷はその案内で伊藤と面会する。
伊藤は、ネオショッカーの秘密計画書をフィルムに収めたことを伝える。
ネオショッカーに妻子を殺された過去を持つ伊藤は、執念でネオショッカーを追跡していたのだ。
だが、ネオショッカーは既にその魔手を伸ばしていた。
料理の準備をしようとした支配人を、怪人ムササベーダーが襲った。
ムササベーダーは、支配人の体に憑依し、乗っ取ってしまう。
早速、フィルムを現像しネオショッカーの秘密計画を明らかにしようとする洋たち。
そこに、支配人が現れ、フィルムの現像を請け負うと言ってきた。
伊藤はフィルムを支配人に渡してしまうが、洋は支配人の影が怪人のそれであることに気づく。
正体が露見した支配人=ムササベーダーは、フィルムを持って逃亡した。
洋に追い詰められた支配人は、ムササベーダーとしての正体を現した。
「カナダから来た、ムササベーダーだ!」
ムササベーダーはさらにアリコマンド部隊を呼び出し、洋を襲う。
そして、アリコマンド部隊が足止めをしている間に、自身は滑空して逃亡した。
だが、洋もすぐに追いつき、フィルムを奪回せんとする。
そこに、なんとムササベーダーがもう1体現れた。ムササベーダーは兄弟怪人だったのだ。
「我らは!」
「ムササビ兄弟よ!」
ムササベーダー兄弟に囲まれた洋は、スカイライダーに変身した。
「なんだ貴様は!」
「俺の名は、仮面ライダー!」
「日本にも仮面ライダーがいたのか!?」
日本にも「仮面ライダー」が存在することに驚くムササベーダー兄弟。
ストロンガー登場以後、栄光の7人ライダーが世界中に散り、ネオショッカーと戦っているという設定が説明されたこともあり、海外から日本に招聘された怪人が既に「仮面ライダー」を知っているという描写がされ、世界観のスケールを広げている。
同時に、今回は海外で戦う先輩ライダーが登場するという伏線にもなっている台詞だ。
2人がかりでスカイライダーに襲いかかるムササベーダー兄弟。
だが、スカイライダーはフィルムを奪うことに成功した。
ムササベーダー兄弟は、妙にあっさりと撤退する。
スカイライダーは、ネオショッカーの次なる作戦は何なのか、考えを巡らせていた。
ムササベーダー兄弟は、魔神提督にフィルムを奪われたことを報告していた。
だが、魔神提督はフィルムが奪われたのは、自分の計画通りだとほくそ笑む。
「仮面ライダーの手に渡ったフィルムには、X作戦が映されている。しかし、本当の作戦はXY作戦なのだ!X作戦で仮面ライダーを叩き、その間にY作戦を成功させるのだ!」
つまり、魔神提督はあえてX作戦の作戦計画書が流出するように仕向け、スカイライダーがX作戦の詳細を知り、X作戦を防ぐために戦っている間に、別の場所で同時にY作戦を実行し、そちらを成功させるという、二面作戦を目論んでいたのである。
それは、日本で戦っている「仮面ライダー」が1人でしかないことを突いた、狡猾な作戦だった。
そうとも知らず、X作戦の計画書が映されたフィルムを現像した洋たちは、ネオショッカーが爆弾を内蔵された爆弾人間を新宿の超高層ビルへ向かわせ、破壊活動を行おうとしていることを知る。
新宿中で爆弾人間が次々に自爆すれば、新宿が一瞬で地獄絵図と化してしまう。
この作戦が今日の15時に決行されることを知った洋と谷は、急ぎ新宿へ戻った。
谷たちを見送った伊藤に、何者かからの電話がかかってくる。
その男からの連絡を受けた伊藤は、ネオショッカーの真の作戦を知るのだった。
だが、それを伝える間もなく、既に洋たちは新宿へ出発していた。
ムササベーダー(弟)はそれを見届けると、横浜でY作戦の準備を開始する。
新宿へ戻った洋は、スカイライダーに変身し、全神経を集中して爆弾人間の身体に内蔵された、爆弾の時限装置の信管の音を探った。だが、大都会の騒音に遮られ、なかなか発見できない。
その頃、ムササベーダー兄弟は新宿の公園に爆弾人間を集め、時限装置の信管を作動させた。
それは、信管の音をスカイライダーに感知させ、スカイライダーを誘き出す罠である。
その音を追ったスカイライダーは、爆弾人間とムササベーダー(兄)を発見する。
新宿でスカイライダーがムササベーダー(兄)と交戦、X作戦開始の知らせを受けた魔神提督は、Y作戦の実行を命じた。ムササベーダー(弟)は、Y作戦を開始するべく、滑空して横浜へ翔ぶ。
「仮面ライダー!貴様が爆弾人間と戦っている間に、いまひとつのY作戦!即ち、横浜全滅作戦が始まるのだ!」
ムササベーダーが横浜に翔ぶ様子を目撃した谷に、伊藤が合流し、ネオショッカーの本当の作戦がXY作戦、つまり両面作戦であり、横浜が危機に陥っていることを伝える。
一方、スカイライダーも爆弾人間の襲撃に苦戦していた。
ムササベーダー(兄)は、爆弾人間をスカイライダーに体当りさせる。
谷と伊藤は、ネオショッカーの真の狙いが両面作戦であることをスカイライダーに伝えた。
だが、新宿~横浜間50Km。この離れた2点の攻撃を、どう守れば良いのか。
横浜に到着したムササベーダー(弟)は、待機していた爆弾人間の信管を作動させる。
「早くこいつらを片付けて横浜に行かなくては、大変なことになる!」
新宿の爆弾人間の攻撃も激しく、スカイライダーも身動きが取れない。
ムササベーダー(弟)はついに、爆弾人間を横浜中に紛れ込ませ、火の海に変えようとする。
だが、突然爆弾人間たちが爆発した。そして、嵐のように、青いマシンがやって来る。
そのマシンの名は、ハリケーン。そしてハリケーンを駆る男の名は、仮面ライダーV3!
「仮面ライダーV3!只今参上!勝手な真似はさせんっ!」
「名前だけは聞いていたが…貴様がV3か!Y作戦の血祭りに上げてやるっ!」
今回登場したV3は、変身前の風見志郎としては登場していないものの、風見志郎を演じた宮内洋氏がしっかりと声の出演を行い、V3の声を吹き替えている。
「仮面ライダー (新) (スカイライダー)」はこの後、先輩ライダーが変身前のオリジナル・キャスト込みで客演する夢のようなエピソードを次々に展開していくが、その流れになる前にいち早く本人出演を果たしているあたりに、宮内洋氏の凄みを感じる。
V3はスカイライダーに通信を送った。
「スカイライダー!俺はV3だ!横浜は俺に任せろ!」
「V3がY作戦を!ようし!」
伊東にネオショッカーの真の狙いを電話で伝えたのも、密かに来日していたV3だったのだ。
V3はハリケーンを駆り、オートバイに乗った爆弾人間たちを撃破していく。だが、ムササベーダー(弟)のもとにムササベーダー(兄)も合流し、2人がかりでV3を襲い始めた。
鋭い鎌を使い、V3を攻め立てるムササビ兄弟は、さらに口から炎を吐いて攻撃する。
その頃、新宿の爆弾人間を全滅させたスカイライダーは、スカイターボに乗って横浜に向かった。
新幹線と並走し突っ走るスカイターボのシーンが、新幹線並みのスピードを発揮することが出来るスカイターボの高性能を物語っていて、素晴らしい演出だ。
そして、横浜に到着したスカイライダーはV3と合流。
横浜を舞台に、2人の仮面ライダーと、ムササビ兄弟のタッグマッチが始まった。
空中を滑空し、2人のライダーを幻惑するムササベーダー兄弟。
「V3アクション」のインストをBGMに、V3とスカイライダーの猛攻が始まった。
鎌を振り回しスカイライダーを攻めるムササベーダー(弟)。
そして、ムササベーダー(兄)も火炎放射でV3を攻撃する。
スカイライダーはムササベーダー(弟)を投げ飛ばすと、V3に加勢。
2人のライダーの連携攻撃が、ムササベーダー(兄)を追い詰める!
「V3ジャンプ!」
「スカイキック!」
「V3キック!」
スカイキックとV3キックのダブルライダーキックがムササベーダー(兄)に炸裂。
ムササベーダー(兄)は海中に没し、爆発四散した。
兄を失ったムササベーダー(弟)は、破れかぶれで向かってくる。
「俺は爆弾人間だ!お前たちを道連れにしてやる!」
ライダーを道連れにしようと飛びかかってくるムササベーダー(弟)を、2人のライダーは抱えあげてライダージャンプ。そして、空中でV3に投げ飛ばされたムササベーダー(弟)に、スカイライダーはスカイキックを叩き込んだ。ムササベーダー(弟)も海に没して爆発する。
こうして、ネオショッカーの両面作戦は、2人のライダーによって阻まれた。
「やったな、スカイライダー!」
「V3!君のおかげだ!」
魔神提督のXY作戦も、仮面ライダーV3の出現によって、スカイライダーの知るところとなり、その両面作戦は壊れたのだった。V3は、スカイライダーを頼もしく思っていた。
そして、スカイライダーに日本の守りを改めて託し、再び海外の戦いへ旅立つのだった。
スカイターボとハリケーン、2人のライダーのバイクの並走で締めるラストカットが、先輩ライダーとの共編編の締めに相応しいシーンだった。
離れた地点で行われるネオショッカーの両面作戦というシチュエーションで、先輩ライダーとの共演にこれ以上ない必然性を持たせた展開が見事なエピソード。
あえて作戦の一部を流出させることでスカイライダーの気を引き付け、別の場所でも両面作戦を行う魔神提督の策略は、世界各地で功績を上げてきたという設定に相応しい見事なもので、V3が日本に駆けつけていなければ横浜が壊滅していたことは想像に難くない。
妻子を殺され、海外でネオショッカーを追っていた伊藤とV3が協力関係であることが描かれたことは、世界観のスケールを広げる要素となっており、世界各地で、心ある者たちが8人ライダーと協力して戦っているのであろうことを想像させる要素となっていた。
恐らくは、志度博士が招集されたネオショッカー対策委員会の仲介もあるのだろう。
そうして日本に駆けつけたV3も、宮内洋氏というオリジナルキャストの声の出演や、ハリケーンを操るバイク戦、「V3アクション」のインストをBGMに戦う演出と大活躍を見せてくれた。
スカイキックとV3キックのダブルライダーキックや、スカイターボとハリケーンの並走といったヒーローの共演で見たい画をしっかりと見せるサービス精神も嬉しい。
両面作戦を目論み策謀を巡らせるネオショッカーとの攻防や、日本に駆けつけたV3の活躍をしっかりと見せた、見どころ満載の名作エピソードだった。