「仮面ライダースーパー1」第24話「レッツゴー!! ジュニア・ライダー隊」感想

2025年7月21日月曜日

仮面ライダースーパー1 東映特撮YoutubeOfficial

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あらすじ

強敵・テラーマクロは倒れ、恐怖のドグマは壊滅した。
しかし、その背後から悪魔元帥率いる謎の新組織・ジンドグマが現れる。
怪人キラーナイブは原子物理学者・木谷教授を脅迫し、原子十字砲を製造させようとする。

新組織ジンドグマ出現!その時、子どもたちが勇気を胸に立ち上がる!

闇の王国ドグマはスーパー1の活躍によってついに滅んだ。
しかし、既に宇宙から新たなる悪の組織、ジンドグマが地球に来訪していたのである。
今回から、放送局の番組編成の都合によって放送時間帯の変更を余儀なくされたことに合わせた新展開、「ジンドグマ」編がスタートすることになる。

ドグマの崩壊を待って出現したのが、新組織ジンドグマである。
「逆らう者は抹殺、必要なものは略奪、不要なものは破壊」という、暴力、略奪、破壊を3大理念に掲げたジンドグマ憲法を信奉するこの狂気の集団は、かつて地球に襲来したネオショッカー大首領と源を同じくする、B26暗黒星雲より飛来した異星人である。
このジンドグマに属する怪人は、文房具や玩具といった日用品をモチーフにしたものが多く、一見ユーモラスに見える外見に似合わぬ、ドグマ怪人以上の戦闘力を持っている。

このジンドグマの頂点に君臨する悪魔元帥の下に、4人の大幹部が存在する。
最も残忍かつ、手段を選ばぬ頭脳作戦を得意とする魔女参謀
常に笑みを浮かべ、愉快犯的な作戦で人々を混乱させるのを好む妖怪王女
自らの頭脳で作り上げたメカや発明品を用いた作戦を好む幽霊博士
4幹部の中では武闘派で、暴力的な作戦を好む切り込み隊長、鬼火司令
彼ら4幹部が送り込むジンドグマ怪人と、スーパー1の新たな戦いが幕を開ける。

今回のジンドグマ怪人は、鬼火司令の配下であるキラーナイブ。
ナイフをモチーフにした怪人で、全身に鋭い刃を装備し、厚いコンクリートすら切り刻む。
その任務は、資産家や科学者を脅迫、ジンドグマの支配下に置こうとし、それを拒否した人間を抹殺すること。そして、原子物理学者・木谷教授を脅迫し、原子十字砲を開発させることである。

新たなる悪の胎動。しかし、悪の意思に負けない、新たな正義の意思も育ちつつあった。
良やその友人たちが、ジンドグマに狙われる木谷教授を助けようと奮闘する。
それは、一也やスーパー1の活躍が、子どもたちに勇気を与えていた証左だった。
スーパー1の勇気に負けないように、子どもたちはジンドグマの陰謀に挑む。
そして、彼らはこう呼ばれるようになる。「ジュニア・ライダー隊」と。


新展開に合わせ、OP映像やアイキャッチ映像が変更になった。
OP映像は、劇場版で新撮された映像から多くが流用されつつ、ジンドグマの地獄元帥や4大幹部を盛り込んだもの。劇場版の敵怪人である地獄谷五人衆が目立っているのは御愛嬌だ。

ハルミとその友人・マサコたち、谷モーターショップの面々は、交通事故の遺児へ向けたチャリティーイベントに出店を出して参加していた。
そこに、良とその友人たちも駆けつける。ドグマが滅んだ今、世界に平和な時が流れていた。
一方その頃、一也は新たな戦いに備え、チェックマシーンで故障したメカを入念に調整していた。
メカチェックを受けながら、一也は妙な胸騒ぎを感じていた。

そして、その胸騒ぎは的中してしまう。
資産家である相良正三のもとに、「ジンドグマ」の悪魔元帥を名乗る男から、ジンドグマの秘密協力者となり、財産の全てをジンドグマに寄進するように命じる命令書が届いていたのだ。
命令に従わなければ処刑すると書かれた命令書を一笑に付す相良だが、突如、部屋に不気味な音が響き、部屋のドアが破壊される。そして怪人・キラーナイブが現れた。
ジンドグマに従わない者を処刑するため現れたキラーナイブは、頭部の刃で相良を突き刺し、処刑を完了してしまう。今ここに、新たなる悪が行動を開始していた。

そして、また一人、ジンドグマからの命令書を受け取った男がいた。
原子物理学の権威である木谷教授である。
木谷教授は、ジンドグマから秘密研究員となって原子十字砲を作り出すように要求された。
木谷教授は急ぎ研究所から脱出するが、入れ替わるようにキラーナイブが出現。
助手の研究員に木谷教授の行方を詰問する。
キラーナイブが部屋に潜入する際に、ドアや壁を切り刻んで現れる描写が刃物をモチーフにした怪人として秀逸な描写。「V3」のハサミジャガーを思わせる。

その頃、谷はピエロの格好をして、チャリティーイベントの会場に向かおうとしていた。
谷はこの回から仮面ライダー (新) (スカイライダー)後半から生やしていたヒゲを剃り落としており、さっぱりした印象になっている。
だがそれと入れ替わるように、木谷教授が家族を連れて谷モーターショップを訪問していた。
ジンドグマの脅迫を受けた木谷教授は、一也に助けを求めようとしていたのである。
木谷教授は谷モーターショップの張り紙に従い、チャリティーイベント会場へ向かう。

果たして、ジンドグマとは何者なのか?
そのアジトでは、4人の大幹部が、ジンドグマの支配者である悪魔元帥に謁見していた。
魔女参謀、妖怪王女、幽霊博士、鬼火司令。彼らはドグマから戦闘員であるドグマファイターを支配下に起き、徹底した洗脳教育によってジンファイターに作り変えていたのである。
ドグマファイターのジンファイターへの改造は、「イナズマン」「イナズマンF」における、ファントム軍団の兵士がデスパー軍団の兵士に鞍替えした描写を思わせる。
「皆のもの、ジンドグマ憲法を三唱せよ!」
「ジンドグマに逆らう者は直ちに殺せ!必要なものは略奪し、不要なものは全て破壊せよ!」
狂気のジンドグマ憲法を謳う姿に満足した地獄元帥は、ジンドグマの理念を語る。
「我がジンドグマは恐怖を持って人間を支配する…暴力・略奪・破壊!これが、ジンドグマの三大原則である!」

魔女参謀は、ジンドグマ憲法に従い、ジンドグマに逆らう者を処刑したことを報告する。
そして鬼火司令は、木谷教授が国外に脱出しようとしていることを報告するのだった。
地獄元帥は木谷教授の頭脳はジンドグマに必要だと説き、たった一発で東京を壊滅させることが出来る原子十字砲を作り出すまでは生かしておくように命じるのだった。

交通遺児救済のチャリティーイベントは、谷モーターショップの面々で大盛りあがり。
そこに、木谷教授一家が訪ねてくる。木谷教授は谷に、ジンドグマからの命令書を見せる。
一也もチェックマシーンでのメンテナンスを終えていた。一也の変身の呼吸の表れである変身ポーズはドグマとの戦いで研ぎ澄まされ、一段と素早くなっている。
変身ポーズがスピーディーになったことで、変身シーンがよりテンポの良い演出になっている。

ハルミが一輪車の曲乗りを披露してイベントを盛り上げていると、そこに突然、鋭いナイフが飛んできた。それは、ジンドグマ怪人・キラーナイブが投げたものだ。
キラーナイブは木谷教授を脅迫し、自分たちと一緒に来るように迫る。
チャリティーイベントは、一瞬にして阿鼻叫喚の地獄絵図と化した。
木谷教授は抵抗虚しくジンファイターに捕まり、拉致されてしまう。キラーナイブは良たちが乗っていた自転車に足を取られたことに激昂し、自転車を切り刻んで去っていくのだった。

自転車を破壊され、せっかくのイベントをめちゃくちゃにされた良たちは、怪人を自分たちでやっつけようとキラーナイブたちの後を追っていった。
そこに一也が駆けつけ、谷からジンドグマの出現を知らされる。

木谷教授とその娘はジンドグマに拉致され、アジトへ連行される。
しかしジンファイターの一人が足を負傷し、一人だけ隊列から遅れていた。
ハルミや良たちはその後を尾行し、アジトを一也に知らせようとする。
その考えは図に当たり、ハルミたちはアジトを発見したが、ジンファイターに見つかってしまう。
キラーナイブの刃に襲われ、ハルミたちは抵抗虚しく捕まってしまった。
だが、最年少であるマサルとその姉のミチルは、アジトに接近していなかったために無事だった。
マサルたちは一也に、ハルミたちの行き先を伝える。

キラーナイブはジンドグマの命令に従うように脅迫するが、木谷教授はそれを拒絶する。
だが、娘やハルミたちを人質にされ、苦しむ木谷教授。
そこに間一髪、一也が助けに現れた。一也は人質を逃がし、キラーナイブと対峙する。
キラーナイブの投げナイフを躱した一也は、スーパー1に変身した。

スーパー1はスーパーライダー空中殺法四段旋風蹴りでジンファイターを撃破。
さらにエレキハンドにチェンジして、キラーナイブにエレキ光線を発射する。
メカニカルな身体のキラーナイブには、エレキ光線が効果てきめんだった。
スーパー1はさらにトドメのスーパーライダー月面キックを放ち、キラーナイブを倒す。
だがそこに、ジンドグマの4大幹部が現れた。
4大幹部は高らかに名乗りを上げ、スーパー1に宣戦布告する。
「我らに逆らう愚か者め!いつの日かお前に、地獄の底を舐めさせてくれるわ!」
「お前たちの目的は何だ!」
「ジンドグマの悪魔元帥は、地球を支配する!」
「背く者は殺す!」
「必要なものは略奪し!」
「無用なものは破壊する!」
「スーパー1よ!ジンドグマは恐怖の王国を目指すものだ!また会うぞ!スーパー1!」
宣戦布告を終え撤退した4大幹部に、スーパー1は戦慄する。

こうして木谷教授たちは無事に救われ、一時の平穏が訪れた。
だが、とばっちりで自転車を壊された良たちは面白くない。
だがそこに、ハルミが現れ、良たちにビッグプレゼントがあると言う。
それは、木谷教授から今回のお礼で送られた、赤い自転車だった。
さらに谷からは、特製のスーパー1の顔を模したヘルメット、青いベスト、七つ道具の入った専用カバン、そして仲間の証のペンダントが送られる。
良はこのお揃いの道具を持った仲間たちを、「ジュニア・ライダー隊」と呼ぶことを提案。
ハルミが隊長、マサコが副隊長になることになり、ジュニア・ライダー隊が結成された。
スーパー1の勇気を学んだ、新しい正義の息吹。ジュニア・ライダー隊の誕生だ!

ジュニア・ライダー隊の結成に合わせ、EDテーマも「ジュニアライダー隊の歌」に変更。
スーパー1の激しいアクションシーンと、ジュニア・ライダー隊の姿を交互に映す、ジュニア・ライダー隊が主軸となるジンドグマ編のイメージを顕著に現した映像になっている。

放送時間帯の変更に合わせ、新展開を迎えることになった「仮面ライダースーパー1」。
その導入編となるこのエピソードでは、新たなる悪の組織であるジンドグマの登場や、今後実質的に主役となるエピソードも多いジュニア・ライダー隊の誕生を描いている。
ショッカーやデストロンの脅威によって孤児となった子どもたちの互助会という側面もあった少年仮面ライダー隊と比べると、こちらはジンドグマの脅威への自警団といった趣。
放送時間帯変更に合わせ、低年齢層の視聴者の目線に合わせた番組作りが意識されている。

ジンドグマの怪人は、身近な道具や玩具などをモチーフにしたものが多い。
これは、日常生活にあるもののほうが怖くなるという、脚本家陣の意向によるもの。
身近な道具が怪人になって襲ってくることで、不意に日常生活に怪人が現れるかもしれない…という恐怖感を重視したのだろう。そしてこのモチーフ選定により、ジンドグマ編では従来のシリーズでも類を見ないユニークな怪人が多く現れることになる。

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