あらすじ
スカイライダーの能力を研究し尽くした怪人・アブンガーは、洋のエネルギーを消費させる。
さらにスカイライダーを分析して突き止めた、スカイキックを放って全エネルギーを使い果たした0.5秒の死角を狙って、スカイライダーを倒す作戦に乗り出す。
アブンガーの罠!力を使い果たしたスカイライダーに勝機はあるのか!?
ここまで、ヘビンガー、そしてカガミトカゲとスカイライダーとの戦いの裏で暗躍してきたアブの改造人間、アブンガー。スカイライダーとネオショッカーとの戦いを記録し、スカイライダーの弱点を徹底的に研究したアブンガーは、ついに自らスカイライダーとの決戦に臨む。
アブンガーが解明したスカイライダーの弱点とは、必殺のスカイキックを放ち、全エネルギーを使い果たした直後、0.5秒間無防備な瞬間があるというものだった。
さらに、アブンガーはスカイキックを空振りさせるべく、アリコマンドに特訓を課し、スカイキックを身に付けさせると、それを回避するための訓練を開始。
更にその中で、数多くのネオショッカー怪人の同胞を葬ってきたスカイライダーへの意趣返しとして、自らもスカイキックと同等の「アブンガースカイキック」を習得。
スカイキックをもってスカイライダーを倒すことで、同胞の犠牲に報いようとする。
スカイライダーの弱点を知り、同等のスカイキックを身に着けたアブンガーだが、さらにアブンガーは勝利を確実なものにするために、スカイライダーのエネルギーを消耗させる作戦を実行。
スカイライダーが1度の戦いで消耗するエネルギーを10万カロリーだと分析したうえで、ネオショッカーのアジトを見つけてしまった少年・黒沼三平とその父親を利用し、三平たちを助けようとする洋のエネルギーを消耗させる罠を十重二十重に仕掛ける。
結果としてエネルギーを消耗した洋の身体に残されたエネルギーは、スカイキックを1発放てば残存エネルギーがなくなってしまう、2万カロリーしか残されていなかった。
スカイキック対策を万全にしたアブンガーにスカイキックを躱されたことで、スカイライダーに残されたエネルギーはもはやない。果たしてスカイライダーはこの危機を脱することが出来るのか。
そして、スカイキックと互角の威力のアブンガースカイキックを打ち破ることが出来るのか…。
スカイライダーとネオショッカーの、これまでの戦いの映像を見ていた魔神提督は、スカイライダーの弱点が見つからないことに腹を立てていた。
しかしそこに、ネオショッカーの秘密特訓場から帰還したアブンガーが現れる。
アブンガーはついに、スカイライダーの致命的な弱点を見つけ出したのだ。
これまでスカイライダーと幾度となく戦ってきた魔神提督ですら見つけられなかったスカイライダーの弱点を見つけ出すこの観察力こそ、アブンガー最大の武器。
臆病者と罵られようとも、確実な勝利を手にできる公算がなければ動かない慎重さもある。
ドロニャンゴーとスカイライダーの戦闘映像を見せながら、アブンガーは語る。スカイキックの威力は、スカイライダーが全エネルギーを一点に集中させているからこそ発揮されるのだと。
さらにアブンガーは、スカイライダーがスカイキックを放った直後、着地の瞬間に生じるわずか0.5秒の空白——すなわち、全エネルギーを使い果たしたスカイライダーの肉体に、新たなエネルギーが充填されるまでの隙——を突き止めていた。
そしてアブンガーは、スカイキックの後に生じるわずか0.5秒の死角を突くため、スカイライダーのスカイキックを空振りさせるための秘密特訓を重ねていた。
まず、配下のアリコマンドたちに徹底した訓練を施し、スカイライダーに匹敵するほどのスカイキックを会得させ、それを回避するための俊敏な身のこなしを自らの身に叩き込んだ。
そして、綿密な計略を巡らせ、スカイライダーに可能な限りエネルギーを消耗させたうえでスカイキックを繰り出させ、全エネルギーを使い果たさせようとしていたのである。
さらにアブンガーは、全エネルギーを使い果たしたスカイライダーを倒すべく、スカイライダーのスカイキックと同等の威力を持つ「アブンガースカイキック」を、特訓を重ねて会得していた。
「我が同胞を殺したスカイキックこそ、仮面ライダーを倒すに相応しい技!」
魔神提督も、アブンガーの用意周到なスカイライダー抹殺計画に戦慄する。
そして、アブンガーに出撃命令を下すのだった。
ブランカでは、ナオコやアキたちが、店の夏休みにみんなで出かける計画はどうなったのかと、谷を問い詰めていた。谷は口ひげを蓄えるようになっており、ワイルドなイメージになっている。
そこにしげるやタケシも現れ、結局ブランカの面々は、山にイワナ釣りに出かけることになった。
山に入った洋は、不審なアブを目撃する。そして、その様子はアブンガーに監視されていた。
アブンガーは、スカイライダーが一度の戦いで消費するカロリーは10万カロリーであることを算出しており、その10万カロリーを0カロリーまで減らそうと目論んでいたのである。
ヒーローのエネルギーをカロリーという現実的な指標で表現しているのが面白い。
川で遊ぶブランカの一同の笑顔と比べ、洋は浮かない表情を浮かべていた。
それは、子供の頃、夏の河原の近くの吊り橋から転落しそうになったことを通りすがりの男に助けてもらった思い出である。洋はその時、自分も誰かを助けられる大人になろうと決意したのだ。
そこにがんがんじいもスイカをもって現れるが、転倒してスイカは粉々になってしまう。
皆が笑顔に包まれる中、洋は川の対岸で、岩の上から子供が川へ落下してしまう現場を目撃。
洋は慌てて川に飛び込み、子供を救出へ向かう。だがそれこそが、アブンガーの罠だった。
子供を助け上げた洋だが、洋は川底に潜んでいたアリコマンドによって、水中に引きずり込まれる。なんとか洋も子供も無事だったが、洋のエネルギーはアブンガーの思惑通り消耗していた。
救出された少年、黒沼三平は、父親とイワナ釣りに来ていた最中、偶然にもネオショッカーの武器の密造工場を発見してしまい、アリコマンドに追われていた。
そして、三平の父親はネオショッカーに捕らえられてしまったのである。
付近を飛行するアブンガーのアブカメラを見つけた洋は、ブランカの面々を先に帰らせ、自身は三平の父親を救出へ向かった。だが、洋は既に2万カロリーものエネルギーを消耗していた。
そしてアブンガーは、次は3万カロリーを消耗させようと目論んでいた。とはいえ、数万カロリーペースでエネルギーを消耗しているとなると、いくらなんでも洋の燃費が悪すぎる気はする。
洋はネオショッカーの兵器工場の見張りの途中、指相撲で遊んでいたアリコマンドを気絶させ、兵器工場に潜入。だがそこに、アリコマンドたちの銃撃が襲いかかる。
アリコマンドが遊んでいたのも、兵器工場内部に洋を誘い込む罠だったのだ。
アブンガーは兵器工場に火を放ち、洋を工場もろとも焼き殺そうとする。
やがて、燃え盛る炎が火薬庫に誘爆し、洋は爆炎に消えた。
しかし、洋はスカイライダーに変身し、地中に穴を掘って爆発から逃れていた。
しかしそれもまた、アブンガーの思惑通り。
スカイライダーは爆発から逃れるため、3万カロリーを消耗していた。
スカイライダーの体に残されたエネルギーは、5万カロリー。
アブンガーは残りのエネルギー全てを消耗させようと目論む。
アリコマンドから、三平の父親が川の上流にある、アブンガーのアジトに囚われていることを聞き出したスカイライダーは、飛び去るアブカメラを捕らえ、アブンガーに宣戦布告する。
川の上流のアジトに到着した洋の前に、父親を心配する三平が現れた。
洋の静止も聞かず、自分が父親を助けるとアジトに突っ込もうとする三平。
だが、アリコマンドの投石を受け、三平を助けるために洋はまたしても1万カロリーを消費する。
まさかこいつ、ネオショッカーの回し者なのでは…と思ってしまった。
だが、三平は素直に謝罪し、洋は三平に父親を必ず助け出すと約束する。
そして、吊り橋の前で洋と三平は別れ、三平は吊り橋を渡っていった。
だがそこに、アリコマンドたちが現れ、吊り橋を揺らし始めた。
三平は吊り橋から落下しそうになる。それは、洋の幼少期の思い出と重なる光景だった。
三平の悲鳴を聞きつけた洋は三平を助けるが、アリコマンドに攻撃を受ける。
駆けつけた谷の助力もあり、なんとか洋は三平を助け出すことに成功した。
しかし、洋はまたしても1万カロリーを消費し、残されたエネルギーは3万カロリーになる。
洋は三平の父親を助けるため、スカイライダーに変身してアジトに乗り込む。
だが、鎖鎌を装備したアリコマンドの群れがその行く手を阻み、銃弾の雨も降る。
みるみるうちにエネルギーを消耗していくスカイライダー。
三平の父親の前にたどり着いてなお、アリコマンド部隊の妨害は激しい。
釵を持ったアリコマンドを倒し、三平の父親を救ったスカイライダー。
だがついに、スカイライダーは1万カロリーを消費してしまい、その体に残されたエネルギーは、スカイキック1発分の2万カロリーしか残されていなかった。
先程までと比べると、スカイライダーが1万カロリーで行った行動量が明らかに多い気がするが、スカイライダーに変身したあとの方がエネルギーの燃費がいいのだろうか。
そこに、アブンガーが現れる。
「かかったな、仮面ライダー!お前のエネルギーは後2万カロリーしか残されていない!」
「それでは今までの仕業は、俺からエネルギーを奪うために仕組んだことだったのか!」
「今頃わかったか!だが既に遅い!お前はエネルギーの切れた木偶人形だ!」
エネルギーが尽き果て、動きに精彩を欠くスカイライダー。さらにアブンガーは、数度に渡る戦いの観察によって、スカイライダーの攻撃を全て見切っていた。
そして、スカイライダー乾坤一擲のスカイキックもついに躱されてしまう。
その着地後の0.5秒の死角に、アブンガーはついにアブンガースカイキックを叩き込んだ!
全エネルギーを失ったのみならず、アブンガースカイキックによって大ダメージを負ったスカイライダーは、ついにベルトの風車も停止してしまい、まともに立ち上がることも出来ない。
アブンガーはついに、とどめのアブンガースカイキックを放つが、スカイライダーは最後の力でそれを躱し、アブンガースカイキックはアリコマンドに誤爆する。
その時、奇跡が起こった!アブンガースカイキックをアリコマンドに誤爆したことで起こった爆風がスカイライダーのベルトに吸収され、スカイライダーのエネルギーが瞬時に充電したのだ!
「仮面ライダーBLACK RX」の「不思議なことが起こった!」の先駆けのような奇跡の逆転劇だ。
ベルトの風車に風を受けてエネルギーを充電するという点では、「仮面ライダー」の本郷ライダー時期の描写への原点回帰とも言えるだろう。
エネルギーを取り戻したスカイライダーは、空高く跳躍する。
アブンガーもまた、アブンガースカイキックを放とうと飛び上がった。
スカイライダーは、99の技のひとつである、「スカイダブルキック」により、1発目のキックでアブンガースカイキックを相殺し、反転跳躍して放つ2発目のキックをアブンガーに叩き込む。
2発目のキックが直撃したアブンガーは爆発四散するのだった。
絶体絶命のスカイライダーを救ったのは、平和を祈り、正義を愛する心だった。
洋に案内され、三平の父親は無事に三平と再会する。
ブランカの一同にも笑顔が戻り、皆で山を降りていくのだった。
用意周到なアブンガーの策略によって、スカイライダーがギリギリまで追い詰められた白熱のエピソード。ただスカイキックを見切っただけで満足するのではなく、スカイライダーのエネルギーを完全に消耗させるために十重二十重の罠を仕組むその頭脳は、数多くの怪人の中で最も慎重かつ冷静にライダーを倒そうとしていたと言っても過言ではない。
もしアブンガースカイキックがアリコマンドに誤爆し爆風が起きる奇跡がなければ、全てのエネルギーを失ったスカイライダーが倒されていたことは想像に難くないだろう。
そしてその奇跡を引き起こしたのは、ネオショッカーにはない、スカイライダーの正義を愛して戦い続ける不屈の心であるというのも、美しい結論だった。