「仮面ライダー (新) (スカイライダー)」第45話「怪談シリーズ 蛇女が筑波洋を呪う!」感想

2025年3月31日月曜日

仮面ライダー (新) (スカイライダー) 東映特撮YoutubeOfficial

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あらすじ

洋を呪う謎の美女・白川妙子。彼女は半年前、怪人・アブンガーによって殺されたはずであった。
だが、彼女が飼っていた白蛇が妙子の姿を借り、蛇女となって妙子を殺した相手に復讐するため現れたのだった。しかし蛇女は、妙子を殺したのは筑波洋だと言い放ち…。

洋を襲う蛇女の呪い 戦いの中で明かされる真実とは…?

怪談シリーズ第5弾となる今回のエピソードの題材は、蛇女。
そして登場する怪人は、もちろん蛇の特質を持った改造人間であるヘビンガーだ。
頭部の髪が無数の蛇となっている、神話の怪物メドゥーサを思わせる容姿を持ち、左右の腕も右手が頭部、左手が尾になっている、一匹の蛇を模したものになった、まさに蛇の化身である。
この両腕や足で相手を締め上げ、骨を粉砕する「ヘビンガーツイスト」が必殺技の怪人だ。

そんなヘビンガーが暗躍を開始すると同時に、筑波洋の周囲に謎の女が現れる。
1年前、怪人・アブンガーによって殺されたはずの白川妙子と同じ容姿を持つその女性は、妙子が飼っていた白蛇の化身・蛇女であり、妙子を殺した相手に復讐しようとしていたのだ。
だが、蛇女が復讐の標的としているのは、ネオショッカーではなく筑波洋だった。
妙子が殺された直後の現場検証で、スカイライダーが妙子を殺したと嘯く男がいたのである。

洋は周囲の人々を蛇女によって傷つけられ、精神的に疲弊する。
そして、そんな蛇女の誤解を解こうとするのだった。
だが、それこそがネオショッカーの罠だった。蛇女はヘビンガーの変装であり、自分に恨みを持つ白蛇の化身を攻撃できない洋の優しさにつけ込んで、洋を抹殺しようとしていたのである。
だが、洋はその真実を知る由もない。果たして、洋はこの危機を脱することが出来るのか。

そしてそれと時を同じくして、1年前に妙子や多くの人々を襲ったアブンガーも動き出す。
どうでもいいが、「ストロンガー」に登場した「ブブンガー」と一文字違いでややこしい。
アブンガーはスカイライダーの戦いを観察し、秘密裏にスカイライダーのデータを集めていた。
それはスカイライダーの弱点を突き止め、確実にスカイライダーを抹殺するための計画だった。
ネオショッカーでも有数の実力者であるアブンガーがスカイライダー抹殺に本格的に乗り出そうとしている今、スカイライダー最大の危機はすぐそこまで迫っている…!


その日、喫茶ブランカは大賑わい、谷やナオコ、アキも接客で大忙しだった。
こういう、ヒーローの拠点になっている店が一般人で大賑わいなのも珍しい。
「仮面ライダービルド」の「nascita」など、普段から誰も来ないというのに。
そこに、一人の美女が入店してくる。
ブランカに顔を出した洋が店の盛況ぶりを見て時間を潰すべく店を出ると、美女は持ってきたバスケットから白い蛇を取り出す。白蛇の出現に店が混乱に落ちいる中、美女は静かに笑うのだった。

洋がブランカに戻る途中、店を出た美女とすれ違う。美女は洋を睨みつけるのだった。
谷は、日本では古来から白蛇を神の使いとして丁重に扱ってきたという話をし、そんな白蛇がブランカに現れたからにはブランカはこれからも大盛況だと笑うのだった。
すると、ナオコとアキが先程の美女の忘れ物であるバスケットに気づく。
中身を開けて連絡先を知ろうとした洋たちが見たものは、五寸釘の刺さった藁人形。
その藁人形には、「死 筑波洋」と書かれた神が張り付いていた。
谷たちは気にしないように笑うが、洋はその藁人形に不吉な気配を感じる。

夜になり、バイトを追えたナオコとアキ、ユミたちが帰宅の途についていると、蹲る女性を発見する。それは先程の美女。だが、その顔の半面には、蛇の鱗がついていた。
そして、沼さんも自宅に帰宅する途中、白蛇が突然目の前に現れ、怪談から転落してしまう。
美女が藁人形に五寸釘を打ち込むと、自室で眠っていた洋も苦しみだした。
美女は、洋を「御主人様の仇」と呼び、呪詛を叫びながら釘を打ち続ける。

洋が悪夢から目を覚ますと、そこに谷からの呼び出しの電話がかかってきた。
蛇女を目撃したナオコとアキ、ユミが高熱にうなされ、入院していたのである。
そして、怪談から転落した沼さんも、大怪我を負っていた。これらは全て、蛇の祟りなのか。
まず周囲の人々に危害を加えることで、洋の心を追い詰める手口が巧妙である。
優しい洋が周囲を巻き込んでしまったことを悔やむように仕向けているのであろう。

谷は、昼間の白蛇と藁人形が、偶然でも悪戯でもなかったことに戦慄する。
そして、洋もまた、心臓に杭を打たれる悪夢を見ていたことから、谷は何者かが洋の死を願い、洋を呪い殺そうとしていると推測する。洋は、悪夢で見た美女が、「御主人様の恨みを晴らす」と言っていたことを思い出すが、洋には身に覚えがなかった。

そこに一人の看護師が通りかかる。その看護師は、昼間の美女だった。
そして看護師は去り際に、洋の背中に「次はお前だ」と書かれた紙を貼り付けていた。
美女を追いかけた洋は、その目的を詰問する。
しかし、美女の顔は再び蛇の鱗がついた、蛇女のものになっていた。
「恨みじゃ…御主人様の恨みじゃ…」
「何のことだ!理由を話してくれ!」
「筑波洋…お前に殺された白川妙子のことを、忘れたとは言わせんぞ!」
蛇女はメスを握り、混乱する洋を刺し殺そうとする。さらに、白蛇が洋の首を締め付け始めた。
だが、苦しむ洋の声を聞きつけた谷が駆けつけると、蛇女は消え、洋の首を締め付けていたのも、白蛇ではなく聴診器だった。だがそこに、蛇女の声が響く。
「筑波洋。白川妙子の恨みは必ず晴らすぞ…」
その声とともに、白蛇が何処かへと去って行った。

洋と谷は、ネオショッカーの怪人や犠牲者を記録したファイルを調べ、農村で病気療養をしていた白川妙子という女性が、1年前に怪人・アブンガーに殺されていたことを突き止める。
洋は、1年前のアブンガーとの戦いを思い出すのだった。
細かいことだが、この回想で登場するのは、7人ライダーとの特訓を終えた後の強化スカイライダー。映像を素直に解釈するなら、グランバザーミー・怪人2世部隊と8人ライダーの決戦から、このエピソードの時点で作中では既に1年以上の時が経過しているらしい。

ネオショッカーの新たな怪人の出現を知ったスカイライダーは、湖の畔で、全身に毒が回り絶命した人々を発見。それこそが、猛毒怪人アブンガーの犠牲になった人々だったのだ。
アブンガーは自身の毒針の実験台として、罪なき人々を殺戮したのである。
だが、アブンガーは毒針爆弾でスカイライダーの目を眩ませると、直接対決は時期尚早として撤退した。スカイライダーはそれを追ったが、結局逃がしてしまったのである。

アブンガーはこの後、次回にも登場し、連作シリーズであった「怪談シリーズ」の終わりから通常回への橋渡しとなる強豪怪人。アブンガーの暗躍を数回にわたって描くことで、先輩ライダー客演編、そして怪談シリーズへと続いてきた視聴者の興味をこの後にも持続させるようになっている、巧みなシリーズ構成だ。

その戦いの後、湖から白川妙子の亡骸が引き上げられた。
だがもちろん、それは洋=スカイライダーが殺したのではない。
白川妙子もまた、アブンガーの毒針の犠牲になったのである。
洋と谷は蛇女の誤解を解くため、白川妙子が住んでいた村へ向かうことにした。

白河妙子が住んでいた家に到着した洋は、そこで白川妙子の遺影を発見する。
そこに映っている顔は、蛇女の顔と全く同じものだった。
では、蛇女は白川妙子の幽霊なのか。
そこに、騒ぎを聞きつけた村人が声をかけてきた。
村人の話では、白川妙子は傷ついているところを助けた白蛇を飼っていたという。
白川妙子は白蛇に、病気療養中の孤独を癒やされていたらしい。
その話を聞いた洋は、白蛇が主人である白川妙子の姿を借りて蛇女になったのかと考える。

だが、それなら白蛇の恨みはネオショッカーに向けられねばおかしいはず。
話を聞いていた村人は、白川妙子は仮面ライダーに殺されたんだと話す。
なんでも、湖から白川妙子の亡骸が引き上げられた際、見知らぬ男が、仮面ライダーが白川妙子を殺す現場を目撃したと話していたらしい。それもまた、ネオショッカーの罠なのか。
村人から、白川妙子の墓が裏山にある村に建てられたことを聞いた洋は、墓へ向かうことにした。
一方、谷は村に残り、白川妙子のことをさらに調べることにする。

その頃、ネオショッカーのアジトでは、魔神提督が計画が順調に進んでいるとほくそ笑んでいた。
白川妙子の死に由来する蛇女騒動は、全てネオショッカーの計画だった。
蛇女の正体を、白川妙子が可愛がっていた白蛇の化身だと思わせることで、優しい心を持つスカイライダーの力を鈍らせることが、この作戦の全容だったのである。
白川妙子と白蛇の事情を知れば満足に戦えない洋の気の優しさにつけ込んだ、卑劣な作戦だった。
蛇女の正体は、カンボジア支部から招聘された怪人、ヘビンガーだったのである。

そこに、アブンガーが現れ、スカイライダーの力を甘く見ないように忠告する。
しかし、スカイライダーの力を十分に見極めるまで戦おうとせず、ヘビンガーの救援にも向かおうとしないアブンガーを、魔神提督は臆病者と罵る。
「臆病ではない!敵を知り、己を知ることこそ、俺様の必勝法!なんと罵られようとも、俺は俺の流儀で戦うまでだ!」

その頃、谷は村の駐在に、妙子について聞き込みを行っていた。
駐在の話では、妙子はもともと東京に住んでおり、病気療養のためこの村に移り住んだ。
そして死後、その遺体は東京の遺族に引き取られたのだという。
谷が、何故裏山の村に墓を建てたのか訪ねると、駐在は、その墓が位置する村は、既に廃村になっていると話す。そう、墓の場所を洋に教えた村人も、ネオショッカーの手先だったのだ。

そうと知る由もない洋は、廃村へ向かってバイクを走らせ、特撮名物の粗末な墓に手を合わせる。
するとそこに、蛇女が現れた。洋が話しかけると、蛇女は逃げ去り、廃屋に姿を消した。
洋は自分の無実と、ネオショッカーこそが白川妙子を殺した犯人だと叫ぶ。
だが、蛇女は再び藁人形に五寸釘を突き立て、洋に呪いをかけ始めた。
さらに、白蛇が何処からともなく現れ、洋の首を締め付ける。
このまま洋は呪い殺されるのか。

だがそこに谷が駆けつけ、蛇女の正体がネオショッカーの改造人間であることを教える。
計画が露見した蛇女は、怪人ヘビンガーとしての正体を現した。
ネオショッカーとわかった以上、もはや遠慮は不要。洋はスカイライダーに変身する。
左手の蛇の尾や、右手の蛇の頭で攻撃するヘビンガー。

そこに、ミニバイクにのったがんがんじいが何処からともなく通りすがった。
だが、鎧が重いのか、バイクの馬力が足りず、斜面を登りきれない。
その斜面の頂点には、スカイライダーの戦力をスパイするべく現れたアブンガーがいた。
「仮面ライダー。貴様の力をしかと見届けてやるぞ。アブカメラよ、行って来い!」
小型のアブを模したアブカメラが、スカイライダーの戦いを記録するべく飛び立つ。

ヘビンガーは手足で敵の体を締め付ける、コブラツイストならぬヘビンガーツイストでスカイライダーの体を締め上げ始める。だが、スカイライダーはその拘束を跳躍して脱出。
そして逆に、スカイライダー99の技のひとつ、「ライダー卍固め」をヘビンガーに極める。
全身の骨が砕けるダメージを負ったヘビンガーに、とどめのスカイキックが炸裂した。
こうして、なんとかスカイライダーは勝利する。
すると、スカイライダーと谷は、白蛇が湖へと帰っていく様子を目撃する。
あるいはそれが、白川妙子が可愛がっていた、本当の白蛇だったのかもしれない…。

そこに、がんがんじいがアブの化け物を目撃したと騒ぎながら走ってきた。
そしてアブンガーも姿を現し、スカイライダーに宣戦布告する。
「仮面ライダー!貴様の手の内はすべて知った!お前の命は、このアブンガーがもらった!」
毒蛇怪人ヘビンガーを倒した仮面ライダーに、毒針怪人アブンガーが宣戦を布告した。
仮面ライダーに休息はない。明日も戦え!仮面ライダー!

蛇女の呪いそのものがネオショッカーの策略であり、洋の心の優しさにつけ込んだ狡猾な作戦が展開されたエピソード。恐るべきは、自分たちの犠牲者である白川妙子の名を騙り、その白蛇への思い入れを利用せんとした邪悪さにある。人間の命を奪い、尊厳を穢し、人間が愛情を注いだものすら利用しようとする悪魔のネオショッカーの恐ろしさが強調された。

一転、正体が露見した後のヘビンガーとスカイライダーのバトルは見応え抜群。
コブラツイストならぬヘビンガーツイストと、ライダー卍固めの固め技対決は、「キン肉マン」の超人レスリングもびっくりのプロレス技対決となっており見ていて楽しい。
陰険な手口を用いてきたヘビンガーを真っ向から撃退するスカイライダーの頼もしさも見事だ。

だが、そんなヘビンガーとスカイライダーの戦いは、アブンガーによって記録され、スカイライダーの戦力を分析する材料に使われてしまった。今、アブンガーはスカイライダーの力を知ってしまったのである。果たしてスカイライダーは、迫りつつあるこの強敵との対決を制することが出来るのだろうか…。

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